著者
秋山 文紀 寺島 清隆 松田 実
出版者
公益社団法人 日本化学会
雑誌
日本化学会誌
巻号頁・発行日
vol.1977, no.1, pp.61-65, 1977

4種のジクロロシクロヘキサン,すなわち,かtrans-1,2-体,cis-1,2-体,trans-体,およびcis-1,4-体を塩化アンチモソ(V)と反応させたところ,cis-1,2-体では原料は消失するが,異性体は生成せず,他の3種の異性体では異性化が起こることを見いだした。このさいの異性化率は1,4-ジグロロ体の反応の方がtrans-1,2-体の反応より高いことがわかった。異性化で得られる異性体のうち1,3-ジクロロ体と1,4-ジクロロ体の合計中のcis-1,3-体,cis-1,3-体,cis-1,4-体,およびcis-1,4-体の分率は出発物質や反応時間に依存しないが,反応温度および溶媒には依存することがわかった。異性化の機構としてはクロロニウムイナン中間体を経る機構よりカルボニウムイオソを経る機構の方が妥当と考えだ,以上の異性化の結果をシクロヘキセンの塩化アソチモン(V)による塩素化で副生する1,3-および1,4-ジクロロ体の分布と比較した。
著者
山本 統平 山本 忠弘 山元 俊文 広田 正義
出版者
公益社団法人 日本化学会
雑誌
日本化学会誌
巻号頁・発行日
vol.1980, no.4, pp.618-624, 1980
被引用文献数
2

α,α&prime;-アゾビスイソブチロニトリル(AIBN)およびα,α&prime;-アゾビスシクロヘキサンカルボニトリル(ACN)を用いてメタクリル酸メチル(MMA)の熱および光増感重合を行なった。熱重合速度(<i>R</i><sub>pth</sub>)は,1,1,1-トリクロロエタン < トルエン < ベンゼン < エチルベンゼン < 1,2-ジクロロエタン < クロロベンゼン < アニソール < ブロモベンゼン < <i>o</i>-ジグロロベンゼン < ベンゾニトリル < 1,2,4-トリクロロベンゼン < 1,1,2,2-テトラクロロエタン < ベンジルアルコールの溶媒の順に増大した。重合開始速度(<i>R</i>i)は溶媒によりあまり変化しなかったのに対し,2<i>k</i><sub>t</sub>/<i>k</i><sub>p</sub><sup>2</sup>値が大きく変化した。<i>R</i><sub>pth</sub>と光増感重合速度(<i>R</i><sub>pph</sub>)の間には比例関係があった。回転セクター法によりラジカル寿命(τ)をもとめ2<i>k</i><sub>t</sub>/<i>k</i><sub>p</sub>値を算出した。2<i>k</i><sub>t</sub>/<i>k</i><sub>p</sub><sup>2</sup>と2<i>k</i><sub>t</sub>/<i>k</i><sub>p</sub>の値から2<i>k</i><sub>t</sub>と<i>k</i><sub>p</sub>の値を算出した。<i>k</i><sub>p</sub>は溶媒の種類によりわずかに変化したが,<i>R</i><sub>p</sub>の変化に比して小さいものであった。一方,2<i>k</i><sub>t</sub>は重合系の粘度に反比例的に変化し,この変化により<i>R</i><sub>p</sub>の変化が生じることがわかった。
著者
茨木 俊行 池田 浩暢 太田 英明
出版者
Japan Association of Food Preservation Scientists
雑誌
日本食品保蔵科学会誌 = Food preservation science (ISSN:13441213)
巻号頁・発行日
vol.23, no.1, pp.3-7, 1997-01-25
被引用文献数
4

