著者
茂木 貴弘 中澤 友哉 田原 鉄也
出版者
人工知能学会
雑誌
2018年度人工知能学会全国大会(第32回)
巻号頁・発行日
2018-04-12

本稿では、時系列一次元信号の分類タスクによる異常検知アプリケーションとして、調節弁に取り付けた振動センサデータを分析した事例について報告する。振動信号から調節弁内部の異常(キャビテーションと呼ばれる現象)を自動で分類する手法として、一次元CNNとLSTMに着目した。これらを組み合わせ、教師あり学習により、異常の特徴量を自動で抽出し分類するタスクを試みた結果、99.5%の分類精度を達成できた。

2 0 0 0 OA 赤面する青年

著者
小倉 敏彦
出版者
The Japan Sociological Society
雑誌
社会学評論 (ISSN:00215414)
巻号頁・発行日
vol.50, no.3, pp.346-361, 1999-12-30 (Released:2010-04-23)
参考文献数
28

本稿は, 明治・大正期の小説文学に頻出する「赤面する青年」という形象を焦点に, 明治中期における「恋愛」の受容と青年意識の変容について考察する試みである。文学作品の中に描写された, 女性を前にして赤面・狼狽する男たちの姿を, ここでは, 男女間の関係性および (恋愛対象としての) 女性像の変容に対応した, 変調の表象として読解していく。従来, 近代的恋愛の成立は, 近代的個人あるいは主観性の成立と相即的に論じられてきた。しかしながら, ここで読みとられた青年たちの逸脱的な様態は, 明治期における恋愛の発見と受容が, 主観性=主体性の成立の帰結というよりは, 一次的には, 新しい生活慣習と教養を身につけた女性たちとの対峙によって解発された, コミュニケーションと自己同一性の危機であったことを物語っているのである。
著者
加納 由貴 淺井 哲 松尾 健司 竹下 宏太郎 一ノ名 巧 赤峰 瑛介 藤本 直己 山口 拓也 城田 哲哉
出版者
日本腹部救急医学会
雑誌
日本腹部救急医学会雑誌 (ISSN:13402242)
巻号頁・発行日
vol.38, no.4, pp.727-731, 2018-05-31 (Released:2019-12-07)
参考文献数
18

症例は92歳の女性。Press through package(以下,PTP)を誤飲しその後呼吸苦・胸痛が出現し当院へ救急搬送された。胸腹部CTで食道・胃内に7個のPTPを認め緊急内視鏡的異物摘出術を施行した。内視鏡を挿入すると実際には食道・胃内にそれぞれ4つ合計8つPTP異物を確認し,摘出した。翌日胸腹部CT・上部消化管内視鏡検査でPTPが小腸・大腸含め消化管内に残存していないことを確認した。PTP誤飲は消化管穿孔を起こす危険があり緊急内視鏡的異物摘出術の適応となる救急疾患である。今回われわれは1つの症例で8個のPTPを誤飲した希少な症例を経験した。実際には胸腹部CTで想定された数よりも多くのPTPが摘出されており,PTP誤飲ではCTでは検出されないPTPの存在を念頭に置いて処置および経過観察をする必要があると考えられた。
著者
潘 小寧
出版者
大手前大学大学院
巻号頁・発行日
2019-03-20

