著者
石田 常博 小川 徹男 星野 和男 阿部 展祐輝 佐藤 浩司 中村 敬 細野 治 飯野 佑一 川井 忠和 泉雄 勝
出版者
Japan Surgical Association
雑誌
日本臨床外科医学会雑誌 (ISSN:03869776)
巻号頁・発行日
vol.47, no.10, pp.1191-1197, 1986-10-25 (Released:2009-02-10)
参考文献数
19
被引用文献数
2

群馬県下における甲状腺癌集団検診を1980年から県対ガン協会と協力し,乳癌検診と同時に実施してきたので, 5年間の成績結果を報告する.受診者総数は91.787名(実人数54,625名)で,一次検診の異常者は4.6%,要精検者は2.4%であった.甲状腺癌は133例(乳頭癌117例,濾胞癌15例,髄様癌1例)発見され,発見率は0.14%,実人数に対して0.24%であった.初回受診者は繰り返し受診者よりも2倍発見率が高い.集検癌の82%が甲状腺腫に気付いていなかった.腫瘤径は2cm以下が65.5%を占め, 1cm以下の微小癌が22.6%にみられた.教室外来例に比して,リンパ節転移程度も少なく,甲状腺内に限局しているより早期の癌が多かった.転帰はリンパ節再発1例,残存甲状腺再発1例,交通事故死1例の他は健存であり,きわめて予後良好であった.甲状腺癌の集団検診は早期発見,早期治療上,有意義であり,今後さらに普及させるべきものと思われる.
著者
佐藤 浩史 山崎 敬広 高橋 紀之
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. IN, 情報ネットワーク (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.108, no.289, pp.37-41, 2008-11-06

GPSなどによる位置情報は主にナビゲーションサービスで利用されてきたが,昨今は,各種のSNSやTwitterに代表される緩いコミュニケーションサービス,マーケティングなどにおいても重要なものとなってきている.しかし一方で,一般ユーザが自分の位置や行動の詳細を公にすることはプライバシ保護の意味で問題がある.そこで,コミュニケーション目的の公開に適した情報を生成するため,コンテクスト全体を曖昧にしつつ,位置とユーザの関連の強さを定量化する手法を提案する.この値は「におい」をメタファとして説明することが出来る.さらに適用イメージとして,お互いの「におい」をユーザ間で共有するSNSを例示する.
著者
中分 遥 佐藤 浩輔
雑誌
じんもんこん2022論文集
巻号頁・発行日
vol.2022, pp.119-124, 2022-12-02

道徳神仮説によれば, 超自然的な行為者や罰への信念を持つことは、 社会的な協力行動を維持 することに役立ち、人類の社会的複雑性を高める動因となる. これまで体系的な研究も含め、他の人 間に対して危害を加えることに対する超自然罰に関する研究は数多く行われてきたが, 一方で自然に 対して危害を加えることに対する超自然罰に関する計量的な分析はほとんど行われてこなかった。こ うした信念は、環境問題や地域のコミュニティーの持続可能な発展に役立っていた可能性がある. 本 研究では,日本の民間伝承のデータベースに登録されている, 超自然的な報復である 「タタリ」に関 連した資料について分析した.分析の結果,「タタリ」 と自然に関連する単語 (e.g., 木・動物・山の 神)が高い頻度で共起した. また, 報復は個人ではなくより大きな単位 (c.g.. 家) に対して与えられ る傾向についても示唆された.これらの結果は日本のタタリ伝承が 「報復する自然」 観を内包してい ることを支持するものである.
著者
中分 遥 五十里 翔吾 EMILY Burdett 佐藤 浩輔
出版者
一般社団法人 人工知能学会
雑誌
人工知能学会全国大会論文集 第37回 (2023) (ISSN:27587347)
巻号頁・発行日
pp.1K5OS11b02, 2023 (Released:2023-07-10)

