著者
吉野 龍ノ介 安尾 信明 萩原 陽介 大野 一樹 生田目 一寿 折田 正弥 関嶋 政和
出版者
公益社団法人 日本化学会・情報化学部会
雑誌
ケモインフォマティクス討論会予稿集 第38回ケモインフォマティクス討論会 東京
巻号頁・発行日
pp.78-79, 2015 (Released:2015-10-01)
参考文献数
6

シャーガス病、アフリカ睡眠病、リーシュマニア症はトリパノソーマ科の寄生原虫の感染によって引き起こされる病気であり、主に発展途上国である熱帯地域が感染地域であるため、顧みられない熱帯病として知られている。我々は、新たな抗トリパノソーマ科原虫の医療薬の開発を目的とし、ドッキングシミュレーションによる医療薬候補の探索を行い、in vitro 試験及びX線構造解析による複合体構造の詳細な解析を行った。我々はまず、標的蛋白質であるスペルミジン合成酵素の活性中心に対して、Drug Likeな化合物、約480万個のドッキングシミュレーションを行い、更にドッキング結果の上位の化合物をin vitro試験によって評価を行った結果、IC50が10uMオーダーのヒット化合物が得られた。ヒット化合物の複合体モデル構造をもとにヒット化合物の構造最適化を行い、新たな抗トリパノソーマ治療薬が開発されることが期待される。
著者
前山 恵璃 隅本 倫徳 堀 憲次
出版者
公益社団法人 日本化学会・情報化学部会
雑誌
ケモインフォマティクス討論会予稿集 第38回ケモインフォマティクス討論会 東京
巻号頁・発行日
pp.74-77, 2015 (Released:2015-10-01)
参考文献数
9

近年、クリーンなエネルギーとして水素が注目されており、その有効利用のための脱水素及び水素付加反応を触媒する錯体が関心を集めている。藤田らは、ジオールの脱水素的ラクトン化反応を触媒するCp*Ir錯体(Cp*=η5C5Me5)を用いた1,2-ベンゼンジメタノール(3)の脱水素を伴うラクトン化反応について、2つの触媒サイクルを持つ機構を提案した。この機構では、最初にCp*Ir錯体より水が脱離した配位不飽和の錯体を生成する。しかしながら、これらの機構はエネルギー的に不安定な配位不飽和な触媒を活性種としている。Mizoroki-Heck反応について、隅本らは配位不飽和の構造を有さない触媒サイクルの検討を行い、配位飽和の活性種を見出した。本研究では、藤田らの見出した脱水素を伴うラクトン化反応について、配位不飽和及び配位飽和の触媒を活性種とする触媒サイクルについて理論計算を行い、比較検討を行った。
著者
矢城 陽一朗 直島 好伸
出版者
公益社団法人 日本化学会・情報化学部会
雑誌
ケモインフォマティクス討論会予稿集 第38回ケモインフォマティクス討論会 東京
巻号頁・発行日
pp.72-73, 2015 (Released:2015-10-01)
参考文献数
6

我々は、有機合成で多用されている酵素リパーゼの鏡像体選択性の機構解明において、タンパク質とリガンド分子間の相互作用を詳細に解析できるフラグメント分子軌道(Fragment Molecular Orbital: FMO)法を一つの研究手法として使用している。今回、3種の酵素リパーゼ、Burkholderia cepacia lipase (BCL)、Candida antarctica lipase typeB (CALB)、Candida antarctica lipase typeA (CALA)、と有機化合物の複合体についてFMO2相互作用計算を行ったところ、BCLでは HIS286が、CALB ではTHR40が、そしてCALAにおいてはAPS95が、それぞれのリパーゼの基質の鏡像体認識に深く関わっているアミノ酸残基であると推定できる結果を得た。これに加え、FMO法をインシリコ創薬の実用的な研究手法として発展させるために2014年11月に設立された「FMO創薬コンソーシアム」の活動と、そこで我々が実行している標的タンパク質レニンと化合物の複合体に関するスーパーコンピュータ「京」による計算を紹介する。
著者
宮本 健悟 相田 美砂子
出版者
公益社団法人 日本化学会・情報化学部会
雑誌
ケモインフォマティクス討論会予稿集 第38回ケモインフォマティクス討論会 東京
巻号頁・発行日
pp.70-71, 2015 (Released:2015-10-01)
参考文献数
3

