著者
中村 和彦
出版者
神奈川大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2010

海洋生物などに由来する生理活性物質について、環形動物ウミケムシの炎症惹起物質コンプラニンをモデルに機能解明を目的として化学的研究を進めた。また植物成分からコンプラニンに構造が類似したアセチレンアミドを単離し、メラニン生成を阻害することを見出した。またGrubbs触媒によるジオールの開裂反応を見出し、生理活性について考察した。
著者
髙橋 芳雄 足立 匡基 安田 小響 栗林 理人 中村 和彦
出版者
弘前大学大学院医学研究科・弘前医学会
雑誌
弘前医学 (ISSN:04391721)
巻号頁・発行日
vol.68, no.2-4, pp.189, 2018 (Released:2021-04-26)

【目的】 本邦における中高生を対象にした大規模調査では、8.1%の生徒にインターネット依存傾向があることが明らかになっている(Morioka et al, 2016)。また、中学生においてインターネット依存傾向が身体的・精神的健康に対してネガティブな影響をもつこともわかっている。しかしながら、小学生を対象にインターネット依存傾向についての研究はこれまでにない。本研究では市内の小中学性を対象に調査を行い、児童思春期におけるインターネット依存傾向の実態把握及び、インターネット依存傾向と精神的健康の関連を検討する。 【方法】 市内全国公立小中学校に通う小学四年生以上の全児童生徒を対象に質問紙調査を実施し、8206人(96.3%)から有効回答を得た。インターネット依存についてはYoung's Diagnostic Questionnaire(YDQ)を用いて評価した他、児童生徒の抑うつ症状と生活の質(QOL)を同時に評価した。 【結果】 学年および性別を独立変数、YDQ 得点を従属変数として設定し、二要因の分散分析を行なった結果、学年の主効果および学年×性別の交互作用が有意であった。このことから学年が進むにつれて児童生徒のインターネット依存傾向が強くなること、学年によって性別がインターネット依存傾向に与える影響が異なることが示唆された。また、特に中学一年生から中学二年生にかけてインターネット依存傾向が特に強まることも明らかになった。続いて、YDQグループにおける抑うつおよびQOL の差を検討するために分散分析を行なった結果、“病的インターネット使用” 群では、他の群と比較して有意に強い抑うつ症状を示すともに、QOL が有意に低いという結果が示された。また、小中学性を分けて解析した際にも一貫して同様の傾向が認められた。 【考察・結論】 本研究の結果から学年が上がるにつれて、インターネット依存傾向をもつ児童生徒が増えること、特に中学二年生でインターネット依存傾向をもつ割合が大幅に増加することがわかった。今後は中学2年時に生じるインターネット病的使用の大幅な増加に寄与する因子を特定することが必要である。また、中学生だけでなく、小学生においてもインターネット依存傾向が児童の精神的健康やQOL にネガティブな影響を与えていることがわかり、インターネット依存傾向に対する早期介入の必要性が示唆された。
著者
中村 和彦 武長 理栄 川路 昌寛 川添 公仁 篠原 俊明 山本 敏之 山縣 然太朗 宮丸 凱史
出版者
日本発育発達学会
雑誌
発育発達研究 (ISSN:13408682)
巻号頁・発行日
vol.2011, no.51, pp.51_1-51_18, 2011 (Released:2011-08-20)
参考文献数
34
被引用文献数
5 3

Introduction : Many studies on motor development in young children have been done using quantitative data obtained from motor performance tests. To understand motor development in young children, the development of the actual motor pattern producing the performance should be investigated and evaluated. The purposes of this study were to examine the development of seven different fundamental motor patterns (patterns of running, jumping, throwing, catching, ball bouncing, forward rolling, and moving on a balance beam) using an observational evaluation method, and to compare the acquisition situations of the fundamental motor patterns of young children in the recent year and in 1985.Method : The subjects were 154children (81boys and 73girls) from three to five years of age in 2007, and 123children (59boys and 64girls) in 1985. Their fundamental movements were recorded by video camera and evaluated by an observational method using five typical developmental stages of the motor patterns in each movement. Based on the results of analysis of these seven fundamental motor patterns, an index to understand the development of fundamental movement in early childhood overall was established as a “motor pattern development score”.Results : It was shown that the motor patterns of the seven fundamental movements in recent young children remained at an immature movement development stage, such as pattern 1 and pattern 2. A significant increase was seen with age in both the individual motor pattern scores for the seven movements and the motor pattern development score. Moreover, it was shown that the motor pattern scores of resent young children were below the scores of young children in 1985 in the seven kinds of movements in both boys and girls.Conclusion : The results of this study, showed that the acquisition of the fundamental motor patterns in resent young children was at a lower developmental stage than that of young children in 1985. It was also shown that the acquisition of fundamental movements in resent five-years-olds was similar to that of three-years-olds in 1985.
著者
三辺 義雄 森 則夫 武井 教使 中村 和彦 豊田 隆雄
出版者
浜松医科大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2003

