著者
原 和彦 金 信弘 大川 英希 佐藤 構二 受川 史彦 ATLAS Collaboration Hara K. Kim S.H. Okawa H. Sato K. Ukegawa F.
出版者
American Physical Society
雑誌
Physical Review D (ISSN:24700010)
巻号頁・発行日
vol.97, no.5, 2018-03-27

A search for electroweak production of supersymmetric particles in scenarios with compressed mass spectra in final states with two low-momentum leptons and missing transverse momentum is presented. This search uses proton-proton collision data recorded by the ATLAS detector at the Large Hadron Collider in 2015-2016, corresponding to 36.1 tb(-1) of integrated luminosity at root s = 13 TeV. Events with same flavor pairs of electrons or muons with opposite electric charge are selected. The data are found to be consistent with the Standard Model prediction. Results are interpreted using simplified models of R-parity conserving supersymmetry in which there is a small mass difference between the masses of the produced supersymmetric particles and the lightest neutralino. Exclusion limits at 95% confidence level are set on next-to-lightest neutralino masses of up to 145 GeV for Higgsino production and 175 GeV for wino production, and slepton masses of up to 190 GeV for pair production of sleptons. In the compressed mass regime, the exclusion limits extend down to mass splittings of 2.5 GeV for Higgsino production, 2 GeV for wino production, and 1 GeV for slepton production. The results are also interpreted in the context of a radiatively-driven natural supersymmetry model with nonuniversal Higgs boson masses.
著者
原 和彦 金 信弘 大川 英希 佐藤 構二 受川 史彦 ATLAS Collaboration Hara K. Kim S.H. Okawa H. Sato K. Ukegawa F.
出版者
Springer
雑誌
Journal of high energy physics (ISSN:10298479)
巻号頁・発行日
vol.2018, no.6, 2018-06

This paper presents a search for direct electroweak gaugino or gluino pair production with a chargino nearly mass-degenerate with a stable neutralino. It is based on an integrated luminosity of 36.1 fb−1 of pp collisions at s√=13 TeV collected by the ATLAS experiment at the LHC. The final state of interest is a disappearing track accompanied by at least one jet with high transverse momentum from initial-state radiation or by four jets from the gluino decay chain. The use of short track segments reconstructed from the innermost tracking layers significantly improves the sensitivity to short chargino lifetimes. The results are found to be consistent with Standard Model predictions. Exclusion limits are set at 95% confidence level on the mass of charginos and gluinos for different chargino lifetimes. For a pure wino with a lifetime of about 0.2 ns, chargino masses up to 460 GeV are excluded. For the strong production channel, gluino masses up to 1.65 TeV are excluded assuming a chargino mass of 460 GeV and lifetime of 0.2 ns.
著者
原 和彦 金 信弘 大川 英希 佐藤 構二 受川 史彦 ATLAS Collaboration Hara K. Kim S.H. Okawa H. Sato K. Ukegawa F.
出版者
American Physical Society
雑誌
Physical Review D (ISSN:24700010)
巻号頁・発行日
vol.98, no.3, 2018-08-15

Results from a search for supersymmetry in events with four or more charged leptons (electrons, muons and taus) are presented. The analysis uses a data sample corresponding to 36.1 fb(-1) of proton-proton collisions delivered by the Large Hadron Collider at root s = 13 TeV and recorded by the ATLAS detector. Four-lepton signal regions with up to two hadronically decaying taus are designed to target a range of supersymmetric scenarios that can be either enriched in or depleted of events involving the production and decay of a Z boson. Data yields are consistent with Standard Model expectations and results are used to set upper limits on the event yields from processes beyond the Standard Model. Exclusion limits are set at the 95% confidence level in simplified models of general gauge mediated supersymmetry, where Higgsino masses are excluded up to 295 GeV. In R-parity-violating simplified models with decays of the lightest supersymmetric particle to charged leptons, lower limits of 1.46, 1.06, and 2.25 TeV are placed on wino, slepton and gluino masses, respectively.
著者
中川 憲之 井原 和彦 島田 信治 別府 達也 竹下 都多夫 佐藤 陽昨 保利 俊雄 石橋 正二郎
出版者
西日本整形・災害外科学会
雑誌
整形外科と災害外科 (ISSN:00371033)
巻号頁・発行日
vol.62, no.3, pp.555-556, 2013-09-25 (Released:2013-11-26)
参考文献数
10
被引用文献数
2 1

