著者
五十嵐 美生 竹田 唯史 小田 史郎 畝中 智志 藤田 英二 小坂井 留美 柳川 尚子 川西 正志
出版者
日本生涯スポーツ学会
雑誌
生涯スポーツ学研究 (ISSN:13488619)
巻号頁・発行日
vol.20, no.1, pp.1-10, 2023 (Released:2023-12-09)

The purpose of this study was to clarify the efforts of older women to practice during a resistance exercise class and their exercise behavior change and related factors 2 years post the classes from a qualitative analysis. The exercise class was a self-weighted resistance exercise training for muscle strength maintenance designed by Tetsuo Fukunaga. Eighteen elderly women of the subjects of this study, participated in the exercise class for muscle strength maintenance for care prevention held in F town, Hokkaido, Japan, in 2019 for three months. Interviews were conducted four times in August and November 2020 and October and November 2021, and semi-structured interviews were conducted using the recall method. Responses were recorded and converted to text data. The interview data organized at three months, six months, one year, and two years after two years post the exercise class were analyzed for qualitative factors related to exercise practice effort and exercise behavior change using KH coder as a text mining method. The practical status of exercise was evaluated based on the total number of squats performed at home during the class period records. As a result, 66.7% of the subjects continued to exercise as maintenance and action phases two years post the classes. The co-occurrence networks characteristics of the qualitative factors obtained from the linguistic trends of the continuation group over the two-year period were "program content," "effectiveness of practice," "human and environmental support," "self-efficacy," and "simplicity of exercise." Correspondence analysis by exercise practice effort showed that in the continuation group, the high practice group, which had more exercise practice in class, showed positive language characteristics such as "habitual effort state," "effectiveness of practice," "social support," "simplicity of exercise," and "positive evaluation of exercise."
著者
五十嵐達也 塩浦 宏祐 谷 友太 小田原大昂 井上 和樹 星野 涼 松岡 秀典 三友 恵一
出版者
一般社団法人 日本地域理学療法学会
雑誌
地域理学療法学 (ISSN:27580318)
巻号頁・発行日
vol.2, pp.52-58, 2023 (Released:2023-03-31)
参考文献数
31

【目的】要支援・要介護高齢者を対象に,生活空間での移動性の広狭を判別する修正版5回椅子立ち座りテスト(modified SS-5)と片脚立位時間(OLS)のカットオフ値を明らかにすることを目的とした.【方法】要支援・要介護高齢者66名(年齢80.9±7.6歳,女性39名)をLife Space Assessmentの点数から2群に分類した.modified SS-5とOLSのカットオフ値と判別精度を,ROC曲線によるYouden IndexとAUCで算出した.【結果】AUCとカットオフ値は,modified SS-5が0.905(感度0.889,特異度0.754)と12.82秒,OLSが0.860(感度0.778,特異度0.842)と7.25秒であった.【結論】要支援・要介護高齢者の生活空間での移動性の広狭の判別には,下肢筋力とバランス能力が重要な指標であることが示唆された.本研究の結果は,社会参加の向上を目指した理学療法における目標設定や介入計画の意思決定に寄与する知見である.
著者
名古屋 祐子 佐藤 篤 木村 慶 相馬 伸樹 吉本 裕子 高橋 久美子 坂田 悠佳 蜂谷 ゆかり 長澤 朋子 大塚 有希 五十嵐 あゆ子
出版者
日本緩和医療学会
雑誌
Palliative Care Research (ISSN:18805302)
巻号頁・発行日
vol.18, no.4, pp.235-240, 2023 (Released:2023-10-30)
参考文献数
10

