著者
佐藤 文彦
出版者
金沢大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2015-04-01

本研究ではベルリンを舞台にした両大戦間期ドイツ児童文学をもとに、モダン都市ベルリンと子どもの関係性について考察した。その結果、新聞や電話で情報を収集・伝達し、さまざまな交通手段を駆使して巧みに都市を移動する新しい子どもの姿は、19世紀までの児童文学の人物とは決定的に異なるだけでなく、大都会に疎外される近代人を描いた同時代の大人の文学とも一線を画することがわかった。
著者
佐藤 嘉則 成澤 才彦 西澤 智康 小松崎 将一 太田 寛行
出版者
日本土壌微生物学会
雑誌
土と微生物 (ISSN:09122184)
巻号頁・発行日
vol.65, no.1, pp.49-54, 2011-04-01 (Released:2017-05-31)
参考文献数
22
被引用文献数
2

近年,糸状菌の細胞内部に内生する細菌の検出例が報告されている。例えば,Rhizopus属菌の菌糸内部に分布する内生細菌は,これまでRhizopus属菌が生成すると考えられていたリゾキシンを生成することが明らかとなった。このような背景から今後,糸状菌を扱う研究全般において内生細菌の検出が重要な試験項目のひとつになると考えられる。本稿では,糸状菌細胞内生細菌の検出方法として,グラム陰性細菌の細胞壁成分のひとつであるエンドトキシンの定量による内生細菌の検出法,細菌16S rRNA遺伝子を標的としたPCR法による内生細菌の検出,蛍光顕微鏡および透過電子顕微鏡を用いて,菌糸内に分布する内生細菌を直接観察する方法について,筆者らの手法を中心に既往研究を加えて解説した。本稿で紹介した検出方法は透過電子顕微鏡観察を除いて,比較的簡易であることから,糸状菌の細胞内生細菌の分布調査に広く活用されることが期待される。糸状菌細胞内生細菌および共生体(共存体)の土壌における生態学的役割については今後の研究課題である。
著者
福田 治久 佐藤 大介 福田 敬
出版者
国立保健医療科学院
雑誌
保健医療科学 (ISSN:13476459)
巻号頁・発行日
vol.68, no.2, pp.147-157, 2019-05-01 (Released:2019-06-13)
参考文献数
6

目的:費用対効果評価制度における分析は,『医療経済評価研究における分析手法に関するガイドライン』(経済評価GL)に基づいて実施することとなっている.経済評価GLにおいては,診療報酬改定の影響を補正するために,診療行為レベルでの単価の補正を推奨しているが,他の補正方法との比較検討はなされていない.本研究の目的は,レセプトデータを用いた医療費分析において診療報酬改定の補正方法について検討することである.方法:本研究では2009年 4 月から2016年12月のおよそ 8 年間における医科およびDPCのレセプトデータから,1度でも入院をしたことのある者の解析用IDを抽出し,当該解析用IDの中から無作為に25%分を抽出したナショナルデータベース(NDB)を使用した.2012年度から2016年度にかけて,DPCコードおよびDPCコード内における患者定義が同一のDPCコードにおける入院症例を解析対象に定めた.診療報酬改定の補正方法として以下の 4 方法を定めた:1DPC包括部分・診療行為・薬価・材料に対して2016年度単価を使用,2薬価・材料のみに対して2016年度単価を使用し,その他は診療報酬本体改定率を使用,3診療報酬本体・薬価・材料に対して全体的にネット改定率を使用,4補正を行わない.本研究では,経済評価GLが推奨する 1 を用いた補正方法によって算出した医療費に対して,2~4のそれぞれを用いた補正方法によって算出した医療費の比率を算出し,補正方法の違いによる医療費推計結果の違いを比較検討した.結果:「2012-2013年度」,「2014-2015年度」,「2016年度」の間で,DPCコードおよび患者定義が変更されていないDPC数は,2016年度全DPCコード数:4,918件のうち,999件(20.3%)であった.一方,「2014-2015年度」,「2016年度」の間では1,528件(31.1%)であった.経済評価GLが推奨する補正方法 1 による医療費に対して,各補正方法で算出した医療費の比は,補正方法 2 では1.01,補正方法 3 では0.99,補正方法 4 では1.00であった.ただし,DPCコードによって医療費比が±10%程度の相違が生じ,一部のDPCコードでは±20%以上の誤差も生じていたが,どの補正方法においても相違の傾向は同様であった.結論:経済評価GLにおいて推奨されている補正方法 1 は,DPCコード内容の変更の影響が大きいことから現実的に実施困難であることが明らかになった.また,より簡便な補正方法2~補正方法 3 を用いた場合でも,推計結果に大きさ誤差を認めなかった.そのため,結果の精度と分析実施可能性に鑑みてネット改定率(補正方法3)を用いることが許容される.
著者
佐藤 宣夫 角 真輝 出口 雄一 星田 光一 山田 晃嵩
出版者
一般社団法人 電気学会
雑誌
電気学会誌 (ISSN:13405551)
巻号頁・発行日
vol.140, no.8, pp.512-515, 2020-08-01 (Released:2020-08-01)
参考文献数
3