2本鎖DNAにおける塩基対間での水素結合また、スタッキングのような相互作用は生体系の中で重要な役割を果たしている。特にスタッキング相互作用には大きな塩基配列依存性があり、多体効果の大きさも塩基配列によって異なる。また、核酸塩基の一つであるGuanine(G)が生体内酸化により8-oxoguanine(8OG)へ酸化されると、C6位のketo-enol互変異性により塩基対形成時の水素結合パターンが変わり、本来8OG(keto)-C対を形成するはずが、8OG(enol)となることで8OG(enol)-T対が形成しうる。実験的にも8OGが存在することでG-C対からA-T対へのpoint mutationが起こる確率が高くなることが報告されている。本研究ではAdenine(A),Thymine(T),Guanine(G),Cytosine(C)だけでなく8OGを組み込んだB-DNAモデルを構築し、理論計算を行うことで、B-DNAの塩基対間相互作用における多体効果、また8OGによるG-C対からA-T対へのmutation誘起について考察した。
著者
田中 雅人 高橋 嘉夫
出版者
公益社団法人 日本化学会・情報化学部会
雑誌
ケモインフォマティクス討論会予稿集 第38回ケモインフォマティクス討論会 東京
巻号頁・発行日
pp.18-19, 2015 (Released:2015-10-01)
参考文献数
4

有害元素化合物の鉱物への吸着挙動は、環境中における有害元素化合物の移行挙動を支配していると考えられる。従って、ヒ素化合物の鉱物への吸 着挙動を調べることは、ヒ素化合物の移行挙動の理解や汚染予測に繋がると考えられる。本研究では有機ヒ素化合物の鉱物への吸着構造や吸着量に 及ぼす置換基の影響を吸着実験、X線吸収微細構造(XAFS)法および量子化学計算を用いて調べた。その結果、置換基の嵩高さが有機 ヒ素化合物の吸着挙動を決めていることが示唆された。
著者
石元 孝佳
出版者
公益社団法人 日本化学会・情報化学部会
雑誌
ケモインフォマティクス討論会予稿集 第38回ケモインフォマティクス討論会 東京
巻号頁・発行日
pp.16-17, 2015 (Released:2015-10-01)
参考文献数
10

近年金属ナノ粒子特有の触媒活性や水素吸蔵特性などが実験的に見出されている。このような金属ナノ粒子で発現する物理・化学現象にはナノ粒子の構造的特徴のみならず電子状態が大きな影響を及ぼしていると考えられるが、既存のアプローチでは金属ナノ粒子の電子状態計算が困難なため、金属ナノ粒子の発現機構の解明には至っていない。そこで本研究では大規模計算システムを活用することで2nmを超える金属ナノ粒子の電子状態計算を実行し、安定性や構造変化・状態密度などを解析した。
著者
藤井 幹也
出版者
公益社団法人 日本化学会・情報化学部会
雑誌
ケモインフォマティクス討論会予稿集 第38回ケモインフォマティクス討論会 東京
巻号頁・発行日
pp.14-15, 2015 (Released:2015-10-01)
参考文献数
6

非断熱遷移を起こす系の時間発展を記述する古典的軌道について考察をした.まずは,古典的軌道の科学的妥当性を明らかにするために非断熱経路積分の定式化を行い,半古典近似を用いることで,量子時間推進演算子に古典的軌道が埋め込まれていることを明らかにした.続いて,エネルギースペクトルが古典的軌道を用いて記述できることを明らかにした.
著者
小寺 正明
出版者
公益社団法人 日本化学会・情報化学部会
雑誌
ケモインフォマティクス討論会予稿集 第38回ケモインフォマティクス討論会 東京
巻号頁・発行日
pp.10-11, 2015 (Released:2015-10-01)
参考文献数
10