本研究は,小児専門病院の緩和ケアチームが院内コンサルテーションを開始する前後で院内スタッフの緩和ケアに対する困難感の変化を明らかにすることを目的に行った.5領域21項目で構成される困難感に関する自記式質問紙を用い,2015年に開始前,3年後に開始後調査を実施した.開始前は222名(回収率70.9%),開始後は384名(回収率87.3%)から回答を得た.回答者の7割以上が看護師・助産師であった.全職種では,“苦痛症状の緩和”,“看取りの際の家族ケア”,“自分自身や周囲のスタッフが感じる不全感や喪失感に対する支援”の3項目で困難感の有意な減少が認められた.介入した部署の看護師・助産師の困難感は6項目で有意な減少を認めた.緩和ケアチームが介入した16件中11件が疼痛コントロール難渋例の2名の患者への複数回の介入依頼であり,コンサルテーション活動が看護師・助産師の困難感の減少に寄与したと推察する.
著者
五十嵐 隆
出版者
公益財団法人 医療科学研究所
雑誌
医療と社会 (ISSN:09169202)
巻号頁・発行日
vol.27, no.1, pp.123-134, 2017-05-25 (Released:2017-06-13)
参考文献数
11

わが国の周産期や小児の保健・医療は世界的にも優れている。しかしながら,安心して子どもを出産し,子育てをする上で必要な国や自治体からの支援が他の先進諸国に比べ遅れている。さらに,若年成人の所得減少が近年になって著しくなり,経済的不安や将来への不安が強い。晩婚化が進み,子どもを生み育てることへの躊躇が見られる。その結果,低出生体重児の出生が増加しており,成人の生活習慣病や発達障害などの疾患が増加することが懸念されている。適齢期の成人が安心して妊娠・出産することのできる体制の整備,子育て支援,保育環境の整備,思春期医療の充実,子どもや青年の在宅医療の充実,移行期医療の整備,発達障害児者と家族への支援,予防接種体制の整備などが必要とされる。また,かかりつけ医がすべての子どもを定期的にbiopsychosocialに評価し,必要な場合には支援をする健康監査の仕組みがわが国では脆弱である。このような対応は現行の学校健診では不可能であり,特に思春期以降の子どもに対しての整備が求められている。さらに,優れた保健・医療を提供するためには,周産期医学・小児医学研究が不可欠である。わが国では,医療費,年金,教育費など国からの65歳以上の世代への支出が20歳未満の世代への支出よりもはるかに多い。今後,胎児期から次世代の子どもを育てる若年成人までの保健・医療を切れ目なく支援するための理念法である「成育基本法」を制定し,将来を担う子どもや若年成人の保健・医療を充実させることが望まれる。
著者
五十嵐 陽介
出版者
日本言語学会
雑誌
言語研究 (ISSN:00243914)
巻号頁・発行日
vol.163, pp.1-31, 2023 (Released:2023-02-09)
参考文献数
63

現代九州諸方言には,旧上二段動詞の未然・連用形末が母音eを取り旧下二段動詞と統合する,いわゆる「下二段化」が観察される。九州・琉球祖語仮説によるとこの特質は,九州諸方言と琉球諸語がともに経験した音変化の結果であり,この音変化の共有によって九州諸方言と琉球諸語からなる単系統群が定義されるという。しかしながら「下二段化」は音変化ではなく類推変化の可能性が残されている。本稿は,九州諸方言の系統的位置の観点から現代九州諸方言の旧上二段動詞を分析することによって,九州・琉球祖語仮説の妥当性を検討した。その結果,この仮説を支持する証拠が宮崎県中部の方言に認められることを明らかにした。さらに,その他の現代九州諸方言も九州・琉球祖語の子孫とみなしうることを論じた。
著者
山西 貴大 五十嵐 賢 上條 篤 松岡 伴和 増山 敬祐
出版者
Japan Rhinologic Society
雑誌
日本鼻科学会会誌 (ISSN:09109153)
巻号頁・発行日
vol.51, no.1, pp.1-7, 2012 (Released:2012-05-22)
参考文献数
21

