著者
奥野 耕平 Kohei Okuno
出版者
同志社大学政策学会
雑誌
同志社政策科学研究 = Doshisha University policy & management review (ISSN:18808336)
巻号頁・発行日
vol.22, no.1, pp.17-31, 2020-08-01

今日の文化財保護政策は、保存から積極的な観光活用へと転換している。しかし、これまで観光との観点からの文化財保護の意義に関する検討は不十分であった。本研究では、文化政策学的視座から柳田國男と宮本常一の民俗学的知見・思想を援用し、かつ批判的に継承することでその意義の再考を行った。文化観光を通じた文化財保護の意義とは、文化財の真正性と心意性を共に継承し続け、地域住民や後世の人々がより豊かに暮らせるまちにすることにある。
著者
神原 滉一 遠藤 慶一 黒田 久泰 小林 真也
雑誌
第82回全国大会講演論文集
巻号頁・発行日
vol.2020, no.1, pp.659-660, 2020-02-20

近年,安定した供給を可能とする養殖漁業の需要が高まっている.養殖漁業を効率的に行うためには給餌量を適切にすることが重要であり,そのためには,水槽内の魚の数を知る必要がある.中でも,稚魚育成においては,魚の数や一匹あたりの餌の量の変動が激しいことから特に重要性が高い.しかし,現状では人間が稚魚数を数えているため,手間がかかることと誤差が生じることが課題である.そこで本研究では,水中カメラを用いて水槽内の稚魚数を推定することを目指す.具体的には複数のカメラで,水槽内の稚魚の位置を認識し,対象領域内の稚魚数をカウントすることで水槽内の稚魚の総数を推定する稚魚数計数システムの開発を行う.
著者
村井 源
雑誌
じんもんこん2020論文集
巻号頁・発行日
vol.2020, pp.157-164, 2020-12-05

複雑な物語構造をもった物語ジャンルに対して,基本的な物語のパターンの重ね合わせとして物語構造をデータ化する手法を提案した.また提案手法を用いてブラック・ジャック98話の構造を43種類のパターンで記述し,パターンの共起から7つの因子を抽出した.さらにこれらの抽出結果に読者の人気投票を合わせて用いることで,読者の評価に強く影響する物語の要素を計量的に特定した.
著者
片寄 裕 ライエル・グリムベルゲン
雑誌
ゲームプログラミングワークショップ2007論文集
巻号頁・発行日
vol.2007, no.12, pp.164-171, 2007-11-09

ゲーム研究において評価関数はゲームごとに改良が進められており、それぞれの研究がほかのゲームに役立つことは難しい.そこでチェス、中国象棋、将棋の3つのゲームで共通した評価を使うことができるか評価関数の共通点を調査した.これらは戦争・戦闘を模したゲームといえ、実際の戦争で勝つための法則を記した兵法書には3つのゲーム同様、位置の評価と自由度の評価が書かれている.兵法書にある評価を3つのゲームに当てはめ、実際に共通して適用できるか元のプログラムと対戦させた。結果3つ全てで位置による評価、自由度による評価が共通の考え方で作成でき、孫子の九地篇を用いた方法が共通の考え方の一つになりうるということが確認できた.
著者
大山了己
雑誌
情報処理学会研究報告音楽情報科学(MUS)
巻号頁・発行日
vol.1994, no.103(1994-MUS-008), pp.33-38, 1994-11-19

八重山の島々には身近にいる小さな生物たちを主題に歌い上げた民謡が多い。石垣市の西北10キロメートルほど離れた場所に網張(アンバル)がある。この場所は広大な干潟(カタバル)で、そこには貝類、エビ・カニ類、鳥類が豊富に棲息している。このアンバルを舞台に展開される八重山の民謡「網張ヌ目高蟹ユンタ(アンバルヌミダガーマユンタ)」には、15種類ものカニが登場する。カニの生態、形態や行動などを巧みに捉え、擬人化したこのユンタはいわば、「鳥獣戯画」の歌謡版といえるほどの傑作である。しかし、、登場するカニの種の生物学的な特定に関して従来いくつかの混乱があった。そこで、カニの民俗学・行動学的な今回の調査結果をもとにユンタに登場するカニの種の特定を試みる。
著者
佐藤 まり子
雑誌
研究紀要
巻号頁・発行日
vol.9, pp.54-90, 1984
著者
山本 界人 水野 竣介 ターウォンマット ラック
雑誌
情報処理学会論文誌 (ISSN:18827764)
巻号頁・発行日
vol.55, no.11, pp.2328-2335, 2014-11-15

