著者
本塚 智 橋本 了哉 多賀谷 基博 小林 高臣
出版者
公益社団法人 高分子学会
雑誌
高分子論文集 (ISSN:03862186)
巻号頁・発行日
vol.70, no.6, pp.242-252, 2013-06-25 (Released:2013-06-25)
参考文献数
58
被引用文献数
4 7

炭素繊維を異種材料と接合化して,複合体を創製する技術が盛んに研究されている.しかし,炭素繊維の表面は疎水性であるため,親水性樹脂への分散性やセラミックスとの接合性が乏しい.高強度な複合体を創製するためには,接合界面を精密に設計し,接合性を向上させる必要がある.そのため,炭素繊維表面を改質・被覆する技術は,異種材料への分散化や複合化を改善・促進するため,重要なプロセス技術となりつつある.さらに,複合体の機能を向上させるためには,炭素繊維の表面技術だけでなく,界面接合技術が重要である.そこで,本報では,炭素繊維の表面改質および湿式法による無機高分子の被覆技術の特徴について紹介し,表面機能化について言及し,新しい複合材料としての応用の可能性について述べた.さらに,高分子樹脂と炭素繊維の界面接合技術を概説し,炭素繊維強化プラスチック創製における表面機能化の重要性について紹介した.
著者
矢田 充男 高橋 香 三木 祐 鵜飼 克明 小林 英嗣 小松 由佳 石田 さやか 平間 麻衣子 一戸 集平 渡辺 真衣 水吉 勝彦 澤田 真樹
出版者
一般社団法人 日本臨床薬理学会
雑誌
日本臨床薬理学会学術総会抄録集
巻号頁・発行日
vol.42, pp.2-P-O-6, 2021

<p>【はじめに】新型コロナウイルス感染症は、2019年12月以降、中国湖北省武漢市を中心に発生し、短期間で全世界に広がった。本邦において2021年2月14日に新型コロナウイルスワクチンとして販売名コミナティ筋注(以下「本剤」という)が特例承認となった。国立病院機構においては、投与初期における安全性確認を主たる目的としたコホート調査(以下「調査」という)を兼ね先行接種を行った。当院において、本剤先行接種に際し、医師、薬剤師、看護師、事務職員により構成された新型コロナウイルスワクチン検討チーム(以下「検討チーム」という)を立ち上げ、当院職員に対し本剤接種を安心・安全を第一に接種行うこととした。【目的】当院において2021年1月26日に検討チームの第1回目の打ち合わせを開始し、その後も随時打ち合わせを行いながらの対応となった。2月5日に本剤保管用のディープフリーザーの設置、2月12日より院内において本剤接種および調査の説明会を実施した。当院には2月18日に本剤が搬入となり、翌2月19日より接種を開始した。その後3月26日までの先行接種終了までの流れについて紹介する。【方法】当院職員を対象とした先行接種に1207名を対象に接種希望調査を実施し、1062名の職員が先行接種の希望をされ、うち2021年2月25日までに接種を受けた378名に調査にご協力いただくこととなった。ワクチン接種は院内大講堂を会場に行い、予診票等の事前確認、問診、接種、予診票等の回収という流れで行い、被接種者は接種後に大講堂若しくは職場等で観察を行い、一人で過ごすことがないような環境を整えた。【結果】本剤の接種にあたり、問診等は医師、本剤の管理・調製は薬剤師、接種は看護師、職員の接種スケジュール管理は事務、調査関係は治験管理室とそれぞれの役割を分担したことにより、接種を希望する全職員への接種は大きな問題はなく終えることができた。また調査における日誌の回収、データ入力についても関係各所に協力をいただきながら期限までに入力を終えることができた。しかしながら、各部署の担当者への負担が増加したところは否定できない状況であった。【考察】本剤先行接種に際し、各種情報が日々更新される中で、円滑に接種を終えることができたのは、医師、薬剤師、看護師、事務職員をはじめとした病院の全ての職員が一丸となり、一つのチームとして対応したことが一番の要因であると考える。</p>
著者
村中 厚哉 久保 恵子 畑野 光賞 内山 真伸 小林 長夫
出版者
基礎有機化学会(基礎有機化学連合討論会)
雑誌
基礎有機化学討論会要旨集(基礎有機化学連合討論会予稿集)
巻号頁・発行日
vol.18, pp.50-50, 2006

