著者
佐藤 健司 Kenji Sato
出版者
同志社大学商学会
雑誌
同志社商学 = Doshisha Shogaku (The Doshisha Business Review) (ISSN:03872858)
巻号頁・発行日
vol.72, no.5, pp.733-749, 2021-03-12

本稿では、日本企業の職場における人間関係に関する従業員の満足度やストレスの状況について確認したうえで、これまでの日本企業における働き方がどのような考えや慣行のもとで構築されていたのかということについて分析する。そしてそうした分析に基づいて、今日の日本企業において生じている働き方や人間関係の問題を解決するためには、どのような点に留意すべきなのかということについて、ジョブ型雇用の考え方と関連させながら考察を行う。
著者
森 禎三郎 藤村 匠 山田 洋平 狩野 元宏 佐藤 健二 浅沼 宏 星野 健 長谷川 奉延 黒田 達夫
出版者
特定非営利活動法人 日本小児外科学会
雑誌
日本小児外科学会雑誌 (ISSN:0288609X)
巻号頁・発行日
vol.55, no.4, pp.841-849, 2019-06-20 (Released:2019-06-20)
参考文献数
38

総排泄腔遺残症・外反症や性分化異常症では,生命予後やQOLは改善されてきたが,生殖機能における長期的予後は十分に改善されているとは言えない.当院では小児外科,小児科,泌尿器科,産婦人科でチームを形成し,症例ごとに治療を行っている.今回,外陰部形成術を施行した5例を後方視的にまとめ,術式の選択と至適な手術時期について検討した.原疾患は総排泄腔遺残症が2例,総排泄腔外反症,先天性副腎皮質過形成症,原発性性腺機能低下症が1例ずつであった.外陰部形成には,結腸間置法,skin flap法,pull-through法,total urogenital mobilization,骨盤腹膜利用法をそれぞれ用いた.外陰部形成術を行う疾患は多岐にわたり,病態も多様なため,症例に応じたアプローチが必要である.疾患に応じて手術時期を設定し,乳児期より多科連携による治療戦略のロードマップを描くことが重要である.
著者
昆 恵介 福士 幹太 辻 智悠 佐藤 健斗
出版者
公益社団法人 日本義肢装具士協会
雑誌
POアカデミージャーナル (ISSN:09198776)
巻号頁・発行日
vol.29, no.2, pp.107-114, 2021

<p>本研究では国内でこれまでに流通してきた膝装具の代表的ものとして、OAファンタジー、CBブレース、アンローダーワンを取り上げ、装具の矯正力について比較し、その特徴と差異を明確にすることを目的とした。方法は膝内反変形を再現した模擬生体(ファントムモデル)に各種膝装具を装着し、装具が発生している矯正力を動作解析によって計測を行った。結果として、膝装具はいずれも変形性膝関節症患者の変形を矯正するに必要な3点支持の矯正力を発揮していないことを明らかにした。</p>
著者
中西 良孝 服部 育男 田川 光梨 高山 聡子 高山 耕二 神谷 充 佐藤 健次
出版者
日本草地学会
雑誌
日本草地学会誌 (ISSN:04475933)
巻号頁・発行日
vol.57, no.4, pp.209-211, 2012
参考文献数
3

従来,VBN濃度は微量拡散法や水蒸気蒸留法などの滴定法によって測定されてきたが,最近,飼料中の硝酸態窒素濃度や土壌中のアンモニア態窒素濃度を測定する場合に電気化学的検出法であるイオン電極法(以下,本法)が適用可能であり,土壌のアンモニア態窒素濃度測定においては分析時間が比色法よりも短縮することが報告されている。したがって,飼料中のVBNについても本法による分析が可能と考えられるが,滴定法の代替法としての可能性を追究した報告はない。そこで本研究では,発酵TMRおよびサイレージ中のアンモニア態窒素濃度を簡易に測定するための方法を開発することを目的とし,微量拡散法および本法による測定値間の相関関係を明らかにし,本法が滴定法の代替法となり得るかどうかを検討した。
著者
亀長 洋子 飯田 巳貴 西村 道也 宮崎 和夫 黒田 祐我 櫻井 康人 堀井 優 佐藤 健太郎 高田 良太 澤井 一彰 齋藤 寛海
出版者
学習院大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2014-04-01