化学情報学の生命科学への応用は薬学研究が主流であるが、生命情報学との融合により、さらに幅広い研究への発展が期待される。私の興味の中心はオミックスと呼ばれる生命科学ビッグデータであり、未だ隔たりの大きい二つのオミックス、すなわち遺伝子系オミックスと化合物系オミックスを結びつける融合的研究である。例として、昆虫と植物など異種生物間の化学相互作用ネットワークの群集生態学的視点による解析を紹介したい。
著者
河合 健太郎
出版者
公益社団法人 日本化学会・情報化学部会
雑誌
ケモインフォマティクス討論会予稿集 第38回ケモインフォマティクス討論会 東京
巻号頁・発行日
pp.8-9, 2015 (Released:2015-10-01)
参考文献数
7

デノボデザインは,創薬研究の効率化に寄与できる優れた技術であり,過去数十年間にわたり精力的に研究されてきた歴史がある.特に,最近のケモインフォマティクス技術の発展に伴い,新たなデノボデザイン手法の提案だけでなく,実際の創薬研究への応用例も盛んに報告されるようになってきた.演者らは最近,既知の活性化合物の構造を利用し,新しいドラッグライクな薬物構造の設計を行うための方法論を開発したので,その内容を紹介する.また,計算機実験により提案手法の有用性を評価したので,その結果についても併せて紹介する.
著者
小市 俊悟 越野 広雪 佐藤 寛子
出版者
公益社団法人 日本化学会・情報化学部会
雑誌
ケモインフォマティクス討論会予稿集 第38回ケモインフォマティクス討論会 東京
巻号頁・発行日
pp.66-69, 2015 (Released:2015-10-01)
参考文献数
9

NMR分子構造解析システムCAST/CNMRシステムの機能の一部として,自動分子構造推定法の開発を2004年に開始した.データベースを利用した推定法なので,データの質・量に依存するところはあるが,正しい分子構造を自動推定し,天然物分子構造解析へも応用できる段階に入った.NMRデータから立体構造を計算機を用いて推定する試みは,化学に計算機が導入された1960年代から取り組まれているものの,未だに実践的な解決には至っていない部分もあり,ケモインフォマティクスにおける最もクラシカルな未解決問題の1つとして現在も取り組まれている.CAST/CNMRにおける自動分子構造推定法の特徴は,情報学の最新成果,特に効率的なグラフアルゴリズムを応用したことである.この特徴が,近年の計算機の高速化とも相まって,高速な推定を実現している.部分構造検索の機能に関しては,すでに構造訂正などへの応用が始まっている.
著者
石渡 明 市山 祐司
出版者
一般社団法人日本鉱物科学会
雑誌
日本鉱物科学会年会講演要旨集 日本鉱物科学会 2007年度年会
巻号頁・発行日
pp.58, 2007 (Released:2008-09-02)

かんらん石スピニフェックス組織は,長さ1メートルに達する薄板状のかんらん石の平行連晶組織であり,超苦鉄質のコマチアイト溶岩に特徴的とされる.露頭では一般にコマチアイト溶岩の上半部にスピニフェックスが発達するが,下半部は斑状組織のかんらん石沈積岩であり,岩床の場合も同様である.一方,かんらん石スピニフェックス組織は,北極海の海嶺玄武岩(顕微鏡サイズ)やコラ半島原生界の鉄ピクライト溶岩上部の玄武岩質部分などにも見られ,変成蛇紋岩や中世の製鉄遺跡の鉱滓などからも報告されている.最近,Ichiyama et al.は福井県小浜市南部の丹波帯緑色岩体から,長さ10 cm以上,間隔1~2 mmのかんらん石平行連晶(仮像)よりなるスピニフェックス組織を呈する玄武岩の転石を発見した.この転石は多数の鉄ピクライトの転石を伴うので,下部が鉄ピクライト,上部が玄武岩質岩石からなる分化した溶岩または岩床に由来すると考えられ,鏡下でも化学組成でも,コラ半島Pechenga地域原生界の同様の溶岩と酷似する.両者とも「石基」のチタン普通輝石が顕著な逆累帯構造を示す.Faure et al.(2006)によるスピニフェックス組織の再現実験は,結晶核密度が低く(事前にリキダス以上の温度に保ち除去),過冷却度が高く(リキダスより40~60℃下で結晶化開始),適度な温度勾配と冷却速度で結晶作用を行えば,スピニフェックスが成長することを示す.かんらん石スピニフェックス組織を示す丹波帯の玄武岩はノルムかんらん石をもち,かんらん石がリキダス相だったと考えられる.コマチアイト中だけでなく,玄武岩中にもスピニフェックス組織が形成されることは,化学組成を重視するIUGSの超苦鉄質火山岩分類案の妥当性を支持する.
著者
細矢 治夫
出版者
公益社団法人 日本化学会・情報化学部会
雑誌
ケモインフォマティクス討論会予稿集 第38回ケモインフォマティクス討論会 東京
巻号頁・発行日
pp.64-65, 2015 (Released:2015-10-01)
参考文献数
15

