著者
小島 ひとみ 中塚 美帆 小林 和成
出版者
東海公衆衛生学会
雑誌
東海公衆衛生雑誌 (ISSN:2187736X)
巻号頁・発行日
vol.9, no.1, pp.77-83, 2021-07-03 (Released:2021-08-04)
参考文献数
13

目的 岐阜県における後期高齢者医療制度被保険者のぎふ・すこやか健診(以下,健診)の特徴,及び健診の有用性を明らかにする。方法 岐阜県後期高齢者医療広域連合において,平成27年から平成29年までの3年間に蓄積された健康診査の結果169,216件分をデータベースとした。受診回数による比較をするため,平成27年度の健診受診時点の年齢が75歳以上の者53,662人(男性21,689人,女性31,973人)を分析の対象とした。健診受診者の基本属性,受診回数別に身長,体重,血圧,脂質検査,血糖検査,肝機能検査,問診項目等との比較検討を行った。次に,各種疾病の有無を目的変数として,性別に年齢を調整変数,受診回数を説明変数としたロジスティック回帰分析にてオッズ比を算出し,健診の有用性を検討した。結果 健診受診回数が増える程,血液データの代表値は基準値に近い傾向にあり,服薬や疾病罹患は管理できていた。生活習慣病の有無に対する受診回数のオッズ比は,男性の75歳以上85歳未満においては0.918(95%CI:0.852-0.989,p=0.024),糖尿病の有病に対する健診の受診回数のオッズ比は男女の75歳以上85歳未満,85歳以上おいて0.889(95%CI:0.842-0.989,p<0.001),0.898(95%CI:0.818-0.985,p=0.023),0.863(95%CI:0.822-0.906,p<0.001),0.914(95%CI:0.851-0.983,p=0.015)であった。結論 後期高齢者の健診受診者の特徴は,健診の受診回数が多い者程,服薬や疾病罹患は管理できており,医療管理下にあっても継続的に健診を受けることの有用性が示された。
著者
小林 正博
出版者
Japanese Association of Indian and Buddhist Studies
雑誌
印度學佛教學研究 (ISSN:00194344)
巻号頁・発行日
vol.39, no.1, pp.380-378, 1990-12-20 (Released:2010-03-09)
被引用文献数
1
著者
今泉 直美 小林 斉 井上 由樹子 中村 泰介 庄司 育央 小林 一女 磯山 恵一
出版者
日本小児耳鼻咽喉科学会
雑誌
小児耳鼻咽喉科 (ISSN:09195858)
巻号頁・発行日
vol.38, no.1, pp.32-36, 2017 (Released:2017-05-29)
参考文献数
9

Numb chin syndromeを初発症状として認めた急性リンパ性白血病の1例を報告する。症例は14歳男児。右口唇から下顎の痛みと痺れ,知覚麻痺を自覚し徐々に増悪した。近医小児科クリニック受診し精査加療が必要と考えられ当院耳鼻科受診した。初診時右口唇から下顎の三叉神経第3枝領域に疼痛と痺れ,知覚障害を認め,さらに右口蓋扁桃の腫大を認めた。血液検査では汎血球減少や芽球は認めず,LDH 700 U/l, sIL–2 2510 U/mlと高値を認め,造血器腫瘍が疑われた。頸部造影CT検査では右口蓋扁桃の腫大を認めた。右口蓋扁桃の生検を施行し,リンパ球様細胞のびまん性増殖を認め,免疫染色ではCD20(+), LCA(+), CD79a(+), CD10(+)でありBurkittリンパ腫が疑われた。その後骨髄検査にて成熟B細胞性白血病と診断した。化学療法開始後,右口唇から下顎の痛みと痺れ,知覚障害は徐々に改善を認め消失した。Numb chin syndromeとはオトガイ神経の単麻痺によって生じる下口唇からオトガイ部の痺れや感覚鈍麻・脱失をきたす症候群である。原因疾患は悪性腫瘍,全身性疾患,歯科疾患に大別されるが,悪性腫瘍による圧迫や浸潤が原因となることが多い。本症例のように貧血や出血傾向,易感染性,口腔内症状といった急性白血病の症状が認められなくても,口唇や下顎の痺れを初発症状として悪性腫瘍が存在することを注意し原因検索を行うべきである。
著者
小薮 大輔 飛龍 志津子 小林 耕太 東山 大毅 福井 大
出版者
東京医科歯科大学
雑誌
国際共同研究加速基金(国際共同研究強化(B))
巻号頁・発行日
2018-10-09

