著者
大向 一輝
出版者
国立研究開発法人 科学技術振興機構
雑誌
情報管理 (ISSN:00217298)
巻号頁・発行日
vol.56, no.7, pp.440-447, 2013
被引用文献数
1

政府・地方自治体・公的機関による情報公開の取り組みの一環として「オープンデータ」が注目を集めている。欧米の動きと比較すると,日本におけるオープンデータの普及が遅れていることは確かであるが,行政機関や市民の努力によって,急速にデータの質・量ともに充実が進んでいる。本稿では国内における先進例を紹介し,今後の展望について議論する。
著者
江上 周作 大向 一輝 山本 泰智 神崎 正英 野本 昌子 坂根 昌一 伊藤 真和吏 網 淳子 奥村 貴史
出版者
一般社団法人 人工知能学会
雑誌
人工知能学会全国大会論文集 第35回全国大会(2021)
巻号頁・発行日
pp.3H1GS3d02, 2021 (Released:2021-06-14)

新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の感染拡大防止に向けて,政府より「3つの密(三密)」「5つの場面」が提言されている.これらの標語・指標に基づいて,個別の行動事例のリスクを評価するためには,行動履歴情報,空間情報,およびそれらの知識の定義が必要となる.本研究では,感染症患者に対する聞き取り調査で得られる行動履歴情報を用いて,その行動における三密の度合いを推論可能なオントロジーを提案する.推論結果は,公衆衛生当局における追跡調査業務の省力化や,実データとの照合による,感染に結びつく行動の分析などに応用できると考えられる.本稿では,提案オントロジーの実運用に向けたシナリオの検討と課題を述べる.
著者
小川 潤 大向 一輝 Jun Ogawa Ikki Ohmukai
雑誌
人工知能学会研究会資料
巻号頁・発行日
vol.53, no.6, pp.06-01-06-10, 2021-03-15

ナレッジグラフの歴史学研究への応用は近年、プロソポグラフィ研究やバイオグラフィ研究を中心に進展している。しかしこれらの研究の多くは、すでに伝統的な手法によって為された二次的な研究成果を対象としたものであり、一次史料の内容そのものを記述するものでは必ずしもない。今後、歴史学研究におけるナレッジグラフ活用をさらに深いレベルで促進するためには、一次史料そのものの知識構造化を進める必要がある。こうした構造化に適用可能なオントロジーとしてはすでにFactoidモデルが提案されているが、このモデルは時間的コンテキストや曖昧性の表現に十分に対応しているとは言えず、曖昧性の大きい史料記述については課題が残る。そこで本研究はFactoidモデルを拡張し、出来事の前後関係に基づいて時間的コンテキストや曖昧性を表現可能なモデルを提案したうえで、曖昧性の大きい古代史史料を事例として実際に提案モデルを適用し、データ構築および検索性の検証を行った。
著者
大向 一輝 飯野 勝則 片岡 真 塩崎 亮 村上 遥
出版者
一般社団法人 情報科学技術協会
雑誌
情報の科学と技術 (ISSN:09133801)
巻号頁・発行日
vol.71, no.4, pp.152-158, 2021-04-01 (Released:2021-04-01)

学術情報流通はその性質上,複数の機関による連携を必要とするため,これを支える情報システムは,相互運用性を高めるべく策定された技術標準を参照して開発されている。また学術情報流通に関する業務は多岐に渡ることから,包括的な単一の標準ではなく,役割や機能に応じて関連するコミュニティが主導する形でさまざまな標準が作られてきた。本稿では,図書館の業務・サービスに関連する技術標準を,書誌情報,相互貸借と貸出管理,検索とデータ連携,利用統計とユーザ認証に分類して概説する。
著者
有元 よしの 岡本 真 大向 一輝
出版者
一般社団法人 人工知能学会
雑誌
人工知能学会全国大会論文集
巻号頁・発行日
vol.2011, pp.3A2OS11b9, 2011

<p>2008年7月から3ヶ月ごとに全国各地で開催しているARGカフェ&ARGフェストを題材に、業種、職種、専門といったバックグラウンドが異なる人々、特に未知の人物同士が多い人々の間のコミュニケーションを促進し、コラボレーションへの発展を促す仕組みを論じる。 特に今回はJSAI2010での発表「ライトニングトークとパブでの立食パーティーによるコラボレーション促進の試み」以降の経過をまとめる。</p>
著者
渡邉 要一郎 永崎 研宣 大向 一輝 下田 正弘
雑誌
研究報告人文科学とコンピュータ(CH) (ISSN:21888957)
巻号頁・発行日
vol.2020-CH-124, no.4, pp.1-4, 2020-08-29

