著者
小林亮太 池内 淳
雑誌
研究報告ヒューマンコンピュータインタラクション(HCI)
巻号頁・発行日
vol.2012, no.29, pp.1-7, 2012
被引用文献数
2

本稿は,表示媒体と表示内容の相違が学習能率にもたらす影響を把握することを目的とする.36 名の被験者に対して,タブレット端末と紙媒体のそれぞれを用いて,文学的文章と説明的文章からなる 2 タイプの文章を読ませ,主観評価および読み速度,記憶テスト,理解テストの結果を比較した.その結果,第一に,主観的な読みやすさの面では,iPad はすでに紙と同等の性能を実現していることがわかった.iPad を支持する理由としては,文字表示の鮮明さやページめくりのしやすさが上位を占める一方,紙では読書時の疲労が少ないことや集中しやすさが上位となった.第二に,文字情報のみからなるコンテンツの場合,読み速度や逐語的記憶では,説明的文章において表示媒体による有意差が認められた.また,文章理解ではタブレット端末よりも紙媒体に優位性があることが明らかになった.The aim of this paper is to understand the learning effect by difference of display media and text contents. Thirty six subjects read two types of short texts that are literary text and descriptive one about scientific topic by using tablet computer (iPad) and paper. We compared subjective evaluation about each type of displays, reading speed per characters, score of memory test and comprehension test after reading texts. At first, the result of subjective impressions showed that iPad's readability has already achieved the equivalent to papers'. Subjects recognized that iPad was superior to paper in terms of display sharpness and easiness of turning pages. On the other hand, subjects felt less fatigue and higher concentration while reading texts on paper. Secondly, significant difference by ANOVA was observed between two types of media on reading speed and word memory test score only using descriptive text. Finally, it is concluded that paper is still higher usability media than tablet computer for understanding sentence.
著者
小林 亮太 池内 淳
雑誌
研究報告ヒューマンコンピュータインタラクション(HCI)
巻号頁・発行日
vol.2012-HCI-147, no.29, pp.1-7, 2012-03-14

本稿は,表示媒体と表示内容の相違が学習能率にもたらす影響を把握することを目的とする.36 名の被験者に対して,タブレット端末と紙媒体のそれぞれを用いて,文学的文章と説明的文章からなる 2 タイプの文章を読ませ,主観評価および読み速度,記憶テスト,理解テストの結果を比較した.その結果,第一に,主観的な読みやすさの面では,iPad はすでに紙と同等の性能を実現していることがわかった.iPad を支持する理由としては,文字表示の鮮明さやページめくりのしやすさが上位を占める一方,紙では読書時の疲労が少ないことや集中しやすさが上位となった.第二に,文字情報のみからなるコンテンツの場合,読み速度や逐語的記憶では,説明的文章において表示媒体による有意差が認められた.また,文章理解ではタブレット端末よりも紙媒体に優位性があることが明らかになった.
著者
大須賀 公一 石川 将人 青沼 仁志 李 聖林 小林 亮 佐倉 緑 杉本 靖博 石黒 章夫
出版者
大阪大学
雑誌
基盤研究(S)
巻号頁・発行日
2017-05-31

本研究の「要」は,昆虫の脳(中心体)に薬剤を注入することによって脳機能と下部神経系との情報のやり取りを遮断する「ゾンビ化」であるので,研究期間の前半は,1)昆虫のゾンビ化手法の確立,2)ゾンビ化昆虫のゾンビ化程度の検証法確立,に注力した.同時に,それらのゾンビ化手法が確立した後のために,3)昆虫の適応的運動能力の発現メカニズムの同定手法理論の検討,4)高度な脳機能を持たない運動制御原理の考察,を行なった.以下,進捗状況を説明する.1)昆虫のゾンビ化手法の確立:コオロギの脳内の薬剤投与部位をより厳密に制御するため,頭部の3Dマップに埋め込むための「コオロギ標準脳の作成を進めており,約60%程度進捗した.また,ゾンビ化システム」の構築を完了した.2)ゾンビ化昆虫のゾンビ化程度の検証法確立:「ゾンビコオロギ」はどのような振る舞いがみられるのかを確認するために,二種類の運動解析装置を試作中であり,70%程度完成した.さらに多様な環境を再現できるような球状トレッドミルシステムも開発した.また,頭部のないコオロギの振る舞いや,各部神経接続を外科的に切断したコオロギの振る舞いを確認している.3)昆虫の適応的運動能力の発現メカニズムの同定手法理論の検討:ゾンビコオロギが完成するまでの基礎研究として,一般の昆虫が示す適応能力の中でも特に,a)歩行速度への適応,b)脚切断への適応,c)環境への適応という三つの適応的な振る舞いに着目し,これら能力を発現しうる制御メカニズムのミニマルモデルの構築を目的とした研究を行った.4)高度な脳機能を用いない運動制御原理の考察:ゾンビ化された昆虫と同じく高度な脳機能をもたない脚機構が,環境/身体間および身体内の脚間で調和のとれた運動を生成する制御モデルを構築した.
著者
佐藤 達哉 望月 昭 滝野 功 松見 淳子 下山 晴彦 小林 亮 松原 洋子
出版者
立命館大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2004

