著者
佐藤 浩輔 中分 遥
雑誌
じんもんこん2021論文集
巻号頁・発行日
vol.2021, pp.30-37, 2021-12-04

近年,人文社会科学においてデータベースのデジタル化が進展している.それに伴い,民話や神話などに対して計量分析を行う計算民話学・計量民俗学と呼ばれる取り組みがなされている.本研究では,国内の民間伝承に関する主要なデータベースである「怪異・妖怪伝承データベース」を計量的に分析する端緒として,書誌情報を用いて全容を把握するための基礎的な分析を行った.収録されている事例数について都道府県ごとの分布を可視化したところ,地域による資料数の多寡に差があることが明らかになった.主要な「怪異・妖怪」に関するクラスター分析の結果から,怪異・妖怪の分布の地域的特性が示唆された.データベースを用いた計量分析の展望について議論する.
著者
池 鮎人 佐藤 浩一郎 寺内 文雄
出版者
一般社団法人 日本デザイン学会
雑誌
日本デザイン学会研究発表大会概要集 日本デザイン学会 第67回春季研究発表大会
巻号頁・発行日
pp.384, 2020 (Released:2020-08-27)

飲料を飲む際に用いられるグラスやカップなどの容器は、その形状の違いによって美味しさや飲みやすさといった飲み心地に影響を及ぼす。そのため様々な形状の容器が存在する。一方で、同じく飲料を飲む際に用いられるストローの形状は一般的に円筒形である。そこで本研究では、ストローを様々な形状に変化させ、美味しさや飲みやすさといった飲み心地に影響を及ぼすか検討した。;塩化ビニルチューブや熱収縮性チューブを加工して様々な形状のストローを制作したところ、テーパー形状である、太くなる箇所がある、もしくは飲み口の形状が楕円形であることによって飲み心地が変化する可能性が示唆された。それらを検証するために3Dプリンターで制作したストローを用いて印象評価実験を行った結果、ストローの形状の違いが炭酸飲料の飲み心地に変化を与えることが明らかになった。特に、テーパー形状であると飲み心地はより向上すると考えられた。また、ストローの素材が飲み心地に大きな影響を与えると考えた。それらの考察を踏まえて、より炭酸飲料の飲み心地を向上させるテーパー形状のストローをアルミパイプを加工して提案した。
著者
鈴木 恭平 佐藤 浩章
出版者
社団法人 物理探査学会
雑誌
物理探査 (ISSN:09127984)
巻号頁・発行日
vol.72, pp.49-67, 2019 (Released:2019-06-07)
参考文献数
24

本研究では、地震波干渉法による共通仮想震源によるグリーン関数を用いた位相速度推定法の適用性を検討するために,若狭湾地域の16 地点で連続観測を実施し,相互相関関数のシグナルが大きい正側およびシグナルが小さい負側のそれぞれを用いた場合について,位相速度を推定しその結果を比較した。共通仮想震源から観測点への伝播に対応する側の相互相関関数のシグナルが明瞭な場合,共通仮想震源によるグリーン関数から安定して位相速度を推定することが可能であり,自然地震を用いた場合の位相速度とも調和的であった。一方,共通仮想震源からの伝播に対応する側の相互相関関数のシグナルが不明瞭な場合,位相速度の推定ができなかった。そこで,遅れ時間の正負を反転させた相互相関関数を共通仮想震源によるグリーン関数として用いた結果,良好に位相速度を推定できることがわかった。さらに,本研究のように相互相関関数が正負非対称となる場合には,シグナルが強くなる方向に観測点を配置することでも,位相速度推定が可能となることを示した。
著者
中村 清香 佐藤 浩昭
出版者
公益社団法人 日本分析化学会
雑誌
分析化学 (ISSN:05251931)
巻号頁・発行日
vol.71, no.9, pp.483-493, 2022-09-05 (Released:2022-10-05)
参考文献数
27

質量分析法はポリマーキャラクタリゼーションにおいて有力な手法であり,測定装置の高分解能化とともにますますその利用範囲が拡大している.その一方で,マススペクトルが複雑になるため解析が困難になるという課題があった.その課題に対し,著者らはマススペクトルを二次元プロットへと展開することで視覚的に成分分布を表現する「ケンドリックマスディフェクト(KMD)解析」を,実用的なポリマー分析へと初めて適用した.さらにKMD解析を工業製品として用いられる複雑な組成を持つポリマー材料の組成分析へと適用するために,KMDプロットの高分解能化を行った.あわせて,KMD解析に適用できる高強度のマススペクトルを,マトリックス支援レーザー脱離イオン化飛行時間型質量分析法(MALDI-TOFMS)で観測するための,簡便な試料前処理法を開発した.さらにKMD解析の適用範囲をMALDIのみならず,他のイオン化法を用いたデータへも拡大した.このような成果により高分解能質量分析法を用いたポリマーキャラクタリゼーションが加速されると期待される.
著者
島田 健司 佐藤 浩一 佐藤 裕一 羽星 辰哉 花岡 真実 仁木 圴 松崎 和仁 三宅 一 高木 康志
出版者
特定非営利活動法人 日本脳神経外科救急学会 Neurosurgical Emergency
雑誌
NEUROSURGICAL EMERGENCY (ISSN:13426214)
巻号頁・発行日
vol.24, no.2, pp.157-164, 2019 (Released:2019-10-12)
参考文献数
16

