著者
西村 宏昭 高森 浩治 丸山 敬
出版者
一般社団法人 日本風工学会
雑誌
日本風工学会論文集 (ISSN:13493507)
巻号頁・発行日
vol.34, no.4, pp.95-102, 2009-10-01 (Released:2010-01-29)
参考文献数
4

A sudden severe storm destroyed a large tent structure connected to some concrete weight cubes, at near coast in Tsuruga City, Fukui Prefecture. High wind accompanied with the gust-front in the storm killed a man and injured nine persons. While the tent structure had an opening faced to sea, it was covered on remained walls with canvas. In this situation, when wind attacked from the open face, the tent would be easily lifted up, even though some weights might fairly resist to the lift caused by wind. This study describes the observation of damage to the tent structure and wind tunnel test results, which was carried out to quantify the wind load when the tent will be blown off in various situations of wall coverings.
著者
加藤 あい 宮田 明子 守屋 由香
出版者
一般社団法人 日本農村医学会
雑誌
日本農村医学会学術総会抄録集 第55回日本農村医学会学術総会 (ISSN:18801749)
巻号頁・発行日
pp.145, 2006 (Released:2006-11-06)

<はじめに> 産褥期における子宮の復古および悪露の変化は著しくかつ重要であるため、産褥期における注意深い観察と復古促進に向けたケアが必要となる。 経腟分娩後の子宮復古状態については基準化され、看護を行う上でのアセスメントの指針ともなっている。しかし、帝王切開後の子宮復古に関しては一般に経腟分娩より遅いと言われているが、明らかなデータとして発表されているものはない。そこで、経腟分娩と帝王切開の子宮復古状態を比較し、帝王切開術後のアセスメントの基準を明らかにすることを目的とし検討した。<研究方法> 経腟分娩者30名、帝王切開分娩者21名。正期産かつ単胎とし、帝王切開分娩者に関しては、緊急帝王切開や合併症がない者とした。産褥0日より退院日までの子宮底長と硬度および、悪露量を測定した。妊娠・分娩経過、分娩週数、妊娠・分娩歴、Hb値、胎盤の大きさ・重さ、児体重、使用薬剤名・投与量、排泄状況、離床時期などについてフェイスシートを用い情報収集した。<結果および考察> 子宮底長の経日的変化に関して、産褥1日を除いては、帝王切開の方が経膣分娩の子宮底長に比べて高い。これは子宮に手術操作が加わることや、安静の期間が長いこと、授乳開始の遅れが影響していると考えられる。悪露量の経日的変化において、産褥1・3・4日で帝王切開より経腟分娩のほうが有意に悪露量が多く、産褥5日は経腟分娩の悪露量が多い傾向にあり、産褥2・6日は、帝王切開の悪露量が多い傾向であった。産褥1日は経腟分娩では、授乳の開始や安静の制限がされていないことが関連していると考えられる。産褥2日に帝王切開の悪露量が多い傾向であったのは、歩行開始となることが関連していると考えられる。 帝王切開の場合、経腟分娩と比べて子宮底長は高く経過していくが悪露量は経腟分娩が多い量で推移することが多かった。一般的には、子宮底長が高いと悪露量が多く子宮収縮が悪いと判断するが、帝王切開の場合は子宮底長が高いことと、悪露量の多さには関連がなく、子宮底長と悪露量では子宮収縮状態を判断することはできない。【まとめ】 経腟分娩と帝王切開における産褥期の子宮底長の経日的変化をみた結果、帝王切開分娩の方が、経腟分娩よりも子宮底長が高く推移することが明らかとなった。しかし、帝王切開の子宮底長が高く推移しても、経腟分娩に比べ悪露量は少なく、子宮収縮が不良という指標にはならない。産褥期の子宮復古に影響を及ぼすといわれる因子についての今回の研究では有意差はでなかった。今後は、産褥期の吸啜回数や時間など、本研究項目に取り上げなかった因子の影響も含め、検討すべきである。
著者
市原 美恵 山河 和也 岩橋 くるみ 西條 祥 菅野 洋
雑誌
日本地球惑星科学連合2019年大会
巻号頁・発行日
2019-03-14

