著者
Kakitsuba Naoshi Mekjavic Igor B. Katsuura Tetsuo
出版者
日本生理人類学会
雑誌
Journal of physiological anthropology (ISSN:18806791)
巻号頁・発行日
vol.28, no.6, pp.275-281, 2009-11
参考文献数
19
被引用文献数
1 4

For evaluating the effect of body physique, somatotype, and physical constitution on individual variability in the core interthreshold zone (CIZ), data from 22 healthy young Japanese male subjects were examined. The experiment was carried out in a climatic chamber in which air temperature was maintained at 20-24℃. The subjects' body physique and the maximum work load were measured. Somatotype was predicted from the Heath-Carter Somatotype method. In addition, factors reflecting physical constitution, for example, susceptibility to heat and cold, and quality of sleep were obtained by questionnaire. The subjects wore a water-perfused suit which was perfused with water at a temperature of 25℃ and at a rate of 600cc/min, and exercised on an ergometer at 50% of their maximum work rate for 10-15min until their sweating rate increased. They then remained continuously seated without exercise until shivering increased. Rectal temperature (T_<re>) and skin temperatures at four sites were monitored by thermistors, and sweating rate was measured at the forehead with a sweat rate monitor. Oxygen uptake was monitored with a gas analyzer. The results showed individual variability in the CIZ. According to the reciprocal cross-inhibition (RCI) theory, thermoafferent information from peripheral and core sensors is activated by T_<re>, mean skin temperature (T^^-_<sk>), and their changes. Since T^^-_<sk> was relatively unchanged, the data were selected to eliminate the influence of the core cooling rate on the sensor-to-effector pathway before RCI, and the relationship between the CIZ and the various factors was then analyzed. The results revealed that susceptibility to heat showed a good correlation with the CIZ, indicating that individual awareness of heat may change the CIZ due to thermoregulatory behavior.
著者
山中 敬一
出版者
中央大学
雑誌
法學新報 (ISSN:00096296)
巻号頁・発行日
vol.121, no.11, pp.397-437, 2015-03

詐欺罪成立要件につき、「財物」または「財産上不法の利益」の移転につき、「財産的損害」を必要とするかどうかについては争いがあるが、通説は、一項、二項ともに「財産的損害」を既遂の要件とする。判例においては、近時、重大な錯誤があり、財物や財産的利益の移転があれば既遂を認め、財産的損害が発生したかを問わないように見えるものが多くなっている。本稿では、実質的個別財産説を採りつつ、その実質の内容とその判断基準を明らかにしようと試みた。 本稿では、詐欺罪を近代の取引社会の所産と見て、取引の中で、詐欺罪は、たんに給付と反対給付という狭義の取引関係から生じるものではなく、寄付金詐欺、補助金詐欺のような片務的な行為も、これも取引関係に含めることができるとする。片務的行為の場合、財産的損害が発生したかどうかは、「社会的目的」が「不達成」に終わったかを基準とするという理論が唱えられているが、寄付行為者の「満足感」などといった「社会的」目的の達成は、財産犯における基準ではありえない。本稿では、それを経済的な取引目的の不達成の場合に財産的損害が発生するとする構想(取引目的不達成理論)を展開し、その理論を判例において実証する。
著者
根本 裕史
出版者
広島大学
巻号頁・発行日
2009

博士論文
出版者
京都大学大学院アジア・アフリカ地域研究研究科
雑誌
アジア・アフリカ地域研究
巻号頁・発行日
vol.16, no.2, pp.198-226, 2017

<p>双子を希望する女性たち ―『ガールズトーク』にみるウガンダ女性の結婚・出産観―<br/>中澤 芽衣<br/><br/>ネパール山間医療の過去と現在 ―村人と生きる,パルパ郡タンセン病院―<br/>中村 友香<br/><br/>海は道,空は地図<br/>中野 真備<br/><br/>声を上げる活動家たち<br/>鶴田 星子<br/><br/>暴動の記憶<br/>宮園 琢也<br/><br/>'Moderate' Fatness is Desirable: Beliefs Related to Body Size in Mukono, Central Uganda<br/>Seera Georgina<br/><br/>広西壮族自治区のトン族集落における居住空間 ―風水と「政策移動」―<br/>黄 潔</p>
著者
佐野 浩彬 田口 仁 花島 誠人 伊勢 正 佐藤 良太 高橋 拓也 池田 真幸 鈴木 比奈子 李 泰榮 臼田 裕一郎
出版者
公益社団法人 日本地理学会
雑誌
日本地理学会発表要旨集
巻号頁・発行日
vol.2016, 2016

