著者
水谷 静夫
出版者
計量国語学会
雑誌
計量国語学 (ISSN:04534611)
巻号頁・発行日
vol.16, no.7, pp.p281-312, 1988-12
著者
盛田 紗緒莉 小島 聡子 MORITA Saori KOJIMA Satoko
出版者
岩手大学人文社会科学部
雑誌
Artes liberales : Bulletin of the Faculty of Humanities and Social Sciences, Iwate University = アルテスリベラレス : 岩手大学人文社会科学部紀要 (ISSN:03854183)
巻号頁・発行日
no.97, pp.29-42, 2016-01

一般に,大学は高校よりは広い地域から学生が集まっている。そのため,大学入学後異なる言語圏の出身者と話す機会が増え,言葉の地域差のヴァリエーションに興味を持つ学生は少なくない。岩手大学の学生は,東北地方出身者が8割以上を占め,中でも半数近くは岩手県の出身1)なので,首都圏の大学に比べれば,言語のヴァリエーションは少ないかもしれない。しかし,東北地方の面積は広大で内部の言葉の地域差は小さくなく,岩手大学の学生たちも,大学進学後に言葉の違いに気がつくことがあるのは他の大学の学生と同じである。 とはいえ,岩手大学の学生たちが大学で必ずしも「地元の言葉」で話しているというわけではない。近年は「方言ブーム」などもあって,方言に対する劣等感は減っているという指摘もあるが,東北地方では未だに方言に対するコンプレックスは根強く,学生たちも例外ではない。そのため,「地元の言葉」は出さないようにしている学生も少なくない。また,特に盛岡市など都市部出身の学生たちは,自身の言葉を「標準語である」と意識しているか,あるいは少なくとも「あまりなまっていない」と思っていることが多い。つまり,お互いに「標準語」で話していると思っている学生が多いのである。それにもかかわらず,通じない言葉があり,それが地域差によるものであると発見すると,一段と興味をそそられることも多いようである。 本研究では,そのような「標準語」的な表現の中で一部の学生たちが用いている「あるくない?」「するくない?」などと使う「クナイ」という形に注目し,東北地方における地域的な広がりと使用状況を明らかにしようとするものである。 「あるくない?」は動詞「ある」に「クナイ」という形式が付いた形で,「あるよね?」あるいは「あるんじゃない?」と同じような意味を持つ表現として用いられる。岩手大学では,主として秋田出身の学生が多く発話していることが観察される。しかし,岩手大学でも使用しない学生の方が多く,初めて聞いて驚く人も少なくない。一方,「あるクナイ」を使用する人は,相手に驚かれて初めて通じない場合があると気が付くようである。この形は,秋田県のいわゆる伝統的な方言の範疇に入るような表現ではなく,使っている人にも方言であるという意識はない。 そこで,本稿では,「あるくない」のような〈動詞+クナイ〉という形式が,どのような地域的な広がりを持ち,また,どのように用いられているのかについて,岩手大学の学生を対象に東北地方における実態を調査した。 その結果,秋田県では地域的にも広く用いられ,また,待遇的にも敬体で用いられることもあるなど,用法も広いことが明らかになった。さらに,周辺への広がりという点では,秋田県の南側に接する山形県では同様に用いられている可能性があるが,岩手県・青森県・宮城県・福島県ではほぼ用いられることがないことがわかった。
著者
武地 一 山田 裕子 杉原 百合子 北 徹
出版者
一般社団法人 日本老年医学会
雑誌
日本老年医学会雑誌 (ISSN:03009173)
巻号頁・発行日
vol.43, no.2, pp.207-216, 2006-03-25 (Released:2011-03-02)
参考文献数
42
被引用文献数
5 5