既知化合物の少なさや、目立たぬ性質等の原因で、ポリエンの化学は等閑視されて来た。「交差共役」も有機化学の中では軽視されて来た。しかし最近、新化合物や、物理学者の興味をひく性質が見出され、交差共役というキーワードが頻出している。我々はその交差共役の重要性を認め、ポリエン化学の理論的な再構築を始めている。先ず、最も基本的な交差共役炭化水素を、ケクレ構造を1個しかもたない、直鎖以外の非環式、及び単環のポリエンと決めた。これにより、ラジアレン、フルベン、キノイド等も交差共役系にふくまれる。これらの安定性は、トポロジカルインデックスZと極めて高い相関関係にある。同様に、「平均共役長」Lによってもその安定性を半定量的に予測できる。更に、これらの議論を「有機電子論」の理論的裏付けと適用限界の示唆にまで拡げる。
著者
山本 典史
出版者
公益社団法人 日本化学会・情報化学部会
雑誌
ケモインフォマティクス討論会予稿集 第38回ケモインフォマティクス討論会 東京
巻号頁・発行日
pp.60-63, 2015 (Released:2015-10-01)
参考文献数
2

プリオン病は正常型プリオンタンパク質(PrPC)が病原性異常型(PrPSc)に変化した結果,複数のPrPScが凝集することで分子間βシート構造を骨格とするアミロイド線維を形成し,脳内に沈着することで発症する.プリオン病の初期過程ではPrPCの一部分が変性した過渡的中間体PrP*がPrPScへの構造変化を橋渡しする役割を担う.したがって,プリオン病の機序を解明するための手掛かりは,このプリオン形成中間体PrP*にある.本研究ではPrP*の構造的特徴を抽出する手段として,二次構造情報に基づく新しいカーネル主成分分析(SSPCA; Secondary Structure PCA)を開発した.SSPCAを適用することで,プリオン形成中間体PrP*の有力な候補として,PrPCの構造の一部がヘリックス→ストランド転位した特徴的な変性状態を明らかにした.
著者
倉 陸人 阿部 浩士 高橋 崇宏 江間 義則
出版者
公益社団法人 日本化学会・情報化学部会
雑誌
ケモインフォマティクス討論会予稿集 第38回ケモインフォマティクス討論会 東京
巻号頁・発行日
pp.58-59, 2015 (Released:2015-10-01)
参考文献数
8

化学気相堆積法における反応機構自動解析システムを開発した。システムの推論エンジンはバイオインスパイア―ドアルゴリズムの実装によって開発した。また、バイオインスパイアードアルゴリズムの性能を、評価関数の収束値のメジアンと四分位偏差、および、計算時間の実測値を用いて評価した。アルゴリズムの中でCMA-ESは探索能力、収束安定性、計算時間の観点から最もよい性能を示した。
著者
寺前 裕之 須田 岬 湯川 満 島野 洋佑 高山 淳 坂本 武士
出版者
公益社団法人 日本化学会・情報化学部会
雑誌
ケモインフォマティクス討論会予稿集 第38回ケモインフォマティクス討論会 東京
巻号頁・発行日
pp.56-57, 2015 (Released:2015-10-01)
参考文献数
1