近年、接客ロボットの普及や大規模言語モデルを用いた対話モデルの躍進により、人間と、ロボットやAIなどといった人工主体との関わりが重要になっている。本発表では、こうした背景を受けロボットやAIに関連した道徳的問題、特にロボットに対する道徳的配慮に関する問題について、既存の知見ならびに発表者らが行ってきた実証的な心理学研究に基づいて考察する。具体的には、宗教や教育といった社会的ドメインでロボットを用いることに対する評価は年齢によって異なることを示す研究や、ロボットに対する道徳的な態度が宗教といった文化的背景に影響を受けることを示す研究を紹介する。これらの知見に基づき、人間とそれら人工主体からなる社会の将来像について議論する。
著者
今岡 信介 佐藤 浩二
出版者
日本義肢装具学会
雑誌
日本義肢装具学会誌 (ISSN:09104720)
巻号頁・発行日
vol.32, no.4, pp.270-273, 2016-10-01 (Released:2017-10-15)
参考文献数
14
被引用文献数
4

回復期リハビリテーション病棟に入院し,長下肢装具(以下 : KAFO)を作製した脳卒中片麻痺患者において,発症からKAFO作製までの期間(以下 : 作製期間)が身体機能とADL能力に及ぼす影響を調査した.研究デザインは,横断的研究とし,身体機能,ADL能力と作製期間の関連性,実用歩行を規定する因子とカットオフ値を算出した.結果,作製期間と退院時FBS, 退院時NTP stage, 退院時FIM, FIM改善度は,中等度の相関が認められた.また実用歩行を規定する因子として,退院時FBS得点と作製期間が抽出され,カットオフ値は,退院時FBS得点 : 28.3点,作製期間 : 60.5日であった.このことから,作製期間は身体機能とADL能力に影響を与える重要な要因と考える.
著者
下島 裕美 佐藤 浩一 越智 啓太
出版者
日本パーソナリティ心理学会
雑誌
パーソナリティ研究 (ISSN:13488406)
巻号頁・発行日
vol.21, no.1, pp.74-83, 2012-07-31 (Released:2012-09-07)
参考文献数
31
被引用文献数
6 16

「ある一定の時点における個人の心理的過去および心理的未来についての見解の総体」を時間的展望という(Levin, 1951 猪股訳 1979)。本研究は,時間的展望の個人差を測定する尺度であるZimbardo Time Perspective Inventory(ZTPI)を日本語に翻訳し,原版と同様の5因子構造が得られるかどうか確認することを目的とした。大学生748名を対象に調査を行い,探索的因子分析の結果,未来・現在快楽・現在運命・過去肯定・過去否定の5因子計43項目が見出された。回転前の5因子で全分散を説明する割合は37%であった。確証的因子分析の結果,CFI=.681, GFI=.829, AGFI=.810, RMSEA=.057, AIC=3125.726であった。α係数は.65から.76,再検査信頼性(n=110)は.63から.78(p<.05)の範囲であり,原版に劣らない信頼性が確認された。原版と日本版の項目を比較したところ,日本版の現在快楽は「刺激希求性」の意味合いが強いことと,未来とのつながりがあることが示唆された。妥当性を検討した上で日本版尺度を完成させ,現在進行中である国際比較研究への参加が期待される。
著者
村上 正行 佐藤 浩章 大山 牧子 権藤 千恵 浦田 悠 根岸 千悠 浦西 友樹 竹村 治雄
出版者
教育システム情報学会
雑誌
教育システム情報学会誌 (ISSN:13414135)
巻号頁・発行日
vol.37, no.4, pp.276-285, 2020-10-01 (Released:2020-10-01)
参考文献数
8

In this paper, we introduce school-wide teaching and learning support practices by using digital learning tools for students and faculties during the COVID-19 pandemic. Right after the COVID-19 pandemic affected the higher-education in Japan, Osaka University built a Teaching Class Support and Response Team during the new semester to develop school-wide online teaching and learning supports due to the campus closure. The team offers multi-faceted support tools such as LMS help desk, orientation videos via YouTube channel for first-year students, and teaching online guidelines during the semester. Through our practices, we find the significant issue of teaching at the university during the COVID-19 era. The issue is: how we conduct classes to combine face-to-face and learning online in the same semester. To resolve this issue, we believe that universities need to develop an organizational comprehensive support system for teaching and learning. We also expect that scholars would share their expertise, idea, and practices of teaching under practices the COVID-19 pandemic by using an academic society.
著者
高野 修治 佐藤 浩一郎 松岡 由幸
出版者
Japanese Society for the Science of Design
雑誌
日本デザイン学会研究発表大会概要集
巻号頁・発行日
pp.123, 2013 (Released:2013-06-20)