浸潤型副鼻腔真菌症は,骨破壊や病変の眼窩内および頭蓋内浸潤により容易に重症化しうる疾患である。その予後は悪性腫瘍と同様に悪く,かつ鑑別診断が非常に難しい場合がある。今回我々は,右眼窩内浸潤を呈し上顎癌との鑑別を要した浸潤型副鼻腔アスペルギルス症例を経験したので報告する。症例は糖尿病性腎症と脳梗塞の既往のある80歳男性。主訴は頭痛であったが,当科初診時の血液検査にて腫瘍マーカー(SCC・CYFRA)の上昇が認められた。またCT,MRIで右上顎洞に,骨破壊と右眼窩内浸潤を伴う腫瘤状陰影を認めた。検査結果から悪性腫瘍を強く疑い,診断確定を目的に内視鏡下生検を施行したが,生検肉芽組織内にアスペルギルス類似構造を持つ菌糸の組織内浸潤を認め,さらに血液検査でβ-Dグルカン値の異常高値とアスペルギルス抗原陽性が判明した。以上からアスペルギルスを原因とする浸潤型副鼻腔真菌症の確定診断に至った。糖尿病性腎症を考慮し,重度腎機能障害患者に対して安全に使用できる抗真菌薬ボリコナゾールにて直ちに治療を開始したが奏功せず,全身状態の悪化と患側眼症状の増悪が進行し永眠された。浸潤型副鼻腔真菌症の中には,副鼻腔悪性腫瘍がより強く疑われるような,診断が難しい症例が存在する。従って浸潤型副鼻腔真菌症を考える場合,早期診断確定のためには積極的な内視鏡下生検が必須で,それが早期治療ならびに予後改善につながる。
著者
五十嵐 靖則
出版者
一般社団法人 日本物理学会
雑誌
日本物理学会講演概要集 71.2 (ISSN:21890803)
巻号頁・発行日
pp.3155, 2016 (Released:2017-12-05)

前回は、電磁誘導起電圧の発生機構の説明について誤解や混乱を回避する方法を提案した。今回は、「電磁誘導起電圧の働き」についての高校や大学の物理テキストに見る誤解や混乱を指摘するとともに、正しい理解の仕方を具体例を示し提案する。
著者
清野 公宏 鈴木 郁斗 野川 雅道 五十嵐 朗 内藤 尚 小川 充洋 山越 憲一 高田 重男 田中 志信
出版者
公益社団法人 日本生体医工学会
雑誌
生体医工学 (ISSN:1347443X)
巻号頁・発行日
vol.55Annual, no.5PM-Abstract, pp.460, 2017 (Released:2017-09-13)

これまで我々は腎・尿路系疾患発見に重要な指標である尿成分を全自動で計測可能なトイレ内蔵型尿成分計測システムの開発を最終目的として,近赤外光を用いた尿糖計測法について基礎的検討を続けてきた.具体的には糖尿病の早期発見に有用なグルコースをメインターゲットとし,蛋白摂取量の指標である尿素,塩分摂取量の指標である塩化ナトリウム,尿中成分の排出量測定に有用なクレアチニンの4成分について,糖尿病が疑われる成人男性等から採取した尿(高尿糖随時尿)などを対象に各4成分の濃度推定を行ってきた.その結果計測波長範囲(750-2500nm)の中から各成分の感度波長を4種類選定し重回帰モデルを構築することで,実用に供し得る精度で濃度予測が可能であることを確認した.今回は実用化に向けて,多波長LEDを光源とした場合の測定精度を次のような方法で検証した.すなわちFT-IRで得た透過光強度スペクトルに対して,中心波長の重みを1,半値幅を200nmとしたガウス関数を乗じることで,LEDのブロード状の発光特性を模擬し,上述の重回帰分析を行った. その結果,グルコース,クレアチニンについてはγ=0.7前後で濃度予測精度の更なる向上を要するものの,尿素,塩化ナトリウムについてはγ>0.8以上となり,多波長LEDを光源として用いることの妥当性が確認できた.
著者
飯坂 正樹 五十嵐 智生 兼宗 進 中村 めぐみ 内田 卓
出版者
情報処理学会
雑誌
情報処理
巻号頁・発行日
vol.64, no.11, pp.d92-d105, 2023-10-15

