著者
増原 善之
出版者
京都大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2007

ラオス国フアパン県およびサワンナケート県内の16郡42村において村の歴史や土地の伝承等を採録するとともに、フランス植民地時代以前の地方文書および地方行政に関わる物品(文書筒、印章)について現地調査を行った。成果発表として、2010年12月、ラオス国立大学においてワークショップを開催するとともに、2011年3月、本研究により収集されたデータおよび上記ワークショップの発表原稿からなる報告書を刊行した。
著者
森本 忠興 笠原 善郎 角田 博子 丹黒 章
出版者
特定非営利活動法人 日本乳癌検診学会
雑誌
日本乳癌検診学会誌 (ISSN:09180729)
巻号頁・発行日
vol.23, no.3, pp.337-346, 2014-10-20 (Released:2016-10-20)
参考文献数
19
被引用文献数
2 5

2009年の米国予防医学専門委員会(USPSTF)の勧告では,乳癌検診の評価は,利益(死亡率減少効果)のみでなく,不利益(偽陽性,偽陰性,過剰診断,被曝,精神的影響等)も考慮する必要があり,検診の利益と不利益のバランスを考慮すべきであるとされている。欧米の乳癌検診における無作為比較試験(RCT)の結果から,死亡率減少効果は40~69歳の年齢層で15~32%ある。不利益のうち,過剰診断以外の偽陽性,偽陰性,要精検率等を如何に抑えるか,つまり検診の精度管理が重要である。一方,癌検診の不利益のうちの過剰診断が欧米で話題になっているが,過剰診断とは,その人の寿命に影響を及ぼさない癌を発見・診断することである。各種の癌検診における過剰診断は,神経芽細胞腫,前立腺癌,胸部CT で発見される肺癌,甲状腺癌などが知られている。多くの欧米データから,検診発見乳癌の10~30%程度に過剰診断があるとされる。早期乳癌なかでも非浸潤癌等の一部の病変は,過剰診断に繋がる可能性が大きく,また高齢者ではより過剰診断の可能性を考慮すべきである。本邦のマンモグラフィ検診は,欧米の受診率70~80%に比較して20~30%と低い。日本においては,不利益を理解した上で,死亡率減少効果という利益を求めて,精度管理のなされたマンモグラフィ検診受診率の向上(50%以上)に努めるべきである。とくに対策型検診では,死亡率減少効果のエビデンスに基づいたガイドラインに沿った検診を施行すべきである。さらに,過剰診断となり得る乳癌の臨床病理学的研究,日本における過剰診断のデータ蓄積が求められる。過剰診断に対しては,過剰な精密検査・過剰治療の回避のために,経過観察群watchful waiting の設定による対処も考えられる。また,受診者との不利益に関わる共同意思決定も必要であり,過剰診断と思われる乳癌の治療は,受診者とのinformed decisionの上で行うべきである。
著者
住田 圭一 乳原 善文
出版者
一般社団法人 日本内科学会
雑誌
日本内科学会雑誌 (ISSN:00215384)
巻号頁・発行日
vol.102, no.10, pp.2631-2638, 2013-10-10 (Released:2014-10-10)
参考文献数
14

リウマチ・膠原病疾患の治療においては,ステロイドや免疫抑制薬に加え,近年,抗TNF-α抗体や抗IL-6受容体抗体などの生物学的製剤が積極的に導入されはじめ,飛躍的な治療効果が得られている一方,免疫不全状態を背景とした日和見感染症の発生頻度の増加が問題となっている.今後も,リウマチ・膠原病診療において新規薬剤による治療成績の向上が期待されるが,それと同時に各種病原体による日和見感染症へも注意する必要がある.
著者
米原 善成
出版者
東京大学
雑誌
研究活動スタート支援
巻号頁・発行日
2018-08-24

本研究では、アホウドリ類を対象として、ダイナミックソアリングと呼ばれる省エネルギーの滑空飛行法のメカニズムの解明を目標とした。ダイナミックソアリングとは、海上の風速勾配を利用して、羽ばたくことなく持続的に滑空飛行する飛行様式である。実際にダイナミックソアリングを行うアホウドリ類の飛行データを得るために、野外調査を実施した。2019年1月~4月にかけて、亜南極域クロゼ島で繁殖する世界最大の飛ぶ鳥であるワタリアホウドリに、3軸加速度、3軸角速度、GPS(位置と速度)、気圧を高解像度で記録できる装置を合計20台装着し、回収した。得られたデータから、状態空間モデルを用いて、アホウドリの3次元的な飛行経路や姿勢の変化を計算した。実データと比較するために、理論的なダイナミックソアリングによる飛行方法を数値計算によって求めた。滑空する鳥をグライダーに近似し、運動方程式に基づいた最適制御問題を解くことで、与えられた風速勾配のもとで理論的に最もエネルギー効率の良い飛び方を求めた。実際の海上では波や突風などによって時々刻々と風環境が変わると考えられる。風速勾配の形状を変化させると、それに応じて理論的に最適な飛行経路、姿勢の変化なども変わることがわかった。次年度は、アホウドリの3次元的な飛行経路や姿勢を飛行モデルと比較することで、エネルギー獲得メカニズムや異なる風環境に応じたアホウドリのダイナミックソアリングによる飛行戦略を研究する計画だったが、初年度で中断した。
著者
原 善
出版者
日本近代文学会
雑誌
日本近代文学 (ISSN:05493749)
巻号頁・発行日
no.56, pp.175-187, 1997-05
著者
原 善
出版者
学校法人 敬心学園 職業教育研究開発センター
雑誌
敬心・研究ジャーナル (ISSN:24326240)
巻号頁・発行日
vol.2, no.1, pp.21-31, 2018

