著者
坂本 稔 小林 謙一 尾嵜 大真 中村 俊夫
出版者
名古屋大学年代測定資料研究センター
雑誌
名古屋大学加速器質量分析計業績報告書
巻号頁・発行日
no.16, pp.91-94, 2005-03

第17回名古屋大学タンデトロン加速器質量分析計シンポジウム平成16(2004)年度報告 Proceedings of the 17th symposiumon Researches Using the Tandetron AMS System at Nagoya University in 2004\日時:平成17 (2005)年1月24日(月)、25日(火) 会場:名古屋大学シンポジオン Date:January 24th and 25th, 2005 Place:Nagoya University Symposion Hall
著者
小林 謙一 國木田 大 遠部 慎 下釜 和也
出版者
中央大学
雑誌
国際共同研究加速基金(国際共同研究強化(B))
巻号頁・発行日
2019-10-07

ユーラシア各地の旧石器時代の終わり・土器の始まりから土器の普及まで約10,000年間を対象とし、土器型式による相対年代と多様な測定法によってきた自然科学的年代を整理し、不足部分を新たに測定して、実年代の枠組みを完成させる。朝鮮半島、中国東北部、シベリア東部、中近東など、年代測定を集積して時期区分を相互に比較できるよう対比年代を明確にし、土器の広がりが伝播か多元発生かを明らかにする。実年代でのユーラシア先史文化の枠組みを完成させ、環境変動と文化史的変化と検討する。同時に、炭素14年代・酸素同位体と年輪・貝輪年代など年代測定法の多様な方法論の相互検証と補完を重ね、新たな年代決定の方法を構築する。
著者
小林 謙一
出版者
一般社団法人 日本考古学協会
雑誌
日本考古学 (ISSN:13408488)
巻号頁・発行日
vol.7, no.10, pp.1-24, 2000-10-04 (Released:2009-02-16)
参考文献数
59

縄紋土器,特に関東地方縄紋時代中期の土器は,その多彩な文様装飾によって知られている。その中でも,端正な五領ケ台II式,立体的で様々な装飾を華美に重ねる勝坂3式土器,画一化し次第に装飾要素を失っていく加曽利E式土器など,様々な顔を持っている。それらの特徴を捉え型式内容を解明する努力は,土器文化の時空間的整理や系統性を理解する上でも,またそれらの物質文化を生み出した縄紋人の精神性,土器製作の技術,装飾に対する認知を探る上でも,興味深い題材を与えてくれるものであり,現に多くの研究が重ねられてきた。本稿では,土器装飾の施文過程を,文様のレイアウトを中心に,模式図的に整理する。特に,割付の施文過程の規則性と実際の施文実行結果の正確さ,または予定された区画数や割付位置との違いとして現れる「ゆらぎ」を,区画数,割付角度,口縁・胴部の一致の度合いなどをみることで検討する。その結果,時期ごとに主流となる区画数,割付タイプが存在し,各土器文化における基準が存在することが確認される。同時に,各時期に基準から若干はずれるような割付の狂った土器も製作されている。五領ケ台式土器~勝坂2式土器は,口縁・胴部文様がともに4単位で構成され,比較的正確な割付がなされる割付タイプaが多い。勝坂3式から加曽利E1式土器は,変則的な割付タイプbなどがめだち,区画も2~6区画と多様で,3単位や5単位といった複雑な構成でも比較的正確に割付されるものがある。加曽利E3・4式土器の胴部文様は,ほぼ等間隔に成り行きに施文される割付タイプdが大半を占めるようになり,胴部文様は7~10以上の柱状区画が連ねられる構成となる。割付ポイントの角度や区画の長さを測定した結果から,五領ケ台式,勝坂式土器ではトンボ状器具や縄などを用いて等角度に割付を行おうとしている傾向が認められる。勝坂3式の縦位区画土器や抽象文を配する土器では,結果としてはダイナミックな文様構成をとっているが,施文前に等角度に割付のマークを付けているものが認められる。加曽利E3・4式土器の胴部文様は,指にょる人体スケールなどを用いつつ,等間隔に施文していく施文過程が復元される。土器割付の検討によって,縄紋土器の施文過程や土器生産システムの復元へとつながるであろう。
著者
春成 秀爾 小林 謙一 坂本 稔 今村 峯雄 尾嵜 大真 藤尾 慎一郎 西本 豊弘
出版者
国立歴史民俗博物館
雑誌
国立歴史民俗博物館研究報告 = Bulletin of the National Museum of Japanese History (ISSN:02867400)
巻号頁・発行日
vol.163, pp.133-176, 2011-03-31

