著者
佐藤 健
出版者
日本ソフトウェア科学会
雑誌
コンピュータ ソフトウェア (ISSN:02896540)
巻号頁・発行日
vol.27, no.3, pp.3_36-3_44, 2010-07-27 (Released:2010-09-27)
被引用文献数
5

筆者は,論理に基づく人工知能の法学への真の応用を求めて,東大法科大学院に2006年から3年間在学し,そこで法律に関する知見を得た.本稿では,その知見とこれまで20年にわたり研究してきた人工知能における論理の研究を融合させた結果について概観するとともに,今後の有望な研究テーマについて述べる.
著者
畑山 諒太 佐藤 健哉
雑誌
研究報告高度交通システムとスマートコミュニティ(ITS) (ISSN:21888965)
巻号頁・発行日
vol.2020-ITS-83, no.16, pp.1-6, 2020-11-17

近年,自動運転に関する研究が盛んに行なわれいる.車が自動運転化されることにより,運転者は不要となり,車内環境は大幅に変化することが予想される.今まで必要だった運転者は一乗員となり,車内ではより自由な時間を過ごすことができるようになる.そういった状況において,車内ではPC作業をする機会が増え,車酔いが増加すると予想される.走行している車内で画面を注視すると,内耳から脳に送られてくる信号と眼球から脳に送られてくる信号に不一致が生じ,脳が「異常」と判断し,自律神経が不安定になる.そして,自律神経が不安定になった結果,吐き気や頭痛といった車酔いの症状が表れるためである.本研究は,車内でのPC作業が起因となる車酔いの緩和手法を提案する.PC利用者に,車が次の交差点で曲がる右左折方向を音声で事前に告知し,旋回方向へ頭部を傾けさせる手法である.先行研究から,運転者の旋回方向への頭部運動は車酔い緩和につながることが示されており,PC作業による車酔いの緩和が期待できる.本研究では,提案手法の事前告知による車酔い緩和を検証するため,検証実験での事前告知タイミングのパターンを以下の3つとした.「右左折のためのブレーキを踏む1秒前とハンドルを回す1秒前に2回」,「ハンドルを回す1秒前に1回」,「告知なし」の3パターンである.実験参加者には走行車内で,告知回数2回,告知回数1回,告知なしのそれぞれのパターンで,車内でPC作業を行ってもらう.そして,アンケート,心拍数,唾液アミラーゼ活性値,タイピングタスクの評価結果から提案手法の優位性を示した.
著者
佐藤 健一 小林 量作 計良 圭一
出版者
公益社団法人 日本理学療法士協会
雑誌
理学療法学Supplement
巻号頁・発行日
vol.2008, pp.A3P3068, 2009

【目的】麓(1982,1989)の研究によると、利き足には機能的利き足(以下、機能足)と力発揮の利き足(以下、支持足)に分けられる.前者はボールをける足で右足が多く、後者は高跳びなどの踏み切り足とされ左足であることが多い.本研究の目的は、左右及び利き足の違いによって片脚立ち保持時間に影響を及ぼすか検討することである.<BR>【方法】対象は本学およびA専門学校学生588名(男性394名、女性194名、19.5±1.7歳)の内アンケートにおいて骨・関節障害の記載者を除いた463名(男性316名、女性147名、19.5±1.6歳、身長168.1±8.2cm、体重61.1±9.5kg)である.対象者に開眼・閉眼片脚立ち時間の測定およびアンケートを実施した.片脚立ち時間の測定は上限を120秒とし、開眼、閉眼において左右各2回行い最長時間を代表値とした.アンケートは、年齢、身長、体重、運動器疾患の有無、車酔いの頻度、めまいの有無、機能足(ボールをける足)、支持足(高跳びの踏み切り足)である.統計解析にはSPSS Ver.12を使用し、一元配置分散分析、対応のないt検定、有意水準5%未満とした.なお本研究は新潟医療福祉大学倫理委員会の承認を得て対象者全員から書面による同意を得た.<BR>【結果】(1)利き足の割合は支持足右42.7%、左52.9%、左右4.3%.機能足右92.6%、左5.2%、左右2.2%で、利き足の組み合わせは9通りみられ、最も多かった組み合わせは支持足左-機能足右49.5%、次いで支持足右-機能足右39.3%であった.(2)片脚立ち時間の性差は、開眼・閉眼とも認められなかった.(3)車酔い、めまいのアンケート結果と片脚立ち時間及びロンベルグ率(閉眼片脚立ち時間 / 開眼片脚立ち時間)の比較でも有意差は認められなかった.(4)左右の片脚立ち時間では、開眼(右117.3秒、左118.8秒)、閉眼(右55.8秒、左60.7秒)のいずれも左右差が認められた.(5)支持足および機能足の左右差では、支持足における閉眼片脚立ち(右50.6±38.9秒、左65.2±44.0秒)のみ有意差が認められた.(6)ロンベルグ率における支持足、機能足の左右差においても支持足(右0.4±0.3、左0.5±0.4)のみ有意差が認められた.<BR>【考察】片脚立ち保持時間については支持足が左であることが他の条件(支持足が右、機能足が左など)よりも有意に長く、特に閉眼片脚立ちで顕著であった.これは、姿勢バランスの視覚による補正が断たれることで顕在化したものと考えられる.また、閉眼では全体的に標準偏差が大きいことから、片脚立ち保持時間の測定には利き足の個人差が影響すると考えられる.
著者
月村 辰雄 安藤 宏 佐藤 健二 木下 直之 高野 彰 姜 雄 野島 陽子
出版者
東京大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2001

