著者
伊藤 雅隆 武藤 崇 Masataka Ito Takashi Muto イトウ マサタカ ムトウ タカシ
出版者
心理臨床科学編集委員会
雑誌
心理臨床科学 = Doshisha Clinical Psychology : therapy and research (ISSN:21864934)
巻号頁・発行日
vol.5, no.1, pp.83-94, 2015-12-15

本稿の目的は,過敏性腸症候群(IBS:Irritable Bowel Syndrome)に対しての認知・行動療法(CBT:Cognitive Behavior Therapy)について展望を行うことであった。有病率が約11%とされるIBSは機能性の消化器障害で,患者の多くがうつ病や不安症などを併発している。薬物療法で軽快しない事例などに,心理療法が適用され,その中でもCBTがその有効性を示している。IBSに対するCBTプログラムについて4種類に分類した。(a)認知療法を用いたもの,(b)ストレスマネジメントを中心にしたもの,(c)腸症状への不安を中心にしたもの,(d)マインドフルネスを用いたものに分類され,それぞれの特徴が示された。今後の課題として,併発症状やQOL改善を見据えた治療プログラムが必要であること,IBS の心理面の基礎的な研究が少ないこと,本邦での治療研究が必要であることが指摘された。研究動向
著者
斉藤 秀子 瀬戸 瑠美 薩本 弥生 丸田 直美 呑山 委佐子 斉藤 秀子 瀬戸 瑠美 薩本 弥生 丸田 直美 呑山 委佐子 SAITO Hideko SETO Rumi SATSUMOTO Yayoi MARUTA Naomi NOMIYAMA Isako サイトウ ヒデコ Saito Hideko セト ルミ Seto Rumi サツモト ヤヨイ Satumoto Yayoi マルタ ナオミ Maruta Naomi ノミヤマ イサコ Nomiyama Isako
出版者
山梨県立大学
雑誌
山梨県立大学人間福祉学部紀要 Bulletin of Faculty of Human and Social Services, Yamanashi Prefectural University (ISSN:21874344)
巻号頁・発行日
no.13, pp.1-10, 2018

美容医療の苦情は1997年から増加の傾向にあり、女性の美意識に関連した大きなビジネスが発展するとともに問題も生じているといえる。そこで、女性の美意識に関連する行動である女性の化粧、補整下着の着用、美容外科についてその意識を分析し、女子短大生の実態を明らかにしようと試みた。アンケート調査は2005年に短期大学生を対象として実施した。その結果、短大生は自分の身体に対して否定的な意識を持ち、現在使用している化粧、補整下着は限定されているが、今後、しみやたるみ、しわには化粧品を使用し美容外科の治療をしたい、補整下着であるガードルやボディスーツ、ハイヒールを利用したいと考えていることが明らかとなった。
著者
長谷部 ゆかり 齋藤 文子 ハセベ ユカリ サイトウ アヤコ Yukari Hasebe Ayako Saitoh
雑誌
聖泉論叢
巻号頁・発行日
no.17, pp.167-179, 2010

老年期を目前にした更年期にある女性は,閉経,子どもの独立など様々なライフイベントの変化からもストレスが蓄積し更年期うつ病や更年期障害などを引き起こす危険性がある1)。このため,医療職者は更年期女性の健康管理に着目し,心身の健康を保持するようなサポートが必要だと考える。高齢者には,老徴の現れとともに身だしなみやおしゃれに対して消極的になる傾向があり,心身ともに老化を促進させる要因となる2)との報告があり,化粧療法などの生活意欲向上方法が提案されている。一方,加齢とともに機会が減少するような結婚式などの非日常的なイベント時の装飾が生活意欲向上にどのように影響するのか報告された例はない。今回,更年期女性に対しウエディングドレス着用というイベントを提供した結果,精神的側面への影響を認めた。
著者
斉藤 浩一 高橋 郷史 サイトウ コウイチ タカハシ サトシ Koichi Saito Satoshi Takahashi
雑誌
東京情報大学研究論集
巻号頁・発行日
vol.9, no.1, pp.1-9, 2005-09-20

本研究は、最近言われる「理科嫌い」について、教育心理学的に原因を追求するものである。さらに、教育方法等に提言を行う。本稿では、実際の高校生に対してアンケート調査を行う。ここではまず「理科志向」という概念を設定し、それに満たない者を「理科離れ」の状態にあると定義する。さらに、これまでの理科教育やこれから志向する理科系への意識がどのように、因果関係を持っているか実態を捉え、モデルを構築する。以上によって、どのような教育施策が有効か、提言を行うものである。
著者
齊藤 壽彦 サイトウ ヒサヒコ Hisahiko SAITO
雑誌
千葉商大論叢
巻号頁・発行日
vol.40, no.4, pp.49-106, 2003-03-31