大転子骨折単独は稀とされている.初診時の単純X線で大転子のみの骨折であった20例を対象とし評価した.20例のうちMRIを16例に施行し,2例は大転子骨折のみ.14例が大腿骨転子部骨折を認めた.大転子骨折単独の報告はいくつかあるが,MRIを行っていないものが多く,実際は不顕性の大腿骨転子部骨折であった可能性もあるのではないか?
著者
西原 賢 久保田 章仁 井上 和久 田口 孝行 丸岡 弘 植松 光俊 藤縄 理 原 和彦 中山 彰一 溝呂木 忠 江原 晧吉 細田 多穂 山口 明 熊井 初穂 二見 俊郎
出版者
埼玉県立大学
雑誌
埼玉県立大学紀要 (ISSN:13458582)
巻号頁・発行日
vol.3, pp.39-45, 2001

筋線維伝導速度(MFCV)をなるべく多くの筋線維から詳細に調べる目的で、計算機プログラムによる筋電図のパルス検出と平均法を開発した。この報告では、パルス検出の原理について説明をし、実際に健常成人男女2人の左等尺性肘屈曲運動時の上腕二頭筋表面電極筋電図を双極アレイ電極で記録し、アナログデジタル変換後計算機に取り込んだデータからMFCVを算出した。その結果、MFCVは先行研究で報告された範囲内に分布し、神経終板付近や腱付近からのMFCVは筋の中心部からのMFCVより早かった。取込開始から時間の経過と共にMFCVの一定の減少が見られた。算出した平均パルス波形は、雑音による平均波形とは明らかに異なる特徴を持っていた。これらのことから、このパルス検出と平均法は今後臨床で有効に活用できる可能性があることが考えられる。
著者
原 和彦 佐藤 構二 受川 史彦 ATLAS Collaboration Kazuhiko HARA Koji SATO Fumihiko UKEGAWA
出版者
American Physical Society
雑誌
Physical review D (ISSN:24700010)
巻号頁・発行日
vol.101, no.1, 2020-01

Combined measurements of Higgs boson production cross sections and branching fractions are presented. The combination is based on the analyses of the Higgs boson decay modes H→γγ, ZZ∗, WW∗, ττ, b¯b, μμ, searches for decays into invisible final states, and on measurements of off-shell Higgs boson production. Up to 79.8  fb−1 of proton–proton collision data collected at √s=13  TeV with the ATLAS detector are used. Results are presented for the gluon–gluon fusion and vector-boson fusion processes, and for associated production with vector bosons or top-quarks. The global signal strength is determined to be μ=1.11+0.09−0.08. The combined measurement yields an observed (expected) significance for the vector-boson fusion production process of 6.5σ (5.3σ). Measurements in kinematic regions defined within the simplified template cross section framework are also shown. The results are interpreted in terms of modifiers applied to the Standard Model couplings of the Higgs boson to other particles, and are used to set exclusion limits on parameters in two-Higgs-doublet models and in the simplified minimal supersymmetric Standard Model. No significant deviations from Standard Model predictions are observed.
著者
荒井 美奈子 白崎 文朗 長谷川 稔 竹原 和彦
出版者
公益社団法人 日本皮膚科学会
雑誌
日本皮膚科学会雑誌 (ISSN:0021499X)
巻号頁・発行日
vol.117, no.14, pp.2471-2478, 2007-12-20 (Released:2014-12-03)