ステントリトリーバーあるいは吸引カテーテルを用いた機械的血栓回収療法は中大脳動脈遠位部(M2)を除く,前方循環系脳主幹動脈閉塞による急性期脳梗塞に対する標準的治療といえる.さらに,ステントリトリーバーと吸引カテーテルを同時に使用する併用治療に関する報告例がいくつか散見されるようになった.しかし併用療法とこれまでの単独療法を比較した文献も少なく,併用療法はまだ標準的治療とは言い難い.今回我々は当施設での前方循環系脳主幹動脈閉塞(M2を含む)による急性期脳梗塞に対し,従来のステントリトリーバー,あるいは吸引カテーテルによる単独療法と,両者を同時に使用する併用療法の治療成績を閉塞血管別に比較し,検討した.2014年8月から2018年12月に前方循環の脳主幹動脈閉塞による急性期脳梗塞に対し血栓回収療法を施行した51例を対象とした.2017年8月までは単独療法で治療し(N=31),2017年9月以降併用療法で治療した(N=20).2群間での治療転帰や再開通率,再開通までの時間を比較したが,有意差はみられなかった.そこで閉塞部位別にM2閉塞とそれ以外の閉塞血管で比較したところ,やはり治療転帰や再開通率において2群間で有意差はみられなかった.しかし手技時間がM2閉塞では併用療法において有意に長く,それ以外の閉塞血管では併用療法が短い傾向であった.併用療法は閉塞血管によっては単独療法より有用な可能性のある治療法である.
著者
水谷 智一 道下 尚文 佐藤 浩 小柳 芳雄 森下 久
出版者
The Institute of Electronics, Information and Communication Engineers
雑誌
電子情報通信学会論文誌 B (ISSN:13444697)
巻号頁・発行日
vol.J105-B, no.6, pp.474-483, 2022-06-01

本論文では,移動体通信用アンテナとして,細径かつ低姿勢な無指向性の直交偏波共用アンテナについて検討している.水平偏波素子であるHaloアンテナとその上下に同じ構造を有する2個の無給電素子の内部に垂直偏波素子であるダイポールアンテナを挿入した構成を提案している.シミュレーション及び測定結果により,提案アンテナは,比帯域幅が8.1% (VSWR ≤ 2)であり,所要帯域内の中心周波数の波長λ0に対して提案アンテナの素子径及び素子高はそれぞれ0.14λ0及び0.49λ0であった.また,所要帯域内で20 dB程度の直交偏波間アイソレーションが得られた.垂直偏波の無指向性が崩れる傾向にあるが,CMA解析を通じて,直交偏波無指向性を改善する可能性を見出すことができた.
著者
佐藤 浩子 佐藤 真人 平林 香 大山 良雄 紫野 正人 田村 遵一
出版者
一般社団法人 日本東洋医学会
雑誌
日本東洋医学雑誌 (ISSN:02874857)
巻号頁・発行日
vol.70, no.2, pp.113-118, 2019 (Released:2019-12-20)
参考文献数
22

中咽頭癌術後,化学放射線療法後の嚥下困難に対し漢方治療が効果的であった症例を経験した。症例は61才女性。 中咽頭癌に対し左扁桃摘出,両側頚部郭清術,続いて化学放射線療法を施行された。治療後に自覚した嚥下困難と口腔乾燥に対し,漢方治療を試みた。半夏厚朴湯エキスを食直前に内服後,嚥下が容易となり摂食時間が短縮した。 麦門冬湯エキスを合方後,口腔乾燥が軽減した。体重が増加し,職場復帰の一助となり得た。近年,癌補助療法や緩和医療として漢方治療の併用が行われるようになった。中咽頭癌そのものによる,あるいは癌治療に伴う嚥下障害・口腔乾燥に対し,漢方治療は症状の軽減に役立ち,患者のQuality of Life を向上させる一助になりうると考えられた。
著者
笠原 要 佐藤浩史 フランシス ボンド 田中 貴秋 藤田 早苗 金杉 友子 天野 成昭
雑誌
情報処理学会研究報告自然言語処理(NL)
巻号頁・発行日
vol.2004, no.1(2003-NL-159), pp.75-82, 2004-01-13