1.はじめに日本はエネルギー資源に乏しい国であるという認識が変わるかもしれない(1)。太陽光や風力などを活用して発電する再生可能エネルギーは,供給源が自然現象に由来することから,計画
著者
佐藤 瑠美 張 勁 山腰 裕子 佐竹 洋 竹内 章 岡村 行信
出版者
一般社団法人日本地球化学会
雑誌
日本地球化学会年会要旨集
巻号頁・発行日
vol.51, pp.182, 2004

2001年、北海道茂津多岬沖海底で、1km2弱の豹紋状巨大バクテリアマットが発見された。本研究は、この巨大バクテリアマットの生成メカニズム、海底冷湧水とテクトニクスの関連性を明らかにすることを目的とした。1999-2003年計10回の潜航調査により採取された柱状試料で、バクテリアマット下0-4cmbsfで、急激な硫酸濃度減少が見られ、硫酸還元菌も確認された。硫酸還元は、メタン又は有機物と反応するが、間隙水中のΔSO4とΔCa+ΔMgのモル比が1:1であることより、メタン起源であることが分かった。また、塩素濃度減少と、δ18O/δDの値から、メタンの起源がメタンハイドレートである可能性が大きいと推測され、堆積物中の有機炭素量にも支持された。さらに、斜面崩壊の痕跡と共にバクテリアマット下5-37cmbsfで強い硫化水素臭の砂利層が確認され、地殻熱流量の実測値と合わせた結果、砂利層を通って、メタン源からメタンが広域に供給されることが考えられる。
著者
佐藤 善輝 小野 映介
出版者
公益社団法人 日本地理学会
雑誌
日本地理学会発表要旨集
巻号頁・発行日
vol.2016, 2016