金沢大学皮膚科で10年間に経験した成人発症Still病15症例(男性1例,女性14例,平均年齢35.8歳)について,臨床症状,治療,および予後に関して検討した.本症の特徴的な皮疹は発熱に伴い出没する痒みのない紅斑とされている.しかし,自験例の検討では,発熱に伴って出没する紅斑が4/15例(27%)にしかみられなかったのに対し,発熱と関連なく出没する紅斑が9/15例(60%)にみられた.また紅斑がみられた症例のうち6/15例(40%)は痒みを伴っていた.これらの検討からは,発熱との関連やそう痒の有無にはとらわれず,出没する散在性の淡紅色の小紅斑がStill病の皮疹の特徴と考えられた.経過の検討では,12カ月以上観察しえた14例中6例(43%)はステロイド剤の中止が可能であった.また14例中7例(50%)は減量時などに症状の再発があった.臨床経過が初発症状や検査値により推測できるかを予測したところ,皮疹が発熱や関節痛に先行して出現した6例は全例再発がなく,皮疹が発熱や関節痛と同時あるいは後で出現した群の再発率(8例中7例:88%)と比べて有意に低かった(P<0.05).今後多数例での解析は必要であるが,初発が皮疹のみで全身症状がすぐに出現してこない症例は軽症で,再発しにくい可能性があると考えられた.
著者
上野 貴大 高橋 幸司 座間 拓弥 荻野 雅史 鈴木 英二(MD) 原 和彦
出版者
公益社団法人 日本理学療法士協会
雑誌
理学療法学Supplement Vol.40 Suppl. No.2 (第48回日本理学療法学術大会 抄録集)
巻号頁・発行日
pp.48100317, 2013 (Released:2013-06-20)

