著者
森本 忠興
出版者
特定非営利活動法人 日本乳癌検診学会
雑誌
日本乳癌検診学会誌 (ISSN:09180729)
巻号頁・発行日
vol.21, no.1, pp.41-46, 2012-03-20 (Released:2014-10-30)
参考文献数
5

本邦では,マンモグラフィ検診受診率は二十数%と低く,乳癌死亡は増加している。一方,欧米では,早くからマンモグラフィ検診が導入され,受診率70~80%に及び,1980年代後半以降から乳癌死亡率の低下がみられている。本邦と欧米のマンモグラフィ検診受診率の差は,本邦の乳癌検診の進め方にあったと考えられる。本稿では,本邦の乳癌検診の歴史のなかで,1991年2月に日本乳癌検診学会が設立された経緯,発展状況,今後の課題等について述べた。今後,本邦では,受診率向上,マンモグラフィのアナログからデジタル化移行,ソフトコピー診断(モニター診断),40歳代のデンスブレストに対する超音波検診,MRI 画像診断の進歩等,多くの課題がある。本学会が2010年に任意団体からNPO 法人格を得たことを契機に,本学会のさらなる発展を期待したい。
著者
山口 義彰 河上 貴聡
出版者
公益社団法人 日本表面科学会
雑誌
表面科学 (ISSN:03885321)
巻号頁・発行日
vol.34, no.6, pp.290-295, 2013-06-10 (Released:2013-06-22)
参考文献数
10

An Electrochemical Atomic Force Microscope (EC-AFM) was used to observe the surface reaction of lead electrode in sulfuric acid electrolyte, when the reaction corresponding to what occurs at the electrode of a lead-acid battery takes place. At first, the morphology change at the surface of the lead electrode during Cyclic-Voltammetry measurement could be observed by using EC-AFM. After that, behavior of PbSO4 crystals during open-circuit standing after oxidation was observed by in-situ EC-AFM, and the degradation of charge acceptance performance of lead-acid batteries during open-circuit standing after discharge could be explained by this observation result. In this paper, we introduce some technique with using EC-AFM for understanding of the electrochemical reaction at solid/liquid interface in the lead-acid battery.

2 0 0 0 OA 目八譜

著者
武蔵石寿//著,服部雪斎//画
出版者
巻号頁・発行日
vol.第9巻,
出版者
帝室博物館
巻号頁・発行日
vol.第5, 1944
著者
桐越 舞
出版者
北海道言語研究会
雑誌
北海道言語文化研究 (ISSN:18826296)
巻号頁・発行日
no.9, pp.31-45, 2011

本稿は、日本語共通語における韻文(俳句、短歌)の音読資料を音響音声学的に考察したものである。リズムは時間軸に深く関係するプロソディ要素であるという立場をとり、時間長に特化した分析を試みた。韻文において「句頭子音から次の句頭子音まで」という、ポーズも含むまとまりを韻律フレームとして仮定し、韻律フレーム同士の組み合わせを観察した結果、俳句と短歌それぞれに特有の韻律フレーム型がみられることが明らかになった。俳句では等間型、長短型、短長型の3 つの型が、短歌では長短長短型、短短長短型の2 つの型が観察された。1 番目と2 番目のみの韻律フレーム型の出現頻度をみると、俳句は等間型が全体の56.4%を占め、次いで長短型が27.6%、短長型が16.0%であった。一方、短歌は長短型が77.0%、等間型が23.0%であり、五七五という同様の構成を持つ俳句と短歌でも、各韻律フレーム型の出現頻度は異なっていた。このような特徴は聴覚印象ではっきりと区別可能なレベルの現象ではないと思われるが、この特徴こそが俳句らしさ、短歌らしさを印象づけるひとつの要素になっているものと推察される。
著者
生田 和良 小野 悦郎
出版者
大阪大学
雑誌
特定領域研究(A)
巻号頁・発行日
1998

