著者
米津 光浩 中西 正和
雑誌
全国大会講演論文集
巻号頁・発行日
vol.52, pp.9-10, 1996-03-06

化学反応にヒントを得て計算モデルを構築しようという試みはいくつかある。ブロダクションシステムの自己組織化を化学反応に見立てた金田の化学的キャスティングモデル(CCM)、並行計算の理論的記述に化学反応メタファを生かしたBerry、Boudolの化学抽象機械CHAM(CHemical Abstract Machine)などであり、またペトリネットとの対応も古くから指摘されている。我々は特に創発計算を目指した化学反応のモデル化を試みてきている。 本稿では、最も基本的な抽象化学系と、その拡張である負触媒を持つ系について述べる。抽象化学系では特にセルオートマトンが記述可能であることを指摘し、負触媒を持つ系では特に抑止アークつきペトリネットとの等価性と計算万能性を指摘する。
著者
湯本 浩通 松尾 敬志 尾崎 和美 中西 正 中江 英明
出版者
徳島大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2009

高周波・電磁波照射(500-1, 000 kHz, 5-10回, 1秒/回)は、口腔病原菌に対して照射回数依存的な殺菌効果を示した。また高周波・電磁波照射(500 kHz, 5回, 1秒/回)は、骨芽細胞の増殖を促進させ、さらに様々な成長因子の遺伝子発現や蛋白産生も増強させた。以上より、高周波・電磁波照射は、難治性根尖性歯周炎に対する非外科的歯内療法あるいは歯槽骨再生療法に応用できる可能性が示唆された。
著者
近藤 奈々 中西 正和
雑誌
情報処理学会研究報告プログラミング(PRO)
巻号頁・発行日
vol.1992, no.49(1992-PRO-065), pp.1-7, 1992-06-12

従来のウインドウ環境におけるインタフェースにおいて、1つの処理を始めるとそれが終わるまで、他のイベントを受け付けないので、ユーザを待たせる原因となっている。これはインタフェースを記述するプログラムが並列性を持っていないためである。本稿では、Xウインドウシステムインタフェースを記述する言語に並列性を導入し、Xサーバと通信機能をもつ並列 lisp 処理系 Momolisp について報告する。Momolisp は Unix 上の1つのプロセスの中で動作し、その中で複数のスレッドを実行させる。
著者
岩井 輝男 中西 正和
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会研究報告. 記号処理研究会報告
巻号頁・発行日
vol.93, no.52, pp.9-16, 1993-06-18

Lisp ServerはMach OS 3.0 と似ていて,単純な機能とLispインタプリタを備えたOSである.この基本となる考えはシンプルで,拡張性のあるカーネルの通信を持っている.この目的はすべてのOSの処理がカーネルを通してユーザプログラム(スレッド)間の通信で可能になるまで,OSの機能をカーネルの外に出すことである.極端に言えば,カーネルはユーザプログラム間の通信をサポートするだけとなる.このような思想のもとに設計したLisp ServerはMulti-User Multi-Threadであり,すべてのLispのセルを共有した,環境をユーザに与えるOSである.
著者
中西 正治
出版者
公益社団法人日本数学教育学会
雑誌
数学教育論文発表会論文集
巻号頁・発行日
vol.39, pp.655-660, 2006-10-07

本稿は、『カズノホン』『初等科算數』における関数教育の変容や特質について考察したものである。考察の結果、次の4点が明らかとなった。1点目は、関数教育を比例関係と反比例関係だけの学習とするのではなく、統計資料や図形の事象においても、静的ではなく動的に見みることによって、関数的な見方や考え方をしていること、2点目は、関数関係としての比例・反比例は6年生で学習しているが、その素地および段階的な指導は1年生から始められていること、3点目は、グラフを変化の全体の趨勢を考察するための有効的な手段としていること、4点目は、6年生を中心に力学的な事例が多く盛り込まれ、実験を通してその事象における各々の関係の理解を図っており、その力学的関係の理解には比例関係と反比例関係を基盤としていることである。
著者
丹羽 雅子 中西 正恵
出版者
奈良女子大学
雑誌
一般研究(A)
巻号頁・発行日
1993