【はじめに、目的】大腿骨近位部骨折患者における回復期に生じる疼痛に、筋痛が存在する。過去の報告において、筋痛は代償運動による筋の過負荷が原因とされており、その動作を繰り返すことで慢性痛への移行が危惧されている。しかし、いずれの報告も経験則として述べられるに留まっており、代償運動とその際の筋活動を運動力学的・筋電図学的側面から分析し、筋痛発生原因を示した報告はない。そこで、本研究では立ち上がり動作を運動力学的・筋電図学的に分析し、筋痛の原因となる代償運動とその際の筋活動を明らかにすることで筋痛発生原因を検討した。【方法】対象は当院へ入院された大腿骨近位部骨折患者の中から、除外対象を除いた19名であった。除外対象は認知機能低下を認めた例(MMSE<19pt)、過去に動作能力に大きな影響及ぼす程度の重篤な既往を有する例とした。対象に対し基本特性の調査として、性・年齢・診断名・術式を調査した。発症から2~3週の間に、対象の立ち上がり動作(下腿長の120%の高さに設定した椅子からの支持物を用いない立ち上がり)に対し、三次元動作計測及び筋電図計測を同期計測した。身体運動計測には三次元動作解析装置VICON MX(Oxfordmetrics社製)と床反力計(Kistler社製)を用いた。標点位置は左右の肩峰、股関節、膝関節、外果、第5中足骨の計10点とした。得られたデータは、解析ソフト(Vicon Body Builder)を用いて解析した。解析データは力学データの体重による正規化、時間軸100%正規化を実施した後、床反力鉛直成分、関節運動角度、関節運動モーメントを抽出した。筋電図計測は、筋電計WEB-5000(日本光電社製)を用い、被検筋は左右の大殿筋、外側広筋、大腿二頭筋の計6筋とした。筋電図波形の解析は、解析ソフト(scilab)を用いButterworth filter(10Hz-400Hz)で波形処理し、全波整流の後、筋活動積分値(IEMG)を抽出した。IEMGについて、正規化のために計測した体重の2%の重錘を用いた等尺性収縮時のIEMGで除し、%IEMGを算出した。筋痛の程度・部位の評価は、動作計測時に視覚的アナログスケール(VAS)を用い実施した。術部や骨折部以外に認め、筋の走行に沿った圧痛を伴う痛みを筋痛と規定し、筋痛の有無により筋痛あり群・筋痛なし群へ分類した。調査及び分析結果について、群間で比較検討を実施した。比較検討には、結果の尺度に応じてMann-WhitneyのU検定・χ²独立性の検定のいずれかを用い、有意水準5%とした。【倫理的配慮、説明と同意】対象者には、研究の主旨等について説明を行い、書面にて同意を得た。本研究は当院及び研究協力機関における倫理委員会の承認を得ている。【結果】筋痛あり群と筋痛なし群は、それぞれ11例(男性4例、女性7例、平均年齢75.1±15.2歳)、8例(男性1例、女性7例、平均年齢70.8±9.8歳)であった。筋痛あり群においては大腿四頭筋8例、ハムストリングス3例にVAS3.2の筋痛を有していた。診断名は、筋痛あり群で大腿骨転子部骨折6例、大腿骨頸部骨折5例、筋痛なし群で大腿骨転子部骨折6例、大腿骨頸部骨折2例であり、各群の特性には有意差を認めなかった。床反力鉛直成分(健側比)では、群間に有意差を認めなかった。関節運動範囲では、筋痛あり群の患側股関節運動範囲が有意に小さかった。関節運動モーメント積分値では、筋痛あり群の膝関節伸展運動モーメント積分値が有意に大きかった。患側股関節伸展運動モーメントを100%とした場合の患側膝関節伸展運動モーメントの割合は、筋痛あり群で有意に大きかった。筋痛あり群の筋活動量(健側比)は、筋痛あり群の外側広筋で有意に大きかった。【考察】荷重量の側面では、両群共に健側下肢で大きく健側下肢に依存した動作様式を取っていた。よって、健側での代償運動は筋痛発生に関与しないことが示唆された。関節運動範囲・関節運動モーメントにおける分析結果を解釈すると、筋痛あり群では、患側股関節運動範囲の低下により患側股関節伸展運動モーメントは低下し、代償的に患側膝関節伸展運動モーメントの増大を認めることが示された。これに筋電図分析結果を加味すると患側膝関節伸展運動モーメントを生成するため、患側膝関節伸展筋の活動増大を生じていることが考えられた。これは筋痛発生筋と一致し、患側股関節への負荷を膝関節が代償する代償運動が筋痛発生原因となっていることが示唆された。【理学療法学研究としての意義】大腿骨近位部骨折患者において慢性痛の原因となる筋痛について、その発生メカ二ズムを客観的データから示せたことは意義のあるものと考える。
著者
井上 和久 原 和彦 丸岡 弘 河原崎 崇雄 菅原 壮平 望月 あおい 中村 岳雪
出版者
公益社団法人 埼玉県理学療法士会
雑誌
理学療法 - 臨床・研究・教育 (ISSN:1880893X)
巻号頁・発行日
vol.20, no.1, pp.28-33, 2013 (Released:2013-06-30)
参考文献数
12