<p>三浦哲郎の『ユタとふしぎな仲間たち』は彼にとって唯一の児童を読者対象として描いた児童文学であり、一見彼の文学系譜の中からは浮いて見えてしまうが、彼には大人向けに書いた文学作品にも同じく座敷童子をモチーフにした作品がいくつかあり、紛れもなく彼の作品系譜に位置づくものである。それどころか、なぜ彼が座敷童子に関心を持ち続けたかと言えば、そこには彼の生い立ちや家族の血の歴史が大きく影を落としているのであり、『忍ぶ川』『白夜を旅する人々』などと繋がる、むしろ三浦文学の主流に位置づく作品なのである。そこに、近代作家が民話をアダプトしていく中で、伝統とは別に作家個人の独自の主題が入りこむ典型的な在りようを見ることができる。そして「座敷童子異聞」という後続の作品を参照すれば、むしろ『ユタとふしぎな仲間たち』は先に位置づけた座敷童子系譜の中からは浮き上がる、それこそ〈異聞〉としての独自性が見えてくるはずなのである。</p>
著者
植松 孝悦 笠原 善郎 鈴木 昭彦 高橋 宏和 角田 博子
出版者
特定非営利活動法人 日本乳癌検診学会
雑誌
日本乳癌検診学会誌 (ISSN:09180729)
巻号頁・発行日
vol.29, no.1, pp.27-33, 2020 (Released:2020-04-06)
参考文献数
26
被引用文献数
1

自覚症状のある乳癌の早期診断は,その乳癌患者の予後と生存率を改善させる。そのためには,乳癌の初期症状を早く自覚して速やかに医師を受診するという乳房の健康教育の普及が重要であり,この正しい保健医療行動が確実に進行乳癌の減少をもたらす。ブレスト・アウェアネスは,乳房を意識した生活習慣を通して,乳房に変化を感じたら(乳癌の初期症状を早く自覚する)速やかに医師を受診するという正しい保健医療行動をとるための健康教育であり,乳がん検診の理解とその受診勧奨を目的とした啓発活動である。ブレスト・アウェアネスを実践することで,マンモグラフィ偽陰性の場合でも,早期に乳癌を発見し速やかに診断と治療が可能となる。つまり,ブレスト・アウェアネスの普及が,対策型乳がん検診の高濃度乳房問題に対する具体的な対応策の一つである。さらにブレスト・アウェアネスの推奨は,若年性乳癌の早期発見のための具体的な方策にもなる。ブレスト・アウェアネスは乳がん教育を実践するための具体的なキーワードであり,これから教育現場で行われるがん教育でも積極的に取り入れられるべき内容と思われる。ブレスト・アウェアネスの普及に器機の整備や購入の必要性はない。よって,その体制を整えることは比較的容易であり,速やかに全国一律で実施することが可能である。ブレスト・アウェアネスは,効率的かつ効果的な乳癌対策であり,乳がん検診と並ぶもう一つの乳癌医療政策の柱として,わが国も積極的に導入すべきである。
著者
萩原 善泰 藤田 武
出版者
一般社団法人 電気学会
雑誌
電気学会誌 (ISSN:13405551)
巻号頁・発行日
vol.123, no.7, pp.406-409, 2003-07-01 (Released:2008-04-17)
参考文献数
5
被引用文献数
2 2
著者
丸山 裕美子 笠原 善弥 塚田 弥生 荒井 和徳 米田 憲二 室野 重之 吉崎 智一
出版者
一般社団法人 日本耳鼻咽喉科学会
雑誌
日本耳鼻咽喉科学会会報 (ISSN:00306622)
巻号頁・発行日
vol.119, no.6, pp.867-873, 2016-06-20 (Released:2016-07-02)
参考文献数
15
被引用文献数
3