単語の意味を用いた情報処理技術の基盤となりうる基本語の言語知識ベースとして,「基本語彙知識ベース」の構築を進めている.本稿では,その構想と,中核となる2.8万の基本語の意味記述である「基本語意味データベース」の構築状況について説明する.
著者
永廣 信治 佐藤 浩一 松原 俊二 西 京子
出版者
徳島大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2005

1.脳動脈瘤モデルの確立と動脈瘤形成に至るホルモンの関与脳動脈瘤は1)比較的閉経期の女性に多く発症すること、2)高血圧がリスクファクターでありhemodynamic stressのかかる部位に発生し易いこと、3)estrogenがcollagenの維持に重要な役割を担っていることから、estrogen欠乏状態でcollagenの分解が亢進し血管が脆弱化している状況下で血圧が高ければhemodynamic stressを受け易い部位では脳動脈瘤が発生する可能性が高いと考え、ratを用いてestrogenの脳動脈瘤形成メカニズムへの関与について検討した。嚢状脳動脈瘤(stage III)は雌性高血圧ラット(卵巣摘出)で9/15(60%)に発生し、雄性高血圧ラット:3/15(20%)、雌性高血圧ラット(卵巣非摘出):3/15(20%)および無処置雌性ラット:0/15(0%)と比較して発生頻度が高く(p<0.05)、いずれも主に前大脳動脈-嗅動脈分岐部(7/9,78%)に認められた。また脳動脈瘤形成の初期変化と考えられる血管内皮の不規則な走行(satge I)および血管壁隆起(stage II)も卵巣摘出ラットで高頻度に観察された。この研究では卵巣雌性摘出ラットを用いて世界で初めて脳動脈瘤形成に至る血管内皮の初期の形態学的変化からestrogen欠乏が動脈瘤形成に関与することを示唆した(J Neurosurg,2005;103:1046-51)。さらにestrogen投与によるホルモン補充療法を行い、血管内皮の初期変化から嚢状動脈瘤形成に至るまでの形態学的変化を観察したところ、発生頻度は未治療群:13/15(86.7%)に対してホルモン補充療法群:5/15(33.3%)と有意に低下した(p<0.05)。以上の結果から動脈瘤形成に至る病因として血行動態や高血圧に加えてhormone特にestrogenが強く関与していることを実証した(J Neurosurg.2005;103:1052-7)。2.脳動脈瘤形成に至る血管内皮細胞傷害と炎症性変化血管内皮の形態変化と対応させて免疫組織学的変化を評価した結果、脳動脈瘤形成初期では血管内皮細胞のeNOS発現の減少がみられ、ついで病巣へのmacrophageの浸潤や中膜からの平滑筋遊走などの炎症性変化へと進行し、増加したmacrophageおよびMMP-9陽性細胞の強い発現により炎症性変化がさらに拡大し、血管壁の蛋白分解などによる血管壁の緋薄化が進行することで、ドーム状弛緩から脳動脈瘤形成に至ることを明らかにした(J Neurosurg.2007,in press)。今後脳動脈瘤の予防および治療法を確立するために動脈瘤の形成初期から増大に至る各stageでの分子メカニズムをさらに探求していく予定である。
著者
佐藤 浩市
出版者
日経BP社 ; 1985-
雑誌
日経マネー (ISSN:09119361)
巻号頁・発行日
no.398, pp.26-28, 2015-08

──『愛を積むひと』のロケ地は「日本で最も美しい村」の北海道・美瑛町。本当に素敵な風景でした。 北の国で年にほんの数カ月しか緑がない土地ですが、その一番いい時に行かせて頂きましたね。
著者
佐藤 浩史 笠原 要 金杉 友子 天野 成昭
出版者
一般社団法人 人工知能学会
雑誌
人工知能学会論文誌 (ISSN:13460714)
巻号頁・発行日
vol.19, no.6, pp.502-510, 2004 (Released:2004-09-03)
参考文献数
26
被引用文献数
1 3