平成19年度は最終年度にあたるため、これまでのまとめを行った。日本心理学会第71回大会においてワークショップ「欧米諸国における臨床心理学資格の実際とその歴史」(2007年9月18日)を開催し、その記録を『ヒューマンサービスリサーチ』NO 10「心理学の歴史に学ぶ」として刊行した。このワークショップは欧米における臨床心理学関連の資格について英仏独米の現地調査に基づいた結果をもとに議論したものであり、企画趣旨は以下の通りである。「資格は学問と社会をつなぐメディア(媒介)の一つである。日本の臨床心理学関連資格のあり方を相対化して考えるためには歴史研究と比較研究が必要である。このワークショップでは企画者が日本の臨床心理学史を簡単に紹介した後、欧米のいくつかの国を例にとって臨床心理学の資格の内容や成立の過程や訓練のカリキュラムについて検討していく。イギリスについて下山が、ドイツについて小林が、フランスについて滝野が、それぞれの国における現地調査をふまえて報告を行う。これらの報告を受け松見が、アメリカの資格の状況もふまえて、文化的視点に配慮し討論を行う。各国の歴史的文化的な背景が資格制度の成立にどのように影響しているのか、資格付与機関のあり方は社会によって異なっているのか、費用は誰が負担するのか、資格は社会に対してどのような機能を持っているのか、などについて差異と共通点を考えていく」。公刊した論文の執筆者とタイトルは下記の通り。小林亮「ドイツにおける心理療法士-資格制度とその活動状況」下山晴彦「イギリスの臨床心理学の歴史-日本との比較を通して」滝野功久「独自な主張をするフランス臨床心理学の歩み」松見淳子「欧米諸国における臨床心理学資格の実際とその歴史」。
著者
小林 亮 加賀 雅文 得田 英和 昌子 浩登
出版者
物性研究刊行会
雑誌
物性研究 (ISSN:07272997)
巻号頁・発行日
vol.85, no.4, pp.461-498, 2006-01-20

この論文は国立情報学研究所の電子図書館事業により電子化されました。
著者
小林 亮太 重松 潤 宮谷 真人 中尾 敬
出版者
日本感情心理学会
雑誌
感情心理学研究 (ISSN:18828817)
巻号頁・発行日
vol.27, no.2, pp.67-72, 2020-03-31 (Released:2020-03-31)
参考文献数
35

Previous studies have reported that cognitive reappraisal is related to decentering and mental health. However, there are two limitations in the current literature. First, it is unclear whether distraction facilitates decentering. Second, anxiety is the only index that has been used to assess mental health. Therefore, we examined whether cognitive reappraisal and distraction enhance decentering, which in turn improves mental health. Three hundred and eighty-seven university students answered questionnaires that assessed cognitive reappraisal, distraction, and decentering. Additionally, we measured depression, subjective happiness, and life satisfaction as mental health indicators. Our results confirmed that cognitive reappraisal and distraction influence mental health. In addition, decentering mediated the effect of cognitive reappraisal and distraction on mental health. These results suggest that distraction and cognitive reappraisal enhance decentering, which in turn, improves mental health.
著者
小林 亮太 本多 樹 町澤 まろ 市川 奈穂 中尾 敬
出版者
日本感情心理学会
雑誌
感情心理学研究 (ISSN:18828817)
巻号頁・発行日
vol.28, no.2, pp.38-48, 2021-03-25 (Released:2021-03-25)
参考文献数
39
被引用文献数
4

