- 著者
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大津 奈央
倉持 好
佐々木 淳
落合 謙爾
御領 政信
- 出版者
- 公益社団法人 日本獣医師会
- 雑誌
- 日本獣医師会雑誌 (ISSN:04466454)
- 巻号頁・発行日
- vol.70, no.6, pp.357-362, 2017-06-20 (Released:2017-07-20)
- 参考文献数
- 15
ブロイラーの浅胸筋変性症の発生要因及び病変形成プロセス解明のため,浅胸筋に肉眼的異常のある32日齢及び48〜50日齢のブロイラーの浅胸筋と深胸筋を病理学的に検索した.肉眼的に32日齢では浅胸筋は軽度の退色,筋線維の走行に一致する白色線条病変が観察され,組織学的には散在性の筋線維の硝子様変性,絮状変性,大小不同,マクロファージによる筋貪食像が認められた.48〜50日齢では,32日齢の病変より重度かつ広範で,肉眼的に浅胸筋の扁平化や,退色,水腫,白色線条病変が認められ,組織学的には筋線維の再生性変化や線維芽細胞の増殖を伴う膠原線維の増生が顕著であった.重症例では筋膜が肥厚し,膠原線維の増生及び血管新生が認められた.深胸筋ではどの日齢でも筋線維の硝子様変性がわずかに認められるのみであった.全症例で浅胸筋浅層の病変が最も重度で深部になるほど軽度であり,局所的な循環障害に起因することが示唆された.