著者
岡村 徳光 濱田 和美 竹野 智美 奥田 展子 大杉 匡弘
出版者
日本きのこ学会
雑誌
日本応用きのこ学会誌 (ISSN:13453424)
巻号頁・発行日
vol.7, no.4, pp.189-195, 1999
参考文献数
11

武庫川女子大学生活環境学部食物栄養学科ホームベーカリーを用いて5%マイタケを添加したパンを焼いたところ,標準のパンに比べ著しく体積と比容積が減少した.マイタケの添加は.パン酵母によるガスの発生に影響を与えた.発酵4時間後の卜ータルガス量は,標準生地の約2.1倍に増加した.発酵6時間後では,マイタケを含む生地の上部の表面にいくつかの穴が形成されていた.ガス発生はマイタケ中のグルコースとマンニトールの消費に伴って増加した.マイタケの添加は低分子の糖(発酵糖)の生産を増加させた.それゆえ,マイタケの添加は,酵母に対する栄養源としての発酵糖を供給し,このことは過剰なガスの発生を促し,生地表面に穴を形成し,そこからガスが放出するために,結果として,生地の体積が低くなるものと結論づけられた.したがって,全自動ホームベーカリーを使用した場合では,生地の表面に穴が形成することで,焼く前に生地が破壊し,体積が低く崩れた状態で焼かれるものと推測された.
著者
嘉名 光市
出版者
公益社団法人 日本都市計画学会
雑誌
都市計画論文集 (ISSN:09160647)
巻号頁・発行日
vol.40, pp.637-642, 2005
被引用文献数
1

本研究では、我が国における駅前景観形成の草創期である戦前期大阪における大阪駅付近都市計画事業およびそれに関連する都市計画の立案の変遷から、駅前の整備にあたって目指した都市美観形成の方向性を明らかにすることを目的とする。戦前期大阪駅前周辺の美観形成の方向性は、当初は関係者の協議・調整によって大阪駅前整理計画協議会成案が検討され、大阪駅前や御堂筋などの大阪の玄関口をなす場所の美観形成には、街路整備に加え周辺の建築敷地造成が重要であるとの考え方が示された。さらに、大阪駅前整理工事に関する建議案などのように、美観形成の観点から大規模かつ整形の建築敷地造成が重要で、その実現手法として超過収用が期待されていた。一方、大阪市のシビックセンター計畫理想案懸賞により、欧米都市の美観形成に倣った一団街区の形成やビスタ、アイストップなどの街並美観が提案された。その後、大阪駅前付近都市計画事業変更、大阪駅前第2土地区画整理追加により、それまでの大阪駅頭、御堂筋沿道の美観形成と一団の街区の美観形成という考え方がみられ、美観地区追加指定では、詳細に区分した地区として位置づけ発展していった。
著者
荒木 貴之 江藤 由布 齋藤 玲 堀田 龍也
出版者
日本教育情報学会
雑誌
教育情報研究 (ISSN:09126732)
巻号頁・発行日
vol.34, no.2, pp.13-24, 2018 (Released:2019-01-08)
参考文献数
20

1人1台タブレット型PCの学習環境を有する高等学校において,学習用SNSを通年利用した.本稿では,この通年利用による高校生の学習態度の変化を調べた.このとき,生徒全員に協調的課題遂行にあたっての他の生徒の貢献度を評価させることで,彼らを貢献群と一般群に分けたうえで,学習態度の変化を分析した.その結果,貢献群においては,教師との交流による自己効力感やライティング方略に特徴が見られるとともに,ネットワーク上の交流を楽しむことに,経年で変化が生じていることが示された.一方,学級の担任教師へのインタビュー調査から,彼女は批判的思考が発揮できるようなグラウンド・ルールを設けていることが確認された.これらの結果から,学習用SNSの通年利用による生徒の学習態度の変化の特徴,および生徒が学習用SNS上で学習を進めていく際の教師による生徒支援の工夫についての示唆を得た.
巻号頁・発行日
vol.Organisation of the Court of His Majesty the German Emperor, Kin,
著者
盛山 和夫
出版者
数理社会学会
雑誌
理論と方法 (ISSN:09131442)
巻号頁・発行日
vol.21, no.2, pp.333-342, 2006-09-30 (Released:2007-08-02)
参考文献数
4

本稿は、複数の部分集団からなるときの全体ジニ係数が集団比率の変化によってどう影響されるかを考察する方法について、浜田論文(2005)のように対数正規分布という特殊な仮定をおくことなく、より一般的な条件の下で定式化し、二集団からなるとき、集団比率の関数としての全体ジニ係数のグラフが、集団間ジニ係数の相対的な位置によって3種類に分けられることを示すものである。その一般的条件とは、集団内の分布のしかた(テクニカルにいえば、分布関数ないし密度関数)が不変に保たれたままで、集団比率ないし集団規模が変化するという条件であり、対数正規分布の仮定はこの特殊ケースをなしている。
著者
荒木 一視
出版者
地理科学学会
雑誌
地理科学 (ISSN:02864886)
巻号頁・発行日
vol.52, no.4, pp.243-258, 1997-10-28 (Released:2017-04-20)
参考文献数
18
被引用文献数
1
著者
平野 直子
出版者
日本宗教学会
雑誌
宗教研究 (ISSN:03873293)
巻号頁・発行日
vol.90, no.2, pp.107-130, 2016 (Released:2017-09-15)