The present study aimed to develop and validate the Japanese version of the Body Perception Questionnaire-Body Awareness Very Short Form (BPQ-BAVSF-J). In Study 1, we conducted a cross-sectional survey of 358 crowdsourced participants and 296 university students. We conducted an exploratory factor analysis and then conducted a confirmatory factor analysis. The results of the factor analysis indicated that the BPQ-BAVSF-J has a unidimensional structure with sufficient reliability. Additionally, consistent with the original version, the BPQ-BAVSF-J had a positive correlation with somatosensory amplification and physical stress. Thus, it was shown that the BPQ-BAVSF-J has adequate validity. In Study 2, we conducted a cross-sectional survey of 305 and 295 crowdsourced participants and then compared the BPQ-BAVSF-J and the Japanese version of the Body Perception Questionnaire-Body Awareness Short Form (BPQ-BASF-J). The results of Study 2 showed that both the BPQ-BAVSF-J and the BPQ-BASF-J had the same level of correlation with the validity scale. These results suggest that the BPQ-BAVSF-J can measure interoceptive awareness as well as the BPQ-BASF-J, which has a larger number of items. In study 3, we conducted a two-wave survey with a one-month interval (N=68) and confirmed that the BPQ-BAVSF-J has sufficient test-retest reliability.
著者
今西 俊介 貝沼 修 鍋谷 圭宏 小林 亮介 知花 朝史 石毛 文隆
出版者
日本腹部救急医学会
雑誌
日本腹部救急医学会雑誌 (ISSN:13402242)
巻号頁・発行日
vol.37, no.1, pp.35-37, 2017

<p>症例は68歳,男性。突然発症した強い腹痛と嘔吐で救急搬送された。前日に餅を食べた食餌歴があり,CTでは腸閉塞像を呈し,小腸のhigh densityを呈する狭窄部より口側に複数のhigh densityな構造物が描出された。餅による食餌性腸閉塞(以下,餅腸閉塞)と診断し,絶食・輸液治療を開始した。症状は軽快し退院となった。食餌性腸閉塞は全腸閉塞の中でもまれな病態ではあるが,餅も原因となることが知られている。餅の主な構成成分であるでんぷんはアミラーゼにより分解されるアミロースが少なく,分解されにくいアミロペクチンが多く含まれる。このため餅は膨化性や付着性が高く,不十分な咀嚼などが原因で,腸閉塞の原因となり得る。また自験例のように餅腸閉塞のCTのhigh densityな所見は特徴的であり,食餌歴の聴取と合わせて診断に有用である。</p>
著者
小林 亮介
出版者
学習院大学
雑誌
東洋文化研究 (ISSN:13449850)
巻号頁・発行日
vol.13, pp.21-52, 2011-03

After the collapse of the Qing Empire in 1912, the Republican China asserted its authority over the whole of Tibet. The Dalai Lama government, in turn, also claimed independence and planned to unify Tibetan borderlands overlapping Chinese provinces. Therefore, Eastern Tibet, located between Tibet and China, inevitably became a central issue of this border dispute. Previously, many scholars have examined this dispute from the perspective of the historical process of the binary relationship between China and Tibet and from that of the history of the Chinese frontier policy. However, they have rarely focused on the indigenous Tibetan leaders who actually ruled Eastern Tibet. My paper examines the development of tripartite relationship between Qing Empire, Dalai lama government and indigenous leaders in Eastern Tibet, by clarifying the Kingdom of Derge(sDe dge), De ge Tusi(徳格土司), was committed to the Dalai Lama government and the Qing Empire during the late nineteenth and early twentieth centuries. To do this, I based on primary materials in English, Chinese and Tibetan。 This historical process of the Derge Kingdom shows us part of the radical change of Eastern Tibet from the intermediate region between China and Tibet to the front line that both governments planed to unify.
著者
今西 俊介 貝沼 修 鍋谷 圭宏 小林 亮介 知花 朝史 石毛 文隆
出版者
日本腹部救急医学会
雑誌
日本腹部救急医学会雑誌 (ISSN:13402242)
巻号頁・発行日
vol.37, no.1, pp.035-037, 2017-01-31 (Released:2017-04-03)
参考文献数
19