奈良県桜井市箸墓古墳・東田大塚・矢塚・纏向石塚および纏向遺跡群・大福遺跡・上ノ庄遺跡で出土した木材・種実・土器付着物を対象に,加速器質量分析法による炭素14年代測定を行い,それらを年輪年代が判明している日本産樹木の炭素14年代にもとづいて較正して得た古墳出現期の年代について考察した結果について報告する。その目的は,最古古墳,弥生墳丘墓および集落跡ならびに併行する時期の出土試料の炭素14年代に基づいて,これらの遺跡の年代を調べ,統合することで弥生後期から古墳時代にかけての年代を推定することである。基本的には桜井市纏向遺跡群などの測定結果を,日本産樹木年輪の炭素14年代に基づいた較正曲線と照合することによって個々の試料の年代を推定したが,その際に出土状況からみた遺構との関係(纏向石塚・東田大塚・箸墓古墳の築造中,直後,後)による先後関係によって検討を行った。そして土器型式および古墳の築造過程の年代を推定した。その結果,古墳出現期の箸墓古墳が築造された直後の年代を西暦240~260年と判断した。
著者
小林 謙一 こばやし けんいち Kobayashi Kenichi 佐川 正敏 さがわ まさとし Sagawa Masatoshi
出版者
奈良国立文化財研究所
雑誌
奈良文化財研究所年報
巻号頁・発行日
no.1989, pp.51, 1990-03-13

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著者
工藤 雄一郎 小林 謙一 山本 直人 吉田 淳 中村 俊夫
出版者
日本第四紀学会
雑誌
第四紀研究 (ISSN:04182642)
巻号頁・発行日
vol.47, no.6, pp.409-423, 2008-12-01 (Released:2012-03-26)
参考文献数
48

石川県御経塚遺跡から出土した縄文時代後・晩期の土器付着物と漆の14C年代,炭素・窒素安定同位体比,C/N比の測定を行い,土器で煮炊きされた内容物と各土器型式の年代学的位置づけについて検討した.その結果,後期の内面付着炭化物は,動物資源を煮炊きしたものが炭化して残ったものと考えられ,このうちのいくつかは海洋リザーバー効果の影響を受けている可能性を指摘した.晩期の土器付着物の14C年代は,周辺地域の研究成果と対比しても整合的であった.そこで,晩期の土器付着物の14C年代をIntCal04で較正し,晩期中葉の中屋式,晩期後葉の下野式および長竹式の較正年代を提示した.晩期最終末の長竹式の年代は,北陸地域における環状木柱列の形成時期とも関係することが明らかとなり,これは縄文時代から弥生時代への移行期の問題を検討する上で,きわめて重要な成果である.
著者
江端 俊彰 小林 謙二 長内 宏之 川山 照雄 戸塚 守夫 早坂 滉
出版者
Japan Surgical Association
雑誌
日本臨床外科医学会雑誌 (ISSN:03869776)
巻号頁・発行日
vol.39, no.6, pp.948-952, 1978-11-01 (Released:2009-09-30)
参考文献数
13