日本におけるIT人材の不足と国際競争力の低下はIT教育の遅れに起因している.この課題を受けて学校におけるプログラミング・情報教育の必修化がなされたが,プログラミング能力の客観的評価・可視化が困難であることから教育現場では適切な指導を行うことが難しい.そこで本稿では子どもたちのプログラミング能力の定着度実地検証を行った結果から,プログラミング教育の量や質の差によるプログラミング能力定着度の違いについて述べるとともに,今後学校や大学,プログラミングスクール等で効果的な指導を行う上での汎用的かつ有用な情報を提供する.
著者
種村 健太郎 古川 佑介 大塚 まき 五十嵐 勝秀 相崎 健一 北嶋 聡 佐藤 英明 菅野 純
出版者
日本毒性学会
雑誌
日本毒性学会学術年会 第39回日本毒性学会学術年会
巻号頁・発行日
pp.S5-5, 2012 (Released:2012-11-24)

個体の胎生期-幼若期の脳は、その発生-発達段階にある。その期間に、遺伝子という設計図を元にして、脳の基本構造が出来ると共に、神経活動(主に神経伝達物質とその受容体を介した神経シグナル)による微調整がなされ、脳が完成に向かう。すなわち、脳は「活動」しつつ、その「形態・機能」を完成させていく。従って、この時期の神経作動性化学物質の暴露による神経シグナルのかく乱は、一時的な神経症状を呈するだけに留まらず、脳構造や神経回路の形成過程に影響を及ぼす危険を高める。そして、こうした影響が不可逆的に固定されたまま成長した結果、成熟後に遅発性行動異常等の脳高次機能障害として顕在化することが危惧される。しかしながら、従来の神経毒性評価手法は成熟動物への化学物質投与による急性~亜急性の、痙攣、麻痺といった末梢神経毒性を主対象としており、遅発性の中枢神経機能に対する影響評価への対応は、比較的に立ち遅れてきた。こうした問題に対して、我々は、マウスを用いて、①神経作動性化学物質の胎生期~幼若期暴露、②複数の行動解析試験を組み合わせたバッテリー式の情動-認知行動解析による行動異常の検出、及び③行動異常に対応する神経科学的物証の収集、により遅発性の中枢神経毒性検出系の構築を進めてきた。 本シンポジウムでは、モデル化学物質として、イボテン酸(イボテングダケ等の毒キノコとされる一部のテングタケ属に含まれる)を用いた解析として、幼若期(生後2週齢)における単回強制経口投与による、成熟期(生後12~13週齢時)の不安関連行動の逸脱、学習記憶異常、情報処理不全といった異常行動と、それと対応する海馬の形態所見、及び遺伝子発現プロファイルについて紹介する。さらに、遅発中枢影響としての異常発現のメカニズム解明を目的とした、イボテン酸投与後の遺伝子発現変動解析結果についても議論したい。
著者
河田 正仁 岡田 敏男 清水 雅俊 高田 幸浩 下川 泰史 五十嵐 宣明 岡嶋 克則 宮武 博明 水谷 哲郎 中村 哲也
出版者
公益財団法人 日本心臓財団
雑誌
心臓 (ISSN:05864488)
巻号頁・発行日
vol.31, no.5, pp.337-343, 1999-05-15 (Released:2013-05-24)
参考文献数
9

くも膜下出血や手術後などのストレス状態におかれると急性心筋梗塞類似の病態となり,冠動脈に器質的狭窄がなくても広範な左室壁運動障害を引き起こすことが知られている.症例は81歳の女性で,当初は右下肺野の陰影で入院した.次第に陰影が広がり,呼吸困難を呈した.第10病日に突然呼吸困難が増悪し,心電図上胸部誘導で高度のST上昇をきたし,ショック状態となった.挿管の上,緊急冠動脈造影を施行した.冠動脈の器質的狭窄はなかったが,左室造影上前壁,心尖部,下壁にわたり広範な無収縮を認め,心基部のみ正常収縮をしていた.患者はその2日後に肺炎陰影が両肺に広がり呼吸不全で死亡したが,血清の最大CKは296U/lであった.病理解剖における心筋組織には壊死,炎症細胞浸潤などを認めなかった.本症例は重症肺炎を契機にstunned myocardiumが疑われる病態が引き起こされ,原因として冠攣縮やカテコールアミン心筋障害などが推定された.まれではあるが,ストレスを伴った低酸素血症がstunned myocardium様の心機能低下の誘因となった重要な病態であると考えられ報告する.
著者
安藤 里沙 片岡 宙門 五十嵐 冬華 今泉 翠 推名 浅香 小舘 英明 古田 祐 田沼 史恵
出版者
一般社団法人 日本周産期・新生児医学会
雑誌
日本周産期・新生児医学会雑誌 (ISSN:1348964X)
巻号頁・発行日
vol.58, no.1, pp.31-36, 2022 (Released:2022-05-10)
参考文献数
26