本稿は、スピリチュアリティ研究の対象としてよく取り上げられる、オルタナティブな食実践における身体観を取り上げ、そこに見られる〈現代の社会システムのなかで流布している通常医療や科学の言説における身体観を乗り越える〉という言説について検討を加える。食を含むオルタナティブな療法や身体実践においては、身体を「自然なもの」と見て、それを見つめ直すことにより、より良い身体やライフスタイルを作り上げることが提案される。しかしそもそも、言説から切り離された白紙の身体というのは有り得るのか。本稿ではこの点を検討すると同時に、実践者たちにとって重要なのは、自分自身やライフスタイルを再帰的に見つめ、管理し、絶えず作り直していくツールを消費し共有することであることを示す。
著者
山根 拓
出版者
The Human Geographical Society of Japan
雑誌
人文地理 (ISSN:00187216)
巻号頁・発行日
vol.43, no.1, pp.26-46, 1991-02-28 (Released:2009-04-28)
参考文献数
53
被引用文献数
1

Before World War II, mass communications media had penetrated little into Japanese rural areas. So the rural populace had little access to a quantity of political, economic, social and cultural information, except for those belonging to the upper classes of rural societies. However, monthly community newspapers, called sonpo, were published in some villages of Nagano Prefecture and Ehime Prefecture from the 1920s to the 1930s.The purpose of this paper is to discuss the regional development process of sonpo publications and the spatial agenda-setting functions of the community media from the case study of Kita-uwa District, Ehime Prefecture. These agenda-setting functions are clarified by content analysis of the articles.The following results were obtained in this inquiry:1. When sonpo appeared in some villages, because of their periodical publication and delivery to all villagers, they occupied the main position in the rural information system. However, the distribution of these media was rare and regionally biased. We can explain the reasons of locational development of sonpo in terms of the political connections among village authorities but cannot find the reasons for the absence of sonpo in many regions. The editors and publishers of sonpo were village authorities or leaders belonging to the upper classes of rural societies. It seems that the composition of those members had an effect on the contents of the community media.2. We analyzed the contents of Aiji Sonpo published in Aiji village, Kita-uwa District, Ehime Prefecture, by means of two approaches. One is to assess the regional characteristics of sonpo based on the aggregation of the number of news-originating places in articles. Another approach addresses the press comments of sonpo. The comments indicate whether the medium depends on the ideology of the centralized state-nationalism, or the regional ideology-regionalism. So, we tried to divide the articles into two spatially characterized groups: the central-oriented articles and the regional-oriented articles. In the former approach, it was found that the community media contents were mainly composed of local news from Aiji village and partly of news from the upper political central cities in the urban system: the district center (Uwajima), the prefectural center (Matsuyama) and the national center (Tokyo). This result suggests that sonpo were in close contact with the local community. The latter approach clarified that the central-oriented ideology dominated the arguments of the community media. Thus we found that sonpo played the role of organizer which related many villagers to the national authority (the central government in Tokyo) beyond the spatial constraints of distance.
著者
稲垣 毅 溝口 知広 小林 義和 白井 健二
出版者
公益社団法人 精密工学会
雑誌
精密工学会学術講演会講演論文集 2011年度精密工学会春季大会
巻号頁・発行日
pp.407-408, 2011 (Released:2011-09-01)

ロボットの現在位置を操作者が認識可能なナビゲーションシステムを開発するため、その第一段階としてオドメトリを用いた位置計測を提案し、試した。従来の自己位置推定計測法は、ロボットの車輪の滑りや環境の変化により誤差が累積する。そのため、各種センサを使用し自己位置を比較することにより、現在の位置を計測することとした。位置の計測精度を向上させるため、加速度センサを使用し、位置計測の精度を検証した。
著者
奥田 将生
出版者
公益財団法人 日本醸造協会
雑誌
日本醸造協会誌 (ISSN:09147314)
巻号頁・発行日
vol.102, no.7, pp.510-519, 2007-07-15 (Released:2011-09-20)
参考文献数
16
被引用文献数
4 4

酒造原料米の最大成分であるデンプンの性質が清酒醸造にどのような影響を与えるのか興味深い課題である。デンプンはアミロースとアミロペクチンにより構成される。近年, 本解説にも紹介されているデンプン変異体米を用いた研究により, 米デンプンの詳細な分子構造とその生成機構が解明されつつある。今回は, 著者の最近の研究成果からデンプン分子構造と蒸し米の酵素消化性, 蒸米のデンプンの老化特性, さらにイネ登熟期気温が米デンプンの分子構造に及ぼす影響と幅広く解説していただいた。品種や気象条件による酒造原料米の性質の違いを理解する上で参考になるものと思う。
著者
電機学校 編
出版者
電機学校
巻号頁・発行日
vol.電気実験, 1943
著者
池中 良徳 水川 葉月 中山 翔太
出版者
北海道大学
雑誌
挑戦的萌芽研究
巻号頁・発行日
2015-04-01

当該研究では、比較生物学・系統解析により、脊椎動物におけるグルクロン酸抱合酵素(UGT)の種差を明らかにする事で、その生体内での役割と分子メカニズムについて解明することを試みた。その結果、UGT1A6活性が低いと報告されていたネコ以外にも、鰭脚類で極めてその活性が低い事が明らかになった。更に、ネコやアザラシではUGT1Aに加えUGT2B活性が低く、偽遺伝子化している事が示唆された。この結果から、グルクロン酸抱合は哺乳動物にとって極めて重要な解毒反応であると共に、欠損している動物では化学物質にとってのハイリスクアニマルであることが示唆された。