著者
山中 崇弘 新木 健一郎 石井 範洋 塚越 真梨子 五十嵐 隆通 渡辺 亮 久保 憲生 大嶋 清宏 桑野 博行 調 憲
出版者
日本腹部救急医学会
雑誌
日本腹部救急医学会雑誌 (ISSN:13402242)
巻号頁・発行日
vol.37, no.6, pp.931-934, 2017-09-30 (Released:2018-02-27)
参考文献数
14
被引用文献数
1

【はじめに】侵襲性クレブシエラ感染症は,Klebsiella pneumoniaeを原因菌とし,肝膿瘍から眼内炎や中枢神経感染症などの転移性感染巣を引き起こす。当科での1例を報告する。【症例】73歳男性。主訴は腰痛,視力低下。精査の結果,肝膿瘍,眼内炎,敗血症の診断で抗菌薬治療を開始,第3病日に肝ドレナージを施行した。培養からKlebsiella pneumoniaeが検出された。転移性感染巣検索では,腰部に椎体炎,硬膜外膿瘍を認めた。転移巣は保存的に軽快し,第52病日に転院となった。【考察】本邦での肝膿瘍を伴う侵襲性クレブシエラ感染症の報告10例では,眼内炎を7例(70%),死亡2例(20%)と危険な病態と考えられた。肝膿瘍,眼内炎という特徴的な所見を認めた際は,侵襲性クレブシエラ感染症を疑い,転移性感染巣を考慮した抗菌薬治療と,外科的治療を含めた集学的治療を行うことが重要である。
著者
五十嵐 中
出版者
公益社団法人 日本薬学会
雑誌
ファルマシア (ISSN:00148601)
巻号頁・発行日
vol.51, no.10, pp.937-941, 2015 (Released:2018-08-26)
参考文献数
7

「日本の医療費(国民医療費)は,平成24年実績で年間39兆円です」…数字が大きすぎて,あまり実感が湧かない.「1人当たりにすると,年間30.8万円です」…今度は小さすぎて,やはり実感が湧かない.「この教室,だいたい150人いますね.1部屋で,年間4,000万から5,000万円ですね.」このあたりの金額を出すと,ようやく「手頃」にイメージできるようになる.年々医療費が増大していくなか,臨床系の学会でも,「〇〇の医療経済」「××の費用対効果」のタイトルを時折目にするようになった.マイナーな分野に陽が当たるようになったのは嬉しいことである.ただ残念なことに,まだまだ誤解されることも多い.このコラムでは,薬剤経済評価・費用対効果評価について,「そもそも何なのか」「どうやって評価するのか」「評価結果をどう使うのか」に分けて紹介していきたい.
著者
五十嵐 喜治 吉田 哲哉 鈴木 恵津子
出版者
Japanese Society for Food Science and Technology
雑誌
日本食品工業学会誌 (ISSN:00290394)
巻号頁・発行日
vol.40, no.2, pp.138-143, 1993-02-15 (Released:2009-04-21)
参考文献数
15
被引用文献数
29 40

長者ナス(小ナス)から単離したナスニン,および他の2~3のアントシアニン色素が,リノール酸-リポキシダーゼによるβ-カロチンの退色,およびリノール酸の自動酸化に及ぼす影響について,それぞれ,カロチン退色法,ロダン鉄法を用いて検討した.pH 7においてカロチン退色法で測定した抗酸化効果はナスニンで最も強く,次いで,マルビン,ルブロブラッシンの順であった.pH 2.8においてロダン鉄法で測定した抗酸化効果も同じ傾向を示した.また,抗酸化効果はアグリコンのディルフィニジン,マルビジンおよびシアニジンにも認められたが,後2者の活性はそれらの配糖体と大差がなかった.ナスニンはディルフィニジンに比べて高い活性を示した.この結果はリノール酸の自動酸化系におけるナスニンの強い活性にそのp-クマール酸部分が関わっている可能性を示した.
著者
加賀谷享諒 高橋秋典 五十嵐隆治 上田浩 岩谷幸雄 木下哲男
雑誌
第75回全国大会講演論文集
巻号頁・発行日
vol.2013, no.1, pp.537-538, 2013-03-06