[目的]昨今,国内国外において家庭用ゲーム機器であるWiiを使用した研究報告がある。筆者らもこれまでWii Fit(毎日の健康管理をサポートするソフト)を使用しバランストレーニングの効果について検討してきた。今回,病院・施設の方にご協力をいただき,患者・利用者を対象としてどのようなトレーニング効果が得られるかについて検証することを目的とした。[方法]今回,バーチャル機器の一つであるWii Fit Plus(Wii Fit同様,毎日の健康管理をサポートするソフトで,トレーニングの種類が増えたソフト)を使用し,患者・利用者を対象に運動効果および運動習慣について検討した。[結果]効果について,バランス機能の向上は認められなかったが,基礎代謝・柔軟性などについて有意な増加が認められた。質問紙調査結果からは今後も運動を実施したいという回答が87.5%あった。[結論]患者・利用者の方を対象とする場合はリスク管理について事前に検討し実施しなければならないことが今回の研究から明確となり,今後Wii Fit Plusの様々なトレーニング方法についてマニュアルなどの必要性があると考えられた。
著者
西原 賢 久保田 章仁 丸岡 弘 原 和彦 藤縄 理 高柳 清美 磯崎 弘司 河合 恒 須永 康代 荒木 智子 鈴木 陽介 森山 英樹 細田 昌孝 井上 和久 田口 孝行
出版者
公益社団法人 日本理学療法士協会
雑誌
理学療法学Supplement
巻号頁・発行日
vol.2006, pp.A0675, 2007

【目的】運動時の活動電位を観測する研究は多いが活動電位の伝導方向や神経筋の部位まで調べる試みは少ない。現在、画像診断で筋構造を大まかに観測することは可能であるが、神経または筋の神経支配領域までを調べるには不十分である。これらが調べられることによって、運動に関る神経・筋の機能的評価が可能となり、臨床上大変有用となる。さらに、神経の走行部位を予測して、筋肉注射時に神経損傷を予防する場合にも役立つ。そこで、これまでわれわれが開発した筋電図処理技術を応用して、神経や筋の組織解剖学的研究と照し合せながら本研究の検証を行う。<BR>【方法】19-22歳の健常人男性12人を対象にした。被験者は右手首に1kgの重垂バンドを装着し、肩屈曲30°肘屈曲90°で上腕二頭筋収縮、肩外転45°で三角筋収縮を1分間持続させた。上腕二頭筋では、被験者の内側上腕二頭筋の中心に双極アレイ電極を筋の方向に沿って取り付けた。三角筋では、肩峰から腋窩横線までの距離から下3/8の地点を中心に筋の方向に沿って取り付けた。各筋から4チャネルの生体アンプで検出した筋電図を計算機に保存した。筋電図原波形のうちの5秒区間を、本研究のために開発した計算機プログラムを用いて、設定閾値以上のパルスのピークを検出して加算平均した波形を算出した。チャネルによる加算平均パルスの向きの逆転(+側か-側か)や遅延時間の方向から(パルスが順行性か逆行性か)、電極装着部位を基準にした神経支配領域の位置を推定した。<BR>【結果】上腕二頭筋において、12被験者のうち8人で、加算平均パルスの向きの逆転があった。4人はパルスの向きの逆転は観測されなかったが、遅延時間が順行性に変化した。三角筋において、12被験者のうち、加算平均パルスの向きの逆転があったのは2人だけであった。残りのうち2人は遅延時間が順行性に、3人は逆行性に変化し、4人は解析困難であった。<BR>【考察】(1)上腕二頭筋の神経支配領域の推定:加算平均パルスの向きが逆転されたチャネル付近に神経支配領域が存在する。結果により、12被験者のうち8人の神経支配領域の位置が特定された。残り4人は電極装着部の近位に神経支配領域あることが考えられる。(2)三角筋の神経支配領域の推定:12被験者のうち2人だけが神経支配領域の位置の推定ができた。残りのうち2人は電極装着部の近位に、3人は遠位に神経支配領域があると考えられる。(3)上腕二頭筋と三角筋の比較:三角筋は上腕二頭筋と比較して神経支配領域の位置の特定が困難であった。上腕二頭筋は紡錘状筋で、筋線維は筋の方向に沿って均一に走行している。それに比べて三角筋は羽状筋に近く、筋線維は筋の方向に対して斜めで不規則に走行している。三角筋の場合はさらなる調査が必要であるが、かなり詳細な筋構造が皮膚表面で調べられることが明かになった。
著者
塩澤 和人 廣瀬 圭子 田口 孝行 原 和彦
出版者
公益社団法人 埼玉県理学療法士会
雑誌
理学療法 - 臨床・研究・教育 (ISSN:1880893X)
巻号頁・発行日
vol.21, no.1, pp.21-26, 2014 (Released:2014-02-05)
参考文献数
10