This paper proposes a new method for selecting fundamental vocabulary. We are presently constructing the Fundamental Vocabulary Knowledge-base of Japanese that contains integrated information on syntax, semantics and pragmatics, for the purposes of advanced natural language processing. This database mainly consists of a lexicon and a treebank: Lexeed (a Japanese Semantic Lexicon) and the Hinoki Treebank. Fundamental vocabulary selection is the first step in the construction of Lexeed. The vocabulary should include sufficient words to describe general concepts for self-expandability, and should not be prohibitively large to construct and maintain. There are two conventional methods for selecting fundamental vocabulary. The first is intuition-based selection by experts. This is the traditional method for making dictionaries. A weak point of this method is that the selection strongly depends on personal intuition. The second is corpus-based selection. This method is superior in objectivity to intuition-based selection, however, it is difficult to compile a sufficiently balanced corpora. We propose a psychologically-motivated selection method that adopts word familiarity as the selection criterion. Word familiarity is a rating that represents the familiarity of a word as a real number ranging from 1 (least familiar) to 7 (most familiar). We determined the word familiarity ratings statistically based on psychological experiments over 32 subjects. We selected about 30,000 words as the fundamental vocabulary, based on a minimum word familiarity threshold of 5. We also evaluated the vocabulary by comparing its word coverage with conventional intuition-based and corpus-based selection over dictionary definition sentences and novels, and demonstrated the superior coverage of our lexicon. Based on this, we conclude that the proposed method is superior to conventional methods for fundamental vocabulary selection.
著者
飯島 百香 佐藤 浩一郎 寺内 文雄
出版者
一般社団法人 日本デザイン学会
雑誌
日本デザイン学会研究発表大会概要集 日本デザイン学会 第67回春季研究発表大会
巻号頁・発行日
pp.386, 2020 (Released:2020-08-27)

現在、暖炉や焚き火といった木材を燃やして楽しむ設備や行為がある。それらにおいて、目的に合わせて細かくそれらを選出することはほとんど行われていない。本研究では、燃やす木材の配置や樹種の違いによって火の特性を変化させることにより、特定の目的に合わせて楽しむことができる焚き火セットを提案する。;; 調査や予備実験から、木が燃える様子から音や匂いといった特徴的な特性や印象を被験者が感じることや、炎の規模や燃え尽きるまでの速さなどの特性の変化が配置や樹種の違いにより発生することが観察された。;; 被験者に自由に焚き火を行なってもらう実験では、木材を選出する際や火をつけている最中、そして火が消えた後を通し被験者の感想を記録した。;; 最終提案物として、目的に合わせた焚き火セットを3種類制作した。実験において多数の被験者が目的とした3つの目的に沿ったものを用意した。それぞれ焚き火で用いる木材と木材を乗せる石製の土台、どのように木材を配置するかなどの方法が記載された説明書から構成されている。説明書を読んで木材を土台に配置し火をつけることにより、誰でも選択した目的に合わせた焚き火を楽しむことができる。
著者
須田 高史 白 柳爛 沈 得正 佐藤 浩一郎 寺内 文雄
出版者
一般社団法人 日本デザイン学会
雑誌
デザイン学研究 (ISSN:09108173)
巻号頁・発行日
vol.67, no.1, pp.1_29-1_38, 2020-07-31 (Released:2020-08-10)
参考文献数
15

印象変化は製品を長期使用するための重要な一方策である.本研究では,プラスチックの充填材であるフィラーに着目し,熱可塑性樹脂とフィラーとの組み合わせにより長期使用を可能とする材料の創製を検討した.まずポリプロピレンを母材とし,無機材料粉,金属粉および和紙といったフィラーと混練した.次にサンプルを射出成形により加工し,フィラーを表面に露出させるためにサンドブラストを行った.その後サンプルの印象を評価した.その結果,評価軸として新品感,硬さ,そして派手さが導出された.またフィラーの特性が印象評価に影響を及ぼすことが示唆された.続いて長期使用を模擬するためにサンプルを表面処理した.その結果,磨耗がサンプルの印象に変化を及ぼすことが示唆された.これらより,長期使用のためのプラスチックを母材とする複合材料の可能性が示唆された.
著者
佐藤 浩平 津田 修吾 坂本 健 重永 章 大高 章
出版者
日本薬学会化学系薬学部会
雑誌
反応と合成の進歩シンポジウム 発表要旨概要
巻号頁・発行日
vol.37, pp.180, 2011

Native chemical ligation (NCL), featuring the coupling of thioester peptides and N-terminal cysteinyl peptides, has shown great utility in chemical synthesis of a wide variety of proteins. Preparation of large proteins requires a sequential NCL using more than two peptide fragments. For this purpose, kinetically controlled NCL, developed by Kent and co-workers, has been preferentially used to yield much success in a sequential one-pot three-fragment coupling. In this study, we will report a more reliable alternate to the Kent's protocol with the use of an <I>N</I>-sulfanylethylanilide (SEAlide) peptide as a thioester equivalent. Furthermore, an unprecedented one-pot four-fragment coupling under kinetic conditions using a combination of our method and Kent's kinetic reaction will be also discussed.