多文化が交錯する世界である中近世の地中海世界を、東洋史・西洋史の共同研究として再考した。中近世のグローバリゼーションのなかで、アラブ、マグリブ、トルコのイスラーム諸勢力、ビザンツ、西洋カトリック諸勢力、ユダヤ教徒などが地中海世界の各地で政治、経済、宗教、社会の様々な面において対峙する様相を各研究者は個人研究として進め、その成果を海外研究者の協力も得つつ互いに共有した。それにより研究者たちは西洋史・東洋史のいずれにも偏らない視野を育くみ、一国史観を超えた歴史叙述を充実させた。その成果を含んだ研究報告書を作成し多くの研究者に配布し、また共同研究の成果を公開シンポジウムの形で広く人々に公開した。
著者
村山 良之 桜井 愛子 佐藤 健 北浦 早苗 小田 隆史 熊谷 誠
出版者
公益社団法人 日本地理学会
雑誌
日本地理学会発表要旨集
巻号頁・発行日
vol.2021, 2021

<p>1 学校防災の自校化を担う教員のための研修</p><p></p><p> 学校防災の自校化のためには,学校や学区の地形を含む地域の条件を把握してハザードマップの想定外まで含む読図が有効かつ必要である。しかし,このような地理学界の常識は,学校教員を含む一般市民にはまったく浸透していない。元々の専門や経歴が多様な発表者らは,地理学(地形学)の常識を活かして学校防災が向上するよう,この教員研修を提案するものである。</p><p></p><p> 発表者らは,2019年6月石巻市教育委員会防災主任研修会でワークショップの機会を得た(村山,2019)。自校を含むハザードマップ,地形図,地形分類図等を用いて共同作業を行うことで,受講した防災主任は読図力が上昇したとこを自ら認める等,成果をあげることができた(小田ほか,2020)。そこで,同様の研修を広くオンライン等でもできるよう,研修動画,ワークシートとその記入例等含む,プログラムを作成した。</p><p></p><p>2 オンライン研修プログラム</p><p></p><p> 上記ワークショップで得た成果および課題と,学校教員の実状を踏まえて,ガイダンスを含む6つの研修からなる講座「学区の地図を活用した災害リスクの理解」を作成した。</p><p></p><p> 対象ハザードは,土砂災害と洪水とし津波についても言及する。防災のために有益でかつ防災や専門知識を持たない学校教員にも理解を促しやすいことを念頭に,地形要素として,山地・丘陵地については傾斜の大小と崖および谷,低地については微高地(自然堤防,浜堤・砂丘)と後背湿地や旧河道を,取り上げることとした。いずれも土砂災害と水害に対する土地条件として重要な地形要素である。そして,それらの地形把握のために,山地・丘陵地(土砂災害)については地形図,低地(洪水)については地形分類図が有効であること,それぞれの地図の入手・閲覧方法,概要と読図法,さらにハザードマップと関連することを,学ぶ(研修2,3)。ハザードマップについては,有用で利用しやすい情報源であるとしてその不要論を廃し,結果のみではなく「科学的根拠のある目安」として利用すべきこと(研修0),ハザードマップの種類や入手・閲覧方法とその限界(想定外)について(研修1),そして研修2と3で学んだ地形とハザードマップが密接に関連することを踏まえつつ,想定外についても地形から合理的に把握できることを,学ぶ(研修4)。さらに,研修5では,これまでの研修内容を応用して,避難の合理的な方法を学ぶ。</p><p></p><p> </p><p></p><p>講座「学区の地図を活用した災害リスクの理解」の主な内容</p><p></p><p>研修0 ガイダンス</p><p></p><p>講座全体の構成,講座の背景と目的,ハザードマップとは,読図とは,「地形を踏まえたハザードマップ3段階読図法」</p><p></p><p>研修1 学区のハザードマップを読む</p><p></p><p>ハザードマップをインターネットで探す 重ねるハザードマップから読む ハザードマップの想定について(法律,前提) まとめ 演習 おまけ</p><p></p><p>研修2 学区の地形図を読む</p><p></p><p>地形とは 地形図とは(例:岩手県釜石市の一部) 地形図を読むためのポイント(方位,縮尺,地図記号,等高線,崖記号,谷線) 地形図と土砂災害ハザードマップ(谷と土砂災害,崖や急傾斜地とがけ崩れ,2019年台風19号) まとめ おまけ</p><p></p><p>研修3 学区の地形分類図を読む</p><p></p><p>地形分類図とは(低地内の微地形) 地理院地図で地形分類図を読む(断面図,微地形と起伏,洪水ハザードマップとの対応) まとめ 演習(自校の学区について,地形図と地形分類図から読み取れること) おまけ(低地部で地形分類図がない場合)</p><p></p><p>研修4 学区の地形からハザードマップの想定外も考える</p><p></p><p>ハザードマップと,地形図,地形分類図を読む(例:山形県庄内地方の土砂災害と洪水 2019年台風19号宮城県丸森町の浸水範囲,ハザードマップと地形分類図) まとめ 演習(自校の学区について,ハザードマップの想定外を考えて記述する)</p><p></p><p>研修5 学区内での避難について考える</p><p></p><p>緊急避難場所と避難所 まとめ 演習①(自校が緊急避難場所/避難所に指定されているか確認する) 演習②(大雨時の緊急避難場所までのルートを複数考える おまけ</p><p></p><p> </p><p></p><p> 2021年1月現在,本プログラムのインターネット公開準備中である。宇根寛氏,熊木洋太氏,黒木貴一氏,澤祥氏,鈴木康弘氏から,助言をいただいた。心より感謝申し上げる。</p>
著者
村山 良之 小田 隆史 佐藤 健 桜井 愛子 北浦 早苗 加賀谷 碧
出版者
公益社団法人 日本地理学会
雑誌
日本地理学会発表要旨集
巻号頁・発行日
vol.2020, 2020

