著者
冨岡 佳奈絵 佐藤 佳織 阿部 真弓 鈴木 惇
出版者
日本調理科学会
雑誌
日本調理科学会大会研究発表要旨集 平成26年度(一社)日本調理科学会大会
巻号頁・発行日
pp.95, 2014 (Released:2014-10-02)

【目的】安納イモは,水分が多く粘性の食感や甘味が強いことで知られ,熟成させると糖度が上がりおいしくなる。サツマイモは,加熱によりデンプンの糖化が進み,加熱方法の違いが味覚に影響を強く与える。異なる加熱方法で調理した安納イモの糊化デンプンの性状の違いをみるために組織化学的方法により調べた。【方法】サツマイモ(安納イモ、ベニアズマ)を3cm厚の輪切りにし,茹で,蒸し,オーブン(140℃と200℃)および電子レンジで加熱した。加熱した試料を室温に下げてから,ドライアイス・アセトンで急速に凍結し,コールドミクロトームで薄切(厚さ:16μm)した。薄切した切片をヨウ素液および過ヨウ素酸・シッフ液で染色して糊化デンプンの性状を観察した。【結果】安納イモの内部では,糊化デンプンで満たされたデンプン貯蔵細胞が少なかった。糊化デンプンで満たされたデンプン貯蔵細胞は,茹で,蒸しおよびオーブン200℃,オーブン140℃の順に少なかった。ヨウ素染色による糊化デンプンの色調は,茹でと蒸しでは褐色から青色を呈し,オーブン200℃ではほとんどが褐色であった。オーブン140℃では,糊化デンプンは褐色を呈し,貯蔵細胞を完全に満たすことはなかった。電子レンジでは,糊化デンプンが青色に染まり,多くのデンプン貯蔵細胞を満たしていた。オーブンで加熱したものの甘味が他のよりも強かった。ベニアズマでは,加熱方法の違いにより色調の差異があり,糊化デンプンで満たされたデンプン貯蔵細胞が多かった。安納イモは,ベニアズマより非常に甘かった。糊化デンプンの性状の違いが,甘さの違いと関連すると考える。
著者
佐藤 慈 青木 幹太 井上 友子 佐藤 佳代 進藤 環 星野 浩司
出版者
一般社団法人 日本デザイン学会
雑誌
日本デザイン学会研究発表大会概要集
巻号頁・発行日
vol.66, 2019

<p>福岡県の伝統的工芸品である博多人形の振興および地域の活性化を目的として、九州産業大学芸術学部、博多人形商工業協同組合、福岡市の産学官連携により、福岡の企業10社をイメージしたオリジナル博多人形「ハカタオフク」が制作された。「ハカタオフク」は、2018年11月にマリンメッセ福岡で開催された「KOUGEI EXPO IN FUKUOKA」で初公開され、その後も福岡市内の施設(はかた伝統工芸館、福岡市美術館、イムズ)において展示された。これらの展示に併せて、「ハカタオフク」のPRと人気投票を行うためのデジタルサイネージが開発された。このデジタルサイネージでは、AIとセンサーデバイスを活用することにより、効果的な情報提供および効率的な情報収集を目指した。本研究では、「ハカタオフク」のために開発されたデジタルサイネージの概要とその成果について報告する。</p>
著者
政金 裕太 佐藤 佳穂 岡村 吉泰 岡部 篤行 木村 謙
出版者
公益社団法人 日本地理学会
雑誌
日本地理学会発表要旨集
巻号頁・発行日
vol.2015, 2015

