著者
森下 伊三男 服部 哲明 亀谷 みゆき 米田 真理
雑誌
朝日大学一般教育紀要 = Journal of Liberal Arts and Science Asahi University (ISSN:13413589)
巻号頁・発行日
no.46, pp.1-17, 2022-03-31

朝日大学教養教育開発室(以下「開発室」という。)は、発足から一般教育課程における英語教育の在り方について調査研究をおこない、その成果を「朝日大学一般教育紀要第42号」[1 ]にて報告した。その後、一般教育に限らず、大学教育の場における日本語教育の在り方について調査検討を行い今日に至っている。本稿は、開発室が2019年1 月31日付で学長に提出した報告書を基に、更に日本語教育についての方向性を開発室で検討しまとめたものである。本学の教養教育は、人文科学・社会科学・自然科学・語学・保健体育等の広い分野・領域を占めているが、本稿では、それらの教養教育に限らず、専門教育を含めたあらゆる教育活動において日本語教育を推進していくための指針を検討した。その結果として、縦軸に「文字情報」・「音声情報」、横軸に「理解する(Input)」・「表現する(Output)」をとり、そこにさまざまな日本語活動をマッピングし、それらの活動を有機的に結び付ける図を作成した。その図をベースに何種類かの科目について、本来の科目指導とともに付帯的に指導できる日本語活動とその流れを具体的に示した。それらの図を活用することにより、朝日大学での日本語教育活動がますます充実し、学生の日本語力増強に繋がることを期待している。
著者
藤木 節子 児玉 愛子 長浜 小春
出版者
岐阜女子大学
雑誌
岐阜女子大学紀要 = BULLETIN OF GIFU WOMEN’S UNIVERSITY (ISSN:02868644)
巻号頁・発行日
no.51, pp.35-40, 2022-02-25

家庭科教員養成において「縫う力を育てる」ために生活科学専攻では1年生,2年生で洋裁の基礎,2年生から3年生で和裁の基礎を学ぶ。2年前期に甚平,2年後期に浴衣,3年前期に一つ身の製作を行っている。3年後期では伝統衣装の製作を行いこれまでに十二単,束帯,采女装束,琉装を製作してきた。本稿では「本荘の歴史を語る会」からの依頼を受け製作した「雨乞い踊り」の衣装完成までのプロセスと,そこから見えた成果と課題について取りまとめたものである。
著者
落合 淳 嶋村 誠 河野 健二
雑誌
研究報告システムソフトウェアと オペレーティング・システム(OS)
巻号頁・発行日
vol.2009-OS-112, no.8, pp.1-8, 2009-07-29

現在,ユーザの個人情報を不正に収集するスパイウェアを検出する手法としてTaint Analysis が注目されている.Taint Analysis では,パスワードなどのデータに taint と呼ばれる情報を付加し,taint 情報を持つデータが操作されたときに伝播規則に基づいて taint 情報を伝播する.そして,taint 情報を含むデータが外部に流出した場合にスパイウェアとして検出する.既存のスパイウェアは Taint Analysis を回避していない.そのため,Taint Analysis はスパイウェアが回避手法を用いた場合を考慮していない.本論文では,Taint Analysis の回避手法への耐性を向上させるため,既存の Taint Analysis に対する回避手法を示し,taint 情報の伝播規則の問題点を指摘する.回避手法を検証するため,一般的な伝播規則を用いた Taint Analysis を実装し実験を行った.実験の結果,回避コードを組み込むことで,Taint Analysis による検出ができなくなることを確認した.これにより,taint 情報の伝播規則を改良する必要があることを示した.
著者
山根 悠介
巻号頁・発行日
2017

本稿は,教員養成課程における天文分野の学習において,教師を目指す学生が学習指導要領に示された内容を小学校・中学校を見通して系統的に理解できるよう講義や演習を展開するための基礎的な知見を得るべく,現行の小学校及び中学校の学習指導要領における理科の天文分野の学習内容の系統性について分析し明らかにしたものである。まず始めに,現行の学習指導要領の天文分野の学習内容を概観した。それに基づき,小学校・中学校の天文分野の学習内容を「地球の自転と公転,それらに伴う天体の動き」「月の見え方とその変化」「惑星と恒星,銀河系など恒星の集団」の3つに大別し,それぞれにおける学習内容の系統性,及び理解や指導において考慮すべきと思われる点を示した。
著者
酒井 克彦
出版者
中央ロー・ジャーナル編集委員会
雑誌
中央ロー・ジャーナル (ISSN:13496239)
巻号頁・発行日
vol.14, no.1, pp.83-102, 2017-06-30

