著者
福田 亜希子 岩崎 雅史 山本 有作 石渡 恵美子 中村 佳正
出版者
一般社団法人日本応用数理学会
雑誌
日本応用数理学会論文誌 (ISSN:09172246)
巻号頁・発行日
vol.23, no.1, pp.109-181, 2013-03-25

近年,ハングリー型の離散可積分系である離散ハングリー戸田方程式と離散ハングリーロトカ・ボルテラ系から,非対称行列の固有値が高精度に求まるアルゴリズムが定式化されている.本論文では,アルゴリズムの導出過程に加え,中心多様体理論を利用した漸近解析,浮動小数点数演算における混合誤差解析,高速化のための原点シフトに関する結果について概説する.ハングリー型の離散可積分系を結ぶベックルント変換についても示す.
著者
中村 佳敬
出版者
大阪大学
雑誌
特別研究員奨励費
巻号頁・発行日
2009

本年度は、雷嵐に伴って発生するシビア現象と雷放電活動を全世界的に解析し、シビア現象をもたらす積乱雲と雷放電の全球的な分布・傾向を推定するため、全球落雷位置標定装置による全球の発雷分布と気象衛星による全球の降水分布の関係について研究を行った。本研究で使用した全球落雷位置標定装置は、世界50か所以上にVLFセンサを設置しており海洋上を含めた全球の雷放電活動をモニタリングしている米国ワシントン大学のWorld Wide Lightning Location Network (WWLLN)であり、全球の降水分布は米国海洋大気圏局の気象衛星に搭載されているマイクロ放射計Microwave Humidity Sounder (MHS)のデータセットから得られた固体降水量の鉛直積算値であるIce Water Path (IWP)を使用した。米国ワシントン大学に滞在し、これらの観測機器で得られた雷放電活動と固体降水量との関係を比較した結果、海域と陸域とで傾向が異なるものの、発雷頻度とIWPは指数関係にあることが明らかとなった。この発雷-降水関係を利用し、発雷観測を基とする衛星降水未観測域における降水量推定の可能性を示した。得られた雷放電と降水量の関係は光学観測に基づく推定結果と異なる傾向を示している。これは、中和電荷量等雷放電の規模が今まで考慮されていなかったためであると考えられ、今後の課題として陸域と海域、光学観測と電磁波観測で得られた関係性の違いを説明するために、雷撃のエネルギー量の観点からの解析が挙げられる。モデル構築の面では、本年度は気象庁非静力学モデルに対して、広帯域レーダシステムが種子島で観測した発雷を伴う雷嵐について電荷構造を推定した。この際、放電過程を導入した結果、一つの雷嵐の盛衰過程での電荷構造を再現した。雲放電が再現された一方で,本事例ついては対地放電が再現されなかったため、今後の課題としては落雷位置標定装置による対地放電の観測結果との比較評価が挙げられる。
著者
甲村 圭司 中村 佳朗
出版者
一般社団法人 日本機械学会
雑誌
日本機械学会論文集B編 (ISSN:18848346)
巻号頁・発行日
vol.79, no.804, pp.1489-1499, 2013 (Released:2013-08-25)
参考文献数
10

Aerodynamic noise with discrete frequencies is generated in an unexpected way from a slit between a flat plate, which is placed in parallel to the main flow, and a wedge that is placed normal to the flow. To study this phenomenon, we examined the discrete frequency noise generated by a subsonic air jet flow from a slit. It was found that the slit height and the plate length have considerable effects on the noise generation. In addition, the discrete frequency noise was generated only when the values of these parameters are within a limited range. Furthermore, it was found that the noise frequency is proportional to the jet velocity and is inversely proportional to the plate length. Finally, it was made clear from the present study that the interaction of the vortex, which is generated from the shear layer due to a wedge, with the wake of a flat plate is a major cause for the discrete noise due to a slit.
著者
中村 佳敬
出版者
神戸市立工業高等専門学校
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2013-04-01

上向き落雷は冬季雷の特徴のひとつだが、一般的な雷放電との相違性などについて雲内電荷の観点からの議論がなされていない。冬季雲内の電荷領域、放電規模を放電路可視化装置により実証するため、夏季雷では実績のあるVHF帯干渉計とLF帯受信機を冬季雷に向けて改良した。VHF帯干渉計は記録方式を連続記録にすることで、従来機では制約のあるリコイルリーダを複数可視化し雲内電荷領域を推定した。冬季に発生する水平に広がる雷放電にはLF帯受信機が適しているが詳細な放電過程の可視化には不十分である。この一因にLF帯受信機のアンテナ周波数特性にあると考え、受信アンテナ回路の改良を実施し試験観測によりその有用性を評価した。
著者
川村 道彦 中村 佳正 畑田 一幸 岩田 恵司 竹内 茂 中馬 悟朗
出版者
岐阜大学
雑誌
一般研究(C)
巻号頁・発行日
1986

