著者
佐藤 比奈子 石山 大三 水田 敏夫 松葉谷 治 村上 史一
出版者
資源地質学会
雑誌
資源地質 (ISSN:09182454)
巻号頁・発行日
vol.60, no.1, pp.15-24, 2010 (Released:2013-06-14)
参考文献数
13
被引用文献数
3

Tamagawa hot spring is a volcanic gas-bearing hydrothermal system derived from Quaternary andesitic to dacitic magma beneath Yakeyama volcano. Thermal waters and precipitates of Tamagawa Hot Spring in 2002 and 2007 were investigated to clarify the geothermal structure of the area. Thermal waters in Tamagawa Hot Spring area are divided into three types: Cl-SO4type (Ohbuki Hot Spring: pH 1.2), SO4type (pH 1.8 to 2.9) and neutral-type (pH 6.1). Concentrations such as F, Cl, SO4, Na, K, Mg and Ca in Cl-SO4type Ohbuki thermal water are ten to several hundred-times higher than those of elements in SO4type thermal waters. The concentrations of elements in SO4 type thermal waters also varied according to changes in geothermal structures supplying steam and the flow system of groundwater and vapor in Tamagawa geothermal system from 2002 to 2007.The oxygen and hydrogen isotopic ratios of the thermal waters in the system suggest that SO4 type thermal waters are formed by heating of shallow groundwater by the steam separated from Ohbuki thermal water below Tamagawa Hot Spring area. On the other hand, the small variation of chemistry and hydrogen and oxygen isotopic ratios of Cl-SO4 type Ohbuki thermal water from 2002 to 2007 suggests that the Cl-SO4 type Ohbuki thermal water originates from a deeper part of Yakeyama Volcano. The flow rate of Cl-SO4 type Ohbuki thermal water below Tamagawa hot spring area was estimated to be 13,000 l/min.
著者
布川 美穂 佐藤 靖子
出版者
特定非営利活動法人 日本栄養改善学会
雑誌
栄養学雑誌 (ISSN:00215147)
巻号頁・発行日
vol.78, no.4, pp.163-170, 2020-08-01 (Released:2020-09-26)
参考文献数
12
被引用文献数
1

【目的】中学生を対象に牛乳に関する短時間教育を実施し,知識理解と牛乳飲用意志向上を含む意識変容を検討した。【方法】2017年8月から9月,中学1年生561名を対象に学校給食の牛乳に関する3分間の短時間教育(以降 3分教育)を実施した。3分教育は給食の時間等に誰でも簡単にできる口頭伝授の方法を用いた。その後,自記式質問紙にて学校給食牛乳に関する知識と意識調査を行い,7項目の質問項目では男女別のデータをχ2 検定,自由記述ではKJ法を用いて検討した。【結果】3分教育を受け,男子89.3%,女子93.5%の生徒が学校給食の牛乳に対して新しい知識を得ることができ,男子90.4%,女子93.8%の生徒が今後の教育を希望すると回答した。今後も毎日飲用したいと回答した生徒は,男子85.6%,女子73.5%であった。【結論】中学1年生に実施した3分教育においては,給食の牛乳に対する新たな知識を伝えることが可能であったが,今後も毎日飲用したいという意志向上の効果は把握できなかった。しかし,3分教育の継続希望が多かった結果より,継続的な教育の実施と,牛乳飲用意志向上を含む意識変容との関係性を検討していく必要が考えられた。
著者
佐藤 豊展 近藤 健男 柴本 勇 出江 紳一
出版者
一般社団法人 日本摂食嚥下リハビリテーション学会
雑誌
日本摂食嚥下リハビリテーション学会雑誌 (ISSN:13438441)
巻号頁・発行日
vol.22, no.1, pp.12-19, 2018-04-30 (Released:2019-03-07)
参考文献数
28

【はじめに】頭部挙上訓練は,舌骨上筋群の筋力強化訓練として広く用いられているが,胸鎖乳突筋の筋活動が高く,早期に筋疲労を起こすことから施行することが困難な場合が多い.舌挙上は頭部挙上訓練に代わる喉頭挙上の訓練として有用であることが報告されているが,健常若年者を対象とした報告であり,健常高齢者を対象とした報告は筆者らが検索しうる限りみられない.そこで本研究では,舌挙上が喉頭挙上の改善を目指した訓練として用いることができるか,表面筋電図を用いて検討した.【方法】対象は健常若年者 15名(27.1±2.6歳),健常高齢者 12名(76.0±3.0歳)とした.測定課題は,最大舌圧での舌挙上,頭部挙上,メンデルソン手技とした.表面筋電図を使用し,舌骨上筋群,舌骨下筋群,胸鎖乳突筋の電位変化を記録した.【結果】舌骨上筋群の筋活動は,健常若年者,健常高齢者ともに舌挙上が頭部挙上,メンデルソン手技より有意に高かった(p< 0.01).舌骨下筋群,胸鎖乳突筋の筋活動は,舌挙上が頭部挙上より有意に低かった(p< 0.01).【考察】舌挙上は頭部挙上と比較して,胸鎖乳突筋や舌骨下筋群の筋活動が低く,舌骨上筋群をより効果的に活動させることができ,健常高齢者においても喉頭挙上の改善を目指した訓練として用いることができる可能性が示唆された.
著者
坂井 洵子 大島 優 衛藤 希 山中 仁 守永 沙織 塚本 真規 佐藤 泰司 横山 武志
出版者
一般社団法人 日本歯科麻酔学会
雑誌
日本歯科麻酔学会雑誌 (ISSN:24334480)
巻号頁・発行日
vol.48, no.2, pp.69-71, 2020-04-15 (Released:2020-04-15)
参考文献数
13