本論文において,日本銀行が大手銀行などから直接にその保有株式を買入れた問題を実証的,総合的に考察した。単なる現状分析にとどまらず,理論研究を基礎に,時間的推移も考慮に入れてこの問題を考察した。政策評価(意義と問題点の分析)も行った。本論文においては,まず本施策の決定過程を考察し,当初株式買入を拒否していた日本銀行が,不良債権問題の深刻化と株価低落に伴う大手銀行の経営悪化という状況変化のもとで,日本銀行自らがこの異例の施策の採用を決断するに至ったことを明らかにした。続いて本施策の目的,日銀の株式買入方法,買入れ状況を論述した。さらに日銀の株式買入限度額引上施策について,それが実施された背景や目的について考察した。最後にこの施策を信用秩序維持,証券市場,貨幣・中央銀行信認に及ぼす影響について検討した。本施策は日本銀行が銀行の株価変動リスク軽減を通じて金融システムの安定を図る政策であって,また,政府に不良債権の早期処理への取組を促すという役割をもっており,それは一定の役割を果たしたが,それは大きな限界をもっており,また証券市場の改善には役立たず,中央銀行の財務悪化を通ずる信認毀損の恐れという問題点をもっていたということをを明らかにしている。
著者
伊藤 創 イトウ ハジメ Hajime Ito
雑誌
国際研究論叢 : 大阪国際大学紀要 = OIU journal of international studies
巻号頁・発行日
vol.24, no.2, pp.193-208, 2011-01-31

In Japanese, the ru-form and ta-form of the predicates represent aspectual and temporal information. Using these forms correctly is very difficult for those learning Japanese. One of the reasons it is so difficult stems from the fact that the meaning of these two forms in subordinate clauses is very different from that when used in main clauses. The former is called “relative tense”, and the latter “absolute tense”.While a lot of analyses have been carried out about this so far, most aim at explaining the system of the tense and aspect itself, but have not been done from a pedagogical point of view. Considering the present situation, this paper seeks to find an effective way to make learners understand the aspectual and temporal meanings of ru-form and ta-form in subordinate clauses in addition to learning the correct usage of these forms by focusing on the noun-modifying clause.
著者
伊藤 駿 数実 浩佑 岡田 拓郎 山口 真美 Ito Shun Kazumi Kosuke Yamaguchi Manami Okada Takuro イトウ シュン カズミ コウスケ ヤマグチ マナミ オカダ タクロウ
出版者
大阪大学未来戦略機構第五部門未来共生イノベーター博士課程プログラム
雑誌
未来共生学
巻号頁・発行日
no.4, pp.225-242, 2017-03

研究ノート筆者らは2015 年4 月より関西圏のB 小学校において、「書く力」を子どもたちに養い、ひいては学力格差の是正を目的とするアクションリサーチに取り組んでいる。本研究は、その取り組みから得られた知見を教育社会学的視点から分析したものである。本稿はリサーチの途中経過であり、得られた知見の速報としての側面を持つ。子どもたちが書いた作文を中心に量的研究、質的研究の両面から現状、課題の把握を行った。その結果、かつてBernstein が指摘した階層による言語格差がB 小学校においても見られるとともに、既習漢字の使用が学力と有意な関連として見られた。また、教師たちは、語彙数や文量を重視せず、子どもたちの学校生活の様子と乖離した作文を肯定的に評価するという傾向が見られた。今後は量的研究としての妥当性を高めるためにより多くのサンプルを収集するとともに、子どもたちの作文を継続的に分析していく。また、質的研究としては参与観察を続け、子どもたちの「書く」ことへの姿勢や教師たちがどのような指導をしていくのか、ということの変化を捉えていく予定である。
著者
斉藤 日出治 サイトウ ヒデハル Hideharu SAITO
雑誌
大阪産業大学経済論集
巻号頁・発行日
vol.12, no.1, pp.1-24, 2010-09

Japan occupied the island of Hainandao just before the Asia Pacific War.The Japanese army murdered many Hainandao inhabitants during this occupation. Nevertheless the facts of these massacres have been suppressed and neglected by japanese government and people after the war. We have been researching the facts of the massacres by the Japanese army through interviews with the survivors in Hainandao. As a result we found these massacres did not happen accidentally, but were purposely carried out in accompaniment with the military operations of the Japanese army. These massacres took place continually from February 1939 to August 1945. I analyzed the Military Diary of the Japanese Navy in Hainandao. Recorded in this diary is not only military operations in the narrow sense, but also various government policies. For example, the mining of natural resources, management of land, control of prices, the education for the island inhabitants, and securing human resources. The aim of the Japanese army was to continue its war effort by pillaging resources, food, and using forced labor, among other things. It tried to construct a sphere of self-sustenance by pillage of its occupied countries. Many government policies were necessary to construct this sphere of self-sustenance by pillage. It shows the particularity of Japanese imperialism in comparison with Occidental imperialist practices.