本稿では,対戦型ゲームにおける戦略多様性の観点からゲームバランスの分析を自動的に行う手法を提案し,その有用性を評価した.ゲーム開発におけるゲームバランスの分析,調整は面白いゲームを作成するためには不可欠な要素である.一方で,その分析,調整のプロセスには時間的コストがかかる.開発期間に限りがあるゲーム開発の現場では,十分にゲームバランスの分析,調整を行うことができない場合も少なくない.このため,ゲームバランスを自動的に分析する手法が必要とされている.既存のゲームバランスの自動分析手法は,1つの状況を分析するために大きな計算時間を必要とする,もしくは事前に人間がゲームタイトルに依存する専門的な知識を必要とするものだった.このため,人間が知識を獲得していない,かつ多くの状況が存在するゲームへと適用する場合には大きな計算時間を必要とした.そこで,本稿では,Stochastic Genetic Algorithm(StGA)を用いて,専門的な知識なしに多くの状況を持つゲームを分析する手法を提案する.国際AI大会のプラットフォームとして利用されているFightingICEを対象にした実験から,本手法の有用性を確かめた.
著者
赤池 英夫 島崎 俊介 成見 哲 Hideo Akaike Toshiyuki Shimazaki Tetsu Narumi
出版者
情報処理学会
雑誌
情報処理学会論文誌 教育とコンピュータ(TCE) (ISSN:21884234)
巻号頁・発行日
vol.8, no.2, pp.51-63, 2022-06-23

本研究では,本学学内における対面での利用のみを想定して作成されていた実験システムを,やむを得ない理由で遠隔対応させ使用した結果,教育にどのような影響を及ぼしたかを調査した.対象となる実験システムは,本学3年生の実験科目の中のFPGA(Field Programmable Gate Array)を用いて初歩的な論理回路を設計する課題で用いられている.作成した回路の動作確認に実機の物理的な操作をともなうため,例年,受講生は機器の設置された計算機室に一堂に介して課題に取り組んできた.2020年度は新型コロナウイルス感染症対策として入構禁止措置がとられたため,学外から機器を操作する仕組みを導入し実験を遂行した.とくに致命的なトラブルもなく実験を行うことはできたが成績の低下がみられた.遠隔対応とすることで学生の望むタイミングで課題に取り組めたことが見出されたものの,対面であれば容易に行える学生の理解度チェックがオンラインでは難しいことも分かり,ひいてはそれが成績低下の一因であることが示唆された.
著者
廣澤 春任 名取 通弘 紀伊 恒男 高野 忠 橋本 樹明 大西 晃 井上 浩三郎 村田 泰宏 三好 一雄 井上 登志夫 野田 隆彦 栗林 豊 田嶋 隆範 近藤 久美子 佐々木 崇志 箭内 英雄 萩野 慎二 小倉 直人 岡本 章 杉山 祥太郎 HIROSAWA Haruto NATORI Michihiro KII Tsuneo TAKANO Tadashi HASHIMOTO Tatsuaki OHNISHI Akira INOUE Kouzaburo MURATA Yasuhiro MIYOSHI Kazuo INOUE Toshio NODA Takahiko KURIBAYASHI Yutaka TAJIMA Takanori KONDOH Kumiko SASAKI Takashi YANAI Hideo HAGINO Shinji OGURA Naoto OKAMOTO Akira SUGIYAMA Shohtaro 中川 栄治 NAKAGAWA Eiji
出版者
宇宙科学研究所
雑誌
宇宙科学研究所報告 (ISSN:02852853)
巻号頁・発行日
vol.101, pp.1-27, 1998-06

科学衛星「はるか」は, スポース VLBI に必要な工学諸技術の実験ならびにスペース VLBI による電波天文観測を行うことを目的として, 1997年2月12日, 宇宙科学研究所の新型ロケット M-V の初号機により打ち上げられた。「はるか」では数々の工学的課題への取り組みがなされたが, それらの中で, ケーブルとメッシュからなる, 有効開口径8cmのパラボラアンテナの軌道上での展開が, 最大の工学的課題であった。打ち上げ約2週間後の2月24日から28日にかけてアンテナ展開実験を行い, 展開に成功した。本稿は「はるか」のアンテナ展開実験を, 衛星システム全体としてのオペレーションの観点から詳述するものである。
著者
橋本 隆雄 内田 秀明 宗川 清
出版者
国士舘大学理工学部
雑誌
国士舘大学理工学部紀要 = TRANSACTIONS OF THE KOKUSHIKAN UNIVERSITY SCHOOL OF SCIENCE AND ENGINEERING (ISSN:18824013)
巻号頁・発行日
vol.13, pp.77-94, 2020-03-31

The residential land in the Omagari area of Kitahiroshima City collapsed 28 houses along the river by the 2018 Hokkaido Iburi Eastern Earthquake. In addition, the stricken area suffered heavy rain by Typhoon 21 the day before the earthquake. The cause of the damage is thought to be an increase in groundwater level in the valley-filled embankment in addition to the earthquake. Therefore, in this paper, the cause of residential land damage was estimated by slip stability analysis, and the effect of groundwater reduction method was clarified.