<b>I </b><b>はじめに: </b>伊勢平野は養老山地,鈴鹿山地,布引山地によって区切られた海岸平野である.同平野中部(鈴鹿川~雲出川)では,丘陵・段丘の海側に東西約1 ~2 km幅の浜堤列平野が発達しており,雲出川などの河口部にはデルタタイプの沖積低地が広がる.雲出川下流低地では,3千年前頃に&ldquo;弥生の小海退&rdquo;(太田ほか 1990)に対応して浜堤列が形成された可能性が指摘されているが(川瀬1998),当時の海水準を復元する直接的な指標は報告されていない.本研究では志登茂デルタと,その左岸の浜堤平野を対象として,2~4千年前頃の地形環境を復元するとともに,相対的海水準変動について検討した.<br> <b>II</b><b> 調査・分析方法: </b>計3地域において電動ドロップヒッター,ポータブル・ジオスライサー,ハンドコアラーを用いた掘削調査を行った.コア中の試料20点について,AMS法による<sup>14</sup>C年代測定を地球科学研究所およびパレオ・ラボに依頼して行った.珪藻分析は各試料200殻を目安に計数した.珪藻の生息環境は千葉・澤井(2014)などを参照した.<br> <b>III</b><b> 結果: </b>3地域の層相と堆積環境は以下のとおりである.<br><b></b> <b>(</b><b>1</b><b>)志登茂川デルタ </b>細粒砂~砂礫層とそれを覆う砂泥互層から成る.細粒砂~砂礫層はデルタ前置層堆積物と考えられ,同層上部から3,175-3,275 cal BPの年代値を得た.砂泥互層はデルタ頂置層で,標高0.0~-1.7 mでは平均潮位~平均高潮位の指標となる<i>Pseudopodosira kosugii</i>(澤井 2001)が優占し,同層準からは3,230-3,365 cal BP(標高-1.3 m),2,920-3,060 cal BP(標高-0.2 m)の年代値を得た.<br> <b>(</b><b>2</b><b>)浜堤</b><b>I</b><b>の後背地 </b>有機質泥層とそれを覆う砂層が認められた.有機質泥層は標高1.6 m以深に分布し,基底深度は不明である.この地層中の標高-0.1 m付近は<i>Tryblionella granulata</i>を多産し,潮間帯干潟の堆積物と推定され,5,985-6,130 cal BPの年代値が得られた.<br> <b>(</b><b>3</b><b>)浜堤</b><b>I</b><b>・</b><b>II</b><b>の堤間湿地 </b>海浜堆積物と推定される砂礫層とそれを覆う泥層から成る.砂礫層最上部と泥層下部(標高-0.5 m付近)では<i>P. kosugii</i>が優占的に産出し,同層準から3,245-3,400 cal BPの年代値を得た.標高-0.15 m以浅は有機質な層相を呈し淡水生種が卓越することから,淡水池沼あるいは淡水湿地の堆積物であることが示唆される.<br> <b>IV</b><b> 考察: </b>四日市港の平均高潮位を考慮すると,<i>P. kosugii</i>の優占層準の標高から3,000~3,400 cal BP頃の海水準は標高-1~-2 m程度と見積もられる.さらに,雲出川下流低地の海成層中から得られた年代値とその標高値から(川瀬 1998),3,400~4,000 cal BP頃に1~2 m程度,海水準が低下したと推定される.3,000 cal BP以降,遅くとも1,600 cal BP頃までには標高0 m付近まで海水準が上昇した. 海水準が低下した時期は浜堤IIの形成開始時期と対応する.雲出川下流低地でもほぼ同時期に浜堤が形成され始めており(川瀬 1998),海水準の低下が浜堤の発達を促進した可能性が示唆される. 当該期における海水準低下の要因の一つには&ldquo;弥生の小海退&rdquo;が考えられる.また,対象地域が安濃撓曲と白子-野間断層(ともに北側隆起の逆断層)との中間に位置し,両断層が連続する可能性もあることから(鈴木ほか 2010),断層変位によって海水準低下が生じた可能性もある.白子-野間断層の最新活動時期は5,000~6,500 cal BPとされるが(岡村ほか 2013),陸域への断層の連続性や活動時期については不明な点も多く,さらなる検討が必要である. 本研究は,河角龍典氏(故人・立命館大学)と共同で進められた.<br> <b>文献:</b>岡村行信ほか (2013) 活断層・古地震研究報告13: 187-232. 太田陽子ほか (1990) 第四紀研究29: 31-48. 川瀬久美子 (1998) 地理学評論76A: 211-230. 澤井祐紀 (2001) 藻類49: 185-191. 鈴木康弘ほか (2010) 国土地理院技術資料D・1-No.542. 千葉 崇・澤井祐紀 (2014) 珪藻学会誌30: 17-30.
著者
大利 徹 佐藤 康治
出版者
北海道大学
雑誌
挑戦的萌芽研究
巻号頁・発行日
2012

ゲノムデータベースの精査により新規経路・酵素の存在を予測し、その検証を行った。具体的には、Nitrosomonas eutrophaでは4-アミノ安息香酸の合成に機能未知のNE1434が関与すること、Streptomyces coelicolorのglutamate-cysteine ligase様遺伝子SCO0910はergothioneineの生合成に関与すること、S.coelicolorでは、真核生物でタウリン生合成経路に関与する2つのオルソログSCO3035、およびSCO3416,/2782/2017を持つ。しかし組換え酵素を用いて検討した結果、これらはタウリンの生合成には関与しないと推定された。
著者
植松 茂男 佐藤 玲子 伊藤 摂子
出版者
小学校英語教育学会
雑誌
小学校英語教育学会誌 (ISSN:13489275)
巻号頁・発行日
vol.13, pp.68-83, 2013-03-20 (Released:2017-10-05)