とても古い時代から、人は犬と強い関わりをもってきた。その理由は、現代と異なり、人間が即座に入手できる情報や交信が限られていたからではないだろうか。たとえば、危険が迫ったときに、犬は即座に危険なもの(野獣や知らない人間)が迫ってきていることを教えて(交信)くれる。犬は現在のアラームの役割をしてくれるわけである。また、本稿のいくつかの章で詳しく述べるが、犬は主人である人間だけではなくて、人間の財産(たとえば遊牧民の羊など)をも守ってくれる。また犬はどこに獲物のウサギがいるかを教えて(情報)くれるだけではなくて、その捕獲に協力もしてくれるのである。このばあいは、情報や交信だけではなくて、労力提供もしてくれている。ただ、労力提供は犬の固有の長所ではなくて、人間が家畜化した他の動物がさらに得意とするものである。 犬は世界各地にひろく分布しており、人間が生活しているところには、必ずと言ってよいほど犬がいる。人間にとって犬は大切な仲間と言える。人間は犬に訓練をして、さまざまな種類の犬の中から特有の性能を見出すように努めてきた。とくに遊牧民にとっては、犬は不可欠であり、とても大切である。そのため厳密な訓練方法をもっている。 本論文は五つの章から成り立っている。第一章の「問題関心と研究史」は次のような内容となっている。すなわち、中国と日本の文献を歴史的にならべてみると、犬は現在のようなただのペットではないことが分かる。それを文化史的な視点から見ると、犬は人間に対して、価値観を共有する大切な伴侶のようである。ではなぜ、そこまでに大切な伴侶となったのかを考えてみる必要がある。犬は伝統的に人間よりも、霊力、超能力を持っていると信じられてきた。また実用的な面において中国では犬の肉食の文化ももっている。以上をふまえながら、次章から文化の面においても、とくに情報、交信、生活という側面に意を注ぎながら、文化史的な分析をした。 第二章は、「中国古代における犬と人間との関係」である。中国・古代(「古代」というのは文明が成立してから近古唐滅亡九〇七年)までの時代としてここでは設定をする)において、当時の中国人(とりわけ漢族)は犬をどのようにイメージしていたのか、文化史的視点からその特徴をあきらかにすることを目的としている。とくにこの章では、長い歴史をもつ中国の古代では犬がどのようにイメージされていたのかというやや始原的な関心から成り立っている。そこでは動物というものがもつ特殊な能力、また人間がそもそも犬とどのように付き合ってきたのか、犬殉葬、犬の予兆、神とかかわる犬、犬と水との関係、などを述べている。 第三章は、「中国遼[ 契丹] における犬と人間との関係」である。遼朝[ 契丹](907 年~ 1125 年)遊牧民をとりあげ、そこでの犬と人間との関係を文化史的にあきらかにすることを目的としている。遼朝を構成した契丹は遊牧民なので、遊牧動物の管理のために犬をもっている。それは、「契丹犬」とよばれる有能な犬である。遼朝時代において契丹人はどのような固有の犬に関わる習俗をもっていたのであろうか。契丹族の犬についての考え方を整理しておくと、契丹は伝統的にはシャーマニズムであり、その後、佛教が入ってきている。それを前提として、一つ目は犬は霊的な意味としてまとめられるものである。たとえば占星に犬が登場する。二つ目は実用性(狩猟・遊牧)からまとめられるものである。猟犬、恩犬としての犬などである。古代漢民族も遼代の契丹人も、犬は不可欠な生き物であり、同時に霊物でもある。とくに契丹人にとっては、犬についての一年間の祭祀は大切な年中行事でもあった。 第四章は、「中国[ 五代・宋元明清] 時代について犬と人間との関係」である。中国「五代・宋元明清時代」(五代十国9 07年-960 年、宋朝960 年-1279 年、元朝1271 -1368 年、明朝1368年-1644 年、清朝1636 年-1912 年)の時代を取り上げる。時代、宗教および朝代の違いによって、漢民族犬文化史的の立場から、犬は人間に対して、どのような変容をきたしたのかを明らかにした。子供に対する怖い犬や犬型の龍、犬食文化などをこの章であつかっている。 第五章は、「牧羊犬と狩猟犬に見るモンゴル牧畜民と犬との関係:内モンゴルバイリン右旗での聞き取り調査を中心に」である。中国の遊牧民、遼代の契丹族の犬についての分析をおこなった。それは当然のことながら、文献による研究であったが、文献に基づいているために、牧羊犬や狩猟犬について、知りたい事柄を十分に知ることができなかった。そこで、フィールドワークとして、現在の遊牧民族の調査を行うことにした。中国内モンゴルバイリン右旗の巴彥塔拉蘇木達蘭花において聞き取り調査を行った。伝統的な狩猟方法、牧羊犬トレーニングと猟犬の実行過程の両面からの聞き取りである。内モンゴルにおいては犬は牧羊犬が中心であるが、現実には、狩猟犬や番犬の役割もはたしていた。犬の養育もふくめて技術的な事柄も聞き取り得た。 結論的には、大きくは、犬は当初の予想よりも、信仰的な側面が強いことが分かった。もちろん、時代や地域によってその信仰内容は異なるのであるが、またおおまかな共通面もみられた。実用的には当たり前であるが、人間と犬との距離が大変近くて、親しさがあり、時代が現代に近づくほど愛玩犬としての役割が大きくなる。ただ、本来のこの距離の近さは、犬は人間がもっていない鋭い感覚(人間が感知しえない情報など)をもっていることに起因すると考えられる。
著者
菅 さやか 唐沢 穣
出版者
日本社会心理学会
雑誌
社会心理学研究 (ISSN:09161503)
巻号頁・発行日
vol.22, no.2, pp.180-188, 2006-11-30 (Released:2017-02-08)