<p>1 はじめに</p><p> 学校防災や地域防災の基盤として,当該地域の「地形」を理解し想定外も含むハザードマップの読図が求められる。防災のための最低限の地形の知識と,伝えるための取組が求められている。</p><p> 発表者らは,先に石巻市教委防災主任研修会で「学校区の地形に基づく災害リスクの理解」のためのワークショップを行い,報告した(村山他,2019)。より短時間のワークショップを,酒田市教委防災教育研修会で実践する機会を得た。本発表は,その内容について報告し,防災のための地形ミニマム・エッセンシャルズとその方法について,さらに検討するものである。ワークショップは石巻での実践を基に,酒田化し,一部簡略化した。</p><p>2 ワークショップの準備:地形と地図群その他</p><p> 洪水と土砂災害を想定し,地形要素として,山地・丘陵地については,傾斜の大小と崖および谷線,低地については微高地(自然堤防,砂丘)と後背湿地や旧河道を選択した。</p><p> 使用した地図群は以下のとおり。①作業用基図として,電子地形図25000に国土数値情報の小中学区境界を重ねた,中学校区の地図。縮尺1/1〜2万。②治水地形分類図(地理院地図)。③酒田市の土砂災害と洪水のハザードマップ(同市ウェブサイト)。他に,緊急避難場所リスト,ポストイット,カラーシール類,個人用ワークシートを使用した。ワークシートは,「酒田市学校防災マニュアル作成ハンドブック」の冒頭頁「学校と学区の現状」に対応しており,その改善を期待して設計された。</p><p> 市内の小中学校全29校のうち1校欠席,各校1名(1校のみ2名)参加(合計29名)で,7つの中学校区ごとにグループワークを行った。与えられた時間は,全体で約60分である。</p><p>3 ワークショップのプロセス</p><p> 目的が明瞭になるよう,タイトルを「防災マニュアルのさらなる改善に向けて−地形に基づく災害リスクの理解−」とした。①地形図を読み取るための</p><p>ポイントを知る:方位,縮尺,地図記号,等高線(混み合ってるところとあまりないところ),崖記号,谷。②微地形の理解を深めるために地形分類図の使用が有効なことを知る:低地部の微高地(自然堤防,砂丘等),後背湿地,旧河道。以上はミニレクチャー。③学区の地形を読み取る(グループワーク):地図記号で小中学校の位置を確認し,シールを貼りながら自己紹介。方位と縮尺(モノサシ),山と低地を確認し,崖,微高地,旧河道等にポストイット。④ハザードマップを読み取るためのポイントを知る:土砂災害の種類と発生場所,浸水域や浸水深の分布について,ハザードマップと地形(微地形)の関連について,ミニレクチャー。⑤学区のハザードマップと地形図との関係を読み取る(グループワーク):起こりうる災害を確認して,その種類と場所をシール,ポストイット貼り付け。⁶学区の緊急避難場所と地形との関係を理解する(グループ,個人ワーク):緊急避難場所にシールを貼り,地形の特徴を踏まえて,ワークシートに記入。⑦研修のまとめ:地形をふまえたハザードマップ読図法。</p><p>4 おわりに</p><p> 匿名の事後アンケート(下の表)によると,短時間のワークショップながらその成果は認められるが,課題も明瞭である。コメント(自由記入)は,おおむね肯定的ながら,地震や津波への期待も提示された。近く宮城県内での計画等があり,改善を重ねてこの取組を広めたい。</p>
著者
村山 良之 小田 隆史 佐藤 健 桜井 愛子 北浦 早苗 加賀谷 碧
出版者
公益社団法人 日本地理学会
雑誌
日本地理学会発表要旨集
巻号頁・発行日
vol.2019, 2019