酢と重曹の反応による発泡を利用した噴火の模擬実験は,簡単な実験ながら,様々な噴火様式を発生させることができる(竹内, 2006).我々は,この実験を発展させ,噴火前後のマグマ溜りの圧力変化や噴出に伴う空振に相当する信号をモニターしながら実験を進める試みを重ねてきた.また,「マグマの混合から噴火へ」というシナリオを再現するため,酢(クエン酸)と重曹(炭酸水素ナトリウム)をそれぞれ混入した2つの水あめ水溶液をボトル内で混合し,噴火を導く,という方式を採用した.この実験は,研究のアウトリーチ活動だけでなく,火山研究の種となる興味深い現象の発見にも役立っている(Kanno and Ichihara, 2018).今回新たに加えた改良により,より実現象に近い形で噴火の多様性を実現することが可能になった.模擬火山は,マグマだまりに相当するペットボトルと,火道に相当する透明耐圧チューブからなる.ボトルのキャップに,特製のコネクタを取り付け,火道チューブを接続する.チューブ先端はゴム栓で閉じ,発泡によってボトル内の圧力が高まると自然に開栓して噴出が始まる.これまでの方法は,2つの点で実現象との乖離があるという指摘がされてきた.第一に,「マグマを注いでペットボトルの蓋を閉じる」という実験手順が,いかにも人為的であった.第二に,ボトル内部にもチューブを伸ばした構造が不自然な印象を与えるが,これがなければ,ボトル上部のガスだけが噴出し,噴火を継続させることができなかった.火山噴火のメカニズムという点では,それぞれに対応する現象は考えられる.しかし,専門知識,言い換えれば,先入観を持たずに噴火実験を見た場合,実際の火山現象を模擬するプロセスと実験の便宜上の手続きの間の切り分けが難しく,まして,便宜上の手続きの背後にある実現象を想像することは不可能である.従って,できる限り,人工的な部分を排して,マグマ混合から噴火までの一連の現象を模擬する実験が望ましい.以上の必要性から,マグマの注入口と火道への流出口の2系統を,ペットボトルキャップの限られたスペースに配置するコネクタを考案した.これにより,マグマ溜りの底部から新しいマグマが供給され,上部から火道に出て行く場合など,任意に設定することができる.そして,多様な噴火様式を,より制御して,自然に近い(と思われる)形で再現することが可能となった.本システムを,「次世代火山研究者人材育成コンソーシアム」の一環として開催される実験火山学セミナーにおいて使用する予定である.本発表では,その結果や効果についても報告する.
著者
柴辻 優樹
出版者
公益社団法人 日本地理学会
雑誌
日本地理学会発表要旨集 2021年度日本地理学会春季学術大会
巻号頁・発行日
pp.70, 2021 (Released:2021-03-29)

研究の背景自然災害後における社会経済的に不利な人々の居住地移動パターンについては、世界各地の事例をもとに多くの研究が行われている。Elliot and Pais (2010)はHurricane Andrew後の人口の空間的再分配を分析し、社会的に脆弱な人々は災害発生前に発展していなかった地域に集中する傾向を指摘した。Kawawaki (2018)は東日本大震災後の人口移動要因について分析し、Elliot and Pais (2010)と同様の傾向が見られることを指摘した。本研究では、日本において特に経済的困難に陥りやすい母子世帯の移動に着目し、東日本大震災後の移動傾向を分析した。分析方法とデータ分析には2項ロジットモデルを用いた。被説明変数は、震災前後で同じ住所に居住していれば1、そうでない場合は0とし、被災地からの移動の傾向を分析した。対象は子供のいる核家族世帯の世帯主もしくは代表者(以下、世帯主)とした。分析では母子世帯(離別・死別・未婚の母と20歳未満の子のみの世帯)の母についてダミー変数を用いた。被災地はKawawaki(2018)が用いた岩手県・宮城県・福島県の沿岸の38市区町村と定義し、震災前に被災市区町村に居住していたかを表すダミー変数を用いた。データは国勢調査の調査票情報(2015年)を用いた。各世帯の移動の有無は5年前常住地をもとに、2010年の常住地が2015年と同一住所である場合は1、そうでない場合は0とする。説明変数は母子世帯ダミー、2010年被災地居住ダミーに加え、両変数の交差項を用いる。その他のコントロール変数は年齢、年齢の2乗項、女性ダミー、2010年時点の子供の数、2010年時点の6歳未満の子供の有無ダミー、外国人ダミー、2010年常住地の人口区分ダミー(5万人 or 20万人以上)、その他2010年常住地の地域特性(失業率、人口密度(対数)、離婚率、転出超過率、平均収入、自治体の歳出決算総額に占める民生費率、民生費に占める児童福祉費率)を用いる。分析結果の概要限界効果の推定値より、被災地に居住していなかった世帯主と比較すると2010年の被災地居住世帯主は、2015年も同じ住所に留まる確率が約14.4%低いこと、母子世帯の母はほかの世帯主と比較すると同じ住所に留まる確率が約0.6%低いことがわかる。交差項の限界効果推定では、被災地に居住していた母子世帯の母は、被災地居住のほかの世帯主と比較すると、同じ住所に留まる確率が約6.7%高い結果となった。以上の結果から、東日本大震災の影響を受けた地域に居住していた母子世帯は子供のいる核家族世帯と比較して、同じ地域に居住し続ける傾向が強いことが示唆される。参考文献Elliot, J. R. and Pais, J. 2010. When Nature Pushes Back: Environmental Impact and the Spatial Redistribution of Socially Vulnerable Populations. Social Science Quarterly 91: 1187-1202.Kawawaki,Y. 2018. Economic Analysis of Population Migration Factors Caused by the Great East Japan Earthquake and Tsunami. Review of Urban & Regional Development Studies 30: 44-65.謝辞データは統計法に基づき、独立行政法人統計センターから「国政調査」(総務省)の調査票情報の提供を受け、独自に作成・加工したものであり、総務省が作成・公表している統計等とは異なる。本研究は日本学術振興会特別研究員奨励費(課題番号:20J22386)の助成を受けた。ここに謝意を表する。