ネットワークトラフィック時系列の周期的特徴を表現できるR/S Pox レッグライン特性を用いて,長期的ポートスキャンのトラフィック状態を判別する手法を検討した.具体的には,観測時系列から導出されるR/S Pox レッグライン特性の特徴量を4つのカテゴリ(攻撃なし,攻撃開始,攻撃中,攻撃終了)に学習した階層型ニューラルネットワークを用いて行った.実トラフィックで観測された長期的ポートスキャントラフィックに対して適用したところ,条件的に制限はあるもののトラフィック状態判別が可能となった.
著者
谷 彰太 川口 清司 五十嵐 隼 渡辺 大輔
出版者
一般社団法人 日本機械学会
雑誌
熱工学コンファレンス講演論文集
巻号頁・発行日
vol.2010, pp.61-62, 2010

Heat transfer enhancing method is more and more needed to decrease power consumption. This study was carried out to develop a high performance vortex generator, and find out the relationship between vortex structure and heat transfer. Double delta winglet pair was developed to reduce pressure drop with keeping up vortex strength. It was clarified that double delta winglet pair had higher performance than delta winglet pair by 10% at flow velocity of 1.4m/s by measuring average heat transfer coefficient and pressure drop. It was found out that double delta winglet pair had the position of vortex core at short distance from heat transfer surface than delta winglet pair. Therefore, the heat transfer coefficient was larger than delta winglet pair's one, even though it's vortex strength was smaller than that.
著者
日下 宗一郎 五十嵐 健行 兵藤 不二夫 藤澤 珠織 片山 一道
出版者
一般社団法人 日本人類学会
雑誌
Anthropological Science (Japanese Series) (ISSN:13443992)
巻号頁・発行日
vol.119, no.1, pp.9-17, 2011 (Released:2011-06-21)
参考文献数
41
被引用文献数
8 8

江戸時代は,急激な人口増加とその後の人口安定,また陸・海路による交易網の発達によって特徴づけられ,コメや野菜や魚介類を主要な食物としていたと言われる。そのような江戸時代の人々の食性を,遺跡から出土した人骨を用いて実証しようとするのが本研究である。伏見城跡遺跡(京都市)より出土した江戸時代人骨および動物骨からコラーゲンを抽出して,炭素および窒素の安定同位体比を測定した。合計で27個体(男性9個体,女性12個体,子ども6個体)の人骨を分析に用いた。それにより,伏見江戸時代人の食性,その性差を検討することを目的とした。江戸時代の伏見の人々は,タンパク質源を淡水魚類に強く依存した食生活,もしくは陸上生態系から得られるC3植物と海産あるいは淡水魚類などを主たるタンパク質源とする食生活を送っていた可能性を示した。江戸時代の都市では,食生活が米,野菜,魚介類からなり,アワやヒエ,キビなどC4植物の消費が少ないとする古記録を考慮に入れると,後者の食生活像が支持される。また,男性の炭素同位体比は女性よりも高く,より多くの海産魚類や貝類などを摂取していた可能性がある。また,年齢が上がると子どもの窒素同位体比は下がる傾向があり,これは母乳の摂取と離乳の開始に関連していると考えられる。
著者
内田 晋 根本 和宜 杉浦 正吾 下田 邦夫 川廷 昌弘 五十嵐 彰 小坂 潤平 水野谷 剛 氷鉋 揚四郎
出版者
一般社団法人 エネルギー・資源学会
雑誌
エネルギー・資源学会論文誌 (ISSN:24330531)
巻号頁・発行日
vol.31, no.3, pp.8-14, 2010 (Released:2019-08-26)
参考文献数
5

Energy consumption structure of Japanese professional baseball games was analyzed. Multiple linear regression analyses of electricity consumption in stadiums indicated that the length of games, air-conditioning load (calculated from the temperature), starting time of games (day or night) and humidity affected the electricity consumption in most stadiums, and also the number of spectators and atmospheric pressure affected in some stadiums. Total electricity consumption was decomposed to each factors based on the result of the analyses. Nippon Professional Baseball had started "Green Baseball Project" in 2008, in which each player himself and team tries to save electricity through speedy play and to shorten the game length. Total electricity consumption in 2008 was reduced by 2.58% compared to 2007 and energy consumption by gas was also reduced, although the reduction ratio in the game length was no more than 1.4%. Furthermore, the degree in contribution of game length to total consumption of electricity increased in 2008. This cannot be explained by the reduction of game length, and these results suggested that some factors other than the game length also affected to the reduction of energy consumption such as the increasing awareness of players, spectators and stadium officers about energy saving, considering restricted contribution of game length to total electricity consumption.
著者
松谷 定 竹下 千尋 五十嵐 健祐 阿部 真也 吉町 昌子 後藤 輝明 山城 海渡 川﨑 直人
出版者
一般社団法人 日本薬局学会
雑誌
薬局薬学 (ISSN:18843077)
巻号頁・発行日
vol.12, no.2, pp.115-121, 2020 (Released:2020-10-26)
参考文献数
8