ボルナ病ウイルス(BDV)は神径細胞親和性のマイナス鎖、一本鎖のRNAウイルスで、これまでに少なくとも6遺伝子が同定されている。感染細胞には、p40(ヌクレオプロテイン)とp24(リン酸化蛋白)が主要ウイルス蛋白として検出されるが、ウイルス粒子にはp40蛋白が主要で、p24蛋白はほとんど倹出されない。BDVは、ウマに脳炎症状を引き起こすウイルスとして分離された。ヒトにおいては、精神疾患患者とBDV感染との関連性が指摘されている。私たちはこれまでに、パーキンソン病(PD)患者の剖検脳(黒質領域)において、BDV感染が高率(9例中6例)に認められることを初めて見いだした。また、陽性であった6例中の4例において、新生仔スナネズミ脳内へのBDV伝播が可能であった。本研究では、PD病態におけるBDVの関与の可能性を検討した。BDVを脳内接種した新生仔スナネズミにおいて、接種BDVの感染価依存的にBDV脳内伝播が激しく、歩行異常等の症状後、死亡するまでの時間も速く経過した。接種したBDVの感染価にかかわらず、脳幹部でBDVが検出できる時期にほぼ一致して神経症状が観察された。このBDV接種スナネズミでは、抗p40抗体はほとんど検出されずに抗p24抗体が検出された。さらに、p24遺伝子をGFAP、ヒトセロトニン受容体遺伝子プロモーターの下流に導入することにより、脳内でp24蛋白を発現するトランスジェニックマウスを作出したところ、一部の系統で神経症状(首振りや歩様異常など)が認められ、BDV発現が海馬や小脳において認められた。以上、脳内の特定部位へのBDV持続感染が成立し、p24が発現することが神経症状出現へと導く可能性が示唆された。
著者
生田 和良 朝長 啓造 小野 悦郎
出版者
大阪大学
雑誌
特定領域研究(A)
巻号頁・発行日
2000

最近の研究によりボルナ病ウイルス(BDV)がヒトの脳内に感染していることが明らかとなった。私たちは、パーキンソン病患者の剖検脳にBDVの遺伝子が高率に検出されることを報告してきた。そこで本研究では、パーキンソン病の発症とBDV感染との関連性について検討を行うことを目的として、パーキンソン病のモデル動物の確立に向けたBDVの中枢神経病原性の解明に向けた研究を行った。BDV p24蛋白質はBDVの主要抗原であり、BDVの中枢神経病原性に深く関与していると考えられている。そこで、p24蛋白質を脳内のみに発現するトランスジェニックマウス(p24-Tg)数系統を作出し、その表現型ならびに脳内におけるp24蛋白質の発現について解析を行った。その結果、線条体を含む領域にp24蛋白質を発現した数匹のp24-Tgマウスにおいて、後肢麻痺などの神経症状が観察された。また、Tgマウスは脳内栄養因子(BDNF)の発現低下が認められ、神経症状との相関性が示唆された。さらに、p24蛋白質が神経細胞の機能に与える影響を探るため、p24蛋白質と結合する宿主側因子の同定を行い、p24蛋白質が神経細胞細胞の生存維持に関与していると考えられている神経突起伸張因子(amphoterin)と特異的に結合することを明らかにした。今回の解析により、脳内におけるBDV p24蛋白質の発現が、脳内栄養因子の発現ならびに神経細胞の生存維持に影響を与えている可能性が示唆された。このことは、BDVの感染がドーパミン産生ニューロン変性の促進要因のひとつとなっている可能性も示している。今後さらに、p24蛋白質の神経細胞死への関与を詳細に解析する必要があると考えられる。

2 0 0 0 OA 祝詞全書

著者
岡吉胤 著
出版者
誠之堂
巻号頁・発行日
1901
著者
守屋 慎次 森田 利広 稲井 幸治 清水 聡
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会論文誌 (ISSN:18827764)
巻号頁・発行日
vol.32, no.8, pp.1022-1029, 1991-08-15
被引用文献数
7

本論文の目的は次の三つである (1)「ストロークエディタ」という新しい種類のエディタを提唱し 実現したプロトタイプシステムについて述べることストロークエディタ上において入・出力し編集されるデータは利用者が書(描)いた筆跡であり この筆跡をエディタ内において表現するデータ型はストローク(点列)であるこのエディタの目的は 筆跡をそのままの姿でコンピュータに入力し 保存したり編存したり送信することであるこのエディタがその本質において必要としているハードウェアは 表示平面と入力平面とが一体となったいわば紙のようなコンピュータと スタイラスペンだけである(2)ストロークエディタでとられた対話の方式「直接指示・操作方式」を提唱してその性質を導き この方式の重要性を示すこと対話の方式を特徴づける上で また 使い易くする上で この方式が非常に重要であることを示す導出される性質の代表例として この方式により仮想物(例えばカーソノレ)が実物(例えばペン先)化されること 順次入力に必要な記号(カーソルや空白など)を利用者が意識する必要がなくなること そしてこの方式の必要十分条件がある(3)利用者へ機械を近づける方法を示すこと方法の主なものは 人が作業する場(本論文では筆削をするタブレット入力面)をそのまま受け入れる機械の場(本論文では液晶出力面) を作り上げることである

