著者
大浦 宏邦
出版者
一般社団法人 CIEC
雑誌
コンピュータ&エデュケーション (ISSN:21862168)
巻号頁・発行日
vol.34, pp.32-37, 2013-06-01 (Released:2014-09-01)

ある授業方法の効果を測定する場合,授業方法以外の要因を統制した実験群と統制群を設けてPre-Postで調査を行う必要がある。しかし,教育の現場では十分な統制を行うことは困難であることが多く,逆因果や偽相関による偽りの教育効果が検出される可能性が残る。そこで本稿では,授業方法以外の要因が結果に及ぼす影響を除去する,統計的な方法を紹介する。具体的には重回帰分析に第三変数として統制変数を投入する方法と,質的な統制変数を用いて三重クロス集計を行う方法である。これらの方法を用いることでより的確に授業の効果を把握し,有用な知見を蓄積することができるであろう。
著者
佐藤 英一
出版者
日本乳酸菌学会
雑誌
日本乳酸菌学会誌 (ISSN:1343327X)
巻号頁・発行日
vol.19, no.1, pp.30-36, 2008 (Released:2009-03-31)
参考文献数
34
被引用文献数
1 1

近年、予防医学の重要性が再認識されており、特に腸内細菌叢をコントロールすることにより宿主に保健効果を付与させるという考えから、プロバイオティクスが脚光を浴びている。腸内常在菌の中でも乳酸菌は宿主に様々な保健効果をもたらし、我々の健康にとって重要な役割を担っている。乳酸菌の効果が発揮されるには、有用菌が腸内細菌叢を正常化する過程が必要であり、腸管内に定着することで足場を築き、周囲の細菌叢や宿主組織に作用するという段階を経る。そのため、乳酸菌の腸管定着メカニズムの解明はプロバイオティクスとしての応用を考える上でも重要視されているのである。また、膨大な数の微生物が共生している腸内環境において、乳酸菌がいかに生活の場を確保しているか、すなわち微生物生態学的な意味からも興味深い課題である。これまでにいくつかの乳酸菌腸管付着因子が報告されているが、従来の研究では宿主側の因子としてcollagen、fibronectin、laminin などの細胞外マトリックスの精製標品を用いるのが主流であった。この方法は定着性の高い菌株のスクリーニングなど応用面を重視する場合には有効であるが、腸管定着機構の本質を理解しようとする場合、よりin vivoに近い環境から宿主側の付着因子を検索するのが妥当であろう。また、腸管定着を分子同士の結合というレベルにまで掘り下げて研究している例は少ない。本稿ではLactobacillus reuteriが腸上皮細胞に付着する仕組みを、腸管付着因子と上皮細胞受容体様分子との相互作用と捉え、細胞レベル・分子レベルでの解析を試みた結果を紹介する。
著者
吉村 小百合 浅野 クリスナ 中根 明夫
出版者
東北女子短期大学 研究活動推進委員会(紀要・年報部会)
雑誌
東北女子短期大学紀要 (ISSN:24351385)
巻号頁・発行日
no.58, pp.70-79, 2020-03-19

青森県においてサケの頭部が大量に廃棄されることから,再利用の目的で鼻軟骨からプロテオグリカンを抽出し,さまざまな機能性の検討が行われてきた。我々は,これまでサケ鼻軟骨プロテオグリカン(PG)の抗炎症作用を見出し報告してきた。細菌が引き起こす炎症を始めとして,自己免疫疾患やアレルギー,肥満誘導性炎症などのモデルマウスを用いて,PG の抗炎症作用を報告した。興味深いことに,1 型ヘルパーT細胞(Th 1)やTh17 細胞からの炎症性サイトカイン産生を抑制することにより炎症反応が過剰にならず,制御性T 細胞の促進により免疫細胞を調節し,炎症を抑制することが考えられた。しかし,摂取されたPG が腸管からどのように病巣まで到達し,免疫を調節しているかという疑問が残る。従って,腸管細菌叢の変化が免疫に影響することが知られているため,PG 経口摂取したマウスの腸内細菌叢を解析した。短鎖脂肪酸産生菌や乳酸菌が増加し,疾患に関係する細菌が減少することから、PG の経口摂取が腸内環境を改善し,免疫調節に寄与したと考えられた。本総説では,これまでの炎症性疾患に対するPG の抗炎症効果の特徴をまとめ概説する。