1975年より1977年までの3年間で当科におけるエンドトキシン血症は34例で,良性疾患14例,悪性腫瘍20例であった.エンドトキシン血症を呈した8例と,エンドトキシン血症を示さなかった15例についてchemical mediatorのうち,血漿ヒスタミン,血漿セロトニン濃度について比較検討すると, Limulus test陽性例では血漿ヒスタミン,血漿セロトニン濃度ともLimulus test陰性例と比較し,有意な上昇を示した.また,実験的エンドトキシンショックにおいても, chemical mediatorのうち血漿ヒスタミン,血漿セロトニン,血中ブラディキニン濃度の上昇を確認している.エンドトキシンショックの病態生理については種々の意見があるが,エンドトキシンショック時にchemical mediatorが放出され,末梢循環不全より血液のpoolingが起きショックになると考えられている.したがって,エンドトキシンショック時にはchemical mediatorの放出が,エンドトキシンショックのtriggerとなることが示唆され,エンドトキシン血症とchemical mediatorの関係は重要なものと考えられた.
著者
遠部 慎 宮田 佳樹 小林 謙一 松崎 浩之 田嶋 正憲
出版者
国立歴史民俗博物館
雑誌
国立歴史民俗博物館研究報告 (ISSN:02867400)
巻号頁・発行日
vol.137, pp.339-364, 2007-03

岡山県岡山市(旧灘崎町)に所在する彦崎貝塚は,縄文時代早期から晩期まで各時期にわたる遺物が出土している。特に遺跡の西側に位置する9トレンチ,東側に位置する14トレンチは調査当初から重層的に遺物が出土し,重要な地点として注目を集めていた。彦崎貝塚では土器に付着した炭化物が極めて少ないが,多量の炭化材が発掘調査で回収されていた。そこで,炭化材を中心とする年代測定を実施し,炭化材と各層の遺物との対応関係を検討した。層の堆積過程については概ね整合的な結果を得たが,大きく年代値がはずれた試料が存在した。それらについての詳細な分析を行い,基礎情報の整理を行った。特に,異常値を示した試料については,再測定や樹種などの同定を行った。結果,異常値を示した試料の多くは,サンプリング時に問題がある場合が多いことが明らかになった。特に水洗サンプルに顕著で,混入の主な原因物質は現代のものと,上層の両者が考えられる。また,混入した微細なサンプルについても,樹種同定の結果,選別が可能と考えられた。これらの検討の結果,明らかな混入サンプルは,追試実験と,考古学的層位などから,除くことが出来た。また,9トレンチと14トレンチと2つのトレンチでは堆積速度に極端な差が存在するものの,相対的な層の推移は概ね彦崎Z1式層→彦崎Z2式層→中期層→彦崎K2式層→晩期ハイガイ層となることがわかった。今後,本遺跡でみられたコンタミネーションの出現率などに留意しつつ,年代測定試料を選別していく必要がある。そういった意味で本遺跡の事例は,サンプリングを考えるうえでの重要なモデルケースとなろう。Relics from all of the periods from Earliest Jomon through to Latest Jomon have been excavated from the Hikosaki shell midden situated in Okayama City (formerly Nadasaki-cho) in Okayama Prefecture. Multiple layers of relics were excavated at the start of the survey from trench 9 located on the western side of the site and trench 14 on the eastern side of the site, which drew attention to these locations as important spots. Although extremely few pieces of carbonized material adhering to pottery were found in the Hikosaki shell midden, large quantities of carbonized wood were recovered from excavation. We undertook dating mainly of the carbonized wood and investigated the corresponding relationships between the pieces of carbonized wood and relics from each of the layers. Although the results were largely consistent in terms of the sedimentation process of the layers, there were some samples whose dates deviated considerably. We made a detailed study of these samples and sorted basic information. We repeated measurements and identified the tree types of those samples that gave abnormal readings.The results revealed that for many of the samples that yielded abnormal values there were problems at the time of sampling. This was particularly pronounced for samples that were washed in water. It is conceivable that the substances that caused this contamination were both present-day substances and the top layer. Identification of the types of wood of very small contaminated samples also showed that screening is a possible cause of this contamination. As a result of such investigations, we were able to eliminate samples that were clearly contaminated from additional testing and the archaeological succession of strata. Although there was an extreme difference in the sedimentation rates for trench 9 and trench 14, we found that the pattern of relative layer development was mainly : Hikosaki Z 1-type layer -> Hikosaki Z 2-type layer -> Middle Jomon layer -> Hikosaki K 2-type layer -> Latest Jomon Haigai layer.In the future, it will be necessary to screen samples for dating while keeping in mind the contamination rates seen at this site. In this sense, the case of the Hikosaki site will become an important model with respect to sampling.
著者
白井 智美 影山 洋平 佐藤 拓也 柳楽 大気 相澤 有美 志賀 孝宏 田所 忠弘 鈴木 司 小林 謙一 山本 祐司
出版者
日本食生活学会
雑誌
日本食生活学会誌 (ISSN:13469770)
巻号頁・発行日
vol.27, no.1, pp.49-56, 2016 (Released:2016-07-28)
参考文献数
27