【目的】本研究では,退院後生活空間に影響を及ぼす要因を退院直前の歩行能力,ADL能力,家屋整備状況,介護サービス整備状況,ADLおよび外出自己効力感の観点から明らかにすることを目的とした。【方法】分析対象は,回復期リハビリテーション病棟から自宅退院した患者のうち,HDS-Rが19点以上であり,移動手段が屋内歩行自立の者43名とした。退院直前に最大5 m歩行時間(直線歩行能力),TUG(応用的歩行能力),FIMの各運動項目得点(ADL能力),家屋整備状況,介護サービス整備状況,ADL自己効力感得点,退院1か月後にLife-Space Assessment(LSA),外出自己効力感得点を評価した。【結果】高活動群と低活動群間の最大5 m歩行時間,TUG,FIM移動得点,ADLおよび外出自己効力感得点に有意差を認めた。LSAを従属変数,LSAと相関がある項目を独立変数として回帰分析を行った結果,TUG,FIM移動得点,ADLおよび外出自己効力感得点でいずれも有意な標準偏回帰係数が得られた。【結論】退院後生活空間に影響を及ぼす要因は,応用的歩行能力,ADL移動能力,ADLおよび外出自己効力感であることが示された。
著者
蕪城 裕子 島田 由佳 竹原 和彦
出版者
公益社団法人 日本皮膚科学会
雑誌
日本皮膚科学会雑誌 (ISSN:0021499X)
巻号頁・発行日
vol.110, no.8, pp.1277, 2000 (Released:2014-08-19)
被引用文献数
2

当科アトピー外来通院中の患者191人を対象に,アトピービジネスに対する意識調査を行った.特殊療法経験の有無,目的および期待してた効果と実際の効果,使用金額,被害意識,情報入手経路,アトピービジネス隆盛の責任などについて質問し,回答を集計検討した.結果は全体の84.8%が何らかの特殊療法経験者で,1人あたりの平均経験件数は5件であり,多数の患者が複数にわたって経験しているという傾向が見られた.特殊療法を行った目的は,体質改善や脱ステロイドという意見が多く,どういう効果を期待したかについては,現治療プラスアルファという意見も多かったが,根治的治療という意見も多かった.実際の効果については,経験者の60%以上が不変だったと答え,防ダニ対策製品群以外は有効例より悪化例が上回っているという結果であった.経験者のうちの47.8%が何らかの被害を受けたと感じており,今後も試すかどうかについては,慎重な姿勢を示している意見が多かった.アトピービジネス隆盛の責任はマスコミ報道にあるとする意見が一番多かったが,皮膚科医とする意見も多く,反省を要する点ではないかと考えられた.今後我々皮膚科医によるアトピー性皮膚炎の治療に関する明確なコンセンサスの確立が望まれる.
著者
三木 功次郎 北村 誠 榊原 和彦 名倉 誠 長瀬 潤 新野 康彦 直江 一光 宇田 亮子 松尾 賢一 山口 賢一
出版者
日本高専学会
雑誌
日本高専学会誌 : journal of the Japan Association for College of Technology (ISSN:18845444)
巻号頁・発行日
vol.15, no.3, pp.113-118, 2010-08-30