<p>1 はじめに</p><p> 様々な自然災害の土地条件(物理的素因)として「地形」の指標性が高いことが,地理学界以外にも広く理解されるようになっている。学校防災や地域防災の基盤として,当該地域の地形を理解することが,学校教員と児童・生徒,地域防災のリーダー層と住民に求められている。しかし,地元の地形ひいてはハザードマップの理解は難しいとされてきた。防災のための最低限の地形の知識と,それを伝えるための取組が求められている。</p><p> 発表者らは,石巻市教育委員会が主催する防災主任研修会(宮城県では各学校に防災主任が置かれている)のうち2時間をいただき,「学校区の地形に基づく災害リスクの理解」のためのワークショップを行う機会を得た。参加者には,地形や地図について得意ではない先生方が含まれる想定される。本発表は,その内容について報告し,防災のための地形ミニマム・エッセンシャルズとそれを伝える方法も含めて,検討するものである。</p><p>2 ワークショップの準備:地形と地図群</p><p> 地形や地図に関する基礎知識を有する者と教育を専門とする者を含む発表者らが協議を重ねて,防災のために理解すべき地形要素として,以下を特定した。山地・丘陵地については傾斜の大小と崖および谷線,低地については微高地(自然堤防,浜堤・砂丘)と後背湿地や旧河道である。言うまでもなく,これらは,土砂災害や洪水に関連する。</p><p> 上記の把握のために,以下の地図群を準備した。①作業用基図として,電子地形図25000に国土数値情報の小中学区境界を重ねて中学校区ごとにプリントアウトしたもの。学区によって異なるが,その縮尺はおよそ1/1~2万。②低地部の微地形を把握するための,治水地形分類図または土地条件図(地理院地図からプリントアウト)。③石巻市に関するハザードマップ:土砂災害(石巻市サイトからウェブGISで公開),北上川水系北上川および旧北上川洪水浸水想定区域図(国土交通省サイトからpdfで公開),津波避難地図(東日本大震災時の浸水深と避難場所等を示した地図,石巻市サイトからpdfで公開)。</p><p> 各学校から1名参加で,中学校区ごとにグループワークを行うこととした。上記の地図のうち②と③は中学校区ごとに関連するもののみ,グループに配付した。地図群の他には,中学校区別の避難所(緊急避難場所,避難所)リスト,ポストイット,カラーシール類,個人用ワークシートが配付された。</p><p>3 ワークショップ「学校区の地形に基づく災害リスクの理解」</p><p> ワークショップは以下のとおり進められた。①学区のハザードマップと地形図からわかることを考える(事前アンケート),②地形図を読み取るためのポイントを知る:読図の基礎として,地図記号(学校),等高線(混み合ってるところとあまりないところ),崖記号,等高線形状からわかる谷線等についてミニレクチャー,③微地形の理解を深めるために地形分類図の使用が有効なことを知る:等高線では地形がわからない低地部について地形分類図が有効であること,微高地(自然堤防,浜堤等),後背湿地,旧河道についてミニレクチャー,④学区の地形を読み取る:各グループの地形図上で学校の位置,山地と低地,崖,谷,微地形を確認してポストイット添付等グループ作業,学区の地形の特徴をワークシートに各自記入,⑤ハザードマップを読み取るためのポイントを知る:災害の種類とそれぞれの想定条件を確認した後,ハザードマップと地形(微地形)の関係についてミニレクチャー,⑥学区のハザードマップと地形図との関係を読み取る:起こりうる災害をグループで確認して,その種類と場所をワークシートに記入,⑦学区の緊急避難場所と地形との関係を理解する:災害種別ごとの緊急避難場所にシールを貼り,地形の特徴を踏まえて,ワークシートに記入,⑧研修のまとめ。⑨事後アンケート(記名と匿名)。</p><p>4 おわりに</p><p> 参加者の反応等から,複数の改善点が既に明らかになっている。さらに,事前,事後のアンケート結果に基づく詳細な検討を行い,防災のための地形ミニマム・エッセンシャルズの特定とその伝達方法の改善に努めたい。</p>
著者
松浦 陽子 佐藤 健一 川野 徳幸
出版者
広島大学平和科学研究センター
雑誌
広島平和科学 (ISSN:03863565)
巻号頁・発行日
vol.36, pp.75-100, 2015-03