近年、生物活性を有する2-アザスピロ環化合物が報告されているが、効率的な合成法は少ない。我々は、先行実験により化合物の超原子価ヨウ素試薬による環化反応をおこなうことで2―アザスピロ環化合物が得られることを見出した。しかし、この反応ではアリル基側鎖の置換基効果が顕著に見られることから、反応中間体であるフェノオキセニウムカチオンの高次元アルゴリズムによる安定構造計算からその反応機構を検討した。
著者
田中 健一 金子 弘昌 長阪 匡介 船津 公人
出版者
公益社団法人 日本化学会・情報化学部会
雑誌
ケモインフォマティクス討論会予稿集 第38回ケモインフォマティクス討論会 東京
巻号頁・発行日
pp.52-55, 2015 (Released:2015-10-01)
参考文献数
6

化学工学プロセスにおいて実時間測定が困難な変数の値の推定にソフトセンサーが広く利用されている。しかし、触媒の劣化や製造銘柄の変更等に伴い説明変数Xと目的変数yとの関係が変化した場合、変化前のデータから構築されたソフトセンサーでは変化後の予測が困難となる。この問題はソフトセンサーモデルの劣化と呼ばれ、対応策として各種適応型ソフトセンサーモデルが提案されている。本研究では適応型ソフトセンサーモデルの中でJust-In-Time (JIT) モデルの予測精度改善を目指す。JITモデルはクエリのXの値が類似しているデータを選択、もしくは類似度の高いデータに大きな重みを与えて構築されるため、Xの値は類似しているがyの値が異なるデータが存在する際に不適切な回帰モデルとなる。本研究では、Xの全ての領域においてより新しい状態のデータのみを選別したJIT用データベースの管理手法およびJIT用データベースを用いた回帰モデル構築手法を提案する。
著者
水田 敏夫
出版者
Japan Association of Mineralogical Sciences
雑誌
岩石鉱物鉱床学会誌 (ISSN:00214825)
巻号頁・発行日
vol.73, no.7, pp.202-215, 1978-07-05 (Released:2008-08-07)
参考文献数
42
被引用文献数
2 4

Peridotites characterized by the texture of elongated olivine crystals, are found in the Higo metamorphic belt mainly composed of psammitic gneiss. The peridotite mainly consists of olivine, orthopyroxene, tremolite, serpentine, and talc. Spinifex-like olivine crystals, partly altered to serpentine and magnetite, consist of randomly oriented plates parallel to (010). The elongated olivine crystals in same handspecimen are chemically homogeneous, and the compositional zonation of the crystals has not been observed by microprobe analysis. However, the chemical composition of olivine ranges from FO83 to FO92 in different handspecimens. The NiO content of olivine varies from 0.2 to 0.5 weight per cent and the MnO content from 0.1 to 0.2 weight per cent. The NiO and MnO contents are about the same as those of komatiitic olivines. On the other hand, the olivines in the Higo perioditite contain a negligible amount of CaO and remarkabIly differ from those of extrusive peridotite (komatiite). The rocks are free from clinopyroxene and contain large and prismatic orthopyroxene. The extremely Ca-depleted orthopyroxenes (En89-En92) are interlocked with tabular olivines in each other. The Al2O, and Cr2O3 contents of orthopyroxenes are relatively lower than those of orthopyroxenes in alpine peridotites. From the mineral assemblages of peridotites and metamorphic rocks, and from the chemical composition of olivine and orthopyroxene, it is suggested that the peridotite bodies suffered from the regional metamorphism of amphibolite facies (approximately 700°C, 3-4kb). This conclusion is also supported by the data concerning Mg-Fe2+ distribution between olivine and chromian spinel in the Higo peridotite.
著者
土手内 靖 尾崎 牧子 西山 記子 長谷部 淳 谷松 智子 西山 政孝
出版者
一般社団法人 日本臨床衛生検査技師会
雑誌
医学検査 (ISSN:09158669)
巻号頁・発行日
vol.64, no.1, pp.60-65, 2015-01-25 (Released:2015-03-10)
参考文献数
7