Numerous epidemiological surveys have shown that consuming coffee can prevent cancer development. Caffeine and chlorogenic acid are the most well known constituents which are included in coffee and prove to have an positive effect to prevent cancer. Although these constituents are known to directly act on anti cancer machineries, such as anti-oxidant effect. There are also studies showing that benefit of functional food is exhibited by metabolic changes. Therefore, we may anticipate that changing metabolic pathways may occur during coffee intake and further expect lowering the cancer risk. Thus, in this study, we analyzed the effect of administration of coffee to Eker rat which are a renal cancer and a metabolic syndrome model rat. By giving 1% coffee for 100 days, we found that renal cancer development was suppressed. We further analyzed the metabolic change by metabolomic analysis in liver and observed that the abnormal carbohydrate and ketone body production in Eker rats were restored by coffee consumption. We also confirmed that these effects were not due to the recovery of tumor suppression gene TSC2 expression. Thus, coffee may have a anti-cancer effect by changing the metabolic pathway and lower the risk factors which may lead to cancer development.
著者
工藤 雄一郎 小林 謙一 山本 直人 吉田 淳 中村 俊夫
出版者
名古屋大学
雑誌
名古屋大学加速器質量分析計業績報告書
巻号頁・発行日
vol.19, pp.79-84, 2008-03

第20回名古屋大学年代測定総合研究センターシンポジウム平成19(2007)年度報告<第2部> Proceedings of the 20th symposiumon on Chronological Studies at the Nagoya University Center for Chronological Researchin 2007 日時:平成20 (2008)年1月10日(木)~11日(金) 会場:名古屋大学野依記念学術交流館 Date:January10th-11th, 2008 Venue:Nagoya Uhiversity Noyori Conference Hall
著者
小林 謙一 坂本 稔 松崎 浩之 宮田 佳樹 坂本 稔 松崎 浩之 宮田 佳樹 遠部 慎
出版者
中央大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2007

縄紋時代の居住期間、特に竪穴住居の構築・使用・廃絶の時間経過を研究する目的で福島県井出上ノ原遺跡、神奈川県相模原市大日野原遺跡の縄文時代中期集落発掘調査を行い、データをとりながら年代測定用炭化種実・炭化材・土器付着物を採取し、年代測定を両遺跡あわせて約60測定行った。他に、日本先史時代の火災住居、重複住居や盛土遺構などの年代を測定し、縄紋集落の形成期間や形成過程を明らかにした。
著者
小林 謙一
出版者
中央大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2010

神奈川県大日野原遺跡の縄紋中期重複住居、および愛媛県上黒岩第2岩陰の縄紋早期岩陰居住を発掘調査し、年代測定をおこなった。山梨県堰口遺跡の火災住居構築材の準ウイグルマッチングなど縄紋中期を中心に測定し、先史時代集落の継続期間や住居の構築・作り替えの時間を検討した。住居作り替えが 10~15 年程度が平均的で数年間で作り替えた例も指摘でき、縄紋では住居構築時に木材はその都度に伐採した可能性や、廃絶後 10 年以内で埋没した例と 300 年以上窪地が残った例を確認した。多様な集落景観から、移住・定住を含め様々な居住形態が復元可能である。