著者
西尾 未希 牧野 泰才 白坂 成功 前野 隆司
出版者
日本創造学会
雑誌
日本創造学会論文誌 (ISSN:13492454)
巻号頁・発行日
vol.22, pp.4-20, 2019 (Released:2019-04-12)

人の感動経験や感性価値を考慮した製品・サービスの設計が脚光を浴びている.このため,著者らは前報において,感動のSTARフレームワークという感動経験の分析法を開発するとともに,これを用いた感動発想技法を提案した.本研究では,様々な製品・サービスにおける実際の感動経験の分析を行うとともに,その違いを比較することによって,STARフレームワークによる感動の分析(感動のSTAR分析)の有効性を示すことを目的とする.具体的には,類似業種の分析および経済的価値を含む/含まない経験の分析を行えることを示すことによって,有効性を検証する.また,これらの結果より,企業による製品・サービスに基づく感動経験や個人の感動経験を分析するための有効なツールであることについて考察する.最後に結論を述べる.
著者
永井 敦
出版者
大阪大学
雑誌
奨励研究(A)
巻号頁・発行日
1999

平成11年度に引き続き、離散化したソリトン方程式の数列の加速法への応用、および独立変数・従属変数ともに離散化(超離散化)したソリトン方程式の研究を中心に行った。得られた研究実績は以下の通りである。数列の加速法への応用離散ソリトン方程式と数列の加速法との関連を詳細に調べた。特に離散時間戸田分子方程式を出発点にして、数列の収束が加速されるメカニズムのソリトン理論における意味を明確にした。この視点を応用して、離散ソリトン方程式を用いた数列の加速法の構成に対する1つの指針を与えた。本研究の成果は、昨年裳華房から出版された「可積分系の応用数理」(中村佳正編著)の第6章「離散可積分系と数列の加速法」にまとめられている。逆超離散化による箱玉系の保存量の構成代表的な超離散ソリトン系である箱玉系の拡張版(番号付、箱の容量可変)の保存量を求めた。具体的には拡張型戸田分子方程式とLotka-Volterra方程式の保存量に対して、超離散化と逆の手順(逆超離散化)を行うことにより求めた。番号付箱の容量1の箱玉系および番号無箱の容量可変の箱玉系に対しては保存量を計算することに成功した。
著者
平川 佳世 岩岡 浩二
出版者
京都大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2009

本研究では、銅板上に油絵具を用いて絵画を描く「銅板油彩画」の誕生と黎明期の展開について、現存する画像作品および文字資料に基づいて、詳細かつ包括的な考察を行った。その結果、「銅板油彩画」は1530年代のイタリアにおいて「諸芸術の優劣論」および「北方絵画愛好」という二つの異なる文化的文脈において個別的に誕生し、「銅」という素材のもつ永遠性に着目した政治的寓意画の制作などの新奇な試みを経て、やがて、16世紀末には、ジャンルを問わず細密描写を得意とする画家が名声を得るための一つの手段として定着していったことが明らかとなった。
著者
楠田 恵美
出版者
筑波大学社会学研究室
雑誌
社会学ジャーナル (ISSN:03865983)
巻号頁・発行日
no.36, pp.43-57, 2011-03-31
著者
玉井 忠治 橋本 哲夫 松下 録治 岩田 志郎
出版者
公益社団法人 日本分析化学会
雑誌
分析化学 (ISSN:05251931)
巻号頁・発行日
vol.19, no.4, pp.502-507, 1970-04-05 (Released:2010-05-25)
参考文献数
10
被引用文献数
2 2

無担体ヨウ素131は,テルルの中性子照射でできたテルル131のβ壊変で得られるが,実際には,用いたテルル中に不純物として含まれるヨウ素の量により比放射能が左右される.したがって,高比放射能ヨウ素131を得るためには,テルル中に存在するヨウ素の量を求める必要がある.本報告では,Ge(Li)半導体検出器のエネルギー分解能のよいことを利用し,テルル中のヨウ素の非破壊中性子放射化分析法の開発を目的とし,ヨウ素の検量線を用いる方法と,テルルとヨウ素の放射能強度比から求める方法とを検討した.両方法を各種テルル化合物に適用し,試料中に含まれる1~100ppm程度のヨウ素を簡便に定量することができた.
著者
菅野 勉
出版者
農業食料工学会
雑誌
農業食料工学会誌 (ISSN:2188224X)
巻号頁・発行日
vol.76, no.5, pp.353-359, 2014-09-01 (Released:2017-03-27)
参考文献数
30
著者
小倉 希美
出版者
岩手大学語文学会
雑誌
岩大語文 (ISSN:09191127)
巻号頁・発行日
vol.19, pp.42-48, 2014-07-05
著者
中村 玲子 越川 房子
出版者
一般社団法人 日本教育心理学会
雑誌
教育心理学研究 (ISSN:00215015)
巻号頁・発行日
vol.62, no.2, pp.129-142, 2014
被引用文献数
3