覚醒剤の乱用者数は世界中で増加している。覚醒剤の使用により、幻覚妄想状態、うつ状態、攻撃性の亢進など、様々な精神症状が惹起されることが知られている。さらに、これらの症状は覚醒剤の使用中止後もしばしば遷延することが報告されている。これまでの動物実験により、覚醒剤はセロトニン神経に対する傷害作用を有することがわかっている。そこで我々はポジトロン・エミッション・トモグラフィー(PET)を用いることにより、セロトニン・トランスポーター(5-HTT)密度を測定し、これらの変化と臨床的特徴との関連について検討した。なお、本研究は浜松医科大学倫理委員会で承認を得ており、研究の詳細を説明した後に文書による同意を得た者のみを対象とした。対象は覚醒剤使用者12名及び健常者12名である。精神症状評価には、攻撃性評価尺度、ハミルトンうつ病評価尺度、ハミルトン不安評価尺度、簡易精神症状評価尺度(BPRS)を用いた。トレーサは、5-HTTへの選択性の高い[^<11>C](+)McN5652を用いた。動脈血漿及び脳内から得られた時間放射能曲線を用いて[^<11>C](+)McN5652 distribution volumeイメージを作成し、これらのイメージをもとにvoxel-based SPM全脳解析を行った。覚醒剤使用者では、健常者と比較して、脳内の広範囲における5-HTT密度が有意に低下していた。また、眼窩前頭前野、側頭葉、前帯状回皮質における5-HTT密度の低下が攻撃性の増強と密接な関連があることが明らかとなった。これらの結果とこれまでの動物実験の結果とを勘案すると、覚醒剤使用者ではセロトニン神経が傷害されている可能性があることが示唆された。セロトニン神経は攻撃性や衝動性を抑制する働きを担っていると考えられている。覚醒剤使用者では、セロトニン神経が傷害された結果、セロトニン神経の機能障害が生じ、攻撃性が亢進するものと考えられる。現在この結果は論文受理された。さらにproton MRS studyでは、トルエン患者の基底核の膜代謝異常が、患者の精神症状の程度と相関していることを見出し、論文発表した。
著者
久保 暁子 山本 清龍 中村 和彦 下村 彰男
出版者
一般社団法人 環境情報科学センター
雑誌
環境情報科学論文集
巻号頁・発行日
vol.33, pp.181-186, 2019

<p>本研究では,ストレス軽減のためデジタル機器から一定期間離れる取り組みであるデジタルデトックスの基盤的な研究を企図して,①回答者の属性とデジタル機器の使用状況,デジタル機器の依存性を把握し,それらの関係性を明らかにすること,②平日・休日の過ごし方,デジタルデトックスへの意向を把握し,デジタルデトックスの可能性を考察すること,の2点を目的とした。その結果,約半数の学生がデジタル機器を4時間以上使用し,一部の学生は機器の使用によって学生生活に問題を抱えていた。学生の意向をふまえれば,日常の機器使用制限や自然豊かな場所への外出はデジタルデトックスに有効と考えられた。</p>
著者
長野 康平 中村 和彦
出版者
日本スポーツ教育学会
雑誌
スポーツ教育学研究 (ISSN:09118845)
巻号頁・発行日
vol.40, no.2, pp.77-87, 2020-12-31 (Released:2021-03-31)
参考文献数
19