2 0 0 0 OA 官報

著者
大蔵省印刷局 [編]
出版者
日本マイクロ写真
巻号頁・発行日
vol.1927年07月23日, 1927-07-23
著者
井関 正久
出版者
一般財団法人 日本国際政治学会
雑誌
国際政治 (ISSN:04542215)
巻号頁・発行日
vol.2001, no.126, pp.169-184,L19, 2001

East and West Germany were in a turbulent period in the 1960s. On the one hand the building of the Berlin Wall in 1961 determined the division of both German states and symbolized East-West tensions. On the other hand the first postwar generation that criticized the Nazi generation began protest actions against the establishment. &ldquo;1968&rdquo; was a symbolic date for the protest movements of the 1960s in both German states.<br>Today, &ldquo;1968&rdquo; is the focus of public attention again because the parties of the &ldquo;sixty-eighters&rdquo;, the &ldquo;Greens&rdquo;, have become the ruling parties as partners of the Social Democrats. The protagonists of &ldquo;1968&rdquo; seized the authority and are now on the side of the establishment. But some young people of the post cold war generation tend to look for an alternative to the &ldquo;sixty-eighters&rdquo; and call themselves the &ldquo;eighty-niners&rdquo;.<br>In the 1960s the generation conflict became a social phenomena and caused the student revolt in West Germany. Students pursued not only the reform of the universities but also the democratization of society as a whole. They were the main actors in the extra parliamentary opposition and sought out political coalitions with labor unions and pacifists to oppose the passing of the Emergency Law. The antiauthoritarian movement formed a new political public space in which everyday life was politicized. The sixty-eighters in West Germany were the main actors of the &ldquo;new social movements&rdquo; in the 1970s and initiators of the &ldquo;Greens&rdquo;. They brought the idea of grass-roots democracy, feminism and ecology to parliaments and constantly changed the political culture.<br>In East Germany there were also protest activities in the 1960s, in spite of suppression by the state. Under the influence of western subculture and student movements in West Germany the postwar generation opposed the cultural policies of the SED. During the &lsquo;Prague Spring&rsquo; in 1968, hopes of democratization of socialism rose in East Germany also. The Soviet repression of the Prague Spring brought about different protest activities, which were immediately put down by the police. The sixty-eighters in East Germany organized political alternative movements through the 1980s and formed several civic groups like New Forum in the autumn of 1989. They were also the initiators of Round Table as a dialogue forum, which symbolized the &ldquo;peaceful revolution&rdquo;.<br>The German protest movements in the 1960s contributed to forming the current democratic political culture. Since then public space has been made the place of political participation and social learning. Therefore, &ldquo;1968&rdquo; can be regarded as the beginning of the long democratization and emancipation process of German society.

2 0 0 0 OA 官報

著者
大蔵省印刷局 [編]
出版者
日本マイクロ写真
巻号頁・発行日
vol.1925年11月19日, 1925-11-19

2 0 0 0 OA 官報

著者
大蔵省印刷局 [編]
出版者
日本マイクロ写真
巻号頁・発行日
vol.1924年09月12日, 1924-09-12
著者
今石 みぎわ
出版者
独立行政法人国立文化財機構東京文化財研究所
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2016-04-01