The purpose of this paper is to explore the peace concepts in Nagasaki by analyzing "Nagasaki Peace Declarations". First, we discuss the meaning components of a concept of peace in three dimensions: the substance or value dimension; the promoting factor dimension; and locus dimension. The results show: (1) The meaning components of the peace concept in the substance or value dimension come down to three further concepts; "nuclear abolition," "absence of war," and "relief for the atomic bomb survivors." (2) The meaning components in the promoting factor dimension can be divided into seven groups; "atomic bomb experience," "the Japanese government," "the United Nations," "treaty," "nuclear states," "countries" and "individual persons". (3) Each promoting factor dimension corresponds with specified meaning components in the substance or value dimension. For example, Nagasaki Peace Declaration expects "the United Nations" to promote "nuclear abolition" and "absence of war." (4) The concept of peace can be divided into two aspects; unchangeable and changeable aspects. (5) Unchangeable peace concept is the absence of war in the world and in the next generations. (6) The most important changeable components of the peace concepts are "nuclear abolition" and "relief for the Atomic Bomb Survivors" promoted by the Japanese government after 1980s.
著者
佐藤 健太郎 小泉 源也
出版者
公益社団法人 日本獣医師会
雑誌
日本獣医師会雑誌 (ISSN:04466454)
巻号頁・発行日
vol.70, no.6, pp.370-374, 2017-06-20 (Released:2017-07-20)
参考文献数
15

24カ月齢の黒毛和種肥育雌牛が慢性的な下痢を呈し,充実性組織塊が混在する水様性下痢,血液検査で栄養状態の低下と好酸球増多症を認めた.糞便より有意菌や寄生虫卵等は不検出であった.組織塊の細胞診で好酸球性炎による腸粘膜が剝離したものと推定し,好酸球性腸炎と診断した.また,当該牛は慢性的に高GGT血症を示し,16病日と47病日に下痢が再発した.粗飼料中のマイコトキシン検査では残飼稲ワラにおいて総アフラトキシンとして60病日に0.152mg/kg,120病日に0.300mg/kgが検出され,アフラトキシン中毒が示唆されたが,副腎皮質ホルモンを中心とした治療やマイコトキシン吸着剤の飼料添加後,栄養状態の改善が認められ,50病日以降の下痢の再発や好酸球数の増加は認められなかった.以上より,本例はアフラトキシン中毒を併発した好酸球性腸炎と考えられた.
著者
南 宏典 佐藤 健二 乾 重樹 前田 知子 田口 博康
出版者
Meeting of Osaka Dermatological Association
雑誌
皮膚 (ISSN:00181390)
巻号頁・発行日
vol.38, no.4, pp.440-447, 1996 (Released:2010-08-25)
参考文献数
15
被引用文献数
1