<b>1</b><b>.背景と目的</b><BR><br> 文科省の公式見解では、首都圏でM7クラスの地震が発生する確率は30年以内に70%といわれている。副都心の一つである渋谷駅周辺は、建物密度も昼間人口密度も極めて高い地区であるので、その防災対策は重要であり、大きな課題である。本研究では、その過密地域を含んだ青山学院大学周辺約1kmを対象地とし、災害発生時の人間の道路から避難施設までの避難行動をシミュレーションする。本研究は、その避難行動シミュレーションによって、いつ起こるかわからない震災に対して、すべての時間帯における人間の混雑した危険な状態がどこに発生するのかをチェックする手法を提案する。以下にそのプロセスを示す。<BR><br>(1)人間が何月何日何時に避難経路(道路)上に何人いるのかを推定する手法を示す。<BR><br>(2)2011年3月11日14時の避難者数の推定結果をシミュレーションに適用する。<BR><br>(3)シミュレーション結果からどこに危険な混雑が生じるのかを示す。<BR><br><BR><br><b>2</b><b>.手法の概略</b><BR><br> 道路ごとの人口数の推定は、「流動人口統計データ」(ゼンリンデータコム提供)、渋谷区、港区の避難施設データ、道路データを用いて行った。「流動人口統計データ」は在宅人口、勤務地人口、流動人口のデータから構成されており、ここでは対象地内に自宅も勤務地もないとされる流動人口を扱う。これらのデータをArcGIS上の空間解析ソフトで分析することで道路上の流動人口数の推定結果が得られる。この推定結果を道路上にいる避難者数として、シミュレーションに適用する。「流動人口統計データ」は時間帯ごとの人口データを含んでいるため、時間帯ごとの避難者数が推定できる。<BR><br> 避難シミュレーションにはSimTreadを使用した。SimTreadはCADソフトVectorWorks上で動かす歩行者シミュレーションソフトである。ArcGISで使用したデータをCADデータとしてエクスポートして、VectorWorksへインポートする。分析から得た避難施設ごとの避難者数の推定結果をVectorWorks上の道路にエージェントとして配置する。エージェントは、目的地の避難施設まで最短距離で移動をし、衝突を回避するために減速すると青色で表示され、衝突を回避するために止まってしまうと赤色で表示される。この設定によって赤く表示された箇所が混雑な危険箇所であると判断できる。これを繰り返しすべてのエージェントを道路上に配置したらシミュレーションを実行する。<BR><br><BR><br><b>3</b><b>.シミュレーションの適用</b><BR><br> 以上の手法を震災があった2011年3月11日14時台に適用する。この時間帯では、青山学院大への避難者数は55,111人であるという推定結果が出た。シミュレーションの結果、目的地付近で大混雑が生じ、避難開始30分が経っても約5分の一の10,178人しか避難し終えないことがわかった。<BR><br><BR> <br><b>4</b><b>.考察</b><BR><br> シミュレーション結果から、避難開始数分後は交差点とコーナーに混雑が確認できる。その後、避難行動が進むにつれて、エージェントが通る道路が限定されていき、混雑する道路を特定できる。また、曜日、時間ごとの推定結果を蓄積することで、それぞれの日時の混雑の傾向を推定することが可能になる。時間帯別の危険箇所を指摘することは今後の防災対策として有効に活用できると思われる。この結果から考えられる対策として、避難施設の入り口の拡張、避難者を分散させるような経路の検討、曲がる回数を最小に抑えた直線的な避難誘導などが挙げられる。本研究で提案した手法は、他の地域にも適用可能な汎用的手法である。今後、他の地域にも適用することで、混雑が生じる危険箇所を確認できるシステムとして広範囲に利用できる。<BR><br> 本手法は、扱ったデータの正確性から考えて、あくまでひとつの推定手法に過ぎない。また、災害の被害状況によってはすべての道路が安全に通れるという保障はない。しかし、時間帯ごとの避難行動のシミュレーションによって、時間ごとにおおよその混雑箇所、混雑道路が把握できるという点では有効な推定手法と言えよう。今後、より実態に近い避難行動の推定を行うには、過去の避難行動の調査を参考に、各避難施設の収容数も考慮した、より適切な避難行動モデルを設定する必要がある。
著者
星野 浩司 青木 幹太 井上 友子 佐藤 佳代 佐藤 慈 進藤 環
出版者
一般社団法人 日本デザイン学会
雑誌
日本デザイン学会研究発表大会概要集 日本デザイン学会 第65回春季研究発表大会
巻号頁・発行日
pp.298-299, 2018 (Released:2018-06-21)

本研究では、福岡市南区の商店街におけるブランディングを目的とした活性化事業として、本学の芸術学部と福岡市、長住大通り商店街(福岡市南区)の産官学が協働で取り組む、産官学連携型のキャリア教育・専門教育を目的とした人材育成教育プログラムの実践を行った。小学生による長住大通り商店街の店舗コマーシャルの制作をワークショップ形式で実施する取り組みや、長住地区についてゲーム形式で学習するアーケード型ゲームコンテンツの開発を行っている。これらの取り組みを通して高齢化や人口流出の問題、生活様式の変化による商店街衰退の現状について直に触れることで、地域が抱える課題解決に向けた打開策の必要性という切迫した状況を理解する機会を得ることが出来た。また、授業で学んだ知識や技術の応用として学外での本取組みの中で、問題の解決や渉外交渉を通し、主体性を持った行動力とコミュニケーション能力の育成を図ることが出来たと考える。
著者
佐藤 佳子 熊谷 英憲 岩田 尚能 伴 雅雄
出版者
一般社団法人日本地球化学会
雑誌
日本地球化学会年会要旨集 2017年度日本地球化学会第64回年会講演要旨集
巻号頁・発行日
pp.143, 2017 (Released:2017-11-09)