Much litigation has taken place on the scope of salary income. The Decisions reflect two patterns. One pattern involves consideration of labor. The other involves consideration of the employee's position. Matters of labor, by themselves, are insufficient to resolve the question. Employee status also is a crucial factor. As to that, one important factor is whether the worker is subordinate to the company or-alternatively-is not independent of the company. The former focuses on working conditions; the latter is concerned with who bears risks and expenses.
著者
三輪 誠司
雑誌
情報処理
巻号頁・発行日
vol.63, no.5, pp.220-221, 2022-04-15
著者
八塩 圭子
出版者
東洋学園大学
雑誌
現代経営経済研究 = Toyo Gakuen University business and economic review (ISSN:13492004)
巻号頁・発行日
vol.5, no.5, pp.31-52, 2022-03-31

ファッションサイクルを形成するような一過性の概念である経営手法は,「マネジメントファッション」と定義され,ビジネスメディアやコンサルティングファームなどの流行の担い手である「ファッションセッタ―」によって企業に推奨される.本稿では,近年注目を集めるSDGs(持続可能な開発目標)をマネジメントファッションと捉え,各種メディアにおける出現件数を時系列で調査した.その結果,ファッションサイクルのうち,「プレブーム期」を経て,流行が急拡大する「ブーム期」に入っているという進行状況を把握した.また,活字メディアだけでなく,テレビ,インターネットにおいても同様の出現状況が見られたことで,先行研究で触れられてこなかったファッションセッターとしてのテレビ,インターネットの役割に,ある一定の可能性を見出せた.その上で,SDGs に固有の現象として,流行プロセスに一般の認知や関心も関わってくる可能性を指摘した.
著者
楊 川 野間口 隆郎 高 鶴 谷口 洋志
出版者
経済研究所
雑誌
経済研究所年報 (ISSN:02859718)
巻号頁・発行日
no.53, pp.333-354, 2021-10-05

本稿では,コロナ禍における日本と中国の大学でのオンライン授業の比較を通じて,政府の支援策,オンライン授業のためのインフラ,オンライン授業の方式,オンライン授業の教育効果について考察した。 コロナ禍前には,日本の大学生は,他国の大学生と比べると勉強意欲が低いとされる一方,教師による学生評価は不透明で,学生同士の競争も少ないといわれてきた。コロナ禍発生後は,オンライン授業の導入により,教師と学生の間での情報共有が進展し,学生の学習意欲や姿勢も情報として把握されるようになったことから,学習への意欲や姿勢が強まった。こうした教育過程の可視化は学生間の競争を促し,教育効果の向上につながることが期待される。 以上の考察を通じて,本稿では,オンライン教育を通じて日本の大学の教育効果が上がっているという仮説を提示した。今後は,対面授業とオンライン授業を組み合わせたハイブリッド型授業とオンラインだけの授業との比較考察,とくに教育効果の違いについて検討する必要がある。
著者
山ノ内 崇志
出版者
大阪市立自然史博物館
雑誌
大阪市立自然史博物館研究報告 = Bulletin of the Osaka Museum of Natural History (ISSN:00786675)
巻号頁・発行日
vol.76, pp.23-30, 2022-03-31

奄美大島・加計呂麻島において 2018年のセイヨウミズユキノシタの帰化状況を調査した.奄美大島の中部に16集団が認められ,そのうち 2集団は1,000個体を越える大きな集団であった.本種の生育環境は光条件,水分条件ともに非常に幅広く,緑地,グラウンド,路傍,未舗装道路,溝,水路などに陸生,抽水および沈水状態で生育していた.各地で開花・結実と実生個体が確認され,本種は種子繁殖で分布拡大していると考えられた.セイヨウミズユキノシタは生態系被害防止外来種リストの掲載種ではないが,本研究の結果から亜熱帯気候下において侵略的にふるまう可能性が示された.今後の分布拡大を警戒するとともに,奄美諸島における生態系への影響に注意する必要がある.
著者
三浦 宏文
出版者
実践女子大学
雑誌
実践女子大学短期大学部紀要 = The Bulletin of Jissen Women's Junior College (ISSN:24344583)
巻号頁・発行日
vol.40, pp.43-55, 2019-03-09