2 0 0 0 IR 発表要旨

著者
菅原 裕文 西間木 真 坂田 奈々絵 久米 順子 高橋 英海 岩波 敦子 山本 芳久 久木田 直江 高津 秀之
出版者
早稲田大学ヨーロッパ中世・ルネサンス研究所
雑誌
エクフラシス : ヨーロッパ文化研究 (ISSN:2186005X)
巻号頁・発行日
vol.4, pp.149-157, 2014-03-20

後期ビザンティン聖堂 (13~15c) におけるプラティテラ型聖母子像 / 写本学 (codicologie) とリヴァイヴァル / 12世紀のサンドニ修道院における擬ディオニシオス文書の伝統 / キリスト教美術とイスラーム美術が交差するところ -中世スペインの場合- / ギリシア語からシリア語、アラビア語への翻訳 -誰が何をなぜ翻訳したのか- / 地中海からピレネーを越えて -中世ヨーロッパの自然科学 知の受容と伝播- / トマス・アクィナス 『対異教徒大全』 の意図と構造 / The Book of Ghostly Grace -ハッケボーンのメヒティルドの霊性と中世医学- / 「宗教改革百周年」 の挿絵入りビラ - 「図像から読み取る歴史」 から 「図像がつむぐ歴史」へ-
著者
角野 雅彦 カクノ マサヒコ Masahiko Kakuno
出版者
鹿児島国際大学福祉社会学部
雑誌
福祉社会学部論集 = Quarterly journal of welfare society (ISSN:13466321)
巻号頁・発行日
vol.39, no.4, pp.1-14, 2021-02-01

近年、日本では子育て家庭の孤立が問題になっている。都市化や核家族化に加え、地域の人間関係の希薄化によって子育て中の母親が孤立化するケースが多い。虐待など不適切な養育に繋がることもある。こうした状況を改善するために2017年4月から、子育て世代包括支援センターの設置が全国市区町村の努力義務となった。参考となったのは、フィンランドのネウポラである。ネウポラは行政が母親の妊娠や出産、家庭の子育て支援をする拠点のことであり、同国ではほぼ全ての妊婦が利用している。担当の保健師が妊娠期から子育て期にわたり継続して家族を支援するのが特徴である。今後、全国で子育て世代包括支援センターを中心に子育て支援事業が運営されていく。子育ての社会化の理念と利用者中心のケアという考え方を推進していくことが求められる。
著者
ツェルナー ラインハルト
出版者
国際日本文化研究センター
雑誌
失われた20年と日本研究のこれから・失われた20年と日本社会の変容
巻号頁・発行日
pp.55-58, 2017-03-31

失われた20年と日本研究のこれから(京都 : 2015年6月30日-7月2日)・失われた20年と日本社会の変容(ハーバード : 2015年11月13日)
著者
谷田部 貴大 金川 哲也 鮎貝 崇広
出版者
日本混相流学会
雑誌
混相流 (ISSN:09142843)
巻号頁・発行日
vol.35, no.2, pp.356-364, 2021-06-15 (Released:2021-07-08)
参考文献数
33
被引用文献数
4

Weakly nonlinear (i.e., finite but small amplitude) propagation of plane progressive pressure waves in compressible water flow uniformly containing many spherical gas bubbles is numerically investigated with a special attention to a drag force acting bubbles and translation of bubbles. The gas and liquid phases are flowing with initially independent velocities. Drag force and virtual mass force are introduced as interfacial momentum transports. Translation and spherically symmetric oscillations are considered as bubble dynamics. In this paper, under these assumptions, we numerically solve the KdVB (Korteweg-de Vries-Burgers) equation previously derived by ourselves (Yatabe et al., Phys. Fluids, 33 (2021), 033315) from basic equations based on a two-fluid model. The main results are summarized as follows: (i) The drag force acting on bubbles increases a dissipation effect of waves and drastically changes the phase and amplitude of waves. (ii) Although the translation of bubbles increases the nonlinear effect of waves, its contribution to waveform is quantitatively small. (iii) The effect of the drag force decreases with decreasing the initial void fraction and with increasing the initial bubble radius. That of the translation decreases with decreasing the initial void fraction, and is almost independent of the initial bubble radius. (iv) The spatiotemporal evolution of two type of dissipation effects (i.e., dissipation terms) due to the acoustic radiation and to the drag force is different tendency.