12歳以上のアトピー性皮膚炎患者でステロイド外用剤を中止したいと希望した28例と, すでにステロイド外用剤を中止してそれ以外の外用剤を用いているが皮疹が軽快しない4例を対象とし, ステロイド外用剤離脱後も紅斑が持続する場合は全外用剤を中止し, 内服, 入浴指導, ガーゼ保護など種々の治療を加えた。ステロイド外用剤を中止すると皮疹は増悪し, 平均7日後に最悪となるが, その後軽快した。さらに全外用剤を中止すると再び増悪して平均5日後に最悪となるが, 以後軽快に向かい平均6週間後に皮疹の面積は中止前の2割程度となった。またこのときの皮膚症状は古典的成人アトピー性皮膚炎に特徴的な乾燥性のものである。外用剤中止と外用以外の種々の治療を行った結果ほぼ全例が外用剤なしですごせるようになったことから, 現在問題とされているいわゆる成人型アトピー性皮膚炎の病変にはステロイドおよびその他の外用剤の影響が含まれていると推測された。
著者
佐藤 健二 瀧内 伸 角田 美里 鈴木 龍馬 佐々木 秀明 坂本 直道
出版者
公益社団法人 日本分析化学会
雑誌
分析化学 (ISSN:05251931)
巻号頁・発行日
vol.62, no.6, pp.535-540, 2013-06-05 (Released:2013-06-27)
参考文献数
15
被引用文献数
5 5

放射性物質によって汚染された土壌からの放射性セシウムの除去と吸着に関して検討した.除去操作では,汚染土壌として砂試料,除去溶液としてチオ尿素を添加した比較的低濃度の硫酸溶液を用いた.汚染された砂試料1 kgに対し少なくとも0.1 Mチオ尿素を含む1 M硫酸溶液1 Lを用い90℃ で加熱することで除去率80% が得られた.また,チオ尿素を含む硫酸溶液の液量を増やすことで90% 以上,そして除去操作を2回繰り返すことで96% の除去率が示された.本法を実用的のあるものとするために特注のステンレス製除去装置を用い検討した.その結果,基礎的な実験結果とほぼ同様な除去率が得られた.吸着操作では,砂試料から除去した放射性セシウムを含む汚染水,吸着剤としてゼオライトと活性炭を用い検討した.秋田県産のゼオライト2種と市販の活性炭3種を用い放射性セシウムの吸着について検討したところ活性炭へはほとんど吸着されなかったが,ゼオライト2種では共に96% 以上の吸着率が得られた.さらに,放射性セシウムの吸着について振とう時間やゼオライト量を変化させ吸着率への影響について検討すると共にゼオライトをガラス製カラムに入れたフロー式による吸着についても検討した.
著者
佐藤 健太
出版者
一般社団法人 日本プライマリ・ケア連合学会
雑誌
日本プライマリ・ケア連合学会誌 (ISSN:21852928)
巻号頁・発行日
vol.35, no.1, pp.62-65, 2012 (Released:2015-11-25)
参考文献数
19

便秘は一般人口において10%以上の有病率1) であり, 女性や高齢者では20%以上と特に多い2) . 小児でも小児科受診者の3-5%3) と比較的多く, プライマリケア医であれば日常的に接するコモンな訴えである. また, 低収入者や僻地在住者で頻度が高いという報告4) もある.  本稿では, プライマリケア現場で危険な疾患を除外しながら効率良く診療を行うために必要な知識をまとめる. なお, 診断・治療法のエビデンスに関する詳細なデータは紙面の都合上割愛してあるため, 適宜引用・参考文献を参照していただきたい.
著者
和田 小依里 佐藤 健司
出版者
京都府立大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2013-04-01

