著者
酒井 治己 栗原 善宏 古内 友樹 岡田 あゆみ 竹内 基 柿野 亘 須田 友輔 後藤 晃
出版者
The Malacological Society of Japan
雑誌
Venus (Journal of the Malacological Society of Japan) (ISSN:13482955)
巻号頁・発行日
vol.80, no.3-4, pp.47-66, 2022-08-26 (Released:2022-08-26)
参考文献数
21

カムチャツカ・サハリン・千島・日本列島地域から記載されたカワシンジュガイ属 Margaritifera 担名タクサのタイプ標本を調査した結果,この地域を通して2種の存在が確認され,それぞれカワシンジュガイMargaritifera laevis(Haas, 1910)及びコガタカワシンジュガイM. kurilensis(Zatravkin & Starobogatov, 1984)に同定された。前種は前閉殻筋痕上縁が丸く擬主歯が比較的小さいこと,一方後種は前閉殻筋痕上縁が角張っており擬主歯が比較的大きく頑丈なことによって特徴づけられる。コガタカワシンジュガイにしばしば適用されてきたM. middendorffi (Rosén, 1926)は M. laevisの新参異名であると判断された。また,M. middendorffi の新参異名とされてきた M. togakushiensis Kondo & Kobayashi, 2005 は,M. kurilensis の新参異名と判断された。
著者
斉藤 裕 三井 毅 牛島 聡 向井 恵一 笠原 善郎 吉田 政之 飯田 茂穂 大平 政人 三崎 拓郎 岩 喬
出版者
公益財団法人 日本心臓財団
雑誌
心臓 (ISSN:05864488)
巻号頁・発行日
vol.17, no.6, pp.639-645, 1985-06-15 (Released:2013-05-24)
参考文献数
23

WPW症候群150症例に対し副伝導路切断術を行った.うち心房細動を合併した症例は68例(45%)あり,この90%に回帰性頻拍を認めた.心房細動合併症は非合併例より重篤な症状を呈し,1例に心室細動を認めたほか,3例が手術待機中自宅で突然死している.器質的心疾患合併例,および高齢発症または回帰性頻拍経験の長いものが心房細動を合併しやすかった.しかし電気生理学的見地から心房細動合併を予測する因子は明確ではなかった.また手術時期が遅い程,術後心房細動が多く残存した.回帰性頻拍治療のために植え込まれたペースメーカーが,心房細動を誘発した3症例も経験した.WPW症候群における心房細動発生には副伝導路が深く関与しており,一担発生した後は症状が増悪し,突然死することもある.今回の検討から心房細動合併症例では可及的早期に手術的根治をすべきである.
著者
蓑原 善和
出版者
一般社団法人 照明学会
雑誌
照明学会誌 (ISSN:00192341)
巻号頁・発行日
vol.80, no.10, pp.741-745, 1996-10-01
参考文献数
11
被引用文献数
3
著者
原 善 菅野 陽太郎 崔 順愛 恒川 茂樹
出版者
学校法人 敬心学園 職業教育研究開発センター
雑誌
敬心・研究ジャーナル (ISSN:24326240)
巻号頁・発行日
vol.4, no.1, pp.115-123, 2020 (Released:2020-07-15)
参考文献数
17

村上春樹が一見意外に見える児童文学からの影響を大きく受けていることを確かめるためには、彼自身の児童文学に対する発言を攫っていくことや、彼が多く為している絵本の翻訳が持つ意味を探ること、等の有効なアプローチがあるが、春樹の文学の大きな特徴の一つとされている直喩について考えることからも、彼における児童文学の影響の大きさを明らかにすることができるはずである。なぜなら直喩とは眼前の喩えられるもの(所喩)に、今ここにないもの(能喩)を重ねていくレトリックであるが、小説作品を中心にした彼の文学の全業績の中から、能喩部分に内外古今の児童文学作品が嵌めこまれている例を拾い上げていくことで、単に彼が多くの児童文学作品を読んできたという読書歴を炙り出すだけでなく、彼が自らの世界(所喩)を構築するにあたっていかに児童文学作品世界(能喩)をその下敷きに入れているかという間テクスト性に思いを及ぼすことができるはずだからである。
著者
萩原 善泰 西尾 敦彦 結城 和明 氏家 昭彦 高原 英明
出版者
The Institute of Electrical Engineers of Japan
雑誌
電気学会論文誌D(産業応用部門誌) (ISSN:09136339)
巻号頁・発行日
vol.119, no.5, pp.609-616, 1999-05-01 (Released:2008-12-19)
参考文献数
13
被引用文献数
1 2

