著者
ベーレント B.
出版者
新潟大学大学教育開発研究センター
雑誌
大学教育研究年報
巻号頁・発行日
vol.13, pp.155-172, 2009-03

ボローニャ・プロセスは、一つの欧州高等教育圏を築くという文脈をもち、1998年および1999年以降いろいろな変化をもたらしてきた。これらはとくに、生涯学習社会を背景とする教育・学習文化の変化と、構造(卒業証書から学士課程や修士課程へ)の変化が含まれている。ボローニャ・プロセスでは「21世紀高等教育に向けた変革のための欧州協議事項」の決議や勧告が、受け入れられもっと先に進められている。この欧州協議事項は、1997年のパレルモにおけるフォーラムの成果である。パレルモ・フォーラムは、「欧州大学学長会議(CRE)」(現、「欧州総合大学協会(EUA)」)と「ユネスコCEPES(ユネスコ欧州高等教育センター)」が、1998年のユネスコ世界会議「21世紀の高等教育 : その未来図と対策」の準備のために共催したものである。「欧州高等教育スタッフ・ディベロップメント・ネットワーク(ENSDHE)」を1985年よりコーディネートしてきた、ユネスコCEPESは、ユネスコ世界会議開催中に国際パネルディスカッション「アカデミック・スタッフ開発:継続的使命」を実施した。筆者は、その進行過程にドイツ代表のコーディネーターとして関わると同時に、「欧州高等教育スタッフ・ディベロップメント・ネットワーク」の代表として、この国際パネルディスカッションに参加した。筆者が行ってきた、教授中心から学習中心の教授法への転換および東西欧州のアカデミックスタッフ・ディベロップメント(ASD:日本のFDにあたる、以下FD)に関する比較研究は、ユネスコ世界会議に備えてであった。(Berendt 1998, 1999)本論は、まず全般的な概論を説明した後、学生の学習に関する研究に基づいたFDがどのように始まり、筆者がFDにどのようにかかわってきたか述べる。次に、1970年から1998年にいたる欧州とドイツにおけるFDに関する画期的な出来事を説明するが、ここでは、ドイツのFDが欧州を背景として展開されていることが示されるであろう。1999年以降については、ドイツにおけるFDブームを論じ、筆者の実践から構想事例(「動機づけやトレーニング方法、ベルリン自由大学とアレッポ大学(シリアの共同プロジェクト) について述べる。これらの構想は、かなり多くの大学教員をFDワークショップやFD活動へ参加するよう動機づけられることを証明した。特別な節として次に、45力国の担当大臣によるロンドン・コミュニケ欧州高等教育圏をめざして」(2007年)に応じるヨーロッパと特にドイツにおけるFDの最近の発展や展望を取り扱う。 FDは質保証の中核的要素とみなされている。最後の節は、日独のFD共同を継続するためのいくつかの結論をまとめている。そこには行動計画や更なる議論をするための一般的な問題が含まれる。また、AHD(ドイツ大学教授法研究協会)認定委員会(AHD-AKKO)に関する情報や、2000年から2007年までに評価認定されたワークショップやモジュール、プログラムに関する情報も取り扱っている。
著者
岡本 素治
出版者
日本植物分類学会
雑誌
植物分類・地理 (ISSN:00016799)
巻号頁・発行日
vol.34, no.1, pp.10-17, 1983-04-25