本稿では宮沢賢治の作品を引用する映画『幕が上がる』に表れた初期仏教思想を検討した。本映画中で富士ヶ丘高校演劇部員たちが吉岡先生の退職という喪失から立ち上がって行く仕方は、仏弟子達がブッダの入滅を体験する中で「自らをたよりとし、法をよりどころとして生きていく」という後の「自帰依」「法帰依」と言われる教えによって乗り越えていく姿と酷似していた。そして舞台『幕が上がる』ではそこからさらに「お互いの喪失を救い合う」という大乗仏教の境地にまで進められていたのである。
著者
高木 源
出版者
東北福祉大学
雑誌
東北福祉大学研究紀要 = Bulletin of Tohoku Fukushi University (ISSN:13405012)
巻号頁・発行日
vol.46, pp.47-54, 2022-03-18

解決志向短期療法は目標に焦点を当てる支援モデルであり,特に,具体的で実現可能な目標を設定することが重要となる。そこで,本研究では,大学生・大学院生320 名を対象として実施された調査の目標に関する記述データおよび目標の具体性および実現可能性に対する専門家の評価を用いて,目標の記述内容を入力値,専門家の評価を出力値とする機械学習を行い,その精度を確認した。その結果,具体性の精度は83.75% から84.37%,実現可能性の精度は73.84% から76.25% であり,いずれも意味のある予測がなされていると考えられた。また,具体性が高いと評価された目標には,行動水準の記述が多く,目で見て確認ができるような目標が,具体性が高い目標として,評価されていると考えられた。次に,実現可能性が高いと評価された目標には,自分自身の行動や一人でも達成できるような目標が,実現可能性が高い目標として,評価されていると考えられた。これらの結果から,幾らか改善が必要となる点はあるものの,目標の具体性および実現可能性を機械的に評価することが可能だと考えられた。
著者
木村 俊彦
出版者
四天王寺大学
雑誌
四天王寺大学紀要
巻号頁・発行日
no.63, pp.411-417, 2017-03-25

2007年と2008年の資料紹介では、金倉圓照・東北大学文学部教授の最終年度の印度哲学史特殊講義を聴講された直弟子の一人・神舘義朗先生のノートを頂戴して掲載した。先生は筆者のパーリ語講師であられたが、最後は滋賀医科大学の哲学教授として定年まで勤められた。今般は同じく金倉圓照博士の直弟子である村上真完・東北大学名誉教授から、金倉博士の未公刊の著書『印度中世精神史』下に相当する原稿のコピーと演習の為に用意された『ニヤーヤバーシュヤ』(『論理学疏』)と『サルヴァダルシャナサングラハ』(『一切哲学綱要』)の全訳ノートのコピーなどを寄託された。 ここでは後者の第二章(仏教章)の初めの部分を紹介したい。合わせて前後に金倉圓照博士の履歴と業績を紹介する。博士は鹿児島県のお寺の出で、1896年に生まれ、東京帝国大学印度哲学科を卒業してドイツなどに三年間留学し、新設の東北帝国大学印度学仏教史講座の助教授、次いで主任教授を勤められた。その後、『印度中世精神史』上巻によって日本学士院賞を受賞され、続いて同会員、昭和天皇の侍講も勤められた。新設の宮城教育大学長を三年間勤められたのは70歳からである。1987年に満90歳で東京で亡くなられ、出身のお寺に葬られた。本書の仏教章は仏教哲学四派の梗概であるが、最初にダルマキールティの仏教論理学の延引があり、14世紀後半という、仏教がインド本国で滅亡してからの南インドのマーダヴァの著書にしては、筆者の専門分野が最初に登場して実に興味深いものがある。