For the better performance and/or the high speed running for electric rolling-stocks, high accuracy power factor control with PWM power converter fed by ac power line has become popular. It is practically easy to control actual power factor itself at the input point of the power converter on the rolling-stock, however, the more important is that at substations. Although there are some technical difficulties for detecting the correct voltage phase angle on the train, caused by, for example, interference from thyristor controlled converters, suitable target value for practical power factor can be calculated under reasonable conditions. Among some kinds of control concept, the instantaneous current control referring sinusoidal waveform is the most suitable solution for the Japanese Shinkansen. The test results proved the expected power factor control performance.
著者
蛯原 善則
出版者
一般社団法人 日本歯科理工学会
雑誌
日本歯科理工学会誌 (ISSN:18844421)
巻号頁・発行日
vol.39, no.1, pp.64-69, 2020

<p>様々な装置やソフトウェアから出力されるデジタルデータにより,歯科治療に取り組む医療関係者,患者までもがイメージを共有し,多くの視点から考察された診断・治療が行われている.一方で,デジタル機器は先進デバイスが多いため,医療機器のカテゴリの判断や安全性・有効性担保の評価方法に戸惑う場面も多い.<br>各装置やシステムの適応範囲の拡大,市場から要望される新機能追加などは永遠に継続すべき開発テーマである.それに加えて,複数のデジタルデータを融合させた活用方法やデータベースなどを活用した新たなシステムの提案,デジタルデータの共有によるトータルシステムの提供などにより,これからの健康長寿社会を実現するためのデジタルワークフローをより一層発展させていきたい.</p>
著者
原 善
出版者
学校法人 敬心学園 職業教育研究開発センター
雑誌
敬心・研究ジャーナル (ISSN:24326240)
巻号頁・発行日
vol.2, no.1, pp.21-31, 2018 (Released:2018-10-05)

三浦哲郎の『ユタとふしぎな仲間たち』は彼にとって唯一の児童を読者対象として描いた児童文学であり、一見彼の文学系譜の中からは浮いて見えてしまうが、彼には大人向けに書いた文学作品にも同じく座敷童子をモチーフにした作品がいくつかあり、紛れもなく彼の作品系譜に位置づくものである。それどころか、なぜ彼が座敷童子に関心を持ち続けたかと言えば、そこには彼の生い立ちや家族の血の歴史が大きく影を落としているのであり、『忍ぶ川』『白夜を旅する人々』などと繋がる、むしろ三浦文学の主流に位置づく作品なのである。そこに、近代作家が民話をアダプトしていく中で、伝統とは別に作家個人の独自の主題が入りこむ典型的な在りようを見ることができる。そして「座敷童子異聞」という後続の作品を参照すれば、むしろ『ユタとふしぎな仲間たち』は先に位置づけた座敷童子系譜の中からは浮き上がる、それこそ〈異聞〉としての独自性が見えてくるはずなのである。
著者
畠山 昌久 西田 茂喜 石原 善三郎 西田 智
出版者
西日本整形・災害外科学会
雑誌
整形外科と災害外科 (ISSN:00371033)
巻号頁・発行日
vol.58, no.1, pp.116-118, 2009-03-25 (Released:2009-06-02)
参考文献数
3

腕立て伏せにより上腕三頭筋に限局して生じた横紋筋融解症の1例を報告する.症例は16歳男性で部活動で腕立て伏せをした翌日に両上腕の疼痛,腫脹,両肘関節の屈曲制限が出現した.血清CKは28000 IU/lと上昇していた.MRIで上腕三頭筋の内側頭にT1強調像で等信号,T2強調像で高信号を呈し,臨床所見などと合わせ,横紋筋融解症と診断した.安静,補液により症状及びCK値は徐々に改善し,12日目には正常化した.本症例は腕立て伏せが横紋筋融解症を来たした誘因と思われた.しかし腕立て伏せの回数は部活動での通常通りのものであった.通常行っている運動でも横紋筋融解症を来す可能性があり注意が必要であると思われた.
著者
宮川 しのぶ 津田 朗子 西村 真実子 木村 留美子 稲垣 美智子 笠原 善仁 小泉 晶一 関 秀俊
出版者
日本小児保健協会 = The Japanese Society of Child Health
雑誌
小児保健研究 (ISSN:00374113)
巻号頁・発行日
vol.61, no.3, pp.457-462, 2002-05-31
参考文献数
21
被引用文献数
3