2 0 0 0 OA 官報

著者
大蔵省印刷局 [編]
出版者
日本マイクロ写真
巻号頁・発行日
vol.1901年11月03日, 1901-11-03
著者
吉田 英生 石部 英臣 松井 裕樹 江川 猛 吉冨 聡 桑原 健雄 齋藤 元浩
出版者
一般社団法人日本機械学会
雑誌
年次大会講演論文集
巻号頁・発行日
vol.2004, pp.351-352, 2004

A hybrid gas bearing with water evaporation from ultra-fine porous medium is newly proposed. The proposed bearing is considered to be applied to microturbines and have mainly three advantages suitable for the applications. The first is the stability improved by water evaporation from ultra-fine porous medium. The second is the effective lubrication by liquid water at start and stop of the journal rotation. The third is the cooling effect on the high-temperature journal due to water evaporation. A preliminary experiment is conducted, and the stable start and stop of the journal rotation are confirmed.
著者
武田 一哉
雑誌
研究報告音楽情報科学(MUS) (ISSN:21888752)
巻号頁・発行日
vol.2016-MUS-111, no.3, pp.1, 2016-05-14

机の前の本棚の目に着く場所に 2 つの学位論文を置いている.一つは学生時代の指導教官であった池谷和夫先生の論文 「形成振動板に関する研究」 もう一つは,若手教員時代の上司であった板倉文忠先生の論文 「統計的手法による音声分析合成系に関する研究」 だ.共に電電公社の研究所で執筆された 2 つの論文である.物理数学の集大成のような前者と,確率数理を駆使した後者.おなじ 「音学」 の論文でありながら,この 2 つの論文のアプローチには,12 年間という出版年の違い以上に本質的な違いがある.物理学としての音学から,情報学としての音学へ,我々はそんな変化の中で音学を研究して来たのだ.そして思い返せば,この音学の変化こそ,データサイエンスという巨大なパラダイムシフトの前兆であったのだ.
著者
Misato NAKAMURA Toshinori YOSHIDA Ayumi EGUCHI Mari INOHANA Rei NAGAHARA Ayako SHIRAKI Nanao ITO Makoto SHIBUTANI
出版者
JAPANESE SOCIETY OF VETERINARY SCIENCE
雑誌
Journal of Veterinary Medical Science (ISSN:09167250)
巻号頁・発行日
vol.80, no.2, pp.337-340, 2018 (Released:2018-03-02)
参考文献数
7
被引用文献数
2

An 18-year-old female black leopard (Panthera pardus) showed renal failure, leukocytosis and presence of subcutaneous masses in the lower abdominal region and right shoulder; she eventually died. Histopathological observations included a mammary gland carcinoma with comedo, solid and tubulopapillary patterns in subcutaneous tissue, and highly proliferated tumor cells in systemic organs. The tumor cells were positive for cytokeratin AE1/AE3. The mammary gland tumor was diagnosed as intermediate-grade adenocarcinoma, based on a previously reported histological grading system of feline mammary carcinomas. Chronic interstitial nephritis was estimated to have been ongoing for 5 years, whilst acute necrotic pancreatitis in relation to tumor metastasis could have been the cause of death.
著者
植木 理恵
出版者
一般社団法人 日本教育心理学会
雑誌
教育心理学研究 (ISSN:00215015)
巻号頁・発行日
vol.52, no.3, pp.277-286, 2004-09-30 (Released:2013-02-19)
参考文献数
16
被引用文献数
5 5

本研究は,「自己モニタリング方略」の重要性および児童生徒への定着の困難さを問題として掲げ, これを解決するための介入方法の提案を目指したものである。一連の実験の結果,(1) 方略志向の学習観を促すだけでは自己モニタリング方略の使用には効果がないこと,(2) 方略知識を教授することによって, 自己モニタリング方略は一時的に使用されるようにはなるが, 教授後3ヵ月以上経過すると使用されなくなること, そして,(3) 方略知識と推論方略を併せて教授すれば, 7ヵ月後の時点においても自己モニタリング方略はよく記憶され使用され続けること, が明らかになった。