蔵王火山は東北地方の代表的な成層火山の1つで、約100万年前から活動を開始し、現在まで活動を維持している。2013年からの火山性微動や山頂部のわずかな隆起など、活発になっている火山活動の監視の観点からも、現状をモニタリングできる湖水、湧水などの希ガスデータが必要である。今回、蔵王周辺の湖水・温泉水について、希ガスの同位体比と元素存在度を測定し、He-Ne同位体比を用いて、温泉水などへのマグマからの寄与の判定を行った。測定の結果、He-Ne同位体比に関しては、同位体比は大気に近い値が得られたが、混合曲線を描いて検討した結果、大気中の希ガス同位体比に比較して、わずかにマントル起源のガスの混入が示唆された。
著者
佐藤 佳弘
出版者
一般社団法人社会情報学会
雑誌
日本社会情報学会学会誌 (ISSN:09151249)
巻号頁・発行日
vol.19, no.3, pp.19-31, 2008-03-30

生活情報化の進展は,移動電話契約数の増加,IT機器の世帯普及率の上昇,インターネットの人口普及率の上昇,ブロードバンドの契約数の増加など様々な面に現れている。しかしながら,これら契約数や普及率の上昇は,個々の側面における情報化の進展状況を示しているものであり,生活側から情報化の進展度合いを総体として表してはいない。なぜなら,生活の中の情報は,携帯電話に代表される通信メディアによってだけではなく,郵便,放送,印刷をはじめとする多様なメディア(媒体)によっても媒介されており,これらのメディアが生活の情報化を構成しているからである。本稿は,様々なメディアから構成されている生活情報化の進展度合いを家計消費支出の側面から把握することを試みている。情報メディアに対する家計支出を通信・放送・郵便・手書き・記録・PC(情報機器)・印刷の7種に分け,さらにオンライン/オフラインとパーソナル/マスから成るマトリクスを用いて分析している。その結果,1995年以降の生活の情報化は,オンラインとパーソナルに傾斜しており,その主要因は通信にあることが家計消費支出によって裏付けられた。また,生活における情報支出は,1995年を境に選択的支出に転化しているものの,高所得層の世帯においては基礎的支出の位置付けにあることが明らかになった。
著者
小暮 真奈 遠又 靖丈 周 婉婷 佐々木 公子 佐藤 佳子 青栁 友美 辻 一郎
出版者
特定非営利活動法人 日本栄養改善学会
雑誌
栄養学雑誌 (ISSN:00215147)
巻号頁・発行日
vol.72, no.2, pp.84-90, 2014 (Released:2014-05-30)
参考文献数
7

【目的】東日本大震災後における非常食対応マニュアルの実行状況と給食提供の早期再開との関連を明らかにすることを目的とした。【方法】仙台市内の全認可保育所123施設を対象として,質問票を配布し,全施設から回答を得た。非常食対応マニュアルの実行状況について,概ね実行できたと回答した施設をマニュアルが「実行あり」と定義し,それ以外を「作成・実行なし」と定義した。アウトカム指標は震災発生(金曜日)後の翌平日である3月14日(震災発生後3日)までに給食提供を再開した施設を「給食早期再開」と定義し,マニュアルが実行ありの施設の給食早期再開のオッズ比を推定した。【結果】マニュアルが実行ありの施設は29施設(23.6%)であった。マニュアルが作成・実行なしの施設に比べ,実行ありの施設の給食早期再開の多変量調整オッズ比(95%信頼区間)は6.99(1.28~38.29)であり,マニュアルが実行ありの施設は震災後3日以内に給食提供をした施設の割合が多かった。なお,3日以内に保育所を再開した施設に限定しても結果は同様であった。【結論】非常食対応マニュアルが実行ありの施設では,震災後に給食提供を早期に再開した施設が多かった。以上より非常食対応マニュアルの給食早期再開に対する有用性が示唆された。
著者
上平 晶一 吉田 行雄 佐藤 佳弘 平川 隆一 山中 桓夫 井廻 道夫
出版者
一般社団法人 日本消化器内視鏡学会 関東支部
雑誌
消化器内視鏡の進歩:Progress of Digestive Endoscopy (ISSN:03899403)
巻号頁・発行日
vol.54, pp.62-64, 1999-08-15 (Released:2014-10-28)
参考文献数
10
被引用文献数
1 3