本年度はこれまでベトナムで収集したコウモリ類の胎子標本を発生ステージ表を参照してステージの同定を行った。また収集した標本はPFA固定、カルノア固定、エタノール固定をそれぞれ行った。それらをマイクロCTによる三次元的非破壊撮影を行ったのち、パラフィン包埋標本・凍結標本を順次作成し、アセチレッテドチューブリンを用いた神経系の免疫組織化学染色、ヘマトキシリン・エオシンを用いた筋系・硬骨・軟骨の組織染色を行った。また、Ptch1, Ihh, Runx2, Sox9, Aggrecan 各遺伝子のRNAプローブの作成を進め、その合成に成功した。予察的にこれらのRNAプローブによるin situ ハイブリダイゼーション実験を開始したが、高品質の染色結果を得ることに成功した。新年度以降は本格的にこれらを用いてコウモリ類における舌骨発生に関連する遺伝子の発現パターンの把握を目指す。また、野外においてコウモリ類の超音波発生および聴取の行動を三次元動画記録、音声ソノグラム記録を行い、コウモリ類のエコーロケーション行動の把握につとめた。さらに、野外で捕獲したコウモリ類の成体に対し、脳幹上丘に刺激用双極電極を挿入して刺激に対する超音波発声および耳舌骨を含む外耳の動きを計測した。刺激部位に逆行性神経トレーサ・フロオロゴールドを注入し、刺激量および刺激部位を変量として、外耳の動き、発声タイミング、発声の音響特性が脳幹上丘内でどのように表象されているかの把握を進めた。また本年度はタイ・プーケットで行われたコウモリ類国際研究会議に参加し、本課題に大きく関連した研究発表を行うとともに、各国研究者と討議を行った。
著者
矢野 真理 小林 裕美
出版者
公益社団法人 日本看護科学学会
雑誌
日本看護科学会誌 (ISSN:02875330)
巻号頁・発行日
vol.41, pp.431-440, 2021 (Released:2021-11-20)
参考文献数
22

目的:本研究は,エンド・オブ・ライフケアにおける超高齢者の療養場所選択に対する意思決定支援を行うために,急性期病院の熟練看護師が超高齢者と家族の意思をどのようにくみ取り,意思決定支援を実践しているかについての構造を明らかにする.方法:研究参加者10名に半構造化面接を行い質的統合法(KJ法)にて分析した.結果:熟練看護師は,【超高齢者への理解の追求】と【家族への理解の追求】の両面から【療養場所決定の中にある本人の尊厳】を尊重していた.さらに,【超高齢者側から見た最適医療】のために超高齢者の価値観や体験の理解をし,【医療者側から見た最適医療】を見定める調整をして【病院医療依存の中にある本人の尊厳】を守り【希望療養場所の実現可能性支援】を行っている構造が明らかとなった.結論:熟練看護師は,超高齢者の尊厳の追求を中心に据え,超高齢者医療のあり方への挑戦を実践していることが示唆された.
著者
小林 未佳 柚本 玲 若月 宣行
出版者
一般社団法人 日本家政学会
雑誌
一般社団法人日本家政学会研究発表要旨集
巻号頁・発行日
vol.69, 2017

<b>目的</b> ホールガーメント編機によりニットワンピースを製作する場合、一般的には編目の増減により成型する。本研究では編目の増減をせずに、編目の大きさを変えることによって成型する、新しい製作方法の検討を行った。<b>方法</b> ホールガーメント横編機MACH2X(8G)およびデザインシステムSDS ONE APEX3(SHIMA SEIKI)により、糸2/48(毛100%)を用い平編みで製作した。編目の大きさは、編機の糸引込み量の設定項目である度目値により変更した。肩からワンピース裾までのよこ方向の編目数を同じにし、度目値設定の変更により編目の大きさを変えた。この変更により起こる寸法変化を利用してワンピースの成型を試みた。ワンピースを円筒に見立て、前身頃と後ろ身頃を同幅で編成した。<b>結果</b> 編成可能な度目値の範囲は度目値30~80であった。度目値10ごと(30、40、50、60、70、80)の1目あたりのたてよこの編目長さを測定し、度目値と編目長さの関係式を得た。肩からウエストまでの前後身頃幅は、仕上り肩幅の長さとし、本編機で編成するのに最適な度目値50で編成した。この場合に必要なよこの編目数を関係式から算出し、編目数136で編成した。裾に向かって幅が大きくなるようにウエストから度目値50から10ずつ80まで上げた。その結果、上半身は身体に沿い、ウエストから裾に向かって広がるフレアスカートワンピースを成型することができた。
著者
小林 努
出版者
一般社団法人 日本物理学会
雑誌
日本物理学会誌 (ISSN:00290181)
巻号頁・発行日
vol.73, no.4, pp.221-226, 2018-04-05 (Released:2019-02-05)
参考文献数
20