近年,保険薬剤師は業務の多角化が求められている.そのためストレスが増大し,インシデントにつながる危険性がある.しかし,保険薬剤師の職業性ストレスとインシデントの関連性については明らかにされていない.そこで本研究では,保険薬剤師の職業性ストレスとインシデントの関連性について調査した.2016 年12 月,(株)ツルハ(212店舗)の保険薬剤師を対象に勤務状況,職業性ストレス,離職願望およびインシデントに関するアンケートを実施した.回答が得られた 397 名のデータを解析した結果,職業性ストレス因子の「心理的な仕事の負担(量)」「仕事の適性度」「働きがい」と「離職願望」がインシデントと関連することが明らかとなった.本研究で明らかとなったインシデント関連因子を早期に把握できる環境を整える必要性が示唆された.
著者
五十嵐 大貴
出版者
日本重症心身障害学会
雑誌
日本重症心身障害学会誌 (ISSN:13431439)
巻号頁・発行日
vol.42, no.2, pp.267, 2017

目的 小児等在宅医療連携拠点事業や医療的ケア児を対象とした法改正が行われ、地域で小児在宅医療患者を支える体制整備が進んでいる。小児訪問リハビリテーション(以下、訪問リハ)も少しずつ拡大傾向にあるが、実態はまだ不明確である。今回、当事者の保護者に対して訪問リハ利用状況の調査を行い、特に重症心身障害児(者)(以下、重症児(者))の保護者が訪問リハに望むことについて考察した。 方法 対象は北海道の札幌・旭川市にある療育広域拠点施設で外来理学療法(以下、外来PT)を受けている在宅生活児(者)の保護者とした。アンケート(無記名自記式)期間は平成27年6月〜10月の間の4カ月間実施した。有効回答は394名で、訪問リハ利用は81名(21%)であった。今回はその中で粗大運動機能分類システム(以下、GMFCS)で最重度のレベル5を調査対象とした。調査項目は1。保護者・子ども年齢、2。居住地域、3。外来PT頻度、4。医療・福祉サービスの利用(複数回答)、5。訪問リハ開始理由(自由記載)とした。 結果 GMFCSレベル5は51名(63%)であった。調査から1.保護者平均43.5歳、子ども平均11.6歳、2.札幌・旭川市内84%、近郊2%、それ以遠14%、3.1回/月26%、1回/週以上20%、1回/3カ月18%で多い、4.訪問看護71%、通所サービス45%、他施設外来リハ43%で多い、5.頻度・リハ機会の増加39%(外来リハだけでは不足、少しでも多く受けたい、近くに外来リハがないなど)、本人の身体的理由35%(緊張調整、変形進行予防、呼吸管理など)、勧められて18%(医師などから)で多かった。 考察 開始理由から、訪問リハに望むこととして「頻度・リハ機会の増加」が挙げられ、重症度が高いことや慢性的なリハ頻度不足、リハ資源の地域格差が原因と考える。次に「本人の身体的理由」が挙げられ、ほとんどが緊張や変形、呼吸など重症児(者)特有の二次障害であった。よって、訪問リハを行う上で二次障害の知識・対処が必須で、併用率の高さから訪問看護との連携も重要であると考える。
著者
佐原 亮 遠藤 和博 五十嵐 絵美 浜田 純一郎 矢野 雄一郎
出版者
日本肩関節学会
雑誌
肩関節 (ISSN:09104461)
巻号頁・発行日
vol.38, no.3, pp.758-761, 2014 (Released:2014-11-21)
参考文献数
8
被引用文献数
1