上座部仏教の聖典言語であるパーリ語の文献研究は,Vipassana Research Institute によって制作された電子テキストとその検索システムであるChattha Sangayana CD(CSCD)によるデジタル化の波を大きく受けた.しかしこの CSCD が依拠している電子テキストは,ビルマ第六結集版という研究者が標準的に用いるテキストでないものにもとづいたものであった.一般に研究者が用いている標準テキストは Pali Text Society(PTS)によって出版されたものであり,パーリ語の単語や文の位置している頁・行数は PTS 版のそれに従って記述されるのが通例である.そこで筆者は,研究者のニーズを踏まえ,PTS 版の電子テキストを用いて PTS 版の頁・行番号が簡単にとれる検索システムを作成した.
著者
込山 悠介 林 正治 加藤 文彦 大向 一輝 山地 一禎
雑誌
研究報告セキュリティ心理学とトラスト(SPT) (ISSN:21888671)
巻号頁・発行日
vol.2019-SPT-35, no.18, pp.1-7, 2019-09-12

オープンサイエンス推進に向けての政策的な動きが,国際的に活発化している.公的研究資金を受けた研究成果としての論文は原則オープンアクセスとすることに加え,そのエビデンスとなる研究データについても積極的に公開することが,研究者やその所属機関に求められている.国際的な研究データ流通の観点からも標準化された研究データ基盤の整備は必要不可欠だが,研究者の着想から論文執筆に至る研究ライフサイクルを一貫して支援し,研究公正も実現する汎用的な研究データ基盤を,国内全土の学術機関から利用できるよう設計にし,さらに階層構造化された共通規格上で専門分野のIT基盤構築を支援するフレームワークは十分に成熟されていない.本研究では,研究者と所属機関が研究データを管理・共有し,さらに研究データを検索可能なように公開することで研究推進を支援するオープンサイエンスのための共通基盤(NII Research Data Cloud: NII RDC)を開発することを目的とした.NII RDCは,研究データのライフサイクルに沿って,研究データを管理・公開・検索するための三つの基盤から構成される.研究データの扱いに関する分野特異性を考慮し,管理と公開のための基盤は,拡張性と柔軟性を満足するアーキテクチャを採用した.研究促進のみならず,特に研究機関として必要とされている研究公正にも対応できる機能を有する.検索機能は,多角的な研究成果の再利用が促進されるように,分野融合型の大規模な学術知識情報をもつ基盤として構成した.システム的な側面に加え,本格的な運用に向けてのサービスの段階的な実証実験の結果についても報告する.なお,NII RDCのソフトウェアの最新版はGitHub上でオープンソースソフトウェアとして公開している(http://github.com/RCOSDP).
著者
大向 一輝
出版者
心理学評論刊行会
雑誌
心理学評論 (ISSN:03861058)
巻号頁・発行日
vol.61, no.1, pp.13-21, 2018 (Released:2019-07-11)
参考文献数
11
被引用文献数
4

In recent years, research data through advanced network environments and sensors has dramatically increased, and scientific research methods, called “fourth paradigm” and “data centric science,” have been attracting attention. From the viewpoint of research fraud prevention, the momentum of disclosing data on research results is increasing. These activities are widely called “open science.” To activate open science, it is necessary to promote daily data sharing inside and outside the research community. This paper introduces cases of open science on institutional and technical aspects, and discusses future prospects.
著者
大向一輝
雑誌
情報処理
巻号頁・発行日
vol.47, no.11, pp.1214-1221, 2006-11-15
著者
川村 隆浩 江上 周作 長野 伸一 大向 一輝 森田 武史 山本 泰智 古崎 晃司
出版者
一般社団法人 人工知能学会
雑誌
JSAI大会論文集
巻号頁・発行日
vol.2018, pp.1F101, 2018

<p>本論では,2018年に国内で初開催するナレッジグラフを対象とした推論チャレンジについて述べる.近年,深層学習をきっかけに人工知能(AI)技術への関心が高まっている.今後,AI技術は幅広く普及し,さまざまな社会システムに埋め込まれるようになるだろう.しかし,安全・安心に社会の中でAIを活用していくためには,AIによるシステムの動作を正しく解釈,検証し,品質を保証する技術が必要となる.そこで,本会セマンティクWebとオントロジー(SWO)研究会では,解釈可能性なAIに関する最先端技術の共有と研究開発の促進を図るため,推論に関するチャレンジを開催する.具体的には,広く知られたシャーロックの推理小説をナレッジグラフ化し,そこから犯人を推理(推論)する技術を広く一般から募集する.本チャレンジは2018年度人工知能学会全国大会開催当日より約半年間の日程でスタートする.是非,チャレンジへの参加をご検討されたい.</p>
著者
間瀬 哲也 大向 一輝 濱崎 雅弘 武田 英明
出版者
社団法人 人工知能学会
雑誌
人工知能学会全国大会論文集
巻号頁・発行日
vol.5, pp.32, 2005