葉ネギのMA貯蔵に適した雰囲気ガス条件を得るため, 15℃の環境下において種々のガス濃度組成が呼吸速度, 成分および鮮度保持力に及ぼす影響を検討した。<BR>二酸化炭素排出速度は, 大気下の葉ネギでは111mgCO<SUB>2</SUB>/ kg/ hrであったが酸素濃度の低下 (二酸化炭素濃度の上昇) とともに減少した。大気下や, 酸素濃度が高く, 二酸化炭素濃度が低い雰囲気下のものではアスコルビン酸含量, 全糖含量およびグロロフィル含量は経時的に減少した。しかしながら, 酸素濃度と二酸化炭素濃度がそれぞれ7.6と4.1%のものではこれらの成分の低下は認められなかった。葉先枯れも酸素濃度が低いほど抑制できた。葉ネギの鮮度を保つには酸素と二酸化炭素の濃度をそれぞれ7.6%と12.6%から4.1%と17.1%に保つと良いと考えられた。
著者
砂田 美和 石橋 晃
出版者
養賢堂
雑誌
畜産の研究 (ISSN:00093874)
巻号頁・発行日
vol.67, no.11, pp.1117-1122, 2013-11

糖質(saccharides 炭水化物 carbohydrates Cn(H2O)m)は炭素の水和物の意味であるが,名前が示すような炭素の水和物というより本来は糖質というべきものである。現在ではこの糖質の他,誘導体やそれらの縮合物も含めて炭水化物または糖質と総称される。化学的には炭水化物=糖質であるが,日本の食品成分表では食品重量から,タンパク質,脂質,灰分と水分の量を差し引いた値を糖質の量,さらにここから食物繊維を差し引いた値を糖質の量としている。飼料の一般成分分析でも同様で,水分,粗タンパク質(CP),粗脂肪,粗繊維,粗灰分の分析値を差し引いた値を主に糖質からなる可溶無窒素 nitrogen free extract (NFE)の量としている。ここでは,糖質から繊維を除いたものを糖質とした。自然界にある糖質の種類,役割や構造も低分子量の単糖から複雑な多糖類まで範囲は広い。食品や飼料ではエネルギー源の他に,糖質の特性としてグルコース(ブドウ糖),スクロース(砂糖)のような単糖や二糖は素材に甘味を持たせる重要な素材である。一方,多糖類は形状を構成し,粘性やこしなどのテクスチャーを付与する機能などの様々な役割を担っている。
著者
松浦 彩
出版者
龍谷大学
雑誌
國文學論叢 (ISSN:02887770)
巻号頁・発行日
vol.55, pp.76-92, 2010-02-01
著者
磯部 成志
出版者
東洋大学社会学部
雑誌
東洋大学社会学部紀要 (ISSN:04959892)
巻号頁・発行日
vol.34, no.1, pp.49-107, 1996-07

1 0 0 0 OA 『蘆刈』余影

著者
塩崎 文雄
出版者
日本文学協会
雑誌
日本文学 (ISSN:03869903)
巻号頁・発行日
vol.41, no.12, pp.48-61, 1992-12-10

『蘆刈』は谷崎潤一郎と根津松子の恋のゆくたてとその昂りを契機とする<女性崇拝>の物語として読まれてきた。あるいは『吉野葛』『少将滋幹の母』『夢の浮橋』等に貫く<母性憧憬>の水脈の一つとして位置づけられてもきた。さらには大和物語・増鏡・遊女記・江口・撰集抄等の借用された古典の吟味を経て、夢幻能的な世界に収斂されてゆく技法が評価されてきた。それに対して本稿は、<くにざかひ>からのまなざし、仮設された<十五夜>、作品の年立て、淀川河川改修史、巨椋池干拓史、京摂間諸川通航史、橋本遊廓沿革史の諸視角から、『蘆刈』に補注を施してみた。その際、作者の意図に添ったことがらも、必ずしもそうでないことがらもひとしなみに取り上げた。作品が書かれた<一九三二年現在>の京・大阪間の境界領域に『蘆刈』を浮べ、『蘆刈』の読みの可能性を励起してみようとの意図による。
著者
高橋 良彦 坪内 乙城
出版者
一般社団法人日本機械学会
雑誌
ロボティクス・メカトロニクス講演会講演概要集
巻号頁・発行日
vol.2000, pp.62-63, 2000

お風呂の天井からワイヤーで吊るして自動的に壁面を掃除するロボット。ワイヤーの張力制御を行い壁面の掃除が行いやすいようにしている。
著者
吉田 真美 高橋 恵美
出版者
日本調理科学会
雑誌
日本調理科学会誌 = Journal of cookery science of Japan (ISSN:13411535)
巻号頁・発行日
vol.41, no.5, pp.358-361, 2008-10-20
参考文献数
14