本研究は、東京大学総合図書館に保存されている千数百冊におよぶ明治初期の洋書教科書の分類整理を主要な目的とし、あわせてそれらの教科書が用いられていた大学南校・開成学校等における教育の実態、またそれらの教科書を通じてもたらされたヨーロッパ文化の受容形態を、残された洋書教科書そのものに即して明らかにしようとするものである。研究第1年度においては、主として著者名・書名・印記・書き込みの有無などを調査対象として教科書群のデータ採録にあたった。第2年度においては、採録されたデータのデジタル・データ化にあたり、エクセル・データとして著者名のアルファベット順教科書一覧表を作成した。あわせて今後の研究資料体としての活用を見越した分類法について各種の方法を検討した。第3年度は、このデータをもとに明治初期の東京大学の教育史との関連において各種の研究を進めたが、その主な成果は以下の通りである。(1)東京外国語学校の分離にともなって移管された初期東大の洋書教科書群の一部が、明治前期の諸学校の変遷の結果、現在一橋大学を始めとする各所に分散保管されていること。(2)大学南校から開成学校、東京大学へと移行する教育方針は専門教育化と英語専修化の二つであり、それが残存教科書群からも窺えること。すなわち、南校まで仏・独の多方面の教科書がその後は法学科・工学科学生のための語学書に限定されること。また、書き込みのノートを検討しても英語による下調べが一般化すること、など。(3)工学系の教科書群の選定にきわめて強く外国人教師ワグネルの意向が反映していること。(4)さらに、明治4年の貢進生について、新たな視点から精細な調査をおこなったこと。なお、教科書群の分類リストは校正のうえ、別途公刊の予定である。
著者
榊原 康文 伊藤 詩乃 田中 佑岳 佐藤 健吾 洪 繁 狩野 芳伸 Yasubumi Sakakibara Shino Ito Yugaku Tanaka Kengo Sato Shigeru Ko Yoshinobu Kano
雑誌
SIG-AIMED = SIG-AIMED
巻号頁・発行日
vol.001, 2015-09-29

Toward a final goal to construct a medical diagnostic support system, as its pilot study, we attempt to build a question-answering program that automatically answers the medical licensing examination.
著者
佐藤 健裕
出版者
京都大學經濟學會
雑誌
經濟論叢 (ISSN:00130273)
巻号頁・発行日
vol.176, no.3, pp.327-346, 2005-09
著者
佐藤 健斗 野口 普子 三富 菜々 嶋田 岳 昆 恵介
出版者
公益社団法人 日本義肢装具士協会
雑誌
POアカデミージャーナル (ISSN:09198776)
巻号頁・発行日
vol.27, no.2, pp.118-123, 2019 (Released:2019-10-16)
参考文献数
11
被引用文献数
2