衣服の外観の美しさ、着やすさを含む人間の感性と適合した高品質衣服を設計するに当って、衣服の形成能、仕立て映え等に関する布の客観的性能評価法の確立が重要である。しかし、これまで、衣服設計は主としてデザイナ-の感性に基づき、その経験と勘によってなされてきている。衣服が工業生産される今日、特に婦人服は、従来からの天然、人造繊維による多岐にわたる素材に加えて、高度な繊維集合体製造技術を駆使した合成繊維織物"新合繊"や新世代ウ-ル等が開発され、これまでの衣服素材とは異なる全く新規な素材の出現をみるに至っている。しかし、これらの新しい素材の衣服の最適なシルエットデザイン、ならびに可縫性を見きわめた縫製システム制御に関しては、従来の経験を適用することが不可能で、多くのリスクのもとに衣服生産がなされ、そのリスクを背負った消費生活が強いられている。本研究は、より快適な衣生活の実現を目指し、高品質衣服の生産と消費のサイクルを資することを目標として、布の基本力学特性から衣服の最適シルエットをデザインする方法を開発し、その実用性については国内外のこれらに関連する研究分野の技術者の協力を得てフィールドワークによって確認した。他方、高品質衣服を構成するに際して、布の基本力学特性に基づいて最適な縫製の工程設計ならびに工程制御が必要とされることから、シームパッカリング、縫目破損、縫目滑脱の生じない最適な縫目を形成するための縫糸、縫針、ミシンの調整などを選定し、制御する方法等について以下の基礎的知見を得た。(1)布の基本力学特性に基づく高品質衣服のための最適シルエットデザインとそれぞれの最適シルエットの得られる高品質布地の持つ力学的性質の範囲を明確化。(2)高品質衣服生産のための縫製システム制御の基礎的研究として、レーザ光を利用した試作パッカリング検出装置によるパッカリングの客観的評価法の開発と、最適縫目を得るためのミシンの動的上下糸張力の測定法の開発と理論的解析に基づく縫製条件の設定、制御のための基礎的資料の整備。(3)布の基本力学特性に基づく高品質衣服生産のための縫製工程のシステム化とフィールドワークによるその妥当性の検証。
著者
中西 正己 紀本 岳志 熊谷 道夫 杉山 雅人 東 正彦 和田 英太郎 津田 良平 大久保 賢治
出版者
京都大学
雑誌
総合研究(A)
巻号頁・発行日
1994

1993年の琵琶湖の夏は、記録的な冷夏・長雨だったのに対し、1994年は猛暑と渇水に見舞われた。この気候変動は、琵琶湖の微小生物生態系を大きく変化させた。1993年夏の琵琶湖国際共同観測(BITEX)に続いて、1994-1995年夏の本総合研究において、世界に先駆けて実施された生物・化学・物理分野の緊密な連携のもとでの集中観測結果は、琵琶湖の水環境を考える上での最重要部分である『活性中心』としての水温躍層動態の劇的な変化を我々に垣間見せてくれた。特に注目された知見として、1993年、1995年の降雨は、河川からの水温躍層直上への栄養塩の供給を増やし、表水層での植物プランクトンの生産を活発にしたのに対し、1994年は河川水の流入が絶たれたため、表水層での植物プランクトンの生産は低下し、キッセ板透明度も十数メートルと向上した。その一方で、躍層内での植物プランクトンの異常に高い生産が、詳細な多地点・沿直・高密度連続観測によって発見された。この劇的な理学の変化は、湖の生物・化学・物理全般にわたる相互作用として、従来指摘されていなかった新たな機構についての知見の一つである。
著者
中西 正
出版者
神戸大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2000

本研究の目的は、債務者の財産状態が適切に開示されていなければ(企業の情報開示が十分でないなら)、倒産処理手続は、十分にその目的を達成することはできないことを、明らかにすることである。研究の発端は、ドイツ倒産法の機能不全である。すなわち、1877年のドイツ破産法は、制定当初は効果的に機能していた。しかし、その後、破産手続により確保される債務者財産が減少を続け、まず無担保債権に対する配当率の低下が問題となり、次に財団不足に基づく破産申立の棄却や破産手続の廃止の頻発が問題とされるに至った。この点では和議手続も同様であった。その原因は、公示されない別除権が創設され、債務者の財産状態が外部に対してきわめて不明確となったため、支払不能発生時の債務者財産を拘束し破産債権者に分配するという無担保債権者を保護するための制度が機能しなくなったことである。そこで、公示されない担保権につき、五四四条(a)と五四七条(e)をもつアメリカ合衆国連邦倒産法を研究したが、その結果は以下のとおりである。公示されない(後れて公示された)担保権を無効にする制度は、担保権を公示する登記・登録が無担保信用を供与する者に対して有用な情報を提供することを前提としている。ところが、アメリカ合衆国では、無担保信用は財務諸表制度に依拠して供与されている。登記・登録制度の無担保債権者保護機能は、無担保信用が債務者が占有する個々の財産に着目して供与された時代にはそれらはきわめて重要な役割を果たしたが、現代ではそうではない。そこで、以下の如き結論を得ることができた。我が国の財務諸表が債務者の財産状態を正確に反映させること、そのような情報に基づいて無担保信用が供与される実務を確立することが、倒産処理手続が効果的に機能するための、絶対的に必要な条件である。ただし、限定的ではあるが、担保権の公示が決定的な重要性をもつこともあり、そのような場合対抗要件否認が重要な役割を果たす。
著者
阿部 なつ江 馬場 聖至 荒井 章司 富士原 敏也 杉岡 裕子 鈴木 勝彦 山野 誠 平野 直人 中西 正男 道林 克禎 石川 正弘 町田 嗣樹 志藤 あずさ 伊藤 亜妃 仙田 量子 水上 知之 清水 健二 森下 知晃
出版者
独立行政法人海洋研究開発機構
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2008