ツユクサの青色色素コンメリニンは、アントシアニン、フラボン、マグネシウムイオンからなる金属錯体超分子構造をとる。本研究ではコンメリニンの青色発現機構を調べるため、1)励起子理論、2)時間依存密度汎関数理論による吸収・円二色性(CD)スペクトルを計算した。計算にはコンメリニンのX線構造の座標を用い、アントシアニンダイマー、トリマー、ヘキサマーの各理論スペクトルを計算した。ヘキサマーの理論吸収・CDスペクトルの特徴は実測の吸収バンドの分裂とCDパターンを再現した。
著者
高石 詩織 福田 貴光 小林 長夫
出版者
基礎有機化学会(基礎有機化学連合討論会)
雑誌
基礎有機化学討論会要旨集(基礎有機化学連合討論会予稿集)
巻号頁・発行日
vol.2010, pp.1P63, 2011

フタロシアニン(Pc)は高い平面性を有する18π共役系の機能性色素分子であり、その二量体はPc間の励起子的・電子的な相互作用のため、構造や結合様式によって特有の性質を持つことが知られている。本研究では、ビフェニルユニットで連結したプロペラ型のPcダイマーを新たに合成し、その分光特性の解明を行った。目的のPcダイマーは、吸収および円偏光二色性(CD)スペクトルにおいて、Pcユニット間の励起子的な相互作用と、Pc平面間のねじれによる特異な光学活性を示した。本発表では、Pcダイマーの磁気円偏光二色性(MCD)スペクトル、理論計算についても議論する。
著者
高石 詩織 福田 貴光 小林 長夫
出版者
基礎有機化学会(基礎有機化学連合討論会)
雑誌
基礎有機化学討論会要旨集(基礎有機化学連合討論会予稿集)
巻号頁・発行日
vol.2009, pp.158-158, 2009

フタロシアニン(Pc)は平面π共役系の機能性色素分子であり、その二量体であるPcダイマーはモノマーとは異なる性質を有することが知られている。ビフェニル連結型のPcダイマーは、ビフェニルの二面角が固定され2つのPcがねじれた構造の非平面型ダイマーになると予想されることから、これまでのダイマーにない新たな物性の発現が期待される。本発表ではそのようなビフェニル連結型Pcダイマーの合成と分光学的性質について報告する。
著者
中野 博昭 大上 悟 西野 友朗 福島 久哲 小林 繁夫
出版者
The Mining and Materials Processing Institute of Japan
雑誌
Journal of MMIJ (ISSN:18816118)
巻号頁・発行日
vol.128, no.10_11, pp.590-595, 2012-09-25 (Released:2013-10-28)
参考文献数
15
被引用文献数
3 5

Electrodeposition of Cu was conducted in a synthetic electrorefining solution to investigate the effect of gelatin, thiourea and chloride ions on the polarization curve for Cu deposition, morphology, texture, surface roughness and the throwing power of the deposited Cu. In a solution containing both gelatin and chloride ions, the cathode potential for Cu deposition was significantly polarized at current densities above 200A/m2, while the thiourea depolarized the potential for Cu deposition at 200 to 1000A/m2. In a solution containing the three additives, i.e. gelatin, thiourea and chloride ions, the potential for Cu deposition was polarized at 500A/m2. It is supposed that the synergistic effect of gelatin and chloride ions on the polarization prevailed over the depolarization effect of thiourea. In the Cu deposited at initial stage, the chloride ions promoted the field-oriented texture with the orientation of direction. However, Cu deposited at initial stage from the solution containing gelatin, thiourea and chloride ions was composed of both the inclined texture type and the epitaxial growth type of crystals. The surface roughness and throwing power of the deposited Cu was most improved in the solution containing gelatin, thiourea and chloride ions, showing the synergistic effect of three additives. The thiourea had an effect on decreasing the surface roughness of the deposited Cu, and chloride ions improved the throwing power of Cu.
著者
堂園 昌伯 上坂 友洋 道正 新一郎 高木 基伸 小林 幹 松下 昌史 大田 晋輔 時枝 紘史 下浦 享
出版者
一般社団法人 日本物理学会
雑誌
日本物理学会講演概要集
巻号頁・発行日
vol.71, pp.291, 2016