口蓋扁桃摘出術は主に良性疾患に対し若年者を対象として行われることが多い一般的な手術であるが, 時に致死的経過をたどる危険性をもつ. 今回19歳女性の扁桃摘出術中に制御困難な咽頭出血を認め選択的動脈塞栓術により救命し得た症例を経験した. 扁桃摘出術中の重篤な出血に対する血管内治療はこれまで報告されていないが, 安全で有効な治療法の一つとして検討する価値があると考えられた. また自施設における5年間の扁桃摘出術症例を検討したところ, 後出血は11.8%に認められ, 出血レベルは全例グレード1 (保存的加療で止血) であった.
著者
林 行夫 柴山 守 土佐 桂子 長谷川 清 高橋 美和 笹川 秀夫 小林 知 増原 善之 小島 敬裕
出版者
京都大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2008

タイ、ラオス、カンボジア、西南中国(西双版納・徳宏)での全9調査区画において771寺院の施設構成と位置情報、5500の出家者の移動データを収集し、全データを統合しタイでの移動経年データを地域情報学的手法(Hu2マップシステム、ラティスとオートマトン)で時空間解析し他区画への適応を試みた。文献から寺院と出家者の移動をデータベース化したミャンマーをふくめ地域間比較を可能とする『マッピング・データ集成I』(+1DVD)を作成した。
著者
尾原 善和
出版者
The Japanese Society of Physical Fitness and Sports Medicine
雑誌
体力科学 (ISSN:0039906X)
巻号頁・発行日
vol.31, no.5, pp.323-342, 1982-10-01 (Released:2010-09-30)
参考文献数
26

Whether or not f ractural accidents have increased in children cannot be determined only by the statistical data. Fracture may be related to various factors and among them, the protective buffer effect by muscle is one of the most important factors. To clarify the onset process of fracture in the forearm in children which was observed most frequently, experimental studies have been done using a model for the forearm bones made of resin and the forearm samples of cadaver. Stresses of various parts of the bones were measured by the strain gage method, and the following results were obtained.Under static load bearing, the model presented the stress distribution depending on the form, and the largest stress was obserbed at the distal diaphysis of the model of radius. The stress distribution of forearm sample under static load bearing was greatly influenced by the articular capsule and the distal region of the radius showed the maximum stress. As the model was gradually filled up simulating muscular action, the stresses decreased. When the traction force of the muscle was simulated by the use of a steel wire, the stress distribution depending on the form changed and the stresses reduced. As the muscular action was gradually added to the model, fracture was not apt to occur and then, greater impulsive force was required for the onset of the event in impact load test.Based on the above results, it is suggested that, if the protective buffer effect by the nerve and muscle acted incoordinately when a child falls down, the greater stress is loaded to the bone tissues, resulting easily in fracture.
著者
栗山 孝祐 原 善一郎
出版者
システム監査学会
雑誌
システム監査 (ISSN:09147446)
巻号頁・発行日
vol.31, no.1, pp.107-116, 2017 (Released:2023-04-07)
参考文献数
10

2015 年9 月に改正個人情報保護法が成立・公布され、2017 年5 月に全面施行された。個人情報の保有件数の条件が撤廃され、全企業が改正個人情報保護法の適用対象になる。しかし、2017 年3 月時点では改正個人情報保護法への対応が進んでいない状況であった。そこで、システム開発の上流工程の中心である要件定義工程で実施すべきプロセスを研究することにした。本論文では、個人情報保護要件検討シートを作り、改正法への対応漏れを防いだ。実践での使用として、企業2 社の実際の要件定義工程の組織点検に着目し、既存のプロセスに組込みを行った。さらに、組織点検が適切に行われていることを確認するシステム監査で実施すべき10 個のプロセスおよび主な監査項目一覧を具体的に整理した。これから改正個人情報保護法をシステム開発段階で適用される企業の参考になろう。
著者
杉本 和彦 米丸 淳一 坂井 寛章 川原 善浩 鐘ケ江 弘美
出版者
日本育種学会
雑誌
育種学研究 (ISSN:13447629)
巻号頁・発行日
pp.25.W05, (Released:2023-03-25)

気候変動及び様々なニーズに対応した育種を効率化・加速化するために,データに基づいたスマート育種の育種現場への実装が期待されている.現在,スマート育種を育種現場に実装するための取組みとして,農林水産省においてスマート育種に関する委託プロジェクト(「次世代育種・健康増進プロジェクト」のうち民間事業者等の種苗開発を支える「スマート育種システム」の開発,平成30年~令和5年)が実施されている.本ワークショップでは,当該プロジェクトを構成する2つの研究課題である「育種ビッグデータの整備及び情報解析技術を活用した高度育種システムの開発」(略称:BAC)及び「民間事業者,地方公設試等の種苗開発を支える育種基盤技術の開発」(略称:DIT)について概要を紹介し,当該プロジェクトの予算で開発を行っている3種の育種ツール,育種情報の集約・解析支援を行う育種情報管理支援システム「BRIMASS」,育種の家系図情報を表示する系譜情報グラフデータベース「Pedigree Finder」及び有用遺伝子の品種間多型情報を整理した有用遺伝子カタログと可視化ツール「アリルグラフ」について説明する.また,3種の育種ツールについてはPCを使った実習も合わせて行う.