初期宇宙にインフレーションと呼ばれる加速膨張期があったとするシナリオは,現在最もメジャーで広く受け入れられているシナリオである.標準ビッグバン宇宙モデルにあった地平線問題や平坦性問題などの初期条件の微調整に関する問題を自然に解決する上に,宇宙マイクロ波背景放射の異方性や大規模構造の種となる原始密度揺らぎを生成することもできる.適切なモデルを選べば,予言される揺らぎのスペクトルは観測と整合的である.ほぼ完璧なシナリオにも思えるインフレーションであるが,初期特異点の問題など幾分conceptualな問題も抱えている.このような問題に動機付けられて,特異点のない代替シナリオとしてさまざまなものが提唱され研究されている.これら代替シナリオは,エネルギーの正値性に関する条件を破るような特殊なスカラー場などを用いて実現されており,そもそも解が摂動に対し明らかに不安定であるなど,かえって深刻な問題を露呈しているものが大半であった.一方,近年,拡張された重力理論の研究が深まる中で,エネルギー条件を破っているにも関わらず安定な宇宙論解が原理的には構築可能であることが判明し,既存のモデルにあった問題点を解決する望みのある,特異点のない新たな宇宙モデルも考案されている.しかしながら,きわめて広いクラスの重力理論で特異点のない宇宙はやはり不安定であることが示される.「ホルンデスキ理論」という拡張された重力理論が,特異点のないシナリオの近年の進展に大きな寄与をしている.ホルンデスキ理論とは,スカラー場と重力(計量テンソル)からなり,運動方程式が2階になる最も一般的な理論である.運動方程式が2階という条件により,高階微分項に起因するゴースト(オストログラドスキーゴースト)の問題を自明に回避することができている.インフレーションにしても特異点のない代替モデルにしても(あるいは現在の宇宙を加速膨張させているダークエネルギーのモデルにしても),基本的にスカラー場と重力で記述される系であり,ホルンデスキ理論はそのような宇宙論を包括的に研究する強力な枠組みを与えてくれる.線形摂動に対する安定性の条件にもとづく簡単な計算と考察から,ホルンデスキ理論のもとで(平坦な3次元空間をもつ)特異点のないすべての宇宙論解が不安定であることが明らかになった.今回示されたこの結果は,相互作用する複数のスカラー場を含む場合にも拡張することができる.複数のスカラー場と重力からなり運動方程式が2階になる最も一般的な理論(ホルンデスキ理論の複数スカラー場への拡張)は知られてはいないが,今回得られた結果により,特異点のない宇宙はかなり一般的に不安定であるといってよいであろう.運動方程式に高階微分項が現れることを許容しつつも,ゴーストの問題を回避するようにホルンデスキ理論を拡張する,という方向性の研究が,最近の重力理論研究のトレンドのひとつになっている.この方針のもとで新しく発見された理論の一部については,特異点のない安定な宇宙論解が実際に存在する.(平坦な3次元空間をもつ)特異点のない安定な宇宙論解を作るためには,このような手の込んだ方法に頼る必要がある.
著者
小林 孝資 浅川 陽一 高橋 泰樹 齊藤 進
出版者
一般社団法人 日本液晶学会
雑誌
日本液晶学会討論会講演予稿集 (ISSN:18803490)
巻号頁・発行日
vol.2008, pp.153, 2008

私たちの以前の論文において、液晶材料としてZLI-2293とUV硬化型モノマーとしてRMM-34が使われたベンド配向セルの立ち上がり、立ち下り共に過渡応答特性が高分子安定化によって低速化することを報告した。しかしながら、この報告書では高分子安定化によって液晶とUV硬化型モノマーであるZLI-4792とRMM-34をそれぞれ用いることで、立ち下がりの過渡応答時間が改善することができた。
著者
吉田 一平 平尾 一樹 野中 哲士 小林 隆司
出版者
一般社団法人 日本作業療法士協会
雑誌
作業療法 (ISSN:02894920)
巻号頁・発行日
vol.41, no.1, pp.13-20, 2022-02-15 (Released:2022-02-15)
参考文献数
40

