著者
中谷 伸生
出版者
関西大学大学院東アジア文化研究科
雑誌
東アジア文化交渉研究 = Journal of East Asian cultural interaction studies (ISSN:18827748)
巻号頁・発行日
no.7, pp.37-51, 2014-03

文部科学省グローバルCOEプログラム 関西大学文化交渉学教育研究拠点東アジアの言語と表象The "Orchid Pavilion(Lanting 蘭亭)" is a beautiful landscape garden in China where a historically famous gathering called the "Lantei no Utage(蘭亭の宴)" (making-poetly banquet at the stream in a garden) was held by Wang Xizhi(王義之), the great Chinese calligrapher. The Chinese theme of Lanting associated with the creation of calligraphy became one of the most popular painting themes in Japan during the Edo period. The gathering took place on the third day of the third month, the Ninth Year of the Everlasting Harmony(永和)Period of the Eastern Jin(東晋)Dynasty(i.e.,353 CE). A Chinese painting of the "Orchid Pavilion Paintings"(蘭亭曲水図)refers to this gathering in a pictorial form. According to Chronicles of Japan(日本書紀巻2: Nihon Shoki in the 2nd Volume), certain documents describe "Kyokusui no Utage"(曲水の宴: literally, riverside banquet as a court ceremony), which was held on March 3rd, Joshi(上巳), when Emperor Kenzo was in the first year of his accession. However, this historical fact has not been verified. Eventually, in the Heian period, the "Kyokusui no Utage" was held as an annual event of poetry festivals in the lmperial Court sponsored by the Emperor. This paper discusses the major works of the "Orchid Pavilion Paintings" (蘭亭図)by Uragami Shunkin(浦上春琴), who was a Japanese painter of the late Edo period, and the painting theme of Orchid Pavilion is also considered for discussion. Furthermore, this paper analyzes how the distinct iconography of "Lanting" originated in China was introduced to Japan and accepted by Japanese painters throughout artistic changes or cultural transfbrmation over the years. Last but not least,the Wang Xizhi's spirit seen in his "Preface to the Orchid Pavilion Poems" (蘭亭序)should be worthy of special attention, although his preface was totally inappropriate on pleasant occasions such as a banquet. His immortal preface goes: Although the span of men's life may be longer or shorter, the sad thing is that all must end in death. People are moved with Shunkin's paintings entitled "Orchid Pavilion Paintings", which reveal beauty in transforming things instead of eternal beings.
著者
神里 博武 Hirotake Kamizato 長崎ウエスレヤン大学現代社会学部福祉コミュニティ学科 Faculty of Contemporary Social Studies Nagasaki Wesleyan University
出版者
長崎ウエスレヤン大学
雑誌
長崎ウエスレヤン大学現代社会学部紀要 (ISSN:13481142)
巻号頁・発行日
vol.1, no.1, pp.1-8,

2002年度から国の「待機児童ゼロ作戟」が始まっているが,保育所入所を待機している児童いわゆる待機児童の解消を図ることは,非常に困難なようである。本稿では全国的に待機児童の多い沖縄県の状況を検討しながら,行政がいくら待機児童対策を講じてもなかなか減少しない,沖縄の保育状況を分析し考察した。その結果,待機児童を「顕在化した待機児童」と「潜在的な待機児童」に分けて,潜在的待機児童にメスを入れることの必要性を強調した。待機児童の背後に存在する膨大な潜在的待機児童の状況を明らかにするために,沖縄県の保育問題としての認可外保育施設や5歳児保育問題について検討した。
著者
小堀 智恵子
出版者
佛教大学
雑誌
佛教大学大学院紀要. 社会福祉学研究科篇 (ISSN:18834019)
巻号頁・発行日
vol.38, pp.1-18, 2010-03-01