臨床の場面で、脳血管障害により身体に後遺症を負った装具使用者と、義肢装具士やその他の治療に関わる様々な職種の方々との間で装具を使用する上で重視する点の違いを感じる場面が少なくない。今回は、それぞれが短下肢装具選好に際して重視する要素を確認し、違いを明らかにすることを目的とし、コンジョイント分析を用いた調査研究を行った。結果として、義肢装具士群、理学療法士群が短下肢装具を使用する目的を「歩行・立位の安定」とみて、装具選好の際に重視している一方、装具使用者群とは有意にその影響度に差異があり、装具使用者群においては装具選好にあたり必ずしも重視される要素ではない可能性が示唆された。
著者
佐藤 健二
出版者
札幌学院大学社会情報学部
雑誌
社会情報 = Social Information (ISSN:0917673X)
巻号頁・発行日
vol.11, no.1, pp.49-77, 2001-12-22

第11回 社会と情報に関するシンポジウム
著者
佐藤 健次
出版者
一般社団法人 日本物理学会
雑誌
日本物理学会講演概要集 72.1 (ISSN:21890803)
巻号頁・発行日
pp.545, 2017 (Released:2018-04-19)

CERNのLEPは電子・陽電子の衝突型加速器で、1989年に運転が開始されたが、運転当初から、偏向電磁石の磁場の奇妙な変動に悩まされていた。1995年になって、この磁場変動は、電車がジュネーブ駅を発着するときに発生することが判明した。ただし、ジュネーブ駅には、フランス国鉄の直流電車TGVと、スイス国鉄の交流電車CFFとが発着するが、磁場変動は前者の電車で発生していた。両者の違いは、コモンモードノイズは、直流電車で大きく、交流電車では小さいことで説明される。
著者
水越 直子 佐藤 健二
出版者
日本皮膚科学会大阪地方会
雑誌
皮膚 (ISSN:00181390)
巻号頁・発行日
vol.27, no.6, pp.1166-1171, 1985

大阪大学医学部附属病院皮膚科外来初診患者台帳と外来カルテをもとに, ステロイド皮膚炎とステロイド座瘡について昭和55年から59年まで経時的に調べた。両疾患の合計患者数は順に30, 26, 31, 30, 45人であり, 近年両疾患が減少しているとは言えず, 逆に, 昭和59年ではその前4年間の約1.5倍であった。原因薬剤として, 最近新たに発売された外用剤による発症の比率が増加傾向にあった。これらのことは副腎皮質ステロイドホルモン含有外用剤による副作用を減少させる対策を立てる必要のあることを示唆しており我々は一つの提案を行った。対照として調べた尋常性座瘡の有病年令は50才代に及んでいた。
著者
佐藤 健二 田口 博康 吉川 邦彦
出版者
Meeting of Osaka Dermatological Association
雑誌
皮膚 (ISSN:00181390)
巻号頁・発行日
vol.34, no.2, pp.172-176, 1992 (Released:2010-08-25)
参考文献数
13

色素性乾皮症 (XP) 患者が外出する場合厳密な紫外線遮断が必要である。これまでその目的の為に試作した服は, 紫外線遮断は充分であるが少し暑いと言う欠点があった。最近セラミックス練り込みポリマーを使用したポリエステル繊維 (パコニア®) が発売された。その中の製品番号62011は, 可視域については最大0.26%, 紫外域については最大0.36%の低い透過率を有していた。可視光線に対する62011の反射率は高くまた軽いため, あまり暑さを感じさせない着心地の良い服地であることが30余名のXP患者の試着により分かった。本服地は、色素性乾皮症患者だけでなく他の光線過敏症患者も利用し得る夏用服地であることがわかった。
著者
佐藤 健 西貝 吉晃
出版者
一般社団法人 人工知能学会
雑誌
人工知能学会全国大会論文集 第33回全国大会(2019)
巻号頁・発行日
pp.4E3OS7b05, 2019 (Released:2019-06-01)

