著者
山口 禎 佐藤 孝
出版者
神戸大学
雑誌
兵庫農科大學研究報告. 農学編 (ISSN:03676021)
巻号頁・発行日
vol.5, no.1, pp.15-19, 1961

1959年と1960年の両年にわたつて, 深水処理が, 浮稲の生長に及ぼす影響について研究された, 用いられた品種はCo. 64(浮稲)と農林22号(日本の水稲品種)である。得られた結果は次の様である。1. 草丈は深水処理によつて, 浮稲も農林22号も著しく増加した(第1図)。水位増加期における草丈増加速度は, 農林22号では, 水位増加ペース(1日当り3cm)と殆んど同様(2.9cm)で, 浮稲では, 農林22号よりも早く4.3cm(1日当り)であつた(第1表)。更に, 浮稲の草丈が短日処理によつて著しく増加した事実は, 短日に対して日本稲と異なる反応を示すものとして興味深い。2. 深水処理は両品種とも葉数を1∿2葉増加し, 穂数を約1/2に減少した(第2表)。3. 深水処理開始期までに伸長していた葉身及び葉鞘は, 処理による影響が殆んどみとめられなかつたが, 深水処理開始後に伸長する葉身, 葉鞘は水位の増加とともに著しく伸長し, 水位の減少とともに伸長する葉身, 葉鞘は相対的に短かくなる(第2図)。即ち葉身, 特に葉鞘, 節間長は水位の増減と密接な関係を示した。4. 浮稲における普通栽培区の第14節間, 第15,16葉身, 第16,17葉鞘, 深水処理区の第15節間, 第17,18葉身, 第17,18葉鞘の伸長は, 短日条件下でおこるので(第2図), これらの変化が短日処理, 温度, 又は, 他の要因によるものかどうか今後明かにする必要がある。5. 主稈の穂長と頴花数の増加は, 深水処理による葉身, 葉鞘長の増加, 即ち, 同化面積の増加が, 穂に多くの養分を興えたのであろう(第2表)
著者
イルマ・サウィンドラ・ヤンティ
出版者
国士舘大学政経学部附属政治研究所
雑誌
国士舘大学政治研究 = Kokushikan University Political Studies (ISSN:18846963)
巻号頁・発行日
vol.8, pp.53-82, 2017-03-09

はじめに1.東京スカイツリーの建設2.東京スカイツリーの地震対策3.古代天皇制国家の形成4.天武天皇と「心柱」の形成おわりに
著者
神田 隆
出版者
一般社団法人 日本内科学会
雑誌
日本内科学会雑誌 (ISSN:00215384)
巻号頁・発行日
vol.106, no.Suppl, pp.110b-111a, 2015-02-20 (Released:2018-02-20)
著者
望月 博之
出版者
日本小児アレルギー学会
雑誌
日本小児アレルギー学会誌 (ISSN:09142649)
巻号頁・発行日
vol.22, no.5, pp.745-754, 2008-12-10 (Released:2009-03-09)
参考文献数
33

気道は外界の刺激に接する機会の多い臓器であり,吸入性のアレルゲンがもたらすアレルギー性炎症だけでなく,大気中の汚染物質や細菌,ウイルス類も,粘膜に傷害をもたらすことが知られている.これらの気道傷害の多くは,気道粘膜上の酸化ストレス反応に起因すると考えられるため,喘息の発症,悪化の病態に酸化ストレスは重要な意義を持つと思われる.一方,気道粘膜は様々な抗酸化因子を有しており,酸化還元反応を介して酸化ストレスに対応し生体の恒常性を保っている.このような制御機構はレドックス(Reduction and Oxidation; Redox)制御と呼ばれるが,喘息患者の気道ではレドックス制御に何らかの破綻が生じている可能性も推測されている.酸化ストレスとレドックス制御の側面から考えれば,喘息の治療に抗酸化薬を加えることは有意義であると思われる.
著者
中村 裕子 杉山 僚 小此木 雄 関根 慧 牛込 瑛子 高橋 慶壮 小谷 依子 中村 幸生
出版者
一般社団法人 日本歯内療法学会
雑誌
日本歯内療法学会雑誌 (ISSN:13478672)
巻号頁・発行日
vol.31, no.1, pp.29-35, 2010 (Released:2017-11-30)
参考文献数
35