世界の料理書を資料として,豆を使用した料理を検索し,その内容から各国の豆料理の豆の種類,調理法,調味法,完成料理の種類などを精査した。世界には,国民1人当たりに日本よりも多量の豆類が供給される国が多く存在し,それぞれの国に伝統的な特徴のある豆料理が存在し,食文化の一端を担っていた。その中から,インド,トルコ,メキシコ,ヨーロッパ(イタリアとフランス)を選択し,豆料理の特徴について記し,その特徴をもったレシピを紹介した。
著者
東 あかね
出版者
公益社団法人 日本化学会
雑誌
化学と教育 (ISSN:03862151)
巻号頁・発行日
vol.63, no.1, pp.38-39, 2015

2013年12月,「和食;日本人の伝統的な食文化」が国連教育科学文化機関(ユネスコ)の無形文化遺産に登録された。料理そのものではなく,人々の自然の尊重の精神や風俗・風習に根差した食文化が,世界から注目され,次世代に継承されるべきものとして認められたのである。一方で,わが国の食の現状は大きく変化しつつあり,改めて「和食」を文化や科学の視点で見直す必要に迫られている。本稿では,「和食」の特徴について述べるとともに,日本人化学者によるうま味の発見の経緯や日本人の健康と栄養の課題について概説する。わが国の健康を支えてきた「和食」を,一層健康的なものにするとともに,その食事と食文化を子供たちと世界に伝え,すべての人々に健康な生活がもたらされることを願っている。
著者
井上 久美子 向後 朋美 阿部 史 角田 真二 泉 直子
雑誌
十文字学園女子大学紀要 = Bulletin of Jumonji University (ISSN:24240591)
巻号頁・発行日
vol.46, pp.109-116, 2016-03-28

【はじめに】情報機器の急速な普及に伴って多数の社会問題や健康問題が表出している。これらの問題解決のために,効果的な健康教育プログラムの立案に用いられるプリシード・プロシードモデルの枠組みが有効であるか,検討を試みた。【方法】本研究では,疫学アセスメントの項目である「行動とライフスタイル」として,女子大学生の情報機器の使用頻度と,通常授業日の1日の生活行動の流れに沿った使用状況をアンケート調査した。【結果と考察】対象者101人の90%以上はスマートフォン(以下,スマホ)を高い頻度で使用し,無料通話アプリであるLINEのチェックと書き込みを,起床時から就寝時に及んで行っていた。アルバイト時には使用が少ないのに対し,授業時間内,あるいは帰宅後から就寝前までの学習すべき時間帯での使用が顕著に見られ,プリシード・プロシードモデルの前提要因である,女子大学生のスマホ使用に対する意識や態度をアセスメントする必要性が明らかになった。また,食事時にスマホを使用する傾向は,特に友人と一緒の昼食時に多く観察され,食行動への直接の影響だけでなく,友人との人間関係の構築にも影響を及ぼすことが懸念された。【まとめ】プリシード・プロシードモデルは,段階的なアセスメントの結果から因果関係を推察し,課題を明確にするために用いるものである。今後は,「環境;疫学アセスメント」として社会環境がスマホ使用者に及ぼしている影響を,「健康;疫学アセスメント」として睡眠障害や心身の健康問題を,さらに「QOL;社会アセスメント」として,スマホを介したコミュニケーションによる人間関係とQOLとの関わりをアセスメントし,解決すべき優先課題の抽出とプログラムの立案をすすめるものである。
著者
前田 強 松島 寿冶 岡本 英司 奥村 冶 飯野 聖一
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. EID, 電子ディスプレイ
巻号頁・発行日
vol.95, no.526, pp.119-124, 1996-02-21
被引用文献数
1

カラーフィルタを備えた液晶パネルをMIM(Metal-Insulator-Metal)アクティブマトリクス方式で駆動することを前提に、高画質で表示色数の多い反射型カラー液晶ディスプレイを開発した。本報告では、液晶モード、下側ガラス基板による視差の影響、カラーフィルタ特性、カラーフィルタ配置、反射板特性等について検討した結果を述べる。