本論文では、刑事訴訟のPROLEG(PROlog-based LEGal reasoning support system)による実装について検討する。PROLEGは民事訴訟を実装するために開発されてきたが、PROLEGの法表現自体は、原則・例外からなる法体系であれば一般的に応用可能である。刑法も同様に原則・例外からなる法体系であるので、PROLEGでの実装は基本的には可能と思われるが、民事訴訟と刑事訴訟には概念的な差異があるため、この論文はそのような差異についてPROLEGでどのように実装するかについて論じる。
著者
昆 恵介 福士 幹太 辻 智悠 佐藤 健斗
出版者
公益社団法人 日本義肢装具士協会
雑誌
POアカデミージャーナル (ISSN:09198776)
巻号頁・発行日
vol.29, no.2, pp.107-114, 2021 (Released:2021-09-01)
参考文献数
19

本研究では国内でこれまでに流通してきた膝装具の代表的ものとして、OAファンタジー、CBブレース、アンローダーワンを取り上げ、装具の矯正力について比較し、その特徴と差異を明確にすることを目的とした。方法は膝内反変形を再現した模擬生体(ファントムモデル)に各種膝装具を装着し、装具が発生している矯正力を動作解析によって計測を行った。結果として、膝装具はいずれも変形性膝関節症患者の変形を矯正するに必要な3点支持の矯正力を発揮していないことを明らかにした。
著者
伊藤 大輔 佐藤 健二 鈴木 伸一
出版者
一般社団法人 日本認知・行動療法学会
雑誌
行動療法研究 (ISSN:09106529)
巻号頁・発行日
vol.35, no.1, pp.1-12, 2009-01-31 (Released:2019-04-06)
被引用文献数
2

本研究の目的は、トラウマの構造化開示が心身の健康に及ぼす影響を検証することであった。実験参加者(大学生25名)は、構造化開示群、自由開示群、統制群に無作為に振り分けられ、20〜30分間の筆記課題を3日間行った。構造化開示群は認知的再評価を促進させるため、実験者からの詳細な指示に従ってトラウマを筆記するように求められた。自由開示群は自由にトラウマを筆記するように求められた。統制群は中性的な話題について筆記するように求められた。効果指標には、コルチゾール、ワーキングメモリ容量、出来事インパクト尺度、外傷体験後の認知尺度を用いた。その結果、構造化開示群、自由開示群においては、内分泌系の改善効果が維持される可能性が示された。また、構造化開示群が統制群と比較して認知機能が向上したものの、統計的には有意傾向であった。したがって、今後も、実験手続きを改定し、構造化開示の効果について再検証する必要がある。
著者
佐藤 健二 落合 恵美子 赤川 学 中筋 由紀子 葛山 泰央 野上 元
出版者
東京大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2004

最終年度として、これまでの研究会活動を通じて浮かび上がってきた問題を整理すると同時に、資料の共有の方法の模索を通じて、あるいはデータベースの構築に関わる問題点の検討を通じて、明らかになってきた情報と問題について、それぞれの立場から研究を進めた。第一に、歴史社会学の理論と方法の問題の焦点が、広い意味での資料論およびデータ論の構築のしかたにあることがしだいに明らかになってきた。歴史学と社会学の深い断絶は、一方では歴史学における理論や方法論の枠組みに対する認識論の感度の低さに、他方では社会学における資料やデータのとらえ方のなかの現在中心主義的な狭さに由来する。その双方の乗り越えが、歴史社会学の理論と研究方法の課題であると自覚したうえで、もっとも戦略的な研究フィールドとして、「社会調査」が浮かびあがってきた。第二に、いくつかのパイロットスタディから、手がかりとなりうるものも現れてきている。研究代表者を中心に薦めてきた(1)調査票画像データベース構築の実験、(2)歴史的調査研究の二次分析の試み、(3)社会調査史の構成に関わる基礎的情報の洗い出しは、それぞれその第一段階の見通しがついた。本格的に展開するためには、新たな科学研究費プロジェクトが必要となるだろうが、部分的にわかってきたことからも、社会調査の歴史社会学が、歴史社会学の理論と研究方法の構築にもつ大きな意味はうかがえる。第三に、この研究プロジェクトの一つの柱であった研究会活動について、当初の目標として掲げられた歴史社会学のテクストブックは、まだ論点を浮かびあがらせた段階にとどまっているが、それぞれの立場からの理論と研究方法の検討は、固有のテーマやフィールドのなかで展開された。論集という形での成果の公開に向けての検討も進んだ。