肩疾患では屈曲と比べ外転しづらい.本研究の目的は屈曲と外転を比較することである.健常者11名22肩を対象とし,三次元動作解析を用い安静下垂位から屈曲・肩甲骨面挙上・外転し,上腕外旋角度,水平肩甲上腕角度,肩甲骨内旋角度を算出した.屈曲の上腕外旋角度は55°であり直線的に増加し,外転では挙上初期から外旋角度が大きく100°まで屈曲より多かった.屈曲では肩甲骨はまず内旋しその後外旋したが,外転は常に外旋した.水平肩甲上腕角度は外転で常に大きい.肩甲骨の外旋制限のある肩関節疾患では外転しづらい.屈曲では僧帽筋を弛緩し前鋸筋を収縮するが,外転では両筋を同時に収縮させる.棘下筋・小円筋も外転では筋長の短い状態での筋収縮が必要である.屈曲に対し外転は,(1)挙上初期から上腕外旋角度が大きく,(2)肩甲骨は常に外旋し,(3)水平肩甲上腕角度は常に大きい.
著者
五十嵐 泰正
出版者
日本社会学会
雑誌
社会学評論 (ISSN:00215414)
巻号頁・発行日
vol.62, no.4, pp.521-535, 2012
被引用文献数
2

多様性が価値として称揚される現代の都市においては, しばしば文化実践の当事者の疎外を伴いながらも, 周縁的な差異までも資源として動員されることが多くなった. しかし, 都市内部の多様性と都市間の多様性は二律背反の場合が多い現実の中で, 多文化都市における来街者を意識したまちづくりは, ある特定の地区に特定の文化的資源の選択的な集積を促し, 文化的次元でのゾーニングを志向しがちである. このような整理を踏まえたうえで, 本稿の後半では, そうしたゾーニングが困難な多文化的な商業地である東京都台東区上野2丁目地区における防犯パトロール活動に注目する. 執拗な客引き行為などを取り締まり, 良好な地域イメージを守ろうとするこの地区のパトロールには, 従来批判されてきたセキュリティの論理とコミュニティへの意識の接合を見出すことができる. しかし本稿では, パトロールをもっとも熱心に推進しているのが, 空間的ゾーニングに加えて時間的なゾーニング (住み分け) も難しい飲食店主層であることを明らかにしたうえで, セキュリティの論理ぐらいしかコミュニティ形成のきっかけとなりえない異質性と流動性がきわめて高い――すなわち高度に都市的な――地区では, 地域防犯への志向性こそが, 多様な人々の間にコミュニケーションのチャンネルを開く最大公約数的な契機であり, ゾーニング的な発想に基づいた排除的な多文化主義を克服しうる側面ももっていることを指摘した.
著者
五十嵐 喜雄 〓上 奎介 知久 幸宏 今井 良子 渡辺 昭次
出版者
公益社団法人 日本化学会
雑誌
日本化学会誌(化学と工業化学) (ISSN:03694577)
巻号頁・発行日
vol.1989, no.9, pp.1616-1619, 1989-09-10 (Released:2011-05-30)
参考文献数
13
被引用文献数
4

種々のN-(置換フェニル)マレイミドを合成し,3種のかびについて抗かび試験を行ったところ,いずれも活性を示し,とくにN-(ジアルキルフェニノ)マレイミドは良好な結巣を与えた。ケルキル置換の位置と活性の闘係を調べるために,N-(ジメチルフェニル)マレイミドの各異性体の抗かび試験を行い,2,6に置換体および2,4-二置換体が多くのかびに対して活性を有することを知った。さらに,この2種のN-(ジメチルフェニル)マレイミドとN-(2,6-ジエチルフェニル)マレイミドは多くの細菌類,酵母類に対しても高活性であった。N-(2,4,6-トリクロロフェニル)マレイミドは,1グラム陽性菌に対しては活性を示すものの,グラム陰性菌に対して活性を示さなかった。数種のN-(置換フェニル)マレイミドとフランのDiels-Alder付加体を合成し抗かび活牲を調べたが,無置換の化合物が弱い活性を示すものの,置換された化合物は活姓を示さなかった。
著者
五十嵐 悠紀
出版者
明治大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2017-04-01

本研究では初心者の着付けを情報技術を用いて支援するシステムを検討・構築した.また半幅帯に注目し,半幅帯の帯結びを1 本のつながったものではなく,パーツの集合体として扱うというアイデアをもとに,(1)帯結びをデータ化して扱うシステム,(2)実世界でパーツの組み合わせによってさまざまな帯結びに変えられる帯「組み替え帯」の提案,(3)帯結びエディタによって作成したデータから組み替え帯を組み立てるための支援ソフトウェア,の3つの提案をした.また,提案システムに対してユーザインタビュー調査を行った.