作業療法にて満足や楽しみといった肯定的な心理状態を考慮した支援を行うことが必要と考えられ,そのような心理状態を捉えた概念として「フロー理論」が挙げられる.今回,フロー理論を応用した作業療法に関する実践報告に関して文献レビューを実施した.結果として6論文が抽出され,それぞれの研究において,介入目的とした認知機能,高次脳機能のほか,フロー体験,健康関連QOLや主観的QOLの改善を認めた.今後は,作業療法/リハビリテーションにおける有効なアプローチの1つとして示されるよう,さらなる実践・研究が課題として挙げられた.
著者
小林 真 増長 遥 新 浩一 西 正博
出版者
The Institute of Electronics, Information and Communication Engineers
雑誌
電子情報通信学会論文誌 B (ISSN:13444697)
巻号頁・発行日
vol.J104-B, no.6, pp.471-480, 2021-06-01

VHF帯周波数は広く放送などで用いられている.特に,災害時には重要な情報伝達手段の一つとして利用されていることから,ノイズの大きさ等の電波環境を把握することが重要である.本研究では,湿度(相対湿度)変化とVHF帯ノイズの増減の関係を明らかにするために,VHF帯ノイズと湿度を含む気象現象との関係を調査した.2015年から2019年までの観測結果から,湿度40%以下のときに,湿度の低下に従ってVHF帯ノイズが急激に上昇することが分かった.更に,VHF帯ノイズと湿度の関係を表す式を導出した.
著者
小林 駿 桑原 剛志 川上 萌 能登 文香 天野 雅男
出版者
日本セトロジー研究会
雑誌
日本セトロジー研究 (ISSN:18813445)
巻号頁・発行日
no.30, pp.1-5, 2020 (Released:2020-11-13)

オスのマッコウクジラ(Physeter macrocephalus)は,性成熟前に出自集団を離れてオスだけの群れを形成する.商業捕鯨期には独身オス群と呼ばれる密集したオスの群れについて度々報告がなされたが,近年の調査でオスは一日の大半の時間散開して採餌しており,密集した群れ(クラスター)は滅多に形成しないことが明らかになっている.2019年9月16日,北海道根室海峡にマッコウクジラの大群が来遊した.およそ1海里(1852m)の範囲内にいる約30頭が5分程度の潜水と浮上を繰り返しながら同調的に移動し,浮上時には様々なサイズのクラスターを形成した.この日確認された最大のクラスターは18頭で,根室海峡で調査を開始した2006年以降に目撃されたものの中で最大であった.この日観察した個体はいずれも体長10 m前後で,通常この海域で見られる個体よりも小さく,子連れの個体が見られなかったことから,性成熟前のワカオスだと考えられた.また船上からの観察中,この集団は一般的な水平移動速度よりも速い速度で移動し,メスの群れが捕食者に襲われた際にとるマーガレットフォーメーションに似た陣形を二度に渡って組んだ.今回のように大規模で密集したオスの群れやその行動についてはこれまでに観察例がなく,オスの社会構造を理解する上で重要な知見であると考えられる.
著者
小林 喜男
出版者
日本作物学会
雑誌
日本作物学会東海支部研究発表梗概
巻号頁・発行日
no.63, pp.1-4, 1972-03-31

1.圃場に栽培したホワイト・デント・コーンおよびイエロー・デント・コーンについて節数の多い個体群は下位節間の伸長量が少なく, 従って, 第6節, 第7節等下位節の地上高が低い傾向のある事が確かめられた。2.同一品種, 同一播種期で節数の多い個体群は節数の少ない個体群に比し, 第7節部或は第8節部等比較的高い節位からも発根伸長して吸収根にまで発達している個体の割合が多いことが示された。3.之等のことから, 任意の品種, 任意の播種期に於いて, 節数の多い個体群を多く作り出すことにより, 植物体は生育の後期まで, 順次発達する若い根群に支えられて増収が期待出来るものとの考え方を基礎とした新しい栽培技術の開発が提唱された。

1 0 0 0 OA 人工精神病

著者
小林 司
出版者
一般社団法人 日本臨床薬理学会
雑誌
臨床薬理 (ISSN:03881601)
巻号頁・発行日
vol.1, no.3-4, pp.213-218, 1970-12-30 (Released:2010-06-28)
参考文献数
8