本研究では,新しい人工物の創出手法として提案されている多空間デザイン法(Mメソッド)を用いて,プロのデザイナにビークルデザインをテーマとした事例適用を行った.Mメソッドは,デザインに用いる要素を整理する枠組みである多空間デザインモデルの視点に基づき,発想法と分析法を組み合わせるデザイン法である.この事例適用の結果を通じてMメソッドの有用性が確認された.
著者
佐藤 浩 小野 功 小林 重信
出版者
社団法人人工知能学会
雑誌
人工知能学会誌 (ISSN:09128085)
巻号頁・発行日
vol.12, no.5, pp.734-744, 1997-09-01
被引用文献数
211

When Genetic Algorithms (GAs) are applied to optimization problems, characteristic preserving in designing coding/crossover and diversity maintaining in designing generation alternation are important. Generation alternation models are independent of problems, while coding/crossover depends on problems. We discuss generation alternation models in this paper. Simple GA is one of the well-known generation alternation models, however it has two problems. One is early convergence in the first stage of search and the other is evolutionary stagnation in the last stage of it. Many improvements and new models have been presented to overcome the above problems. In this paper, we propose a new generation alternation model called minimal generation gap (MGG) which has all advantages of conventional models. As generation alternation models use only information of fitness, alternation of generations can be regarded as a transformation of fitness distributions. We propose a new method of assessing generation alternation models. We measure the ability of avoiding the early convergence and suppressing the evolutionary stagnation by the dynamics of the best value and variance of fitness distributions. From the results of some experiments, we found that MGG is the most desirable model which can avoid the early convergence and suppress the evolutionary stagnation. We also show the efficiency of MGG by applying it to benchmarks in different two domains: function optimization and traveling salesman problems. In the both domains, MGG showed higher performance than the other conventional models especially under small population size.
著者
堀川 将幸 藤村 諒 佐藤 浩一郎 寺内 文雄
出版者
一般社団法人 日本デザイン学会
雑誌
デザイン学研究 (ISSN:09108173)
巻号頁・発行日
vol.68, no.4, pp.4_45-4_54, 2022-03-31 (Released:2022-04-26)
参考文献数
16

本稿では,精神的充足に向けたデザインを行うための指針を導出することを目指し,習慣化に関する主体的行動を対象とした精神価値の成長要因を明らかにしている。具体的には,まず,ハマるに至るきっかけから定着化するまでの習慣化に関する主体的行動を調査し,その経験価値の変化の特徴を分析し,これらの結果に基づいた経験価値変化モデルを提案している。次に,習慣化,定着化に至った主体的行動の事例を対象として,評価グリッド法とクラスター分析を実行した。その結果から,習慣化に関する主体的行動における精神価値の成長に起因する4つの心理状態「高揚感」「平穏感」「好奇心」「向上心」が,価値実感期,価値成長期,価値定着期の3期において変化し,定着化するプロセスを示している。また,各状態の具体的な成長要因として,価値実感期での感動体験や潤沢な体験,価値成長期での共同体験や上達体験,価値定着期では日常化体験や到達体験を導いている。さらに,これらの成長プロセスの変遷を考察することで指針構築の一助とした。
著者
水野 友香子 上林 翔大 安田 美樹 増田 望穂 安堂 有希子 佐藤 浩 田口 奈緒 廣瀬 雅哉
出版者
一般社団法人 日本周産期・新生児医学会
雑誌
日本周産期・新生児医学会雑誌 (ISSN:1348964X)
巻号頁・発行日
vol.58, no.1, pp.176-180, 2022 (Released:2022-05-10)
参考文献数
8

死戦期帝王切開術(PMCD)は心肺停止(CPA)妊婦の蘇生を助ける手段であり,CPA後速やかなPMCDの施行が母体予後を改善すると考えられている.計画的硬膜外麻酔下無痛分娩中にCPAとなり当院へ搬送されPMCDを施行し,母児とも救命し得たので報告する.症例は34歳の初産婦,妊娠経過は順調であった.既往歴,アレルギー歴に特記すべき事項はなかった.妊娠39週2日に計画無痛分娩のため硬膜外麻酔下で分娩中にCPAとなり,心拍再開と心停止を繰り返しながら当院へ搬送されPMCDを施行した.子宮筋層縫合後も創部からの出血が持続したためガーゼパッキングとVacuum packing closure法を行い集中治療室に入室したが出血が持続し子宮腟上部切断術を行った.母体は分娩後22カ月の時点で,高次脳機能障害として短期記憶障害を残すが,その他の知的運動機能は正常である.児は,重症新生児仮死で出生し低体温療法を施行されたが,重度低酸素性虚血性脳症による重症心身障害のため人工換気継続中である.今回の経験を今後に生かせるよう,診療チーム間で検討を繰り返し,プロトコールの作成を行ったので紹介する.
著者
佐藤 浩平 金原 数
出版者
一般社団法人 日本生物物理学会
雑誌
生物物理 (ISSN:05824052)
巻号頁・発行日
vol.62, no.4, pp.219-223, 2022 (Released:2022-09-25)
参考文献数
12