<b>報告の背景と目的</b> <br>2016年4月14日21時26分に発生した震度7の地震(Mj6.5)と,4月16日1時35分に発生した地震(Mj7.3)およびそれ以降に続く余震(2016年熊本地震)に対して,防災科学技術研究所(防災科研)では災害対応の一環として,地図情報の作成・集約・共有による情報支援を実施した.防災科研が独自に行っている地震や液状化,降雨,火山,土砂災害などの観測・予測データや,熊本県庁から提供された道路規制情報や避難所情報,通水復旧のインフラ情報などをWeb-GISに統合し,俯瞰的な被害状況を把握できる仕組みを構築した.各種情報が集約された地図は,防災科研が構築した熊本地震のクライシスレスポンスサイト(http://ecom-plat.jp/nied-cr/index.php?gid=10153)において公開したほか,避難所情報などの公開が難しい一部の情報については,熊本地震災害対応にあたる特定機関向け地図を構築して提供した. 本報告では,熊本地震における地図情報の作成・集約・共有における災害対応支援のなかで,熊本県庁をはじめとする各種機関が集約・発信する情報が,どのように地図情報として一つの地理空間情報基盤上に整理されたのかについて報告する. <b><br>熊本地震における地図情報支援</b> <br>4月14日に発生した震度7の地震を受けて,防災科研では地震による被害状況把握ならびに情報集約のためのWeb-GISを構築した.当初は防災科研が観測した震度分布や推定全壊棟数分布のデータをWeb-GISに統合した.また,地震発生翌日の4月15日には,熊本県庁に防災科研研究員が派遣され,熊本県や中央省庁などと連携し,各機関から提供される災害情報を,構築したWeb-GIS上に統合した.直接Web-GIS上に取り込める形で提供された情報には,国土地理院の「被災後空中写真」やITSジャパンの「通れた道マップ」,地震推進本部の「活断層図」などが挙げられる.また,熊本県庁から提供された道路被害情報や避難所情報などはテキスト形式やExcelで整理されたもの,独自の地図で描画されたものなど,Web-GISに直接地図情報として取り込むことができなかったものもあり,それらは住所情報などを頼りにして位置情報を付与することでWeb-GIS上に統合した.各機関から集約・整備したデータは約45種類,データ数として424を数える(6月27日時点).Web-GIS上で集約されたデータは,利用者がニーズに応じて必要な情報を適宜選択して表示することができる.例えば,通水復旧状況のレイヤと避難所情報のレイヤを組み合わせることで,給水支援が必要な避難所を分析できたり,避難所と推定全壊棟数分布,道路規制情報の3レイヤを重ね合わせることで,生活支援が必要な地域と,支援に向かうためにたどり着くための最適ルートを事前に検討することが可能となる. <b><br>地図情報作成・集約・共有における課題</b> <br>被害情報をWeb-GIS上に統合することで、災害対応支援への活用が可能となるが、情報の統合化においては様々な課題が明らかとなった。例えば、避難所情報については国土交通省があらかじめ国土数値情報のなかで整備している避難所情報もあれば、DMATが独自に収集し整理している広域災害救急医療情報システム(EMIS)の避難所情報、また熊本県庁で集約されたものや熊本市で集約されたものなど、災害発生直後に各種機関が独自に情報収集を始めてしまったため、一つの情報として集約することが困難な状態だった。また、避難所情報の統合にあたっては、各機関が整理する情報の避難所名称に差異があったり、本来は指定されていない避難所が開設されているなど、単純な統合化・集約化が難しいという課題があった。こうした各種機関が独自に情報を収集、集約すると、その後の情報統合化が難しくなるため、あらかじめ共有情報の標準化(COP,Common Operational Picture)を検討しておくことが重要となる。今後の課題としては、地図情報の作成・集約・共有における自動化や高度化、災害情報におけるCOP実現に向けた検討が挙げられる。 &nbsp; <br> <b>謝辞:</b>本報告の一部には、総合科学技術・イノベーション会議のSIP(先着的イノベーション創造プログラム)「レジリエントな防災・減災機能の強化」(管理法人:科学技術振興機構)の予算を活用した。
著者
相良 司 萩原 将文
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. NC, ニューロコンピューティング (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.109, no.461, pp.495-500, 2010-03-02
参考文献数
23