海洋プレートの非活動域に発見された新種の火山「プチスポット火山」海域において、地球物理学的・地質学的調査および岩石試料採取を実施してきた。同試料・データは、東北沖日本海溝に沈み込む前の海洋プレートそのものであり、陸側プレートに与える影響や島弧における火山および地震活動を評価する上で、重要な試料・データをもとに、海洋プレートとその下のマントル構造について総合的な研究・調査を行った。
著者
矢野 裕章 中西 正樹 三輪 忍 中條 拓伯
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会研究報告. 計算機アーキテクチャ研究会報告 (ISSN:09196072)
巻号頁・発行日
vol.181, pp.75-80, 2009-01-06

現在,東京農工大学共生科学技術研究院を中心に共生情報工学プロジェクトが推進されている.今後のマルチコアプロセッサや組み込み機器で構成される並列/分散ネットワーク環境において、仮想マシンを構築することで汎用的な計算環境を実現することを目的とする.その大規模分散環境において,利用するプロセッサの台数の増加にしたがって性能を向上させるための組み込み仮想プロセッサの概念を提案する.そして,その実験評価システムについて示し,実装の方向性について述べる.
著者
土井 伸洋 堀山 貴史 中西 正樹 木村 晋二
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会研究報告システムLSI設計技術(SLDM) (ISSN:09196072)
巻号頁・発行日
vol.2004, no.56, pp.41-46, 2004-05-28

Cプログラムからのハードウェア合成においてはビット長最適化をはじめとするさまざまなハードウェア向け最適化が必要である.このためにはプログラム中の変数がとりうる値やデータフローを推測することが必要で,静的解析手法が使われることが多いが,精度などの点で不十分な点がある.本稿ではソフトウエア検証の分野で注目されている抽象解釈(Abstract Interpretation)手法に基づくプログラムの解析と,データパス最適化への応用について述べる.Various optimization techniques such as bit-length optimization are required for hardware generation from C programs. The value range analysis and dataflow analysis are effective for such optimization and static pro gram analysis methods have been used. The static methods, however, have several problems such as the preciseness, the overestimation, etc. In this paper, we describe a program analysis method based on abstract interpretation and its application for datapath optimization.
著者
船戸 潤一 前田 敦司 中西 正和
雑誌
全国大会講演論文集
巻号頁・発行日
vol.52, pp.21-22, 1996-03-06

Lispは1962年のLisp1.5の発表以来、記号処理用言語として発展し続けている。そのなかで、ISO(International Organization for Standardization)により設計されたLispの標準化案に、ISLispがある。ISLispは、Common Lispをベースの言語とし、小さく、効率の良い処理系の作成を目的として設計されたLisp言語である。本研究は、ISLisp言語処理系の実装を目的とする。本システムは原始プログラムを中間コードに変換するコンパイラ部分と、中間コードを解釈、実行するインタプリタ部分とから成り、中間コードにはバイトコードを用いる。本稿ではISLisp言語処理系のインタプリタ部分であるバイトコードインタプリタILBIについて、その実装方法と、インタプリタの効率化について報告する。
著者
萩原 知章 岩井 輝男 中西 正和
雑誌
全国大会講演論文集
巻号頁・発行日
vol.52, pp.19-20, 1996-03-06

世界的に行われているLisp言語の標準化の活動の1つとして、国際標準機構ISOによるものがあり、ISLispと呼ばれている。ISLispの特徴は、Common Lispの仕様から使用頻度の低い機能を取り除いたものである。このため、Common Lispに比べ処理系の作成が容易である。また、オブジェクト指向機能も兼ね備えている。本研究では、ISLispに準拠したLispの実装をバイトコードインタプリタにより行なった。この実装は2段階に分けられる。第1段階(本システム):コンパイラがLispのプログラムを後置記法に直し、中間コードに変換する。そして、このコードに最適化を施し、バイトコードで書かれたファイルに変換する(これ以降この作業をコンパイルという)。第2段階:バイトコードインタプリタがバイトコードに変換されたプログラムを読み込み、解読し、スタック機械により実行する。本稿では、第1段階のコンパイラの実装および、中間コードに最適化を施した際の実行効率について述べる。