平成18年度より,学生の技術者としての総合的な能力向上を目指して,課外活動を活用して様々なサイエンス活動を行う技術者教育プロジェクトを実施している.活動内容は,科学研究コンテスト等での研究発表,国際科学オリンピックへの参加,サイエンスボランティア活動などで,国際生物学オリンピックでの銅メダル獲得,研究発表会での最優秀賞受賞,ボランティア活動での表彰など多くの成果を挙げている.大会での入賞などを具体的目標として提示し,授業から離れて,各学生がその能力・興味に応じて活動を行うことにより,創造性・問題解決能力・コミュニケーション能力の向上など,多面的な教育的効果が得られることが分かった.また,活動する学生の受け皿として,同好会組織であるサイエンス研究会を立ち上げ,学生が自主的かつ組織的な活動を行うことで,ノウハウの継承,リーダーシップの育成,協調性の向上を行うことができ,教員の負担も大きく増やすことなく実施可能であった.これらの活動は,「人間力」向上にも役立っており,実践的な技術者の養成に非常に有効な手段であると考えられる.
著者
上野 貴大 荻野 雅史 高橋 幸司 強瀬 敏正 森田 直明 戸塚 寛之 高木 優一 嶋 悠也 佐々木 和人 鈴木 英二 原 和彦
出版者
JAPANESE PHYSICAL THERAPY ASSOCIATION
雑誌
日本理学療法学術大会
巻号頁・発行日
vol.2010, pp.CbPI1306-CbPI1306, 2011

【目的】運動器疾患の早期退院を目指した術後歩行練習介入の主な目標は、円滑な歩行獲得を目指した歩容改善と、適切な荷重制御歩行の獲得である。そこで、歩容改善を意識した歩行練習をより円滑に施行するための治療用Ankle Foot Orthosis(以下AFO)を用いた歩行練習を考案した。治療用AFOの有用性は、主に脳卒中に対する理学療法介入検証で報告されている。近年の機能的AFOは、装具が生み出す足関節底背屈の制御モーメントが歩行時の足関節機能を代償するように考案されており、装具を用いた正しい姿勢、関節アライメント下での歩行練習により、正しい筋活動を促す効果が期待される。しかし、運動器疾患の歩容改善に対して、これら治療用AFOによる効果の有用性を示す報告は少ない。当院にて、歩行不安定要素を有する股関節機能障害を呈した術後患者に対して、試行的にAFOを用いた歩行練習を行ったところ、膝への関連痛軽減や歩容改善につながった臨床適応例を数例認めた。そこで本研究はAFO装着が歩行機能に及ぼす影響や治療用装具としての適応の可能性について検証を行ったので報告する。<BR>【方法】対象は、運動器疾患により当院に入院し、股関節及び膝関節内固定術、人工骨頭及び人工膝関節置換術を施行された例の中で、平成22年8月14日から平成22年10月30日までに、監視下で6分間の連続歩行が可能となった10例(男性2例、女性8例、平均年齢76.4±14.5歳)とした。対象に対し、装具なし、ありでの歩行について、それぞれ10メートル歩行、6分間歩行距離の測定を行った。装具は、パシフィックサプライ株式会社製GAITSOLUTION Designを使用し、油圧ダンパーの強さ設定を一律1.5とした。10メートル歩行は直線歩行路を用い3回施行し、歩数、歩行時間を測定した。6分間歩行距離は円形歩行路を用い1回測定した。測定は、装具なしでの歩行、装具ありでの歩行の順に行い装具使用下での歩行による運動学習効果の回避に努めた。また、各測定の間にはバイタルチェックを行いながら十分な休息時間を取った。得られたそれぞれの測定結果について、Wilcoxonの符号付順位和検定を用い、比較検討を行った。その際、10メートル歩行については3回中1番良い結果を採用した。加えて装具を用いた歩行の前後で感想を聴取した。各測定結果の統計的検討にはSPSS for windows10.0Jを用い、有意水準5%とした。<BR>【説明と同意】対象またはその家族に対し研究の趣旨を説明し、同意を得た上で検討を行った。<BR>【結果】対象の疾患内訳は、大腿骨頚部骨折3例、大腿骨転子部骨折2例、大腿骨基部骨折2例、脛骨高原骨折2例、慢性関節リウマチ1例であった。手術方式の内訳は、股関節内固定術6例、人工骨頭置換術1例、膝関節内固定術2例、人工膝関節置換術1例であった。測定結果について、中央値と四分位数偏差を用い以下に示す。10メートル歩行結果は、装具なしでは歩数19.5±4.1歩、歩行時間13.8±5.6秒、装具ありでは歩数17.5±4.4歩、歩行時間11.7±5.4秒であった。6分間歩行距離は、装具なしでは214.0±68.0m、装具ありでは247.5±73.8mであった。それぞれの測定結果の比較検討については全てにおいて有意差を認め、装具使用により各測定値の向上を認める結果となった。装具使用前後の感想については、使用前は抵抗感や疑問を訴える例が多かったが、使用後は楽に歩けた、痛みが消えた、足がしっかりした、速く歩けた等の前向きな感想が多かった。<BR>【考察】今回の測定結果では、疾患、手術部位、発症から測定までの時期が異なる中、ほぼ全例でAFO装着下での10メートル歩行速度、6分間歩行距離が、AFOなしでの歩行に比べて大きく、有意差を認めた。結果から、歩行に装具を用いたことで、踵接地後の衝撃吸収と適度な足部踏み返しを代償するAFOの油圧制御機能が歩容改善を促し、より歩幅が大きく、術側下肢から健側下肢へのスムーズな体重移動のある歩行が可能となったと考察された。装具使用後の感想からも、歩容改善について実感を得られたと思われる例が多く、装具装着に対する患者満足度が高いことから、装具適応の可能性を示していた。<BR>【理学療法学研究としての意義】過去に報告のない運動器疾患術後患者に対する治療用AFOを用いた歩行練習の可能性について示唆を得たことは、今後の運動器疾患分野での理学療法において意義があると考える。今後は、更なる可能性の提示、適応等についての示唆を得るため症例数を増やし検討していくべきと考える。<BR>
著者
長谷川 稔 佐藤 伸一 古瀬 忍 長谷川 洋一 森 俊典 八田 尚人 竹原 和彦
出版者
公益社団法人 日本皮膚科学会
雑誌
日本皮膚科学会雑誌 (ISSN:0021499X)
巻号頁・発行日
vol.108, no.10, pp.1275, 1998 (Released:2014-08-19)