小学3年から高校3年までの1型糖尿病患児38名の学校生活での療養行動とそれに伴う困難感を検討した. 療養行動をしている割合は, インスリン自己注射81.6%, 血糖自己測定44.7%, 間食, 補食摂取31.6%であった. 療養行動の施行場所は, 小学生では主に保健室であったが, 中高生ではトイレや教室が多く, 94.7%の児がいずれかの療養行動を行っており, その50%が「しにくい」と感じていた. 困難感を抱く理由には, 療養行動を不思議がられたり, 特別視されることによるものが多い. また97.4%が低血糖症状を経験していたが, 病気や療養行動を知られたくないために我慢をする場合や, 保健室に行くことがあった. 以上から多くの患児が学校での療養行動に困難感をもっているため, さらなる学校現場での正しい理解と環境作りが必要と考えられた.
著者
藤友 崇 森本 佳伸 大井 潤 澤井 典子 石田 幸子 松原 善 一圓 剛 皆川 直人 鴨井 久博 田中 司朗 鴨井 久一
出版者
特定非営利活動法人 日本歯周病学会
雑誌
日本歯周病学会会誌 (ISSN:03850110)
巻号頁・発行日
vol.60, no.2, pp.70-86, 2018-06-29 (Released:2018-06-29)
参考文献数
24

歯周病のリスク評価ができる自己申告アンケートは,歯周病の早期発見や疫学研究において有効な手段となるが,これまでに統計的,臨床的な妥当性を評価された日本人向けの歯周病リスク評価アンケートが開発された事例はない。本研究では,歯周病のリスクを評価できる日本語版自己申告アンケートを開発することを目的とした。歯周病患者50名と非歯周病患者51名に,歯周病で観察される症状の有無をアンケート形式で回答させた。アンケート回答に対して,多重ロジスティック回帰分析を実施し,歯周病を予測できるアンケート項目を抽出し,アンケートの質問項目の信頼性を確認した。また,ROC曲線解析を実施し,抽出されたアンケート項目による歯周病のリスク予測の精度を検討した。結果,50人の歯周病患者および50人の非歯周病患者を解析対象とした。多重ロジスティック回帰分析と歯周病の臨床的観点から,年齢,歯肉の腫れ,歯の動揺,プラークと歯石,口臭および掻痒感の6つのアンケート項目が自己申告によって歯周病のリスクを予測できる項目であることが分かった。また,ROC曲線解析によりAUCが0.90であった。本研究より,我々は,6つの自己申告アンケートで歯周病のリスクを判定できる日本人向けの歯周病セルフチェックアンケートを開発し,その信頼性,内部整合性及び精度を,40歳から83歳の大学病院歯科を受診した人を対象に検証した。
著者
廣瀬 和俊 乳原 善文 平松 里佳子 澤 直樹 長谷川 詠子 高市 憲明 池田 健次 熊田 博光 村上 元昭
出版者
一般社団法人 日本内科学会
雑誌
日本内科学会雑誌 (ISSN:00215384)
巻号頁・発行日
vol.103, no.6, pp.1388-1390, 2014-06-10 (Released:2015-06-10)
参考文献数
9
被引用文献数
1 1

症例は68歳,女性.ラミブジン耐性慢性B型肝炎に対し核酸アナログ製剤のアデフォビル(ADV)が追加投与された.ADV開始後より低P,低K血症,低尿酸血症,尿糖,汎アミノ酸尿および骨型優位の高ALP血症を認め,全身に骨痛が出現,レントゲンで偽骨折を呈し右腸骨生検で骨軟化症と診断.ADVによる薬剤性Fanconi症候群および低P血症性骨軟化症を疑い,ADVを中止,経口P製剤および活性型ビタミンD製剤を開始したところ骨痛は消失,各種検査所見も改善した.