Background: Regarding the burden of teachers in school athletic club activities, it is often argued that it is a burden because time of school athletic club activities related to working hours is long. However, factors related to the perceived burden of school athletic club activities have not been considered. The purpose of this study was the following three. 1) To clarify the rate of complaints about the perceived burden of teaching school athletic club activities among junior high school teachers in Yamanashi Prefecture. 2) To examine the relationship between teaching specialized competition and perceived burden. 3) To examine the relationship between the subject and the teaching specialized competition with the perceived burden.Method: We got data from 1,068 teachers who teaching school athletic club activities at junior high school in Yamanashi prefecture. Using a logistic regression analysis, we investigated a complex relationship between subject, involvement in specialized competition, and a perceived burden for teaching of school athletic club activities.Result: The accused rate of perceived burden to the teaching of school athletic club activities was 72.3%,21.3% of which had a sense of burden of high intensity. Odds ratio which has perceived burden so much that it is not involved in own specialized competition was high. Participation in the subject and specialized competitions was combined with complaints of perceived burden.
著者
鈴木 勝昭 武井 教使 土屋 賢治 宮地 泰士 中村 和彦 岩田 泰秀 竹林 淳和 吉原 雄二郎 須田 史朗 尾内 康臣 辻井 正次
出版者
浜松医科大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2010

本研究の目的は、自閉症の病態において脳内コリン系の果たす役割を明らかにすることにある。自閉症者脳内のアセチルコリンエステラーゼ活性を陽電子断層法(PET)により計測したところ、顔認知に重要な紡錘状回において有意に低下していた。さらに、この低下は社会性の障害の重症度と逆相関していた。すなわち、紡錘状回におけるコリン系の障害が強いほど、社会性の障害が強いという相関関係が示唆された。この結果は、自閉症のコリン系の障害は発達の早期に既に起こっており、顔認知の障害がもたらされ、もって社会性の障害の基盤となっていることを示唆している。そこで、認知の障害を注視点分布によって検出し、早期診断に役立てるために、乳幼児でもストレスなく注視点を測定可能な機器の開発を産学連携で行い、現在も継続中である。
著者
中村 和彦 秋穂 裕唯
出版者
九州大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2006

CD4^+CD25^+制御性T細胞(Treg)のin vitroでの培養増殖・分化誘導が可能であれば、Tregの潰瘍性大腸炎(UC)治療への応用に有用である。UC患者に対する血球成分除去療法産物より臨床応用可能なグレードで分離されたTregを抗CD3/抗CD28抗体ビーズ、IL-2で刺激した。細胞数は10日間で約18倍に増加し、TregのマーカーであるFOXP3発現細胞の割合は保たれた。また、通常のCD4^+T細胞との共培養で細胞増殖を抑制した。次に、CD4^+CD25^-non-TregからTGF-β1存在下にTregの誘導を試みた。誘導後、TregのマーカーであるCD25^+FOXP3^+細胞が増加し、CD4^+T細胞との共培養で細胞増殖を抑制した。以上より、Tregがin vitroで培養増殖・分化誘導可能である事が示された。更にrapamycin(RAPA)によりCD4^+T細胞からTregがin vitroで誘導可能か、誘導Tregに大腸炎抑制能があるかどうかマウスモデルで検討した。Balb/cマウス脾臓よりCD4^+T細胞を分離し、抗CD3抗体、抗CD28抗体、IL-2にてRAPA存在下に刺激培養した。RAPA存在下で培養した細胞の17%がCD25^+FoxP3^+であったのに対して、RAPA非存在下で培養した細胞はほとんどCD25、FoxP3を発現していなかった。CB-17 ScidマウスにBalb/cマウス由来CD4^+CD62L^+CD25^-T細胞1x10^6を腹腔内投与して大腸炎を誘導し、同数の分離・培養Tregを同時移入した。RAPA存在下で培養したCD4^+T細胞は、マウス脾臓より分離したTregと同様に大腸炎の発症を抑制した。RAPA誘導Tregは分離Tregと同様に大腸炎抑制能を有する事が示された。
著者
中村 和彦 神野 一平 妹尾 孝憲
出版者
一般社団法人映像情報メディア学会
雑誌
テレビジョン学会誌 (ISSN:03866831)
巻号頁・発行日
vol.47, no.10, pp.1351-1357, 1993