科研費の補助のおかげで、今年度は多数の研究者と何回か研究討論ができました。また、情報交換や資料収集ができ、今後の研究の推進の基礎が得られました。これらをもとに今年中にその成果を発表するつもりで頑張ってきましたが代表者自身の結果を発表するには今、少し時間を必要としている状況です。私はマルチンの理想境界、特にピカール原理について研究を続けて来ました。他の研究者から得たいくつかの情報のうち、特に、中井三留,多田俊正両先先生による結果として、ピカール原理の非斉次性に関してきわめて特異な状況が起ることが知られ、従来の考え方を一変して新しい観点から研究を進める必要性を感じ鋭意研究中です。一方、研究分担者、中村佳正氏によるものとして、次の二つの結果を上げます。1.定常軸対称な重力場を記述するアインシュタイン方程式について、ある線型方程式系の解を成分とする行列の行列式で特徴づけられる(アインシュタイン方程式の)解の系列の具体的表示を得たこと。次に、アインシュタイン方程式のある境界値問題が、指数型の無限階微分作用素を用いて、局所的に解けることを示した。2.ある形式的ループ群に値をとる行列のリーマン・ヒルベルトの意味での分解可能性を示した。さらに、この結果をある定常確率過程のスペクトル密度行列の分解に応用して、線形予測問題の解、すなわち予測子と予測誤差の存在を明らかにした。
著者
横山 ゆりか 伊藤 俊介 長澤 夏子 横山 勝樹 中村 佳甫
出版者
東京大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2013-04-01

場所愛着に関する研究はいくつかあるが、いずれも戸建を中心とした住宅や古い既成住宅地域を対象とした研究である。本研究では、戦後郊外に面開発されてきた比較的新しい計画住宅団地とその周辺地域に対する愛着の醸成について考察する。同一県内に異なる時期に開発され、計画の異なる2つの住宅地を対象とし、居住者の大人と子どもにプレイス・アタッチメントを問う計量的・質的調査を行った。その結果、住民の入居時期と年齢層によって異なる愛着の状態が形成されている実相を示し、それを反映した研究手法が地域のプレイス・アタッチメント研究に今後求められることを明らかにした。
著者
斎藤 崇雄 中村 哲也 メンショフ・イゴール 中村 佳朗 前田 一郎 内山 直樹 海田 武司
出版者
日本流体力学会
雑誌
日本流体力学会年会講演論文集 (ISSN:13428004)
巻号頁・発行日
vol.2003, pp.480-481, 2003-07-28
被引用文献数
1

The phenomena of ignition overpressure (IOP) has been simulated in two cases with the specific heat ratio γ=1.18 and γ=1.4. The former case assumes that a combustion gas fills the overall computational region, while the latter assumes air instead of the combustion gas. The objective of the present study is to investigate whether IOP is affected by the kind of gas. This simulation was performed for a solid rocket booster (SRB) of space shuttle. The time history of pressure rise at the nozzle inlet was taken into account by imitating the SRB ignition. The result with γ=1.18 shows good agreement with the data measured on the surface of STS-Ts SRB.
著者
中川 一郎 中村 佳重郎 田中 寅夫 東 敏博 藤森 邦夫 竹本 修三
出版者
京都大学
雑誌
一般研究(B)
巻号頁・発行日
1991

ジオイドは、地球表面におけるさまざまな測地学的測定の基準面であるばかりでなく、その起伏が地球内部の構造と状態とを反映することから、ジオイドの精密決定は、測地学のみならず、地球物理学においても、きわめて重要で、かつ、基礎的な課題の一つである。本研究は、人工衛星アルチメトリィ・データや海上重力測定データや検潮データに加えて、陸上における重力測定やGPS精密測位および水準測量などのデータを総合し、西南日本におけるジオイドの起伏を精密に決定するとともに、得られたジオイドの起伏と地殻および上部マントルの密度異常との関係を明らかにし、その物理的な意義を解明することを目的として、つぎの研究を実施した。1.西南日本におけるジオイド面の起伏を精密に決定にするためのデータ・ベースとして、重力測定データ、水準測量データ、鉛直線偏差データならびに検潮データなどに加えて、トペックス・ポセイドン衛星のアルチメトリィ・データを収集した。2.近畿地方から九州地方にかけての東西約600kmの範囲内で選定された26地点において、可搬型GPS受信機6台を用いたGPS観測を実施し、これらの地点の楕円体比高を求めるとともに、水準測量によって標高を決定した。その結果、すでに得られている結果とあわせて、西南日本における合計57地点のジオイド比高が決定された。3.鳥取,別府,紀伊半島および西国の各地域におけるGPS観測点において、ラコスト重力計を用いた精密重力測定を実施した。4.気象庁および大学の地震観測データを用いて、西南日本の地震波速度異常の3次元的構造を決定することを試みた。5.ジオイド面ならびに3次元地震波速度構造の空間表示を行なうための面像処理プログラムの開発を行なった。
著者
石橋 理恵子 丸山 千寿子 田中 利枝 南 昌江 島田 朗 内潟 安子 黒田 暁生 横野 浩一 筒井 理裕 目黒 周 小山 一憲 大村 栄治 清水 一紀 高橋 和眞 中村 佳子 益子 茂 丸山 太郎
出版者
THE JAPAN DIABETES SOCIETY
雑誌
糖尿病 = JOurnal of the Japan Diabetes Society (ISSN:0021437X)
巻号頁・発行日
vol.48, no.3, pp.189-195, 2005-03-30
被引用文献数
1