Abstract : The aim of this study was to investigate the antimicrobial effects of electrolyzed neutral water (Perfect Perio®) (PPW) on Enterococcus faecalis formed biofilm. This PPW contained hypochlorous acid concentrations at 600-700 ppm in pH 7.5. The effects of PPW were compared with those of NaClO and sterilized water (DW). Biofilms of E. faecalis were induced on tissue-culture plates. An overnight culture of E. faecalis grown in brain-heart-infusion broth was seeded (initial concentration of 107-8 cells/mL) with trypticase soy broth (with 0.25% glucose), which was incubated under aerobic conditions for 48h to allow biofilm formation. After incubation, the biofilms were irrigated with PBS and treated as irrigants. The remaining biofilms were stained with crystal violet to gratify the amounts of biofilm, which were determined using a microplate reader. Morphological changes of E. faecalis biofilm by NaClO, PPW or DW were investigated by SEM. NaClO can disaggregate and remove biofilm at all times, and treatment with PPW can cause a high degree of biofilm disaggregation. SEM analysis showed that 5% NaClO eliminated the bacteria completely, PPW was capable of disrupting and removing the biofilm, but not eliminating the bacteria. According to the results, PPW showed the highest eliminatory effect on the E. faecalis-derived biofilm.
著者
喜馬 佳也乃 猪股 泰広 曽 斌丹 岡田 浩平 加藤 ゆかり 松村 健太郎 山本 純 劉 博文
出版者
公益社団法人 日本地理学会
雑誌
日本地理学会発表要旨集
巻号頁・発行日
vol.2017, 2017

本研究で対象とする筑波山は,茨城県つくば市と桜川市との市境に位置する山であり,日本百名山の一つに選定されている.筑波山は二つの嶺を有し,西側の標高871mの嶺が男体山,東側の標高877mの嶺が女体山と称される.南の山麓には男体山と女体山とをご神体とする筑波山神社が鎮座し,門前町が形成されている.本研究では筑波山における来訪者の特性や交通媒体の変化に伴う筑波山門前町の観光空間としての性格の変容とその過程を明らかにした.<br> 筑波山は古代から文献に登場しており,万葉集には歌垣の地として紹介されている.古くから人々に親しまれる筑波山には筑波山神社が古代,知足院中禅寺が781年には建立された.しかし,中世には神仏習合が進んだ.江戸時代には,都の鬼門を守護する山として幕府の保護を受け,中禅寺の南方に門前町が整備された.それによって旅籠や遊女屋,茶屋や土産物屋が集積し,現在まで続く門前町が形成されることとなる.明治時代に入ると,廃仏毀釈によって中禅寺が取り壊され,中禅寺本堂跡地に現在の筑波山神社拝殿が造営された.これにより中禅寺の門前町であった地域が筑波山神社の門前町となった.<br> 門前町は明治時代に一時衰退するも,東京と水戸や土浦とを結ぶ鉄道が整備される中で,再び賑いをみせた.1925年にはケーブルカー,1966年にはロープウェイが設置され容易に登頂できるようになった.また1914年から1987年まで運営していた土浦と筑波山を結ぶ筑波鉄道,1965年に完成した筑波スカイライン,2005年に開通したつくばエクスプレスのように道路や鉄道の整備が行われ筑波山域内および筑波山への交通の利便性が向上した.<br> 筑波山は都心から70 kmという立地もあり,戦前は宿泊を伴う参拝客や,講組織のような団体客が多かった.それが戦後になると,道路交通網の発達や自動車の普及により,バスを利用した団体ツアー客や自家用車による個人客が増加した.しかし,この頃には日光を代表とする関東圏の他の観光目的地へのマスツーリズム形態が進展したことにより,筑波山の観光地域としての相対的地位が低下した.モータリゼーションの進展は,旅館から土産物屋に転向する店舗をもたらしたとともに,筑波鉄道などの公共交通の衰退に繋がり,筑波山門前町の観光地域としての地位をさらに低下させた.<br> 観光地として低迷していた筑波山門前町に新風をもたらしたのが2005年のつくばエクスプレス開通と近年の登山ブームの到来である.2001年に開湯した筑波山温泉も,多くの登山者に利用されている.しかし,登山ブームによって創出された来訪者は交通の結節点となる門前町に食事等で滞在することが少なく,観光地内での門前町の実質的な中心性はそれほど上昇していない.<br> このように門前町では登山ブームにより創出された来訪者を十分に取り込めていない.その背景には,門前町の観光関連施設経営者の高齢化といった地域内部の課題も少なからず関係している.しかし,門前町の活性化には筑波山神社を主目的とする来訪者の存在も必要であり,その意味では御朱印帳などの新たな取り組みは注目される.<br>
著者
高山 方尚
出版者
駒澤大学
雑誌
駒澤史学 (ISSN:04506928)
巻号頁・発行日
vol.25, pp.97-107, 1978-03
著者
齊藤 愼一 土田 博 向井 直樹 阿部 岳
出版者
筑波大学体育科学系
雑誌
体育科学系紀要 (ISSN:03867129)
巻号頁・発行日
vol.24, pp.71-78, 2001-03