スタジオ規格ディジタルビデオ信号のシリアル伝送のためのチップセットを開発した.4チップからなるシリアルインタフェース用チップセットは, アナログのFIRフィルタによる波形等化回路を内蔵し, 同軸ケーブルの伝送損失を自動的に補償可能である.また, コンポジットNTSC/PAL, コンポーネント525/625,および, ワイドコンポーネント525/625の各ディジタルビデオ信号の伝送に対応している.さらに, 並列型のスクランブル/デスクランブル回路の採用による低消費電力化, 24ビット音声4チャンネルの多重化分離回路の内蔵, 伝送エラー監視のためのEDH(Error Detection and Handling)パケットの対応等を実現した.本チップセットの使用により, トータルディジタルシステムの構築が容易となる.
著者
秋穂 裕唯 中村 和彦
出版者
一般財団法人 日本消化器病学会
雑誌
日本消化器病学会雑誌 (ISSN:04466586)
巻号頁・発行日
vol.111, no.7, pp.1353-1358, 2014-07-05 (Released:2014-07-05)
参考文献数
32

過敏性腸症候群(irritable bowel syndrome;IBS)の薬物療法について概説した.薬物療法は食事と生活習慣を指導した後に,消化管主体の治療を行う.第1選択薬としてプロバイオティクス,高分子重合体,消化管機能調整薬を使用する.症状の改善が不十分な場合は,症例ごとに優勢な症状に対して止痢薬,抗コリン薬,下剤などの薬物を追加する.また5-HT4刺激薬,抗アレルギー薬,漢方薬,抗うつ薬,抗不安薬も治療効果を有する.近年有効性の高い男性下痢型IBSに対する5-HT3拮抗薬,便秘型IBSに対するCIC-2賦活剤が登場した.IBSの病態機序のさらなる解明と治療薬の開発が期待される.
著者
斉藤 まなぶ 足立 匡基 中村 和彦 大里 絢子 栗林 理人 高橋 芳雄 吉田 恵心 安田 小響
出版者
弘前大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2016-04-01

発達障害の有病率及び併存率の推定:平成26年4月から平成28年10月までに健診に参加した全5才児3804名(月齢平均:63カ月)を解析の対象とした。一次スクリーニングは2923名(76.8%)から回答を得た。二次検診の対象児は607名(20.8%)であった。最終的に希望者31名を含む440名が二次健診に参加した。ASDの診断については、さらに補助診断検査としてASD診断を受けた対象者に後日ADI-RまたはADOSを施行した。その結果、自閉症スペクトラム障害(ASD)が3.30%、注意欠如・多動性障害(ADHD)が4.95%、発達性協調運動障害(DCD)が5.54%、知的障害/境界知能(ID/BIF)が3.33%であった。また、ASDではADHD合併が60.0%、DCDの合併が61.1%、ID/BIFの合併が40.0%であった。疫学調査における使用尺度の妥当性の検討:AD/HD-RSの内的整合性(N Takayanagi, et al. 2016)、ASSQ短縮版の5歳児適用における妥当性(足立ら、2016)を検証した。リスク因子の検討:得られた疫学データからロジスティック回帰分析を行い、ASDのリスク因子は出生体重2500g未満と父親の高齢が有意な結果となった。バイオマーカーの検討:ASD群でIGF-1、VLDL-Cho、VLDL-TGに有意な性差があった。バイオマーカーとASD、ADHD症状との関連性はIGF-1が実行機能の問題、VLDL-Choが相互的対人関係の問題、VLDL-TGが社会性、想像力、対人関係の問題と負の相関があったGazefinderを用いた注視点検査では、5歳のASD児は興味のある映像への注視は長く、興味のない映像への注視は短いことが確認された。
著者
中村 和彦
出版者
名古屋大学
雑誌
名古屋大學教育學部紀要. 教育心理学科 (ISSN:03874796)
巻号頁・発行日
vol.40, pp.183-202, 1993

Recent studies in attitude structure are discussed in relation to the two areas of attitude strength and cognitive/affective divergency of attitude. With regard to attitude strength, two series of studies on attitude formed by elaboration and on attitude accessibility are discussed. Issues pertaining to attitude strength are pointed out, such as the one-component attitude perspective, implications of response latency, and necessity of a theoritical viewpoint on how to relate one attitude strength's index with the other. In the area of cognitive/affective divergency of attitude, studies which have examined the independency between cognition and affect toward the attitude object, and those which have indicated the difference between affectively-based attitudes and cognitively-based attitudes, are reviewed. Following the review of attitude base, problems in this area are discussed. Specifically, definitions of cognitively/affectively-based attitudes are divided into three types, and the difference between them are discussed.国立情報学研究所で電子化したコンテンツを使用している。