症例は49歳,女性。23年前からの嚥下困難が増悪したため,近医を受診した。上部内視鏡検査が施行されたが,食道入口部直下の膜様狭窄のため挿入できず,当センターを紹介受診した。血液検査にて鉄欠乏性貧血が,食道造影にて食道webが認められたため,Plummer-Vinson症候群(PVS)と診断された。鉄剤の内服治療が開始されるとともに,食道webに対して内視鏡的バルーン拡張術が施行された。1ヵ月後の上部内視鏡検査で食道狭窄は改善しており,嚥下困難も軽快していた。PVSは鉄欠乏性貧血に嚥下困難,舌炎,匙状爪などを呈する症候群で,高率に食道webを合併する。治療は鉄補充が基本であるが,食道webによる狭窄が高度な場合は,診断後,すみやかに拡張術が施行されることが多い。また,食道癌,後咽頭癌の合併頻度が高く,継続的な上部内視鏡検査が必要とされている。
著者
佐藤 佳州 高橋 大介
雑誌
ゲームプログラミングワークショップ2011論文集
巻号頁・発行日
vol.2011, no.6, pp.135-142, 2011-10-28

近年,ゲームプログラミングの分野において機械学習は急速に発展しており,評価関数の重みの決定,探索深さの調整,モンテカルロシミュレーションにおける指し手の予測など,幅広い課題に対して有効であることが示されている.現在のゲームプログラミングにおける機械学習は,あらかじめ評価項目(特徴)を用意し,プロの棋譜などを基にその重みを学習するというものが主流である.このような手法は,人間では調整できないような膨大な数の特徴に対しても,自動的に適切な重みを算出できるという利点がある.一方で,学習に用いる特徴自体は人間が手動で設計する必要があり,性能を決定する大きな要因となっている.現在,特徴の設計に関しては,人手による試行錯誤的な調整が行われているが,機械学習に有効な特徴を手動で生成することは一般的に非常に困難な問題である.本論文では,この問題を解決するため,特徴の自動生成と機械学習の重み付けを組み合わせることにより,有効な特徴を生成する手法を提案する.具体的には,機械学習の反復計算の過程に特徴の生成を組み込むことで,性能の向上を目指す.実験の結果,提案手法が現在ゲームプログラミングの分野で用いられている各学習手法において有効であることを示した.
著者
岩見 真吾 佐藤 佳 小柳 義夫
出版者
一般社団法人日本応用数理学会
雑誌
応用数理 (ISSN:09172270)
巻号頁・発行日
vol.22, no.2, pp.85-94, 2012-06-26

Recently, in order to investigate the fundamental phenomena in immunology and virology such as maintenance of immune memory, T-cell homeostasis, the relationship between aging and immunosenescence, the regulation of the adaptive immune response during viral infection, the pathogenesis of CD4^+ depletion in HIV infection, and the underlying mechanisms of leukemia, we successfully quantied lymphocyte kinetics in humanized mice through BrdUlabeling experiment. It is worth noting that our findings are the first to assess lymphocyte dynamics utilizing this technique. At first, we will briefly give an outline of the "Quantification system of lymphocyte kinetics in humanized mice" and then we will discuss about properties of the lymphocyte kinetics and utilities of our established system.
著者
佐藤 佳郎 高田 肇 片山 順
出版者
京都府立大学
雑誌
京都府立大学学術報告. 人間環境学・農学 (ISSN:13433954)
巻号頁・発行日
vol.50, pp.75-86, 1998-12-25

コレマンアブラバチ(Aphidius colemani)とショクガタマバエ(Aphidoletes aphidimyza)が, ワタアブラムシの生物的防除素材として, 1998年4月に農薬登録された。京都府京都乙訓農業改良普及センターは京都市上賀茂のキュウリ栽培ビニルハウス(側面開放型, 網なし)において, これら2種天敵昆虫を1997年5月2日から1週間間隔で計4回放飼して防除試験をおこなった。著者らはワタアブラムシとその天敵昆虫の発生量, 特に捕食寄生バチ類の動態を調査した。ワタアブラムシは5月中旬に1か所(数株)で大発生し, 6月にはそこからハウスのほぼ全域に広がり, 天敵からのエスケープ状態となった。サンプリングしたアブラムシの捕食寄生バチによる寄生率は平均67%(解剖による), コレマンアブラバチは一次捕食寄生バチの81%を占めた。サンプリングした茶褐色丸型マミーから, コレマンアブラバチは13%しか羽化しなかったのに対し, 4科8種にわたる二次捕食寄生バチが39%も羽化した。黄色粘着板トラップにはコレマンアブラバチより在来のアブラバチLipolexis gracilisが18%多く捕獲された。本試験の結果から, 天敵昆虫を有効に利用する方法を考察した。