本研究では,現在地に基づいた観光地情報を収集して,それらの情報をもとに行動案を作成するシステムを提案する.作成された行動案は,日記形式に整形した上でWeblogに表示し,実際の出来事のように見せる.本システムを用いることで,旅先での新たな行動方法の発見につながる.
著者
大向 一輝
出版者
一般社団法人 情報科学技術協会
雑誌
情報の科学と技術 (ISSN:09133801)
巻号頁・発行日
vol.65, no.12, pp.503-508, 2015-12-01 (Released:2017-04-13)

オープンデータは制度面ならびに技術面における再利用性が確保された情報公開の枠組みであり,学術情報流通分野でも国内外で積極的に取り組みが進められている。本稿では図書館による書誌・典拠の公開をはじめとして学術コミュニティ,デジタルアーカイブなどのオープンデータの事例を紹介する。また,既存のデータベースをオープン化する際に必要となるライセンシングに関して実例を通じて議論する。
著者
山口 昌樹 大向 一輝
出版者
一般社団法人 電気学会
雑誌
電気学会論文誌C(電子・情報・システム部門誌) (ISSN:03854221)
巻号頁・発行日
vol.137, no.2, pp.310-316, 2017-02-01 (Released:2017-02-01)
参考文献数
29

Modern society has seen a tremendous growth in the amount of digital data, however a database for human stress currently is not prevalent. Additionally, diagnostic criteria based on evidence, quantitative scales have not been fully established for stress. The purpose of this research is to provide visually presentation method of stress evidence paper in conjunction with web article in order to help people understand and overcome their stress. We propose a stress evidence search engine named “Kokoronoma” incorporated with i) a rate of evidence which express the relationship between the web article and the scientific paper, ii) human machine interface to show the rate of evidence visually. The fabricated stress evidence search engine was evaluated by the 10 young male users to compare with a multipurpose search engine as Google and Google Scholar. Three kinds of search problem as serotonin, mood disorder, and depression were used for the evaluation. As the results, Stress evidence paper and the rate of evidence were showed in conjunction with web article, automatically. The scores of subjective evaluation of the stress evidence search engine for visible observation images, intuitive awareness, and un-complicatedness showed higher than that of the multipurpose search engine. It was considered that the fabricated stress evidence search engine has an effective in reducing the stress of user.
著者
沼 晃介 大向 一輝 濱崎 雅弘 武田 英明
出版者
一般社団法人 人工知能学会
雑誌
人工知能学会全国大会論文集 第18回全国大会(2004)
巻号頁・発行日
pp.131, 2004 (Released:2006-02-11)

本発表では,Weblogにおける文書作成のための情報検索および提示システムについて述べる.関連文書の検索手法として自分を中心としたネットワークを利用するエゴセントリック情報検索を提案する.
著者
武田 英明 南 佳孝 加藤 文彦 大向 一輝 新井 紀子 神保 宇嗣 伊藤 元己 小林 悟志 川本 祥子
出版者
人工知能学会
雑誌
人工知能学会全国大会論文集 (ISSN:13479881)
巻号頁・発行日
vol.26, 2012

本発表では筆者らが現在進めている生物種に関連するデータをLinked OpenData化する試みについて紹介する。生物種の情報は生物多様性問題や環境問題において重要であるが、様々な分野に関わるため、相互にうまくリンクする仕組みが必要である。このためにはLinked OpenDataの方法が有効と考えて現在基盤システムを構築している。この構築にあっての課題や現状について説明を行う。
著者
濱崎 雅弘 的野 晃整 大向 一輝 Lynden Steven
出版者
国立研究開発法人産業技術総合研究所
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2015-04-01

本研究では,Linked Open Data(LOD)の利活用を阻害する最大の要因であるLOD検索の困難さに対して,クエリ共有が有効であることを明らかにするため,(課題1)クエリ生成の支援に有効な共有クエリ推薦技術の研究開発,(課題2)クエリ実行の高速化に有効なクエリキャッシュ技術の研究開発,の二つの研究を実施した.既存のSPARQLエンドポイントのアクセスログ解析,プロトタイプを用いたユーザ評価,さらにはRDF 問合せ最適化のための基礎技術の開発を行った.