Recent studies have demonstrated that stereotypical expectations result in biases not only in memories and judgments, but in language use as well. The present study examined the effects of communicative contexts on verbal expressions of stereotype-relevant information. In order to do this, we developed a new linguistic index for content analyses, involving stereotypic representations. In our experiment undergraduate students were presented with behavioral descriptions of either an ingroup, or an out-group member, and were asked to describe their impressions. The stimulus information given to the students included both stereotype-consistent, and inconsistent cases. Results showed that the out-group member was described in more stereotype-consistent, abstract terms, than the in-group member. This was interpreted as higher tendency of bias against the out-group. Ultimately, the newly developed index was found to be useful in identifying dispositional expressions that are peculiar to the Japanese language. Finally, implications for the study of stereotypes as collectively shared representations are discussed.

2 0 0 0 OA 釣魚秘伝全集

著者
村上静人 著
出版者
内外社
巻号頁・発行日
vol.第2輯, 1932
著者
山口 祐樹 上野 琢也 園田 竜平 松田 憲亮
出版者
公益社団法人 日本理学療法士協会
雑誌
理学療法学Supplement Vol.42 Suppl. No.2 (第50回日本理学療法学術大会 抄録集)
巻号頁・発行日
pp.0117, 2015 (Released:2015-04-30)