症例は68歳,男性。突然発症した強い腹痛と嘔吐で救急搬送された。前日に餅を食べた食餌歴があり,CTでは腸閉塞像を呈し,小腸のhigh densityを呈する狭窄部より口側に複数のhigh densityな構造物が描出された。餅による食餌性腸閉塞(以下,餅腸閉塞)と診断し,絶食・輸液治療を開始した。症状は軽快し退院となった。食餌性腸閉塞は全腸閉塞の中でもまれな病態ではあるが,餅も原因となることが知られている。餅の主な構成成分であるでんぷんはアミラーゼにより分解されるアミロースが少なく,分解されにくいアミロペクチンが多く含まれる。このため餅は膨化性や付着性が高く,不十分な咀嚼などが原因で,腸閉塞の原因となり得る。また自験例のように餅腸閉塞のCTのhigh densityな所見は特徴的であり,食餌歴の聴取と合わせて診断に有用である。
著者
中垣 俊之 小林 亮
出版者
北海道大学
雑誌
萌芽研究
巻号頁・発行日
2006

アメーバ生物である粘菌変形体は、何ら分化した器官を持たないので、環境のセンシング・判断・運動を体全体で渾然一体となって行う。感じる体、判断する体である。その体は高度に均質なサブシステムからなっている。したがって、均質な要素からなる系の集団運動から情報機能が創発するしくみを解明するにはまたとないモデル系である。この利点を最大限に活かして、粘菌の最適化アルゴリズムの抽出に取り組み、以下の成果を得た。1)小さい餌場所を数個程度あちこちに配置すると粘菌はネットワーク形態を成して全ての餌場所にありついた。このネットワークは、全長が短くなるような性質を有しており、時々、真に最短なルートしめした。これにヒントを得て、一般的なスタイナー問題(平面上に任意の個数の点が任意の場所にある場合、全ての点を結ぶ最短経路を求める問題)を解く計算法を考案し、パラメタサーチと性能評価をくりかえし、ソルバーを提案できた。2)都市間交通(道路や鉄道など)ネットワークの持つべき性質である、全長の最短性、任意の二つの餌場所間の連絡性、事故による管の断線に対する連結補償性に関して、これら三つの性質の重みを変えて自在に設計するような粘菌型計算法を提案できた。粘菌の計算能力はまだまだ底が知れないこともわかった。今後、この実験系をさらに利用することにより、新たな生物型計算法のヒントが得られるものと期待できる。そのような発展的糸口を与えることが、本萌芽研究により成し遂げられた。
著者
中垣 俊之 手老 篤史 小林 亮
出版者
物性研究刊行会
雑誌
物性研究 (ISSN:07272997)
巻号頁・発行日
vol.93, no.6, pp.911-934, 2010-03-05

この論文は国立情報学研究所の電子図書館事業により電子化されました。
著者
小林 亮
出版者
公益社団法人 計測自動制御学会
雑誌
計測と制御 (ISSN:04534662)
巻号頁・発行日
vol.54, no.4, pp.236-241, 2015-04-10 (Released:2015-05-26)
参考文献数
19
被引用文献数
1
著者
小林 亮 石黒 章夫
出版者
広島大学
雑誌
挑戦的萌芽研究
巻号頁・発行日
2013-04-01

生物界の2大勢力、脊椎動物(魚類以外)と節足動物が採用している移動手段である脚式ロコモーションについて、力学の視点および進化の視点から研究を行った。進化の過程で、一度脚を得たらその後は減っていく一方に見える。節足動物の中では例外的に高速で走行することができ、速度に応じて使用脚数を変えるスナガニに着目し、数理モデルを用いて解析することで、脚数減少の理由付けを与えた。同時に進化の過程における脚数の減少に対する一応の解釈を得た。また、動物の運動と制御を解析するための記述法として、ダイナミックフログラフというプラットフォームを提案した。
著者
古川 亮 増西 桂 古賀 章浩 川島 浩幸 小林 亮夫 籾内 正幸
出版者
一般社団法人 日本機械学会
雑誌
年次大会講演論文集
巻号頁・発行日
vol.2007, pp.317-318, 2007

For high-resolution retinal camera, we have developed an adaptive optics system using a membrane deformable mirror (DM) with electrostatic actuators. An aberration compensation algorithm is adopted in the system, which can generate appropriate control input by a linear combination of voltage templates prepared in advance, each of that forms a specific Zernike shape approximately. The nonlinear effect and strong coupling of control channels in continuous-surface DM make it difficult to form the desired mirror surface shapes. In this paper, we propose a computational method to obtain the voltage templates using genetic algorithm and grouping electrodes for reducing the number of independent voltage sources. The results show that the method can be used to obtain appropriate applied voltages for high-order Zernike shapes.