著者
小栗 美香 伊藤 克美 五十嵐 尤二 小林 一夫 絹川 亨 園田 英徳
出版者
日本物理教育学会
雑誌
物理教育 (ISSN:03856992)
巻号頁・発行日
vol.67, no.1, pp.2-9, 2019-03-08 (Released:2019-05-08)
参考文献数
12

ボルタは,麦わら検電器(今日の箔検電器)を発案し,麦わらの開く角度に対応する物理量として,電位の概念を提唱した.本論文ではこうした箔検電器の動作原理を明らかにするために,導体系の理論に基づき,箔検電器に対する「遮蔽コンデンサーモデル」を提案する.また,等角写像を用いて箔検電器内部の電場分布を考察し,箔の開く角度と電位の関係を解析的に求め,ボルタの推論が成り立つことを定性的に示す.箔が開く要因について広く用いられている記述が十分なものではないことを我々の考察は示唆している.
著者
五十嵐 中 松崎 稔矢 滕 麗達 長谷川 紗由美 常深 祐一郎
出版者
公益社団法人 日本皮膚科学会
雑誌
日本皮膚科学会雑誌 (ISSN:0021499X)
巻号頁・発行日
vol.131, no.4, pp.719-731, 2021-04-20 (Released:2021-04-21)
参考文献数
26

ホスラブコナゾールL-リシンエタノール付加物(F-RVCZ)を含む爪白癬に対する薬剤の費用対効果を,完全治癒率と質調整生存年(quality-adjusted life years:QALY)をアウトカムとして評価した.各薬剤の標準的な投与期間における投与開始48週間後の評価をした場合,F-RVCZを最も安価のテルビナフィン後発品と比較すると,費用は57,361円増大し,完全治癒率は20.7ポイント増加する.完全治癒者1人増加当たりの増分費用効果比は,277,155円,1 QALY獲得あたりの増分費用効果比は1,979,681円となり,一般的に許容可能な上限値(500~600万円/QALY)の水準を下回っており,費用対効果に優れた薬剤であると判断した.
著者
篠原 百合子 山口 恵 大澤 優子 五十嵐 愛子 丸山 昭子 福田 里美
出版者
東都大学
雑誌
東都医療大学紀要 = Tohto University bulletin (ISSN:21861919)
巻号頁・発行日
vol.5, no.1, pp.45-50, 2015-03

在宅で緩和ケアを受ける対象のスピリチュアルペインに対する看護援助の実際を村田理論をもとに検討した。緩和ケア病棟で勤務する看護歴10年以上30代看護師1名、緩和ケア病棟癌認定看護師歴5年以上の看護師1名を対象とした。患者は癌ターミナル期にあり、スピリチュアルペインを意識して言語的・非言語的シグナルを捉えてケアしていた。村田のスピリチュアルな考えを参考に半構成的面接ガイドを作成し、これに沿って面接を実施した。面接内容を逐語録にし、スピリチュアルペインが潜んでいると思われる部分を抽出し、村田理論の軸に沿ってデータを時間軸に沿って分類した。看護師は対象患者の苦痛に対して傾聴・反復を行い、苦痛の緩和を図っていた。さらに看護師は対象患者の過去を振り返るという関わりを行っていた。看護師は傾聴・反復を通し、今、患者自身がどのような状態にいるか理解と患者が他者にゆだね、他律の中の自立を見出すことができるよう関わっていた。
著者
吉田 優花 五十嵐 史子 高橋 希元 大迫 一史 永井 宏史
出版者
公益社団法人 日本水産学会
雑誌
日本水産学会誌 (ISSN:00215392)
巻号頁・発行日
pp.18-00039, (Released:2018-12-04)
参考文献数
16
被引用文献数
1

新鮮なカミクラゲSpirocodon saltatrixは,独特な強い匂いを有することを見出した。その匂いはキュウリ様臭であった。そこで,このカミクラゲの有する特徴的なキュウリ様匂い物質について同定を試みた。GC/MS, GCを用いた官能試験,標品を用いた試験結果から,カミクラゲの有するキュウリ様臭物質は(E)-2-nonenalならびに(E,Z)-2,6-nonadienalと同定した。
著者
五十嵐 雅郎
出版者
日本国際情報学会
雑誌
国際情報研究 (ISSN:18842178)
巻号頁・発行日
vol.1, no.1, pp.85-96, 2004-05-10 (Released:2017-01-02)
参考文献数
1