【はじめに,目的】足関節内反捻挫はスポーツ外傷の中で最も発生頻度の高い外傷であり,水中での競技以外ほとんど全ての競技で頻繁に見られる。また,既往回数の違いにおける足部の機能障害との関連性の研究は少ない。本研究では,足関節内反捻挫の既往回数と機能障害の関連性および評価項目について検討を行うことを目的とした。【方法】対象者は,健常大学生男性36名,72足(年齢21.4±1.1歳,身長:173.2±5.3cm,体重:67.0±9.5kg)とした。対象者には研究内容を口頭で説明し同意を得た。また,本研究は国際医療福祉大学倫理委員会の承認を得て実施した。問診より,①捻挫複数回群43足,②捻挫一回群11足,③捻挫未経験群17足の3群とした。問診は捻挫既往,回数,受傷後の対応,診断名,損傷部位,重症度,慢性足関節不安定性(CAI)の評価,スポーツ歴,利き足,身長,体重,その他既往の11項目で実施した。計測は,足関節アライメント,関節可動域測定(以下:ROM測定),Finger of 8 hop test(F8),Side hop test,筋力測定,下肢長測定,タイトネステストの7項目を実施した。筋力測定ではμ-tasF1(アニマ株式会社製:ハンドルダイナモメーター),下肢長測定の際にはメジャーを用いて測定を行った。統計は一元配置分散分析を用い,その後tukey法による多重比較検定を行った。有意水準はp<0.05とした。また,評価項目と捻挫回数との関連性の検討をPearsonの相関係数を用いて行った。【結果】足関節捻挫回数と評価項目の相関性は,足関節底屈(膝屈曲)ROM(-0.39),足関節底屈(膝伸展)ROM(-0.32),足部外転(-0.43),股関節外転筋力(-0.3),F8(0.34)であった。また足関節内反捻挫1回群と複数回群で有意差を認めた項目は足関節底屈(膝屈曲)ROM,足関節底屈(膝伸展)ROM,足部外転であった。また内反捻捻挫未経験群と複数回群との間で有意差がみられた評価項目は股関節外転筋力,F8であった。【考察】本研究では足関節内反捻挫の既往回数と関連性を示した評価項目は足関節底屈(R=-0.39)および外転可動域(R=-0.43)であった。またこれらの評価項目では足関節内反捻挫1回群と複数回群の間で有意に低下する事がわかった。CAIを予防する視点からこれらの可動性を観察する事の重要性があると考える。内反捻挫回数が増加することにより足関節底屈可動域が低下する原因として,内反を制御する靭帯の損傷により,その周囲に炎症が起こること,二次的に周囲の軟部組織の伸張性が低下する1)事が挙げられる。一方,足関節外転における可動域制限については,上述の足関節底屈可動域制限が関連すると考えられる。捻挫足では背屈運動時に外転方向へ誘導されることがわかっている2)。このため,内反捻挫複数回群と1回群では外転可動域の測定肢位(底背屈角度)が異なっている可能性がある。この理由から内反捻挫複数回群で足部外転の可動性が有意に増加したと考えられた。先行研究3)では荷重位での背屈角度,レッグヒールアライメント,底屈内反角度などの評価項目で内反捻挫1回群と複数回群で有意差を認めている。対象者数や測定方法も含めて詳細に検討し,今後の課題としたい。【理学療法学研究としての意義】慢性足関節不安定症の評価項目としての有用性を見出す。
著者
森田 昌敏
出版者
JAPAN TECHNICAL ASSOCIATION OF THE PULP AND PAPER INDUSTRY
雑誌
紙パ技協誌 (ISSN:0022815X)
巻号頁・発行日
vol.45, no.8, pp.887-901, 1991-08-01 (Released:2009-11-19)
被引用文献数
1

The chemistry and toxic effects of dioxins are reviewed. The possible sources of dioxins are chlorination of dibenzo-p-dioxin, dimerization of chlorophenols and other complex mechanism. The fate of dioxins in the environment is referred especially in relation to soil pollution. Analytical method is based on capillary column GC/MS either by low resolution and high resolution mass spectrometry.Toxicology of dioxins is reviewed especially focussing on their mutagenicity and carcinogenicity. Current regulation standards are also referred.
著者
日比 嘉高 HIBI Yoshitaka
出版者
名古屋大学大学院人文学研究科附属超域文化社会センター
雑誌
JunCture : 超域的日本文化研究 (ISSN:18844766)
巻号頁・発行日
vol.11, pp.186-189, 2020-03-26

あいちトリエンナーレ2019は、愛知芸術文化センター、名古屋市美術館、四間道・円頓寺、豊田市美術館・豊田市駅周辺において、2019年8月1日から10月14日まで開催された。
著者
苫米地 武俊
出版者
イタリア学会
雑誌
イタリア学会誌 (ISSN:03872947)
巻号頁・発行日
vol.27, pp.48-63, 1979

Magic and the cabala are usually not regarded as important elements in the thought of Pico della Mirandola. Perhaps this is because his interest in religion has never been properly appreciated, though his deep religiousness appears explicitly in almost all his writings and his thought reveals a strong tendency toward possession of the sublime. Even his famous theme on the dignity of man is characterized by a mystical passion. Magic and the cabala are important elements of his religiousness, though their roles differ. Through a process of purification, Pico seeks sheer "natural magic, " by which man can grasp divine law and comprehend the force of providence in nature. Thus man as magus has a productive power as if he were the Creator himself, and he learns to admire God ardently. The cabala, however, is significant because of its mytic tradition. Pico accepts an anagogical interpretation of the Scriptures which provides a fundamentaly new confirmation of Christianity. In brief, magic reveals the divine miracle in nature and conducts man to the worship of God, while the cabala offers the true interpretation of the Scriptures and clarifies the deep significance of Christianity. We should recognize that Pico's religious mentality led him to respect and admire both magic and the cabala.