1型糖尿病患者の治療および, 食生活の実態を明らかにすることを目的に調査を行った. 糖尿病専門医14名に計463部の調査票を配布し, 外来時に1型糖尿病患者に渡してもらい, 留め置き法で回収者に直接郵送してもらった (回収率54.4%). コントロールとして, 健常者166名に食生活習慣調査を実施した. 健常者に比べ, 1型糖尿病患者は望ましい食生活習慣が形成されていたが, 食事にストレスを感じる者が多かった. さらに, 1型糖尿病患者を食事療法実践意識により4群に分類したところ, 食事療法実践意識が高い者は他群に比較して有意にカロリーに配慮する者が多く, 野菜摂取量も多く, 海藻や果物, 低脂肪乳摂取頻度も高かったことから, 食事療法を遵守していると考えられた. しかし, 食事療法実践意識によりHbA<sub>1</sub>cや低血糖回数に差はみられず, 1型糖尿病の食事療法の教育内容を検討しなおし, ストレス軽減に考慮した栄養教育を展開していく必要があると思われた.
著者
近藤 弘一 笹田 昇平 小幡 雅彦 岩崎 雅史 中村 佳正
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会論文誌. コンピューティングシステム (ISSN:03875806)
巻号頁・発行日
vol.48, no.8, pp.216-225, 2007-05-15
参考文献数
13

本論文では非可逆画像圧縮におけるKakarala-Oeunbona (KO)の画像分解アルゴリズムを考える.KO分解では行列の特異値分解(SVD)を利用した主成分分析が行われ,2次元解散ウェーブレット変換と同様な多重解像度解析が可能である.左特異ベクトルをフィルタとして利用することが特徴である.一般に特異値の近接度が高いとき,SVD数値計算アルゴリズムによって特異ベクトルが高精度に求められるとは限らない.本論文ではKO分解における特異値の近接度を低減させるアルゴリズムを提案する.元画像に対してランダム模様のふちどりを追加することで特異値分布を変化させる.数値実験によりその効果を示し,圧縮画像の誤差評価を行う.さらには,フィルタ行列の量子化について議論する.
著者
高田 雅美 木村 欣司 岩崎 雅史 中村 佳正
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会論文誌コンピューティングシステム(ACS) (ISSN:18827829)
巻号頁・発行日
vol.47, no.7, pp.91-104, 2006-05-15
被引用文献数
6

高精度かつ高速に上2 重対角行列を特異値分解するために,我々は,dLV(離散ロトカ・ボルテラ:discrete Lotka-Volterra)系による新たな特異値分解ライブラリを開発している.既存ライブラリとしては,線形数値計算ライブラリLAPACK におけるDBDSQR がある.DBDSQR は,QRs法に基づいた特異値分解ライブラリであるが,計算量が多く,実行時間の面で大規模向きではない.また,いくつかの特異ベクトルのみを計算することも困難である.一方,dLV 系により定式化されたI-SVD(Integrable-Singular Value Decomposition)法は,計算量が抑えられる動作原理を持つ.本論文では,I-SVD 法の実装ライブラリDBDSLV を開発し,実行時間と計算精度について,DBDSQR との比較数値実験を行う.精度を調べる際,真の特異値と特異ベクトルが判明している上2 重対角行列が必要となる.そこで,Golub-Kahan-Lanczos 法によるテスト行列作成法を用いる.実験の結果,DBDSLV は,DBDSQR よりも誤差の少ない特異値と特異ベクトルを非常に短い実行時間で計算されることが確認された.計算された特異ベクトルの直交性も同程度であり,再直交化を行えばDBDSQR を上回ることも分かった.To perform SVD (Singular Value Decomposition) of bidiagonal matrices with high accuracy and high-speed, we develop a library by using the dLV (discrete Lotka-Volterra) system. Today's standard routine for SVD is DBDSQR provided in LAPACK (Linear Algebra PACKage). Since the computation of SVD by DBDSQR is based on the QRs (QR with shift) algorithm, DBDSQR is slow in speed and is unsuitable for large scaled problems. It is also difficult to obtain only a few singular vectors by using DBDSQR. On the other hand, the I-SVD (Integrable-SVD) scheme based on the dLV system enables us to cut down the computational cost by separating the computation process of singular values and vectors. In this paper, for evaluation of computational time and accuracy, we implement the I-SVD scheme to a new routine named DBDSLV and compare it with DBDSQR. For a comparison of accuracy, we use a method for constructing a class of upper bidiagonal random test matrices having true singular values and vectors by means of the Golub-Kahan-Lanczos method. As experimental results, we confirmed that DBDSLV is faster and errors of singular values and vectors in DBDSLV are smaller than those in DBDSQR. Though the orthogonality of computed singular vectors in DBDSLV is in the same order as in DBDSQR, we found that DBDSLV has a better orthogonality through a reorthogonalization.