次世代育成支援地域行動計画によって,保育現場は様々な事業を担いながら,一方で人材や空間などの保育条件が充分に保障されないという矛盾を抱えて,日々実践していると考えられる。本論は,前期行動計画が保育現場にどのような影響をもたらしたのか,その現状と課題について明らかにするために,統計資料を中心に分析をした。その結果,待機児童対策と特別保育事業は量的に拡大しているが,その中心は民間保育所であること,公立でも民間でも非正規職員が増加していることがうかがえた。さらに,一時保育と地域子育て支援センターは,困難な条件の下での実践を余儀なくし,全市的に見て充分機能しているとは言えない状況がみられた。公的保育制度を後退させながら数値目標を追う行動計画は「保育の質」を担保できず,保育現場においては,子どもの発達要求と保護者の保育要求を軸に,実践を組み立てていくことが課題であることを述べた。
著者
渡辺 明日香 城 一夫 児玉 好信
出版者
一般社団法人日本色彩学会
雑誌
日本色彩学会誌 (ISSN:03899357)
巻号頁・発行日
vol.31, no.2, pp.74-84, 2007-06-01
参考文献数
6

前報では、女性服装色における周期性、同調色・相反色の存在について明らかにすることができた。そこで、本報では原宿・渋谷・銀座の3地域の出現色の差異に着目しさらなる考察を試みたところ、以下のことが分かった。第一に、服装色の出現頻度は地域によって異なる。原宿ではブラック、ブルー、レッドの嗜好が高く、渋谷ではブラック、ホワイト、ブルー、ピンク、レッドの割合が高い。銀座はブラック、ホワイト、グレイ、ブラウン、カラードグレイ(アイボリー)が高く、無彩色の割合が服装色の50%以上を占めていることが特徴である。第二に、地域間の相関係数を求めた結果、原宿・渋谷は相関のある色が多く類似の傾向を示したが、銀座は相関のないものが多い。第三に、経年推移によって、類似する地域は変化することが分かった。1994年〜1998年では原宿・渋谷が類似の傾向を示すものが多く、銀座は独自な出現傾向であった。しかし1 999年以後、渋谷・銀座が類似の推移を示すものがみられ、さらに2002年以降は各地域の服装色に独立した傾向が生じている。
著者
小田 寛貴 池田 和臣 増田 孝
出版者
名古屋大学
雑誌
名古屋大学加速器質量分析計業績報告書
巻号頁・発行日
vol.15, pp.215-227, 2004-03

タンデトロン加速器質量分析計業績報告 Summaries of Researches Using AMS 2003 (平成15)年度
著者
小野崎 隆 山口 隆 姫野 正己 池田 広
出版者
園芸学会
雑誌
園芸学会雑誌 (ISSN:00137626)
巻号頁・発行日
vol.68, no.3, pp.546-550, 1999-05-15
参考文献数
10
被引用文献数
8 19

Pseudomonas caryophylliにより発生するカーネーション萎ちょう細菌病は, 夏の高温期に多発する立ち枯れ性の土壌伝染病害であり, 日本でのカーネーション栽培上最も重要で問題となっている病害であるが, その抵抗性育種は国際的に未着手の状態である.このため, 抵抗性育種素材の選抜と抵抗性品種の育成が, 緊急の課題となっている.本報では, カーネーション277品種の萎ちょう細菌病に対する抵抗性を, 浸根接種法による検定により評価した.接種から91日後の発病率によって, 抵抗性を極強(発病率 : 0%), 強(発病率 : 0<&acd;≦20%), 中(発病率 : 20<&acd;≦40%), 弱(発病率 : 40<&acd;≦70%), 極弱(発病率 : 70<&acd;≦100%)の5つに分類した.検定試験の結果, 供試品種のほとんどはり病性で, 207品種(全体の74.7%)は抵抗性が極弱に分類された.萎ちょう細菌病に対する抵抗性が強(発病率 : 0<&acd;≦20%)の品種は, 'ウィコ', 'ノクト', 'サンドローサ'の3品種のみであった.
著者
清水玄 著
出版者
羽田書店
巻号頁・発行日
1938
著者
日浦 勇 宮武 頼夫 冨永 修 西川 喜朗 桂 孝次郎
出版者
日本鱗翅学会
雑誌
蝶と蛾 (ISSN:00240974)
巻号頁・発行日
vol.29, no.2, pp.97-110, 1978-06-01

日本列島の生物地理を考えるにあたって,アジア大陸との中間に位置する対馬が重要な鍵をにぎるのはいうまでもない.われわれはこの島の昆虫・クモ相に興味をもち,1968年から計10回にわたって調査を行い,いくらかの新しい知見をえた.また,1973年には朝鮮半島南部で採集し,比較標本の入手につとめた.そのひとつとして,タイワンモンシロチョウPieris canidiaについて判明したことを報告したい.