サイトメガロウイルス(以下CMV)による母子感染はTORCH症候群の中で最も頻度が高く,CMV未感染妊婦の1〜2%が妊娠中に初感染を起こし,その30〜50%に胎児感染を生じるとされている.CMV未感染妊婦に感染予防に関する情報提供を行うことで感染を軽減できた報告があり,実際に情報提供が感染予防に有効か検証した. 当院で4年間に分娩した2,568例を対象とした.妊娠初期にCMV IgG抗体を測定して未感染妊婦を抽出し,感染予防の啓発を行った.妊娠初期にCMV IgG抗体を測定できた症例は1,283例で,IgG陰性例は380例(29.6%)であった.そのうち,妊娠後期にIgGが陽転化したのは2例(0.5%)であった.本研究でも,感染予防の啓発を受けた妊婦の妊娠中初感染率は従来の報告に比べ低率であった.
著者
鈴木 亨 伊藤 南 名木野 匡 和田 敏弘 星川 仁人 大竹 浩也 五十嵐 雅彦
出版者
一般社団法人 日本糖尿病学会
雑誌
糖尿病 (ISSN:0021437X)
巻号頁・発行日
vol.62, no.2, pp.84-93, 2019-02-28 (Released:2019-02-28)
参考文献数
29

83歳男性.38歳時に2型糖尿病と診断された.81歳時に不明熱と下腿紫斑,肺門部リンパ節腫脹,甲状腺機能低下症で入院したが確定診断には至らず,その後軽快し退院した.外来では経口血糖降下薬でHbA1c(NGSP値)は6 %台であったが,2ヶ月前より急激な血糖コントロール悪化(HbA1c 9.6 %)を認め,精査加療目的に入院した.赤血球連銭形成とγ-グロブリン高値,内因性インスリン分泌能低下に加え,肺門部リンパ節腫脹,膵臓のびまん性腫大,間質性肺炎,腎腫大を認め,血清IgG4は高値であった.肺門部リンパ節・腎生検でリンパ球とIgG4陽性形質細胞の浸潤像を認めIgG4関連疾患と診断された.ステロイド治療が奏功し,血清IgG4値の低下と共に肺門部リンパ節腫脹や膵・腎腫大は縮小し,その後2年間のステロイド治療でインスリン分泌能も改善した.IgG4関連疾患の正確な診断と適切な治療が重要と考えられた.
著者
五十嵐 悠紀
雑誌
情報処理
巻号頁・発行日
vol.60, no.8, pp.744-745, 2019-07-15

大学教員としての日々の仕事と3人の子育てとの両立について,子連れでの学会発表などについて触れながら,仕事と育児の両立における現実と期待する未来について述べる.
著者
五十嵐 徹
出版者
日本医科大学
雑誌
奨励研究(A)
巻号頁・発行日
1994