膜貫通タンパク質の構造を模倣した分子として,親水性ユニットと疎水性ユニットを交互に連結したマルチブロック型オリゴマー分子を設計し,これらの分子が二分子膜中でイオンチャネルを形成することを見いだした.さらに,張力応答性,リガンド応答性,電位応答性など,多様な刺激応答性を付与できることを明らかにした.
著者
佐藤 浩 小野 功 小林 重信
出版者
一般社団法人 人工知能学会
雑誌
人工知能 (ISSN:21882266)
巻号頁・発行日
vol.12, no.5, pp.734-744, 1997-09-01 (Released:2020-09-29)
被引用文献数
5

When Genetic Algorithms (GAs) are applied to optimization problems, characteristic preserving in designing coding/crossover and diversity maintaining in designing generation alternation are important. Generation alternation models are independent of problems, while coding/crossover depends on problems. We discuss generation alternation models in this paper. Simple GA is one of the well-known generation alternation models, however it has two problems. One is early convergence in the first stage of search and the other is evolutionary stagnation in the last stage of it. Many improvements and new models have been presented to overcome the above problems. In this paper, we propose a new generation alternation model called minimal generation gap (MGG) which has all advantages of conventional models. As generation alternation models use only information of fitness, alternation of generations can be regarded as a transformation of fitness distributions. We propose a new method of assessing generation alternation models. We measure the ability of avoiding the early convergence and suppressing the evolutionary stagnation by the dynamics of the best value and variance of fitness distributions. From the results of some experiments, we found that MGG is the most desirable model which can avoid the early convergence and suppress the evolutionary stagnation. We also show the efficiency of MGG by applying it to benchmarks in different two domains: function optimization and traveling salesman problems. In the both domains, MGG showed higher performance than the other conventional models especially under small population size.
著者
佐藤 浩輔 大沼 進
出版者
日本社会心理学会
雑誌
社会心理学研究 (ISSN:09161503)
巻号頁・発行日
vol.29, no.2, pp.94-103, 2013-11-30 (Released:2017-02-27)
被引用文献数
1

The current study investigates the influence of social factors, such as self-interest and involvement, on trust and its determinants, in the context of public decision-making in government, through two scenario experiments. In both experiments, participants' involvement (high/low) and, subsequent interest in the high-involvement condition (agreed/opposed) were manipulated and two trust models were compared: a traditional model, which regards expectation about intention and competence as the component of trust; and an SVS model, which regards perceived salient value similarity as the primary determinant of trust. Two hypotheses were tested: 1) conflict of interest diminishes trust and value similarity; 2) expectation of the government's intention consistently predicts trust in government, regardless of self-interest. The results supported both hypotheses. Implications of value similarity in the context of public decision-making are discussed.
著者
佐藤 浩史
出版者
函館大学
雑誌
函館大学論究 (ISSN:02866137)
巻号頁・発行日
vol.53, no.2, pp.1-37, 2022-03

本研究では、地域活性化イベントを持続可能なスポーツツーリズムイベントとするための戦略策定モデルに必要な要素の探索をする。プレイス・ブランディング論に述べられる sense of place の概念が地域のステークホルダーには、どのようにとらえられているのか長期に継続される昭和新山国際雪合戦大会のステークホルダーから聞き取り調査を行った。地域のステークホルダーは、スポーツツーリズムイベントが施行される地域に対して、野菜や温泉など産品である有形の資源と人柄、街、大会そのものというイメージからなる無形の資源が重要であることが共存しどちらかが優位ということではなかった。結果この事例からは、スポーツツーリズムを継続していくためには、有形の資源と無形の資源の両方が結び付いて戦略策定していくことを重視しておくことが必要であろう。