本研究は,2011年度に小学校英語活動経験がある小学校6年生に対して,英語習熟度テストと英語活動に関する情意アンケートを実施した結果のまとめである。同時に実施した小学校教員に対してのアンケートも参考にしながら,小学生が英語活動をどのように受け止め,どのような「学び」があったのか,教える側の教員の意見も参考にしつつ明らかにしようとする,総合的なアプローチの開始部分である。協力を得た各小学校に於いて開始学年や総履修時間数が異なるため,総履修時間数別に4群に分けた。それらのグループ間比較で,時間数が一番少ないグループに比べて,一番多いグループは,習熟テストのスコアも高く,情意アンケートにおいても肯定的な回答が多かった。
著者
三上 真人 加藤 秀輝 佐藤 順一 河野 通方
出版者
一般社団法人日本機械学会
雑誌
日本機械学会論文集. B編 (ISSN:03875016)
巻号頁・発行日
vol.61, no.582, pp.731-737, 1995-02-25
参考文献数
16
被引用文献数
1

The effect of gravity on fuel droplets burning interactively has been studied experimentally. Experiments on two droplets aligned horizontally were conducted both in normal gravity and in microgravity. Results show that in normal gravity, oxygen starvation between the flames is not as severe as in microgravity. Natural convection, which supplies oxygen to the flame, is stronger at a smaller initial separation distance when two flames exist separately. The instantaneous burning rate for the same normalized droplet diameter has a maximum in normal gravity when the initial separation distance is changed and decreases monotonically in microgravity with decreasing initial separation distance, except for the initial period of burning. Thus, the effect of gravity, which decreases the burning lifetime, is greatest at a certain initial separation distance.
著者
三上 真人 加藤 秀輝 佐藤 順一 河野 通方
出版者
一般社団法人 日本機械学会
雑誌
日本機械学会論文集B編 (ISSN:03875016)
巻号頁・発行日
vol.61, no.582, pp.731-737, 1995
被引用文献数
1

The effect of gravity on fuel droplets burning interactively has been studied experimentally. Experiments on two droplets aligned horizontally were conducted both in normal gravity and in microgravity. Results show that in normal gravity, oxygen starvation between the flames is not as severe as in microgravity. Natural convection, which supplies oxygen to the flame, is stronger at a smaller initial separation distance when two flames exist separately. The instantaneous burning rate for the same normalized droplet diameter has a maximum in normal gravity when the initial separation distance is changed and decreases monotonically in microgravity with decreasing initial separation distance, except for the initial period of burning. Thus, the effect of gravity, which decreases the burning lifetime, is greatest at a certain initial separation distance.
著者
佐藤 季久恵 高屋 英知 小川 亮 芦原 佑太 栗原 聡
雑誌
行動変容と社会システム
巻号頁・発行日
vol.1(2017), 2017-03-02

近年,都市部にて発生する交通渋滞は,ドライバーの時間的損失だけでなく,輸送の遅延や燃料消費の増加に伴う経済的損失を引き起こしている.さらに排気ガスによる大気汚染や騒音,追突事故等の主要な要因としても指摘されている.交通渋滞の解消における主なアプローチとして,適切なナビゲーションにより交通流の分散を図るアプローチや信号制御によりスムーズな交通流を生みだすアプローチがある.今回は後者について交通渋滞を解消する手法を提案する.信号制御の手法として,これまでにも GA やマルチエージェントなどによる手法が提案されている.いずれの先行研究も高次元な交通情報からあらかじめ必要な情報を定め,その情報をシステムの入力値として与えている.しかし,あらかじめ定められていない情報にも信号制御に重要な情報が含まれている可能性があり,交通に関する高次元な情報量から信号制御を行うために必要不可欠な特徴をいかに抽出するかが課題となっている.本研究では,道路交通画像という高次元な情報からエージェント自身が信号制御に必要な情報を抽出し,適切な信号機のパラメータ操作を出力することを目的とする.そこで,高い特徴抽出能力を持つ深層学習法と,報酬に基づいた最適な行為を学習する強化学習法を組み合わせた Deep Q-Network を用いた制御手法を提案する.その結果,エージェントに道路交通画像を与えると,エージェント自身が学習し,効率的に信号制御できることが確認された.
著者
綿貫 啓一 楓 和憲 佐藤 勇一 堀尾 健一郎
出版者
Japanese Society for Engineering Education
雑誌
工学教育 (ISSN:13412167)
巻号頁・発行日
vol.59, no.6, pp.6_104-6_111, 2011 (Released:2011-12-06)
参考文献数
8
被引用文献数
2 1