The Japanese businesses used to set management goals on attaining a certain rate of increase in sales or increasing the share in the domestic industry, but they have finally begun to place emphasis on return on equity (ROE), which is an indicator of how efficiently shareholders’ equity is being used. Calls for more rigorous corporate governance from domestic and foreign institutional investors are behind this shift. The new trend is expected to accelerate innovations in the Japanese companies’ management system as well as in management control measures. In fact, high-growth companies have been adopting economic value added (EVA) or market value added (MVA) as their management benchmarks in increasing numbers.
著者
五十嵐 正夫
出版者
日本科学史学会
雑誌
科学史研究 (ISSN:21887535)
巻号頁・発行日
vol.26, no.164, pp.214-221, 1987 (Released:2021-09-21)

We first consider the difference of numerical solutions for algebraic equations given by Vieta and Raphson. Second, we discuss the differences between the methods to solve the algebraic equations, one is pro- posed by Newton and another is proposed by Raphson. Considering the two facts, we make an attempt to evaluate the Raphson's achievements in this field.
著者
池 睦美 中村 勝 小西 健一 津畑 豊 五十嵐 宏三 齋藤 徳子 森岡 哲夫 島田 久基
出版者
一般社団法人 日本透析医学会
雑誌
日本透析医学会雑誌 (ISSN:13403451)
巻号頁・発行日
vol.54, no.11, pp.561-570, 2021 (Released:2021-11-28)
参考文献数
19

【背景】透析患者において睡眠障害の訴えの頻度は高いものの,その実態については十分に解明されていない.【目的・方法】透析患者の睡眠評価のため,維持血液透析患者41名に自記式ピッツバーグ睡眠質問票(PSQI)による主観的評価とアクチグラフによる客観的評価を行った.【結果】PSQIでは,睡眠薬群では全例,睡眠薬なし群でも40%が睡眠障害ありと判定された.アクチグラフでは,入眠障害・中途覚醒の指標が不良で,総睡眠時間が短縮していた.睡眠薬なし群は,睡眠薬群より中途覚醒が多く,これは日中の覚醒困難の訴えと関連していた.【考察】健常人の報告例と比較し,主観では中途覚醒が頻回で,客観には入眠障害を示し中途覚醒も頻回であった.【結論】透析患者の睡眠は不良であり,睡眠薬の服用は中途覚醒に一部奏効しているが,入眠障害は残っている.睡眠薬なし群では入眠障害の訴えが表れにくく,日中覚醒困難を伴う中途覚醒とともに問題となる.
著者
五十嵐 勝秀 大塚(出田) まき 成田 年
出版者
公益社団法人 日本薬学会
雑誌
YAKUGAKU ZASSHI (ISSN:00316903)
巻号頁・発行日
vol.137, no.3, pp.265-271, 2017-03-01 (Released:2017-03-01)
参考文献数
25
被引用文献数
4 3

Epigenetics has drawn much attention as a mechanism of transcriptional regulation involving modifications to genomic DNA and histone, without changes to nucleotide sequences. Epigenetics is related to various biological phenomena. We defined one of these phenomena as “epigenetic toxicity”, in which chemicals affect epigenetic regulation and result in undesirable effects on living organisms. We then detailed the importance of epigenetics and the need for intensive research. Epigenetics is a mechanism that might explain the long-lasting effects of chemicals in an organism, and the formation of a predisposition to various diseases. Recent significant technological advancement in the study of epigenetics could break through the barrier of the mysterious black box of epigenetic toxicity. However, at present it is difficult to say whether the epigenetic point of view is being fully utilized in the evaluation of chemical safety. In this review, we will first summarize the epigenetic toxicity research field, with examples of epigenetic toxicities and technologies for epigenetic analysis. Following that, we will point out some challenges in which an epigenetic viewpoint may be essential for the evaluation of chemical safety, and we will show some current approaches. We hope this review will trigger a discussion about epigenetic toxicity that will lead to encouraging research advancements.
著者
五十嵐 太郎
出版者
Japan Association for Quaternary Research
雑誌
第四紀研究 (ISSN:04182642)
巻号頁・発行日
vol.35, no.3, pp.247-252, 1996-07-31 (Released:2009-08-21)
参考文献数
14

亀田郷は越後平野のほぼ中央に位置し,かつては河川の氾濫による水害常習地帯であり,その大部分が湿地帯であったので,「葦沼」と称されていた.したがって,ここでの水田の開拓と稲作作業は,すべて過酷な水との闘いであった.しかし,大河津分水の開削(1927年),阿賀野川の河川改修工事(1933年)などの治水事業により洪水の被害からのがれ,さらに栗ノ木排水機の新設(1948年)と耕地整理の完了(1956年)により,統一的な地上水の排除が可能となり,ようやく近代農業の基礎が築かれた.ここでは,まず湿地帯すなわち「葦沼」での水田開発と「葦沼水田」の実態,ついで内外の治水対策,とくに内部治水対策,最後に耕地整理(全郷の統一的地上水排除)とこれに伴う稲作技術の対応について述べる.