流血中に生じた免疫複合体(IC)のほとんどは赤血球上の補体C3bレセプター(CR1)によって赤血球に捕捉され、速やかに肝・脾等の網内系に運ばれて処理されているといわれている。従って現在臨床検査として広く行われている。血清免疫複合体の測定では、この赤血球によって血清中から除かれているICについては測定されていないと考えられる。本研究ではこの問題の解決の糸口を探るのが目的である。現在までのところ、健常ヒト赤血球と同人の血清とを再構成した血液中にIC(熱凝集IgG)を加えるという実験系では、抗Clq法,抗C3d法,mRF法とも、それぞれの正常値とされる程度のICは添加物数分間ですべて血清中から消失してしまうというデータが得られている。赤血球1個あたりのCR1数は個人差が大きいためか、データにばらつきがあるものの、検体によっては正常値とされるIC量の数倍のICすら消失しまう場合もある。このことは、これまでの血清中ICの測定という臨床検査は、よほど大量のICが存在する場合にのみ陽性となることを意味し、実際の生体内におけるIC産生状況を反映しているとは言い難いことになる。現在、真の血液中ICの測定法を開発しようとしているが、単なる抗凝固剤ではCR1と1Cは解離せず、その解離を起すような処理を加えるとIC自体の抗原と抗体の解離が生じてしまうという点で更なる研究が必要である。現在種々の操作を検討中の段階である。
著者
代田 文彦 光藤 英彦 五十嵐 宏
出版者
The Japan Society for Oriental Medicine
雑誌
日本東洋醫學會誌 (ISSN:1884202X)
巻号頁・発行日
vol.23, no.2, pp.75-82, 1972-10-30 (Released:2010-10-21)
参考文献数
5

The local hypalgesia is revealed using the new method.The hypalgesia is brought by the needles which are charged with electric stimulus.The 270 cases of surgical operations are performed with this new method without any troubles.The features of the new method are as follows;1) The thin needles layed under the skin conducts the spike wave, 50-70 volt, stimulate time 7.5×10-5 sec, 1 Hz frequent.2) The hypalgesic zone is dependent on the stimulate points under the same condition mentioned above.3) The hypalgesic zone is found in 30-40 minutes.4) The hypalgesic zone is very different every persons respectively.5) This method has no medical troubles except the hypalgesic phenomena.
著者
秋山 英久 中島 智晴 五十嵐 治一
出版者
Japan Society for Fuzzy Theory and Intelligent Informatics
雑誌
知能と情報 (ISSN:13477986)
巻号頁・発行日
vol.32, no.2, pp.691-703, 2020-04-15 (Released:2020-04-15)
参考文献数
42

本稿では,RoboCup サッカーシミュレーション2Dを題材として,ゲームAIにおける局面評価の表現法と学習法を概説する.一般的に,サッカーゲームは動的環境下におけるマルチエージェントシステムの代表的な例として知られている.そこでまず,RoboCupサッカーシミュレーションをゲーム AI 研究における他のベンチマークテストと比較し,類似点や相違点について議論する.次に,サッカープレイヤが行動選択をするメカニズムとして行動連鎖の考えに基づいた探索法を示す.それは,チェスや将棋プログラムと同じように探索木と局面評価による状況の「読み」に基づいており,チームメイトとの協調行動を計画し,選択することが可能である.そして,行動連鎖生成で用いる局面評価モデルを機械学習の枠組みにより構築する方法を様々な事例をあげながら概観する.
著者
永井 宏史 五十嵐 文子 北谷 龍樹 内田 肇 渡邊 龍一 鈴木 敏之 Masoud Shadi Sedghi 長澤 和夫
出版者
天然有機化合物討論会実行委員会
雑誌
天然有機化合物討論会講演要旨集 第59回天然有機化合物討論会実行委員会 (ISSN:24331856)
巻号頁・発行日
pp.585-590, 2017 (Released:2020-09-20)