In this paper, we implement a new style of manufacturing education on the basis of internships with local businesses as well as by using an interactive skills transfer and skill training system. Our system integrates virtual reality (VR) technology and information communications technology (ICT) which were developed at Saitama University. We have created an interactive technology and skills-sharing network linking the knowledge resources and technical resources of our university with the skill resources of local businesses. Our objective is for our students to learn the skills of the local businesses and their business needs and to be able to effectively acquire knowledge and skills for manufacturing. We report our findings from performing practical training that uses specialized knowledge acquired from lectures combined with VR technology with the objective to provide students with more thorough skills. Our undergraduate curriculum provides practical education that links experiments, practical training, and lectures, in mechanical engineering experiments, mechanical engineering seminars, mechanical engineering practical training, and internships.
著者
佐藤 達郎
出版者
史学研究会 (京都大学文学部内)
雑誌
史林 (ISSN:03869369)
巻号頁・発行日
vol.78, no.4, pp.p557-585, 1995-07

個人情報保護のため削除部分あり従来、漢代の人事制度については察挙制度に研究が集中してきた。しかし、それとは別に勤務日数を積むことにより自動的に昇進していく制度のあったこと、通常大半の官吏はこのような制度により昇進を遂げていたのであろうことが大庭修氏によって指摘されている。従来、このような日常の人事と察挙との区別が明らかにされないまま、漠然と「選挙」なる呼称のもとに漢代の人事制度が論ぜられてきた。本稿はこの両者の区別を明らかにするとともに、察挙に非ざる日常の人事の制が後世の尚書による人事―「銓衡」―の起源をなす事を論ずるものである。 まず漢代における察挙によらぬ日常的人事の存在とその際の手続きについて、続いてそれを掌る担当官庁が前漢末頃三公より尚書へ移行したこと、後漢の文献に見える三公による「選挙」とは非常の察挙を指していたこと、従って日常的人事は依然尚書により行われていたこと、後漢末期になるとこのような尚書による人事が後世のように「銓衡」の語で呼ばれるようになったこと、を順次論述する。Previous studies of the Han system for the promotion of officials focused primarily on the recommendation system 察挙制度. As Professor Oba has pointed out, however, there was another promotion system, through which officials could be promoted routinely by serving a certain term ; most officials obtained their promotions through this system. Most previous studies do not distinguish this system from the recommendation system, and refer to both systems as the election system 選挙. This article clarifies the differences between the recommendation system and the routine promotion system. There was a routine promotion system in the Han period, managed according to documents on the administration of officials and rules for their promotion. At the end of the Western Han, the office charged with the management of this system was shifted from the purview of the Three Dukes 三公 to that of the Imperial Secretary 尚書. In some records from the Eastern Han, it appears that the Three Dukes still managed this system, but the system referred to in these records by the term "election" was in fact the recommendation system and not the routine promotion system. Though the routine promotion system was also referred to as "election " in some contemporary records, it remained under the control of the Imperial Secretary. Toward the end of the Eastern Han, the routine promotion system began to be called quqn heng 銓衡 ; it can be regarded as the origin of the evaluation-election system (quan xuan 銓選)managed by the Ministry of Personal 吏部尚書 in the later periods.

1 0 0 0 OA 侠艶録

著者
佐藤紅緑 著
出版者
新潮社
巻号頁・発行日
1912