持久性運動能力と栄養に関するこれまでの研究から,脂肪(酸)のエネルギー代謝が活発化したなかで運動を遂行すると運動継続時間が延長することが動物でもヒトでも明らかにされている18)。これに関して, ...
著者
関野 愉 相羽 玲子 相羽 寿史 塚原 武典 田代 俊男 岡本 浩
出版者
特定非営利活動法人日本歯周病学会
雑誌
日本歯周病学会会誌 (ISSN:03850110)
巻号頁・発行日
vol.43, no.3, pp.283-288, 2001-09-28
参考文献数
42
被引用文献数
2

数種類の洗口剤を用いて,初期のプラーク形成抑制効果に関して臨床的検討を行った。歯周疾患の徴候のない25〜35歳の成人8名を被験者とした。実験開始前,14日間にわたり専門家による歯面清掃と口腔衛生指導を行った。実験開始時から全ての機械的歯面清掃を中止し,洗口剤10mlで1日2回1分間の洗口を4日間行った。実験開始時と4日後,全歯面に対してPlaque lndex(P1I)を用い診査を行った。4日目の診査後,専門家による歯面清掃と被験者自身によるブラッシングを再開し,10日後に再ぴ歯面清掃を中止し,他の洗口剤により4日間洗口を行った。以上の方法で,1)蒸留水(DW),2)0.12%グルコン酸クロル・ヘキシジン水溶液(CHX),3)酸化電位水(AW),4)0.1%フッ化第一スズ水溶液(SnF_2),5)0.02%塩化セチルピリジニウム含有洗口剤(CPC)の5種類の洗口剤を用いて検討を行った。全歯面におけるP1I 値は CHX で0.75,AW 1.21,SnF_2 1.20,CPC 1.55,DW 1.61であった。これらを比較検討したところ,CHX と他の全ての洗口液,AW と CPC とDW,SnF2とCPCとDWの間に統計学的有意差が認められた。また,全ての洗口剤において前歯部のp1I 値は小臼歯部,大臼歯部のものよりも低く,頬舌側面のp1I値は隣接面よりも低かった。
著者
安部 国雄
出版者
The Anthropological Society of Nippon
雑誌
人類學雜誌 (ISSN:00035505)
巻号頁・発行日
vol.87, no.4, pp.393-422, 1979 (Released:2008-02-26)
参考文献数
25

1972年から1977年に10回にわたって琉球12地域,南九州4地域の住民を調査して1795名(男920,女875)の形質人類学的資料を得た。その資料から主な観察項目を南の波照間から北の椎葉に至るまで,ほゞ地理的配列に従って整理して表(図)示すると共に,著者らによって得られた韓国人やアイヌの結果と比較して,琉球人の観察的形質の特徴の把握に便ならしめた。またこれら地域住民の先人の業績をまとめて参考に供した。なお計測項目については他にまとめて(安部ら,1979)発表した。本篇で特記すべきは琉球人の上眼瞼のヒダの性状である。即ちこのヒダが内眼角に附着しないもの(ヒダの認められないものも含めるがその頻度は稀)が,他地域の日本人のそれよりも,琉球人においてはかなり高い頻度で認められ,しかもこの頻度は北から南にゆくに従って次第に高くなってゆく(cline)。琉球人のこのヒダの特徴は,台湾の原住民に連続し(未発表),そしてそのルーツは南東アジアの原住民の「マレー目」に帰着するものと推測している。
著者
小澤 正直
出版者
一般社団法人日本物理学会
雑誌
日本物理學會誌 (ISSN:00290181)
巻号頁・発行日
vol.64, no.5, pp.349-353, 2009-05-05

伏見先生は,"studies on the Foundation of Quantum Mechanics.I"(1937年)と題された論文において,現在,オーソモジュラー法則と呼ばれている,量子論理で普遍的に成立する基本的論理法則を発見された.これは,1960年代になって,当初,フォン・ノイマンによって基本的論理法則として提唱され,研究が進められたモジュラー法則に取って代わり,現在に至るまで量子論理研究の中心課題とされている.本稿では,バーコフとフォン・ノイマンが発見した量子論理の意義,モジュラー法則からオーソモジュラー法則への転換の背景,及び,この分野の発展と現状を概説する.