<p>高分解能磁気スペクトロメータSHARAQにおいて、陽子-重イオン同時測定のための新しいイオン光学モードを開発した。これにより陽子過剰核領域の不変質量核分光が可能となり、元来SHARAQが得意としていた質量欠損核分光と組み合わせることで、核物理研究に新たな可能性をもたらす。講演では、新モードの概念・特性とともに、例として(^16^O,^16^F)反応の測定から得られた性能について報告する。</p>
著者
小林 秀典 山﨑 信行
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会論文誌コンピューティングシステム(ACS) (ISSN:18827829)
巻号頁・発行日
vol.46, no.16, pp.69-84, 2005-12-15
参考文献数
27

インプリサイス計算モデルに基づくインプリサイスタスクは,その実行に十分な時間が割り当てられない場合でも,デッドラインまでに品質の低い結果を生成することができる.しかし,インプリサイスタスクの実行は任意の時点で中断される可能性があるため,共有資源へアクセスすることができないという欠点がある.本論文では,資源の最大占有時間が既知である環境において,インプリサイスタスクが共有資源へアクセス可能なスケジューリングアルゴリズムを提案する.本アルゴリズムは,システムに存在するスラックのプロセッサバンド幅をオフラインで算出し,スケジュール可能性を判断する.オンラインでは,付加部分に割当て可能な時間を動的に算出することで,実際に要求された資源アクセスが完了できることを確認する.提案したアルゴリズムを実時間オペレーティングシステムRT-Frontier に実装し,実用性を評価する.また,資源制約を持つインプリサイスタスクを用いた検証実験を行うことで,実時間性を満たした資源アクセスが可能であることを示す.The imprecise tasks, based on the imprecise computation model, can produce lower quality of result even when there is not enough time. However, the imprecise tasks cannot share resources, because they allow termination at any point in their optional parts. This paper proposes a scheduling algorithm that enables the imprecise tasks to share resources in systems where the maximum access duration of every resource is known. The offline part of this algorithm calculates the processor bandwidth of slack and checks the schedulability of the given task set. The online part schedules tasks in deadline order and calculates the remaining time for optional parts in order to verify whether requested accesses can be completed. We implement this algorithm on the RT-Frontier operating system to assess its practicability. Moreover, we conduct experiments using imprecise tasks with resource constraints to confirm that resources can be accessed without causing any timing violation.
著者
中村 聡志 高崎 尚人 小林 亜樹
雑誌
第77回全国大会講演論文集
巻号頁・発行日
vol.2015, no.1, pp.655-656, 2015-03-17

Twitterのようなマイクロブログでは、さまざまなアカウントが自分自身の興味や嗜好に合わせてツイートを投稿している。これにより多くの投稿の中から自分が興味のあるツイートを投稿しているアカウントを見つけ出すのは難しい。しかし、その中でも同じ興味を持つアカウントはその興味対象に関するイベントが起きた時間に似たような投稿を行うことが多い。これにより既に分類されているクラスタの時系列での投稿内容より特徴を見つけだすことで未分類のアカウントの分類も行うことができると考える。本研究では、アカウント分類に必要なクラスタの特徴を社会的バースト性と定義し、分類済みクラスタのタイムラインでのバーストが起きた時間とバースト時の投稿内容より抽出する手法を提案する。
著者
成尾 英仁 小林 哲夫
出版者
日本第四紀学会
雑誌
第四紀研究 (ISSN:04182642)
巻号頁・発行日
vol.41, no.4, pp.287-299, 2002-08-01
参考文献数
37
被引用文献数
5 11

薩摩・大隅半島南半部と南方海域に位置する種子島・屋久島において,6.5ka BPに鬼界カルデラで発生したアカホヤ噴火に伴った地震の痕跡が多数見つかった.地震の痕跡は,薩摩・大隅半島南半部では砂や軽石・シルトが噴き出す噴砂脈であるが,種子島・屋久島では礫が噴き出した噴礫脈である.噴砂脈は薩摩半島中南部と大隅半島中部のシラス台地上に集中しており,シラス(入戸火砕流堆積物:A-Ito)の二次堆積物から発生するものが主体である.一方,噴礫脈は種子島・屋久島の海岸段丘面上に存在しており,礫に富む段丘堆積物から派生したものと,基盤をつくる熊毛層群の風化・破砕された礫から発生したものとがある.<br>これら噴砂・噴礫脈の発生時期であるが,種子島・屋久島地域での噴礫の発生は火砕流噴火の直前~同時期の1度だけであったが,薩摩・大隅半島南半部での噴砂は噴礫の発生と同時期だけでなく,鬼界アカホヤ火山灰(K-Ah)の降下中にも発生した.<br>すなわち,最初の巨大地震は,種子島・屋久島地域から薩摩・大隅半島南半部にわたる広い範囲で噴礫・噴砂を発生させたが,2度目の地震は数時間ほど後に発生し,震源はより北部に移動した可能性が大きい.
著者
中島 祥行 小林 稔
雑誌
研究報告ユビキタスコンピューティングシステム(UBI) (ISSN:21888698)
巻号頁・発行日
vol.2018-UBI-60, no.23, pp.1-6, 2018-11-27