本論文では,自然言語の文書から知識を学習し,想起と推論を行う言語処理ニューラルネットワークを提案する.提案システムでは,自然言語の文が入力されると,まず前処理として文の知識への分解と単語の深層格推定が行われる.この前処理に基づき,ネットワークが作成される.提案システムのネットワークは文層,知識層,10種の深層格層,辞書層から成る.10種の深層格層とは,対象格や場所格などといった単語の意味的役割のニューロンが格納される層である.深層格層の導入により,複雑な文章の扱いが可能となった.また,学習させた知識から未知の知識を推測できるように,辞書層を導入した.辞書層では,日本語語彙大系を用いて単語が属している概念が検索される.辞書層は,検索された概念が格納されることで,脳の長期記憶部の役割を果たす.ネットワークの学習では,へブの学習則に則り,結合を強化する学習が行われる.学習文と関連した質問への応答実験により,提案システムが自然言語の文書から知識を学習し,想起と推論が可能なことを確認した.
著者
川西 千弘
出版者
The Japanese Group Dynamics Association
雑誌
実験社会心理学研究 (ISSN:03877973)
巻号頁・発行日
vol.51, no.1, pp.1-10, 2011

本研究の目的は,好ましい顔と好ましくない顔の認知的表象における構造的特性の相違を探ることであった。92名の女子大学生が実験に参加し,4人の刺激人物(好ましい顔の刺激人物2名と好ましくない顔の刺激人物2名)について,各々15個の行動(好ましい行動5個,好ましくない行動5個及び中立的な行動5個)をする可能性を評定した。その結果,好ましい顔の人物がポジティブ行動をする可能性のほうが,好ましくない顔の人物がネガティブ行動をする可能性より高いというポジティビティ・バイアスが確認された。また,多次元尺度法の分析から,好ましい顔におけるポジティブ行動情報間のほうが好ましくない顔におけるネガティブ情報間より緊密に体制化されていることが示された。<br>
著者
安藤 恵 川原崎 雅敏
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会論文誌. B, 通信 = The transactions of the Institute of Electronics, Information and Communication Engineers. B (ISSN:13444697)
巻号頁・発行日
vol.93, no.12, pp.1614-1625, 2010-12-01
参考文献数
9
被引用文献数
1

災害発生時には電話はライフラインとなるものであるが,発着信規制によってほとんど使えなくなるのが現状である.災害用伝言板や災害用伝言ダイヤルといった蓄積型サービスも提供されているが,電話,特に携帯電話のニーズは大きいと想定される.本論文では,第3.9世代携帯電話システム(LTE)を対象に,大規模災害に伴う着信過負荷時にも電話の疎通率を維持する過負荷制御方式の提案と評価を行う.LTEでは,電話トラヒックはIP化され,呼制御はSIPサーバで行われる.また,無線帯域も大容量化される.シミュレーションによりLTEの過負荷特性とふくそうメカニズムを解明し,その結果に基づいて提案する制御方式により,システムの性能低下要因となる無効処理が軽減され,過負荷時にも高スループットを維持できることを示す.
著者
奥谷 めぐみ 鈴木 真由子 大本 久美子
出版者
日本家庭科教育学会
雑誌
日本家庭科教育学会大会・例会・セミナー研究発表要旨集
巻号頁・発行日
vol.59, 2016