Jellyfish, sea anemone and coral are classified as members of the phylum Cnidaria. All cnidarians have a stinging cell, cnidocyte, and its stinging organelle nematocysts. Nematocyst stores venom and coiled needle inside and discharge the needle and inject venom into their prey. Both physical and chemical stimuli trigger nematocyst discharge. A lot of studies on the venom of cnidarians have been accomplished. As the results, it has been revealed that most of cnidarian venoms consisted of proteinaceous toxins. However, there are few studies on the low molecular weight compounds from the cnidarian nematocysts. Therefore, we started the search of low molecular weight compounds in the nematocyst. First target was the venomous jellyfish Chironex yamaguchii (Habu-kurage in Japanese). Nematocysts were isolated from C. yamaguchii tentacles. The isolated nematocyst and C. yamaguchii tentacle without nematocyst were extracted with 1 M NaCl solution using a mini-bead beater machine. The extracts were screened with LC-MS. It was clearly shown that three compounds all of which have [M+H]+ 517 were existed especially in nematocysts. Three compounds were isolated with HPLCs. NMR and MS spectra data of isolated compounds revealed their planar structure as cyclic γ-tetra glutamic acids. The determination of absolute stereochemistry of these compounds was established with organic synthesis, comparing optical rotation values and Marfey’s analysis. Three cyclic γ-tetra glutamic acids were designated as cnidarin4A (1a), cnidarin4B (1b) and cnidarin4C (1c), respectively. Cnidarin4A and cnidarin4B were new compounds. Cnidarin4C was first obtained as the natural product in this study. The existence of these compounds in marine animals has been studied using LC-MS. Cnidarin4s were detected from all the nine tested cnidarians, on the contrary no cnidarin4s were detected from all the seven tested the other phylum animals. Cnidarin4s are especially existed in animals of the phylum Cnidaria. The ecological role of cnidarin4s in cnidarians is a challenging subject to be elucidated.
著者
五十嵐 茂
出版者
日本質的心理学会
雑誌
質的心理学研究 (ISSN:24357065)
巻号頁・発行日
vol.13, no.1, pp.99-115, 2014 (Released:2020-07-10)

森は経験の出来という事柄について考え抜いた思想家である。本稿の目的は,現在に至るまで充分に理解されているとは言えない森の経験の思想の内在的理解をまず深めることである。そしてその理解を「人生の物語」=ライフストーリー研究の課題に繋げる。森の経験は単なる認識論的なそれではない。経験とは,その現れによって生を充たし組織する生実践そのものである。森は,そのような経験の発見と生成のプロセスを,経験世界を充たして現れるものの到来によって描いた。ものの到来が引き連れる「まとまりをもったもの」の出現によって言葉の意味を充たし定義し,それを内容として形成される思想を求めた。私のもとへと世界が出来する過程を明らかにすることは,森の言う「意味が存在に通じる道」すなわち意味の出来事をとらえ,描くことである。そこにおいて意味が対象と経験の間を往還する姿をとらえることができる。そのためには,語義的意味を超えて文脈において凝集する意味のふるまいをとらえる生成的意味論の視点を必要とする。それを繋ぐ環としてヴィゴツキー意味論が言及される。生の文脈をくぐり抜け,「生の主題」へと凝縮する意味のふるまいは,人生の物語研究における「経験の組織」「その意味づけ」における「意味の凝縮による生の主題の形成」をよくとらえるものとなる。
著者
五十嵐 茂
出版者
日本質的心理学会
雑誌
質的心理学研究 (ISSN:24357065)
巻号頁・発行日
vol.18, no.1, pp.242-262, 2019 (Released:2021-04-12)

自己エスノグラフィは,個人的な生の経験が,自分自身の思考,感情,内面の葛藤を含む形で記述される。そこ にはその解釈を助ける理論や文化が組み込まれる。本稿において分析されるのは,編集者として活動してきた著 者が,印刷会社に転職した経験の中で起きた出来事である。その職場で二種類の時間と直面する。それは,出版 社における編集者の仕事を支配する能動的企画的な時間と印刷会社におけるマンアワーコストという企業原理が 支配する時間という,二つの異質な時間であった。そこにおいて,筆者の編集者としてのキャリアは激しく揺さ ぶられる。その経験を分析し,自己のまとめ上げにかかわる二つの感覚の対抗と葛藤を取り出す。リクールは, 物語において意味を生み出す過程を統合形象化として分析した。それは単なる出来事の羅列から,一つの物語を 作り出す意味の取り出しである。彼が分析した「意味論的空間」と呼ばれるそれは物語の成立を左右する。自己 物語においてその空間を生み出すのは,自己のまとめ上げによって生み出される〈まとまりある自己〉である。 そしてそれが生み出す意味は,現実の社会関係におけるポリティクスの渦に巻き込まれる。そこで生まれる〈自 己まとまりの崩されと回復〉が,自己エスノグラフィのドラマを生み出す。そこに働いているのは〈意味の崩さ れと回復〉の文脈である。