日本食の発酵食品中に抗炎症効果を有する複数のピログルタミルペプチドが含まれていることを明らかにした。これらのペプチドは発酵の過程で生成されていると考えられるが、大腸炎誘発モデルマウスにおいて,微量で腸炎改善効果を示すことを示した。また、ピログルタミルペプチドは腸内細菌叢を正常化させることや抗酸化作用を有することも明らかとなった。一定の発酵条件下でこれらのペプチドを高濃度に含有する米発酵物サンプルを作成することができ、ヒト試験でも腸内細菌叢改善作用を示す可能性が示唆された。これらの結果から日本の伝統的な発酵食品の健康増進作用が期待される。
著者
中越 昌浩 高橋 知佐 門脇 志世理 高橋 理恵 佐藤 健三
出版者
公益社団法人 日本理学療法士協会
雑誌
理学療法学Supplement
巻号頁・発行日
vol.2003, pp.E0141, 2004

【はじめに】<BR>当訪問リハビリテーション(以下、訪問リハ)におけるアプローチと終了の捉え方を検証する目的で、訪問リハ終了後の生活状況を調査したので、若干の考察を加え報告する。<BR>【対象】<BR>平成14年6月から平成15年6月の1年間に当訪問リハを終了していた52例の内、死亡・入院・入所による終了者と調査の協力が得られなかった者を除く30例を対象とした。内訳は男性17名、女性13名、平均年齢74.0±11.6歳、脳血管疾患21例、骨関節疾患6例、その他3例である。<BR>【方法】<BR>自宅への再訪問とカルテ調査により、1)訪問リハの利用期間・頻度・アプローチ内容、訪問リハ開始時、終了時のBarthel Index(以下、BI)と日常生活自立度判定基準(以下、寝たきり度)の変化、2)終了理由、3)訪問リハ終了後(終了日~最短3ヶ月後から最長15ヶ月後)のBIと寝たきり度、利用サービスの変化と介護負担の訴えの有無および内容について調査した。統計処理はt検定にて行なった。<BR>【結果及び考察】<BR>1)訪問リハの利用期間は平均6.99±9.49ヶ月(0.13~44.8ヶ月)、利用頻度は週1回が約9割を占めていた。アプローチ内容は屋外活動面が35%と最も多く、次いでADL面31%となっており、心身の活動性向上や安定したADLの確立を目的としたアプローチが中心といえた。訪問リハ開始時から終了時のBIの変化は、向上10例(33.3%)、維持20例(66.7%)、開始時平均77.8±15.2点、終了時平均80.3±15.2点で有意差に向上していた(p<0.01)。また、寝たきり度は開始時Jランク6例(20%)、Aランク20例(67%)、Bランク4例(13%)で、終了時では向上9例(30%)、維持21例(70%)であった。2)終了理由としては屋内外移動手段が確立した21例(70%)、介護負担が軽減された20例(67%)、通所・外来リハへ移行した17例(57%)等が多く、安定した在宅生活が確立できたとみなされた。3)訪問リハ終了時と終了後のBIの変化を見ると、維持26例(86.7%)、低下4例(13.3%)であった。また、寝たきり度では維持27例(90%)、低下3例(10%)であった。利用サービスの変化を見ると、特にBI・寝たきり度の低下例において通所リハの利用頻度増加や他の訪問リハ事業所の介入が見られていた。介護負担の有無とその内容を見ると、頻尿・失禁の回数増加、介護依存、活動量低下に対する不安等の訴えがあった。訪問リハは、個々に応じたADLや心身の活動性が生活に習慣化できるよう支援する必要があると考える。また、終了に関しては、目標達成と訪問リハ終了後の生活が維持できるような在宅支援体制の確保が重要と考える。今後とも、多角的な視点での客観的評価の指標を確立することが課題として残された。