いじめはその深刻さが指摘されており, 学校現場での対応が求められている問題である。いじめの減少困難や助長の要因として傍観者が挙げられており, 傍観者層の多寡は, 被害者の多寡と最も強い有意な相関を示すことが見出されている(森田, 1990)。本研究では中学生を対象としたいじめの抑止を目的とする心理教育的プログラムを開発し, その効果の検討を行った。プログラムは, いかなるいじめも容認されないとする心理教育と, いじめへの介入スキルの学習から構成された。プログラムの所要時間は授業1回分であり, 対象校生徒の実情に合った内容を用いての, ソーシャル・スキルス・トレーニングの技法に基づくロール・プレイングを含むものであった。事前・事後分析の結果, 本研究で開発されたいじめ抑止プログラムは, いじめ停止行動に対する自己効力感といじめ否定規範の向上, いじめ加害傾向の減少に一定の効果をもつことが示された。また, いじめの抑止のためには, いじめ否定規範の高い生徒にはいじめに介入するためのスキルの学習が, いじめ否定規範の低い生徒にはスキルの学習と同時にいじめ否定規範を高める指導・支援を行うことが有効である可能性が示された。
著者
山本 範子 千島 史尚 山本 樹生
出版者
日本大学医学会
雑誌
日大医学雑誌 (ISSN:00290424)
巻号頁・発行日
vol.72, no.3, pp.129-136, 2013-06-01 (Released:2014-12-20)
参考文献数
19

Genetic sex is determined at the time of conception. In humans, the sexual phenotype is established in three steps (1) The sex chromosome complement of the embryo, (2) Gonadal differentiation, and (3) Differentiation of the internal duct and the external genitalia as female or male occurs as a response to hormones produced by the differentiated gonads. A number of genes, i.e., SRY, SOX9, SF1, DAX1, WT1, have been shown to influence these early and late sexual development processes. Mammalian gonads arise from the bilateral genital ridges and have the potential to develop into testes or ovaries. The Y chromosome (46, XY) is key to the differentiation of germ cells into testes. In the absence of a Y chromosome and the presence of a second X chromosome (46, XX) or in the absence of a gonad, development will be female in nature. The primary testis determinant is the SRY (Sex determining Region Y) gene, which is located on the short arm of the Y chromosome, and initiates the testicular differentiation from the Wolffian duct. Hormones produced from the testis (Müllerian inhibiting substance (MIS, MIF: Müllerian inhibiting factor, AMH: anti Müllerian hormone), secreted from the Sertoli cells, and testosterone, secreted from the Lydig cells steer the further development of the remainder of the genital tract. MIS mediates the regression of the Müllerian ducts (paramesonephric duct), whereas the androgens maintain the Wolffian ducts. In the absence of MIS, the internal ducts differentiate into fallopian tubes, the uterus, and the upper vagina from the Müllerian ducts. Unlike the internal genitalia, the external genitalia are neutral primordially, and can differentiate into either male or female structures depending on the gonadal steroid hormone signals. Gonadal differentiation involves a complex interplay of developmental pathways. Normal sexual differentiation will be considered in order to provide a basis for understanding the various types of abnormal development. This issue will present disorders of sexual development (DSD) as abnormal sexual development based on normal sexual development.
著者
宮田 千聖 湯川 進太郎
出版者
日本犯罪心理学会
雑誌
犯罪心理学研究 (ISSN:00177547)
巻号頁・発行日
vol.50, no.2, pp.1-12, 2013

<p>サイコパス臨床群には感情情報処理に問題があり,中性情報よりも感情情報が記憶されやすい感情バイアスが生じないことが報告されている。本研究では,このサイコパス臨床群と同様の記憶における感情バイアスの低下が,サイコパシー傾向の高い健常者でも生じるという仮説を検討した。一次性・二次性サイコパシー尺度に回答した45名の大学生を対象に,記憶における感情語の影響を測定する感情記憶課題を行った。その結果,先行研究と一致して,高サイコパシー群は低サイコパシー群より感情バイアスが低下していた。さらに,高サイコパシー群に見られた感情バイアスの低下は,ポジティブ感情に顕著に見られた。これらの結果より,サイコパシー特性を持つ健常者でも臨床群と同様に感情情報処理に問題があることが示されただけでなく,サイコパシー特性はポジティブ感情を伴う記憶に影響する可能性があることが示唆された。</p>