目的: もの忘れ外来通院中のアルツハイマー型痴呆症 (AD) 患者における行動・心理学的症候 (BPSD) として捉えられる周辺症状と中核症状である認知機能障害, および介護負担感との関連を明らかにする. 方法: もの忘れ外来通院中の46組のAD患者・家族介護者を対象とした. BPSDの調査には Cummings らにより開発された Neuropsychiatry Inventory (NPI) を用い, Teri らの研究を参考に下位領域として記憶に関する症候を加えた. 認知機能の評価にはMMSE, word fluency, 時計描画テスト等を, 介護負担感の測定には Zarit 介護負担尺度および抑うつ尺度CES-Dを用いた. 結果: BPSDとして記憶に関する症候, 無為, うつ, 妄想, 興奮, 不安が多く見られ, 特に記憶と無為に関しては幅広い症状が高頻度に見られた. BPSDは介護負担感に強い影響を与えており, 中でも不安, 興奮, 異常行動が介護負担感に強い相関を示すことが明らかとなった. MMSE以外の認知機能得点の低下およびADL低下も Zarit 介護負担尺度と有意な相関を示したが, 多変量解析ではNPIのみが有意に関連していた. 一方, 介護者の抑うつ度は患者の近時記憶低下と関連が深い可能性が示唆された. BPSDと認知機能との関連では妄想, 無為がMMSEの低下と関連すること等, 認知機能の低下とBPSD悪化に関連が示されたが, 質問項目ごとの詳細な検討により記憶, うつに関する症候についてはむしろ認知機能が高い患者に多い項目もあることが示された. 結論: もの忘れ外来通院中のAD患者のBPSDや認知機能障害の詳細な項目まで検討することにより, 介護家族負担感や抑うつとの間や患者要因相互の間に様々な関係があることが明らかになった. このような関係を把握することにより, 効果的な病態評価と援助が行えるものと思われる.
著者
政木 みき 吉澤 千和子 河野 啓
出版者
NHK放送文化研究所
雑誌
放送研究と調査 (ISSN:02880008)
巻号頁・発行日
vol.68, no.5, pp.2-25, 2018 (Released:2018-06-20)

世界に衝撃を与えたトランプ政権の発足から2018年1月で1年を迎えた。米国第一主義をスローガンに、国益拡大を最優先するトランプ大統領の政策や言動は、米国社会、そして日米関係に何をもたらすのか。NHKでは就任1年を前に、米国と日本両国民の意識を探る日米同時世論調査を実施した。トランプ大統領に良い印象を持つ人は米国で33%、日本で18%と日米ともに少なく、米国で良い印象を持つ人が多い層は、共和党支持層、白人、地方在住者、中高年に限られる。また、米国ではトランプ大統領によって社会の分断が深まったと考える人が多く、移民の規制強化に関して世論は割れている。一方、経済の現状についての評価は高く、米国第一主義や外国製品に対する関税引き上げなど保護主義的な政策についても支持が不支持を上回る。これに対し、日本では米国第一主義を「良くない」とする人が多数である。現在の日米関係については、日米ともに半数程度が良いと考え、日米同盟についてもお互いを信頼できる同盟国だと思っている人が多い。北朝鮮の核・ミサイル問題を脅威だとする認識は日米で共有していて、日米とも「話し合い」や「経済的圧力」など非軍事的な解決方法を望む人が半数を超える。
著者
須山 聡
出版者
公益社団法人 日本地理学会
雑誌
日本地理学会発表要旨集
巻号頁・発行日
vol.2015, 2015

本論は高齢化と過疎化の進展の結果,居住者がいなくなるという,図式的な「過疎化言説」を批判的に捉え,離島の過疎を客観的に評価する材料を提供し,離島の無人化について新たな知見を得た。戦後,全国で78島が無人化したが,多くは過疎化以外の要因によるもので,過疎化にともなう人口減少の末の「無人化島」はわずか15島にすぎないことがわかった。さらにそれらのうち12島は行政からの勧奨に応じた集団離島によって無人化した。無人島の発生は,過疎の終着点ではなく,むしろ行政が無人島化を最終的に進めた。集団離島に際しての行政/住民の意志決定プロセスを,詳細に検討する必要があることがわかった。

2 0 0 0 OA 航空神經症

著者
田中 肥後太郎
出版者
一般社団法人 日本航空宇宙学会
雑誌
日本航空學會誌 (ISSN:18835422)
巻号頁・発行日
vol.2, no.7, pp.975-988, 1935-09-07 (Released:2009-07-09)
参考文献数
7

Aeroneurosen sind nach täglichen langen Flugen und mehrmalig wiederholten höhen oder häftigen acrobatischen Flügen semichronisch auslosende psycho-neurasthenischee Symptomenkomplexe. Als Hauptsymptomen sind allgemeine Mattigkeit, Schlafsucht und verschiedene neuropsyasthenischen Symptomenkomplexe gegeben. Author teilte nach Schneider's Idee die Symptomenkomplexe in vier Gruppen und klassifizierte die begegneten Fällen in die Gruppen: 1. Neuropsyasthenische Form. 2. Herz-Gefässstörungs Form. 3. Magen-Darmstörungs Form. 4. Gleichgewichtsstörungs Form. Weil verschiedene Flugunfälle durch die Krankheit herforgeruft werden können, sollen die Arzte, die an Flug beteiligen, vorsichtig darauf wachsam sein, um die Unfälle zu vorbeugen.
著者
松浦 義則
出版者
福井県文書館
雑誌
福井県文書館研究紀要 (ISSN:13492160)
巻号頁・発行日
no.17, pp.35-52, 2020-03

2 0 0 0 OA 偐紫田舎源氏

著者
柳亭種彦 作
出版者
鶴屋喜右衛門
巻号頁・発行日
vol.初-38編, 1829