Levofloxacin(LVFX)により激しい溶血性貧血を起こしたと推測される症例を経験したので報告する。症例は69歳男性。腹痛・発熱が1週間続くため近医を受診,腸間膜リンパ節炎と診断されLVFXが処方された。2日間内服したが症状の改善なく,当院に緊急入院となり,抗生剤をLVFXからCefmetazoleに切り替えた。入院3病日,嘔気,血圧低下,褐色尿および眼球黄染が出現,血液検査で著明な貧血(Hb 6.7 g/dL)と溶血所見を認めた。翌日にはHb 4.0 g/dLと貧血が進行し,直接抗グロブリン試験(direct anti globulin test:DAT),間接抗グロブリン試験(indirect anti globulin test:IAT)強陽性を呈したことより,自己免疫性溶血性貧血と診断された。その後赤血球濃厚液を4単位輸血,ステロイド剤を大量および漸減投与し,貧血は改善,自己抗体は急速に減弱し,IATは13病日に,DATは28病日に陰性化した。43病日に薬剤リンパ球刺激試験を施行したところ,LVFXに対し陽性であり,臨床経過と併せ,本例はLVFXによる薬剤性免疫性溶血性貧血(Drug-induced immune hemolytic anemia:DIIHA)と推測された。DIIHAは稀な疾患であるが抗生物質,降圧剤など身近な薬剤での報告があり,本例のように重症化することもあるため,注意が必要である。DAT陽性例に際しては患者の貧血,溶血の有無に留意し,薬剤が原因であることも念頭に置いた精査が重要である。
著者
由谷 仁 中川 恵嗣 諏訪園 秀吾
出版者
公益社団法人 日本理学療法士協会
雑誌
理学療法学Supplement Vol.42 Suppl. No.2 (第50回日本理学療法学術大会 抄録集)
巻号頁・発行日
pp.1944, 2015 (Released:2015-04-30)