症例1は69歳,男性.1年半前より手指のこわばり,四肢の関節痛があった.また,両手掌に多発性の皮下結節と手指の拘縮が出現してきたため,近医にて全身性強皮症(SSc)と診断されていた.当科での精査では皮膚硬化は認められず,リウマトイド因子(RF)が陽性であった.両手のX線像で近位指節間(PIP)関節に多発性のびらんを認めた.Palmar fibromatosisを合併したRAと診断した.Palmar fibromatosisによる手指の拘縮により慢性関節リウマチ(RA)がSScと誤診されたものと考えられた.症例2は63歳,女性.半年前より朝のこわばりと多発性の関節炎が出現し,近医にて抗トポイソメラーゼⅠ抗体が陽性とされ,SScと誤診されていた.皮膚硬化はみられず、当科での再検では抗トポソイメラーゼⅠ抗体やRFを含む自己抗体はすべて陰性であった.両手のX線像でPIP関節の腫脹を認め,sero-negative RAと診断した.ELISAによる抗トポイソメラーゼⅠ抗体の疑陽性によりSScと誤診されたものと考えられた.症例3は47歳,女性.2ヶ月前からの朝のこわばりと多発の関節炎が出現してきたものの,X線上異常が検出されなかったためRAが否定され,近医にてSScと診断されていた.当科での精査では皮膚硬化は認められず,RFが陽性であった.両足のX線像で足趾に嚢胞形成を認めた.X線での骨変化が軽いためにRAが否定され,SScと誤診されていたと考えられた.今後はこのような誤診例が増加する可能性があり,注意が必要と考えられた.