In pregnant women, non-obstetric surgery should be performed during an appropriate period to prevent congenital anomaly and to avoid miscarriage or premature labor. The second trimester of pregnancy is better for surgery because the risk of maternal, anatomical and physiological changes is lower. Neurotoxicity and the teratogenicity of anesthetic agents should be considered. In addition, blood flow to the placenta must be maintained during the surgery.  We performed anesthesia for an 18-week pregnant woman who required a radical neck dissection because of the metastasis of tongue cancer. She was 29 years old, 160 cm tall, and weighed 46.1 kg. Before the induction of anesthesia, the patient was placed in a left half-lateral position by placing towels under the right lower back to avoid supine hypotension syndrome, as the patient complained of a sense of abdomen distension while in a supine position. Her face was twisted to the right to secure a surgical field. General anesthesia was induced with intravenous propofol, atropine, fentanyl and remifentanil. Two milliliters of 4% lidocaine was sprayed on the subglottic area and the glottis for topical anesthesia. A tracheal tube (ID, 6.0 mm) was intubated orally using McGRATH. The anesthesia was maintained with the inhalation of 1.5%-1.7% sevoflurane in oxygen (Fio2, 0.4), as sevoflurane may be less neurotoxic to a fetus than isoflurane or desflurane. Ephedrine was administered intravenously to maintain blood flow to the placenta when the blood pressure decreased. The operation and anesthesia were completed uneventfully.  After the operation, the obstetrician performed an ultrasonography examination to confirm that the fetus had good fetal movement and a normal pulse.
著者
佐藤 寛 丹野 義彦
出版者
一般社団法人 日本認知・行動療法学会
雑誌
行動療法研究 (ISSN:09106529)
巻号頁・発行日
vol.38, no.3, pp.157-167, 2012-09-30 (Released:2019-04-06)
参考文献数
40
被引用文献数
4

巻頭言である本論文では、日本において実施されたうつ病の認知行動療法に関する効果研究を対象とした系統的レビューを行った。国内で実施された12本の効果研究をもとに効果サイズを算出したところ、抑うつ症状の改善については自己評価尺度(研究数12本)では中程度の効果(d=0.78)、臨床家評定(研究数4本)では大きい効果(d=1.35)を示す効果サイズが得られていた。加えて、認知行動療法は抑うつ症状を改善するだけでなく、社会的機能を高める効果もあることが示唆された。治療に伴うドロップアウトは対象者の17.8%に認められた。認知行動療法の実施者の職種は心理士(91.7%)、医師(41.7%)、看護師(33.3%)、その他の職種(16.7%)の順に多く、国内でうつ病への認知行動療法を実施するうえで心理士が重要な役割を担っていることが示された。専門的なトレーニングを受けた心理士による認知行動療法をうつ病の保険診療の対象とすることが急務である。
著者
桑原 知佳 柴 喜崇 坂本 美喜 佐藤 春彦 金子 誠喜
出版者
日本理学療法士学会
雑誌
理学療法学 (ISSN:02893770)
巻号頁・発行日
vol.38, no.7, pp.505-515, 2011-12-20 (Released:2018-08-25)
参考文献数
22

【目的】発達に伴い変化する背臥位からの立ち上がり動作の完成までの,動作パターンおよび動作所要時間の変化を縦断的に調査し,発達に伴う健常児の立ち上がり動作の変遷を明らかにする。【方法】健常児11名を対象とし,平均年齢4歳0ヵ月から1年ごとに6年間継続して立ち上がり動作を観察し,動作パターン,個人内の動作パターンの一致率,動作所要時間の変化を調査した。【結果】立ち上がり動作パターンは,階段状に難易度が高い動作に変化し,8歳10ヵ月以降変化が生じなかった。動作が変化した時期には,個人内でも様々な動作パターンが観察された。また,動作所要時間は発達に伴い短くなり,動作パターンの変化が終了後も短くなった。【結論】縦断調査により,立ち上がり動作は,非線形に変化をしながら9歳頃に完成することが明らかになった。動作獲得においては,個人内・個人間の多様性に富み,個々に適切な動作を選択しながら発達していくことが示唆された。