スダジイの花の各花言葉が発生する様子を観察した。花の初期発生では、雄花と雌花は、ほとんど区別しがたいほど、よく似ている。雌花では各花言葉の発生順序は次のようになる。外花被(3)→内花被(3)→外花被に対生する雄ずい(3)。この内花被に対生する雄ずいとほぼ同時に、花被に互生する雄ずいが形成されはじめる。その位置は外花被に対生する雄ずいの両側である。外花被に対生する雄ずいの内側に、雌ずいの原基があらわれる。花被に互生する雄ずいは、放射方向に細長い原基としてあらわれる。成熟した段階ではこの雄ずいは横向きである。一方花被に対生する雄ずいは内向きとなる。なお、雌花ではこれらの雄ずいは生長が停止し、仮雄ずい的となり、開花時にも花被に包まれたままのことが多い。雄花も雌花とほぼ同様の発生順序をたどる。ただし、雄花では花の向軸側の発生が背軸側に比べ著しく早い。雌ずいの原基も雌花に於けると同様に発生するが、子房室は最後まで閉じることなく、密線となる。このような花の発生様式をどのように解釈すべきか議論した。また花序の先端に花のような構造ができることに言及した。
著者
岩田 貢
出版者
龍谷大学
雑誌
龍谷紀要 (ISSN:02890917)
巻号頁・発行日
vol.34, no.1, pp.97-112, 2012-09-28
著者
重田 守輝
出版者
国際短期大学
雑誌
紀要
巻号頁・発行日
vol.5, pp.15-22, 1990
著者
野村 直之
出版者
社団法人情報科学技術協会
雑誌
情報の科学と技術 (ISSN:09133801)
巻号頁・発行日
vol.60, no.12, pp.507-512, 2010-12-01

Web2.0と総称されたITへの人々の関わりとIT自身の変化により,前世紀にはありえなかったスケールの情報爆発が起こった。新興Webサービスに押される形で,先に変化した顧客側に引っ張られる形で企業が「2.0」的変革(エンタープライズ2.0ともグランズウェルとも呼ばれる)を起こし始めた。ライフログに象徴される大量の行動履歴や不定形のクチコミ,多量の写真や動画が一般ユーザからネットに投稿されるようになり,もはや産業界で,メタデータによる交通整理が待ったなしの状況になっている。本稿では,そこで必要となる5W1Hメタデータ自動抽出技術,その応用としての自動匿名化やカレンダー自動連携サービス,ツイッターを初めとするソーシャルメディアのサービス向上の可能性,そして,パーソナル広告など,関連の将来市場について論ずる。
著者
深見 嘉明
出版者
社団法人情報科学技術協会
雑誌
情報の科学と技術 (ISSN:09133801)
巻号頁・発行日
vol.60, no.12, pp.501-506, 2010-12-01

図書館情報の関係者においては以前から重要視されてきたメタデータ,しかしその存在は専門家の間だけで認識されてきたものであった。しかし,ウェブの普及がこの状況を一変させた。e-commerceにおける商品レビュー,ソーシャルブックマークや写真共有サイトにおけるタグの活用など,一般生活者が自覚的にメタデータを生成,共有,活用するようになったのだ。本論文ではウェブというインフラの進化によって,日常生活にいかにしてメタデータの利活用が広がったのか,そのプロセスを概観するとともに,この変化への対応について検討する。
著者
武田 修平 蘇 紹華 濱田 康平 三末 和男 田中 二郎
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
研究報告ヒューマンコンピュータインタラクション(HCI) (ISSN:09196072)
巻号頁・発行日
vol.2015, no.20, pp.1-8, 2015-03-06

膨大なデータの活用のために,仮説を定めずに特徴的なパターンを探すような探索的分析が行われることが多い.時刻付きデータに関してもそのような分析作業ができれば,複数の商品の購買履歴から他の商品とは違う周期性を持つ商品や突発的に販売が伸びた商品など,予期しないパターンをもつ商品を探しだすことができる.さらには,その要因を探り新たな販売戦略につながる可能性もある.ただし,時刻付きデータの可視化手法の多くは,ある種の商品の販売のような一つの事象集合に対して,1 年周期のような定められたパターンを効果的に見せるよう設計されている.そのため,周期を指定せずに周期性の強い商品を抽出するとか,何らかの周期性はあるが他とは違う傾向のある商品を抽出するといった作業には向いていない.このような問題に対して,我々は時刻付きデータの分析に有益だと考えられる特徴の洗い出しを行うとともに,定式化を行なった.さらに,それらの特徴を視覚的に観察しながら,時刻付きデータの分析が行えるツールを開発した.