本州の社寺に奉納されたイナウは、これまでに石川県で9点、青森県で27点、岩手県で1点が確認されている。2年目である本年は、イナウ奉納の背景を探るため、奉納を行った石川県の廻船問屋に関する歴史資料の分析を進めるとともに、類似資料の所在調査を行った。また、成果と課題の共有のため、5月には石川県で研究会を開催したほか、10月にはイナウ奉納の地元である輪島市で、1月には北海道で開催された一般向けの講座で報告するなど、成果の積極的公表にも努めた。歴史資料については戸澗幹夫氏・濱岡伸也氏(石川県立歴史博物館)、堀井美里氏(株式会社AMANE)などの協力を得て、イナウを奉納した角海家文書、七野家文書等の整理・分析を進めている。この結果、角海家が奉納年代に実際に樺太へ赴いていることなどが史料から裏付けられた。詳しい成果については来年度開催の研究会にて研究協力者と情報共有する予定である。また類似資料の所在調査に関しては、戸澗幹夫氏、堀井美里氏、北原次郎太氏(北海道大学アイヌ・先住民研究センター)とともに9月に新潟県で調査を行った。イナウは発見されなかったものの、蝦夷錦や船絵馬等、多数の北方関連資料について調査・検証を行い、イナウがもたらされた背景となる北方交流の在り方について知見を深めることができた。さらに輪島市では、かつてイナウを所有していたという方から新たに情報提供をいただき、来年度現地調査を行う予定である。
著者
横山 竜海 翁 武銀 任 恵峰
出版者
公益社団法人 日本水産学会
雑誌
日本水産学会誌 (ISSN:00215392)
巻号頁・発行日
vol.86, no.3, pp.196-203, 2020-05-15 (Released:2020-05-29)
参考文献数
31
被引用文献数
1

低利用資源であるかつお節出汁殻を高付加価値利用するため,出汁殻を異なる濃度の塩酸で分解し,塩酸濃度が粗タンパク質回収率,分解液の栄養性・呈味性・機能性に及ぼす影響を分析した。粗タンパク質回収率とアミノ酸量は4.0-6.0 mol/L塩酸で最大,分子量180-500の含有量とDPPHラジカル消去活性は4.0 mol/L塩酸で最大,ペプチド量と抗変異原性は1.0-6.0 mol/L間で有意差はなかった。低分子ペプチドを最も多く含有すると思われる4.0 mol/L塩酸による分解が至適であると示された。
著者
後藤 真孝 根山亮
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会論文誌 (ISSN:18827764)
巻号頁・発行日
vol.43, no.2, pp.299-309, 2002-02-15
被引用文献数
19

本論文では,Internetのような広域ネットワークを経由して,不特定多数のユーザが遠隔地間でジャムセッションできるシステムOpen RemoteGIGを提案する.本研究は,物理的に1カ所に集まらなくても,音楽的なインタラクションを楽しむことができるセッションを実現することを目的とする.従来,遅延の小さいネットワークを介したMIDI中継は実現されていたが,遅延の大きいInternet等を介した双方向のMIDI中継によって,調性とリズムのある音楽を合奏することはできなかった.そこで本研究では,不可避な遅延を積極的に利用した,調性とリズムのある音楽のための新たな形態の遠隔セッションシステムOpen RemoteGIGを実現した.Open RemoteGIGでは,同一のコード進行(12小節のブルース進行等)の繰返しを,テンポ一定で演奏することを前提として,遠隔地にいる複数の演奏者がInternet経由のセッションを行う.演奏者は,お互いの演奏をコード進行の1周期の整数倍の時間だけ遅れて聞き合いながら,即興演奏する.コード進行は繰り返すため,遅延した演奏は再び同じコードとなり調和する.さらに,Open RemoteGIGは,演奏相手の発見環境や打合せ用のチャット機能も提供する.MIDI中継は音楽用通信プロトコルRMCPに基づいて実装され,実際に遠隔地間で提案したセッションをできることが確認された.This paper describes a distributed session system called {\it Open RemoteGIG\/} which enables widely distributed musicians to join a worldwide jam session by using the Internet.Our goal is to have musicians participating in a truly interactive jam session without getting together physically.Although MIDI transmission via small-latency networks has been tried, performing a distributed jam session with tonality and rhythm has been considered difficult when we use a long-latency public network like the Internet.We therefore developed an innovative distributed session system for music with tonality and rhythm, {\it Open RemoteGIG}, which turns the long inevitable network latency to its advantage.In Open RemoteGIG, distributed musicians can interact over the Internet under the assumption that the tempo is constant and the chord progression is repetitive, like that of 12-bar blues.Each musician can improvise while listening to the others' performances that are intentionally delayed for multiples of the constant period of the repetitive chord progression; the delayed performance can fit the chords because the progression is repetitive.Open RemoteGIG also supports a musician-finding and group-chatting environment.The MIDI transmission was implemented by using a music network protocol called {RMCP} and we confirmed that the proposed distributed session was achieved.
著者
田代 隆良 浦田 秀子 岩永 喜久子 辻 慶子 半澤 節子 鷹居 樹八子 宮原 春美 宮下 弘子 石原 和子
出版者
長崎大学
雑誌
長崎大学医学部保健学科紀要 (ISSN:09160841)
巻号頁・発行日
vol.16, no.1, pp.51-55, 2003-06
被引用文献数
1