【はじめに,目的】筋萎縮性側索硬化症(以下ALS)をはじめとする神経難病においては,筋力低下の進行が発声器官におよび,コミュニケーションに大きな問題をもたらす症例が少なくない。また進行に伴い通常のスイッチが押せなくなるなどの障害が頻繁にありうるため,様々なスイッチや意思伝達装置を再検討し,身体状況に合わせて使用しているのが現状である。2013年末,パーソナルコンピューター(以下PC)のマウスカーソルを視線で操作出来る装置The Eye Tribe Tracker(以下EyeTracker)が開発された。我々は第68回国立病院総合医学会に於いて,EyeTrackerをALS患者に試用し,臨床での有用性を検討した。その際,マウスカーソルは眼球運動にて動かし,クリックは右足関節底屈による空気圧スイッチにて行う方法であった。今回は注視によりクリックが可能となるソフトウェア「しのびクリック」(吉村隆樹作)を使用し,眼球運動および注視によって意思伝達装置を操作出来るようにした。このEyeTrackerをALS患者1名と演者にて試用し有用性を検討したので報告する。【方法】対象者はALSにて意思伝達装置を使用している60歳代女性1名(以下,症例)と演者で,症例はADL全介助,右足関節底屈にて空気圧スイッチを操作している。使用機器はEyeTracker(Eye Tribe社製)およびEyeTracker用専用ソフトウェア,意思伝達装置としてHeartyLadder,クリックするソフトウェアとして「しのびクリック」,それらをインストールしたPC(OS:Widows7)である。環境設定として,Bedの背上げ角度は15~30°,アーム式PC固定具およびHeartyLadderCD付属のワンタッチ短文入力画面を使用した。方法は眼球運動および注視によって同一の短文(17文字)入力を行った。評価としては,1)利用の適否,2)試行した時間,3)入力に要した時間,4)生じ易いミス・誤作動,5)眼球運動・瞬目・開閉眼など,6)要望・感想とした。【結果】1)演者は利用可能,症例では入力が不安定。2)演者は30分程度,ALS患者は一週間に一度30分程度を3ヶ月程度実施。3)演者は32秒,症例はミスが多く不可。4)マウスカーソルが,見ている場所と若干ズレることにより正確な入力が難しい。クリックまでの時間設定が難しく,選んでいない文字を選択し易い。5)症例の眼球運動はゆっくりでも速い動きでも特に問題なし。瞬目・開閉眼は上下眼瞼部の動きが不十分で努力を要す。連続5分程度使用すると,上眼瞼部の軽度下垂が認められる。6)一文字に焦点を合わせること,注視すること,それを短時間でも継続することが疲労をもたらしやすい。【考察】演者では文章作成可能であったが,症例では困難であった。この問題点を大きく分類すると「目でマウスを動かすこと」と「目でクリックすること」の2点に分けられる。「目でマウスを動かすこと」はPCとEyeTrackerと目との位置関係を適切に設定すること,視線をEyeTrackerがしっかり認識することが必要不可欠である。その際,眼瞼下垂によって瞳孔に上眼瞼が近づきすぎるとEyeTrackerが上手く認識出来ないことが多いと思われる。「目でクリックすること」はしのびクリックを使用して可能であるが,文字を一定時間注視し,視線を固定することが必要となる。この一定時間注視し視線を固定することが症例では難しく,ミスが多くなり文章が作成できなかった要因と思われる。また瞬きでクリックできるような改善も望まれる。よって現時点での最もよい適応としては,上眼瞼部の下垂が少なく,連続で注視しても目の疲労が少ない人であると考えられる。また現在,使い易くするためには個人でプログラミングする必要があるため,技術を持った人間が多く関わることで,より適応範囲が広がると思われる。以上から,現時点での(ソフト開発を自在に行わない範囲)EyeTrackerの臨床適応範囲が明確となり,症例を選べば極めて有用である可能性が示された。【理学療法学研究としての意義】EyeTrackerにより視線入力を可能にすることで,更なる症状の進行にも対応出来る可能性が広がり,コミュニケーションの継続が期待できる。また,世界中でIT及びプログラミング教育の必要性が叫ばれており,日本に於いても国策として「産業競争力の源泉となるハイレベルなIT人材の育成・確保」という項目が挙げられている。今後はrehabilitationとITはより密接な関係が必要であり,我々の活動分野の拡大にもつながるため,非常に意義がある。
著者
矢野 浩之 椋代 純輔 大西 一広
出版者
公益社団法人 日本材料学会
雑誌
材料 (ISSN:05145163)
巻号頁・発行日
vol.39, no.444, pp.1207-1212, 1990-09-15 (Released:2009-06-03)
参考文献数
12
被引用文献数
6 8 2

The top plate of guitar is usually made from two wood species which belong to different genus, that is, german spruce (Picea abies) and western redceder (Thuja plicata). To clarify the characteristics of these species and of the wood materials for guitar top plate, the acoustic properties of the specimens prepared from the neighbour portion of the top plate were measured by means of free-free flexural vibration method. The results were compared with the evaluation by an expert of guitar manufacture.The mean values of specific dynamic Young's modulus (E/γ) and tanδ of german spruce were higher than those of western redceder, while among various wood species these two had higher E/γ and lower tanδ in the longitudinal direction. These characteristics were particularly pronounced in the specimens which were judged by the expert to be high grade. Moreover, the standard deviations of the acoustic properties of the high grade specimens were smaller than those of the medium or low grade ones regardless of the species.The value of E/γ in the longitudinal direction, which can be obtained easily, seemed to be a convenient criterion for selecting the wood material suitable for guitar top plate. Because it correlated highly with tanδ in the longitudinal direction, and also with the ratio of tanδ in the radial direction to that in the longitudinal direction. Evaluation using both E/γ and tanδ in the longitudinal and radial directions was more appropriate, because the experimental values of E/γ and tanδ in any grain angle agreed with the values calculated based on Hankinson's equation.