<b>【目的】</b><b></b> <br>&nbsp;&nbsp;発表者は日本家庭科教育学会第58回において、情報社会における生活課題に焦点を当てた中学校家庭科の授業開発・実践の成果を報告した。デジタルコンテンツの売買に焦点を当て、実物との契約の仕組みの違いを扱うことで、消費者としての自覚、権利意識の育成を図ることができた。 しかし、生徒の生活経験や家庭環境によっては、デジタルコンテンツを身近な商品として捉えられず、一部の生徒にとって理解が困難な題材となってしまったことが課題として挙げられた。<br> &nbsp;&nbsp;そこで、デジタルコンテンツ購入のプロセスを動画化することが有効であると考えた。本研究では、ヴァーチャルな商品との関わり方を考え、市場における事業者側の意図について理解を促す動画教材の開発・評価を目的とする。 <br> <br> <b>【方法】</b><b><br></b> &nbsp;&nbsp;K中学校の中学生第2学年118名を対象に、全2時間分の授業実践を行った。1時間目を平成27年11月24日(火)に、2時間目を12月9日(水)、12月15日(火)の2日間に分けて実施した。<br>&nbsp;&nbsp; 分析対象は授業前アンケート(平成27年11月)と、授業時のワークシート、グループワークの結果、授業後アンケート(平成28年2月)である。 授業のワークシートからは、動画から読み取れることや課題を話し合った結果を、事前と事後からは普段の消費行動と、デジタルコンテンツへの意識についての変容(回収数109名/回収率92.4%)について分析することとした。結果分析は、Microsoft Excel2013及びIBM SPSS statistic22.0を用い、アンケート及びワークシートの記述内容を分析した。<br> <br> <b>【結果】</b><b><br> </b>(1)授業前後の消費行動とデジタルコンテンツに対する意識の変化<br> &nbsp;&nbsp;デジタルコンテンツに対する意識と日頃の消費行動に関する9項目の質問を設定し、「全くそう思わない~とてもそう思う」の5段階で回答を求めた。授業前後において同一の質問を行い、t検定によって平均値を比較した。うち6項目に有意差が見られた。特に、顕著(p<0.001)に差が見られたのは「商品やサービスを購入する時、作っている人のことを考える」や「商品やサービスについての不安や疑問があった時、企業や消費生活センターに相談することができる」といった項目であることから、事業者と消費者との関わりに視野を広げ、事業者側の意図を知る必要性を認識できたと考える。<br>&nbsp;&nbsp;また、「デジタルコンテンツにお金をかけることは良くないことだ」も肯定的な方向で変容があった。時間的、経済的に適切な情報技術との付き合い方を伝えるという点では、デジタルコンテンツ=悪としない、設問や内容に工夫が必要であったと考える。 <br> <br> (2)動画教材から読み取られた特色と授業の評価<br>&nbsp;&nbsp; ワークシートには、中学生に高額請求を受けた事例を挙げ、事例のみを聞いた状態でのトラブルの原因と、動画を見てから新たに考えた原因の2つの記述を求めた。事例のみの原因は「友人との競争意識」、「現金を使っている感覚がなかったから」等、消費者側の経験や感情に則した記述がみられた。動画からは「規約や確認画面、ペアレンタルコントロールの確認」や「ランクアップやゲームオーバー等プレイを続けさせたくなる仕組み」に関する記述がみられた。利用者側の問題だけではなく、サービスそのものにお金を掛けたくなる仕組みがあることに気付いていた。<br>&nbsp;&nbsp; また、授業での説明は分かりやすいものだった88.1%(N=109)、動画は見やすいものだった89.8%(N=108)、動画は自分の生活に身近なものだった85.1%(N=108)と、授業理解に関する肯定的な評価は概ね8割を超え、動画教材が理解を促す一助になったことが伺える。 <br>&nbsp; &nbsp;今後は、動画のポイント、問いかけ、解説等を加え、どのような教師でも利用でき、生徒の理解を促す仕掛けを持った動画教材に改善する必要がある。<br>&nbsp;&nbsp;本研究は、JSPS科研費26381267の助成を受けたものである。&nbsp;