長崎大学医療技術短期大学部看護学科では,B型肝炎防止対策として平成2年度からHBs抗原・抗体の測定を実施し,平成10年度からはHBs抗原・抗体陰性者に対するB型肝炎ワクチン接種を行っている.平成2年度から13年度までの入学生932名のHBs抗原陽性率は0.54%,HBs抗体陽性率は1.82%であった.B型肝炎ワクチン接種は315名に行い,3回のワクチン接種による抗体獲得率は97.8%であった.抗体を獲得しなかった6名に追加接種を行い,4名がHBs抗体陽性となったが,抗体価は低かった.また,ワクチン接種後の経過を追跡した76名では,3年次に8名(10.5%)がHBs抗体陰性となった.Antigen and antibody tests for hepatitis B (HB) have been conducted from 1990 to 2001, and HB vaccination has been performed from 1998 to 2001 to the student nurses in School of Allied Medical Sciences, Nagasaki University. The overall positive rates of HBs antigen and HBs antibody were 0.54% and 1.82%, respectively, in 932 students. The seroconversion rates in 315 students who received 3 shots of HB vaccine, was 97.8%. Additional vaccine inoculation to nonresponders showed seroconversion in four of six, but HBs antibody titers were low. HBs antibody returned to negative in 8 (10.5%) of 76 at 3rd grade who acquired HBs antibody by vaccination at 1st grade.
著者
永井 成美 脇坂 しおり 高木 絢加 山口 光枝 森谷 敏夫
出版者
特定非営利活動法人 日本栄養改善学会
雑誌
栄養学雑誌 (ISSN:00215147)
巻号頁・発行日
vol.70, no.1, pp.17-27, 2012 (Released:2012-02-27)
参考文献数
35
被引用文献数
5 1

【目的】我々はこれまでに,腹壁電極から胃の活動電位(胃電図)を導出・解析する方法により胃運動を測定し,飲水(冷水・温水)が胃運動を一過性に増大させることや,胃運動の強さと食欲には関連がみられたことを報告している。本研究では,刺激味を有する液体が胃運動や食欲感覚へ及ぼす影響を検討することを目的として,香辛料(カレーパウダーとコンソメ)を含むスープ(Spice)と等エネルギー・等Na量で風味がないプラセボスープ(Control)を用いて比較試験を行った。【方法】若年女性12名に異なる2日間の朝9時に,SpiceまたはControlをランダムな順序で負荷した。ベッド上で胃電図,鼓膜温,心拍数をスープ負荷20分前から負荷40分後まで測定し,食欲感覚(空腹感,満腹感,予想食事量,満足感)は,負荷20分前,負荷直後,40分後の3回測定した。胃運動の強さは,胃電図から徐波,正常波,速波の各パワー値を計算し負荷前を基準としたパワー比を評価に用いた。【結果】Spice負荷後の胃運動は,徐波,正常波,速波パワー比ともにControlと比較して高い傾向が示された。Spice負荷後の食欲感覚は,満腹感と満足感でControlと比較して有意に高値を示した。鼓膜温,心拍数は両スープとも負荷後に上昇したが,鼓膜温(増加量)はSpiceでControlよりも有意に高値を示した。【結論】香辛料を含むスープ摂取後には,胃運動が増大する傾向があること,満腹感と満足感が高まること,負荷直後の体温が上昇することが等エネルギー・等ナトリウムのプラセボスープとの比較により示唆された。
著者
薄田 直人
出版者
首都大学東京
巻号頁・発行日
pp.1-223, 2017-03-25

首都大学東京, 2017-03-25, 修士(文学)