- 著者
-
五十嵐 哲也
- 出版者
- 一般社団法人 日本教育心理学会
- 雑誌
- 教育心理学研究 (ISSN:00215015)
- 巻号頁・発行日
- vol.59, no.1, pp.64-76, 2011-03-30 (Released:2011-09-07)
- 参考文献数
- 43
- 被引用文献数
-
9
4
本研究は, 中学進学に伴って変化した不登校傾向に対し, どのような学校生活スキルが関与しているのかという点を検討した。383名に対し, 小学6年と中学1年の時点で調査が実施され, 以下の結果が得られた。1)小学校段階では, 学習に関連するスキル不足があらゆる不登校傾向の増大と関連していた。また, 「休養を望む不登校傾向」はコミュニケーションスキル, 「遊びを望む不登校傾向」は集団活動や健康関連のスキルが関与していた。2)中学校段階では, 学習, 健康維持, コミュニケーションのスキルがほぼ全ての不登校傾向と関連していた。3)中学進学に伴う変化については, 中学校での学習や健康維持のスキルが全般的に関与していた。また, 「別室登校を希望する不登校傾向」増加には, 集団活動スキルの関与が特徴的であった。「遊び・非行に関連する不登校傾向」が増加した者は中学校での進路決定スキル, 「精神・身体症状を伴う不登校傾向」が増加した者は中学校でのコミュニケーションスキルの低さが特徴的であった。「在宅を希望する不登校傾向」が増加した者は, 中学校段階でのあらゆる学校生活スキルの低さが認められた。