レポートや論文執筆などの作業を行う際,私たちは作業に集中できていない非集中状態と作業に集中している集中状態の間の遷移を繰り返している.このような遷移のうち,非集中状態から集中状態への遷移は円滑に行うことが難しく,時間を消費してしまうことがある.この原因の一つとして作業者の作業に取り組むべき状態にいるという認識が弱いことがあると考える.本研究は,作業中に作業以外のことに消費している時間を可視化することで,作業に取り組むべき状態にいることを作業者に強く認識させ,非集中状態から集中状態への円滑な遷移を支援するシステムを提案する.
著者
平山 大作 小林 優希 吉田 雄大
出版者
一般社団法人 日本体育学会
雑誌
日本体育学会大会予稿集
巻号頁・発行日
vol.67, pp.274_2, 2016

<p> スキー・モーグル競技においては、ターン技術および2つのエアでのジャンプ技術が競技力に大きく影響する種目である。モーグルの得点は、ターン点60%、エア点20%、スピード点20%の割合で構成されている。エア点は、技の完成度を示すジャッジ点と技の難度(エア難度)の積によって算出される。本研究の目的は、国際大会における予選通過群と予選不通過群の得点を比較することによって予選通過者の特徴を明らかにすることとした。対象は、FISフリースタイルスキーワールドカップ2016秋田たざわ湖大会モーグル予選出場のモーグル男子および女子選手とした。予選通過群と予選不通過群の比較において、男子女子ともに、ターン点、第1エア点、第2エア点に有意な差が認められ、スピード点に有意な差は認められなかった。エア点において、男子は、第2エアジャッジ点、第2エア難度に有意な差が認められた。女子は、第1エアジャッジ点、第2エアジャッジ点に有意な差が認められた。これらから、今回の大会において、男子は第2エアで挑戦する技の難度に違いがあり、女子は第1エアおよび第2エアでの技の完成度に違いがあると考えられる。</p>
著者
小林 茂夫 細川 浩 前川 真吾
出版者
京都大学
雑誌
挑戦的萌芽研究
巻号頁・発行日
2009

ほ乳類や鳥類は,環境温が低下すると,ふるえによる産熱反応を起こして体温を保つ。一方,爬虫類,両生類,魚類は,環境温が低下しても産熱反射を生まず体温が下がる変温動物である。しかし,ふるえが系統発生上いつ生じたのかわかっていないここでは,低温でふるえ様の反応がサカナで生まれるとの仮説を立て,それを検証する実験をおこなった.受精後3日齢のゼブラフィッシュの稚魚を,28.5℃から12℃の水に移すと,尾ひれを律動的に振る相(ON相,約10Hz)と静止する相(OFF相)が,約3秒の周期で断続的に生じた(ON-OFF相)。しかし,サカナに前進運動は見られなかったので,その運動は産熱のための考えられる.ここでは,発砲スチロールで熱流を遮蔽した試験管に少量の12℃の水を入れ,その中に稚魚をいれ,ふるえで生じる水温の上昇を産熱の指標として測定した。一匹の稚魚を入れたときの温度上昇は,対照群の温度上昇と差はなかった。5匹の稚魚を入れると,水温は,対照群の上昇速度より高い速度で上昇した。10匹の稚魚を入れると,水温は,5匹の上昇速度のほぼ2倍の速度で上昇した。魚類の麻酔薬MS222で処理した5匹の稚魚を入れたとき,温度上昇は対照群と差はなかった。これらの結果は,尾びれのふるえ様の動きで熱が生まれたことを示す。間欠的な動きを生む発振器の場所を探るため,脳神経系のレベルで切断しふるえの変化を見た。後脳と脊髄の間を切断すると,間欠的な動きが連続的なものに変わった.これは,脳の発振器が,連続的なふるえを周期的に遮断していることを示す。