著者
畠中 岳 伊藤 良 小林 靖奈 山元 俊憲
出版者
昭和大学薬学雑誌編集委員会
雑誌
昭和大学薬学雑誌 (ISSN:18847854)
巻号頁・発行日
vol.3, no.1, pp.85-90, 2012-07

東日本大震災の発生時は、電気・ガス・水道などのライフラインが寸断され、食料や医薬品などの物流も途絶えたため、孤立した地域が多く発生した。薬局業務では、ライフラインの復旧まで、被災を免れた医薬品を有効に活用する必要性に迫られた。また、長時間の停電のため、電子天秤による秤量が困難となった。さらに、飲料水の確保も困難で、限られた水量で調剤や服薬を維持しなければならなかった。被災者の中には、調剤や服薬における最低限の水量の確保、状態に応じた少量の散剤の秤量を必要とする患者がみられた。そのため、秤量が困難で、確保できる水量が限られた震災時には、服薬の継続ができなくなった患者の病状悪化が懸念された。本症例報告では、昨年の東日本大震災時、薬剤師の提案により、本来経管投与に利用される簡易懸濁法を経口投与で活用し、嚥下障害を有する患者に対して服薬援助が継続できたので報告する。(著者抄録)
著者
田中 莉沙子 重國 聖羅 松田 清香 小林 千尋 森 晃 平田 孝道
出版者
公益社団法人 日本生体医工学会
雑誌
生体医工学 (ISSN:1347443X)
巻号頁・発行日
vol.55, no.4, pp.380, 2017

<p>近年注目を集めているプラズマ医療は、多くがメカニズム不明のまま臨床応用されているのが現状である。そこで、本研究ではプラズマの創傷治癒促進作用に着目し、プラズマ照射による火傷部位の治癒メカニズム解明を目指す。先行研究では、大気圧プラズマは活性酸素種(ROS)を生成することや、軽度の酸化ストレスは細胞の増殖を促進することが報告されており、プラズマ照射が火傷の治癒を促すメカニズムには、酸化ストレスが大きく関与している可能性が示唆される。これらのことを踏まえ、本研究ではまず、ラットの背面に人為的に作製した火傷部位において、酸化ストレスマーカーであるスーパーオキシドディスムターゼ(SOD)活性を測定した。これにより、化学的に不安定で反応性が高いため生体内での測定が極めて困難であるROSを、半定量的に測定することが出来る。今回は、プラズマ照射時と未照射時それぞれについてSOD活性の違いを比較、検討した結果を中心に報告する。</p>
著者
福﨑 有希子 島 美倫 中井 里史 小宇佐 友香 浅木 麻衣子 小林 芳久 高橋 和清 國分 優孝 星 純也 坂元 宏成 後藤 有紗
出版者
公益社団法人 大気環境学会
雑誌
大気環境学会誌 (ISSN:13414178)
巻号頁・発行日
vol.55, no.2, pp.92-99, 2020

<p>関東地方南部における光化学反応に大きく寄与している芳香族炭化水素、アルケンの発生源地域を推定するため、東京湾岸地域で2時間ごとの揮発性有機化合物 (VOCs) 集中観測を実施した。得られたデータを用いて、芳香族炭化水素と1,3-ブタジエンについて16方位別に全調査対象VOCs合計濃度に対する濃度割合を算出した。その結果と化学物質排出移動量届出制度 (PRTR) データから算出した16方位別距離加重排出量の傾向がおおよそ一致することから、東京湾岸地域の大気中VOC濃度および濃度割合は周辺の発生源と風向の影響を大きく受けていることが示唆された。各調査地点で調査対象VOCsに対するアルケンの濃度割合が最も大きい風向は川崎市および市原市沿岸部の方向であり、PRTRデータから確認できる1,3-ブタジエンの排出地域の方角を示した。このため、PRTR対象外のエチレンやプロピレンなどの主要なアルケン成分についても同地域から排出されていることが示唆された。</p>
著者
吉枝 春樹 小林 渉 岩倉 成志
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
土木学会論文集D3(土木計画学) (ISSN:21856540)
巻号頁・発行日
vol.76, no.2, pp.43-62, 2020 (Released:2020-04-20)
参考文献数
25

東京圏の都市鉄道は莫大な乗降者数による停車時間の伸長が,混雑率緩和のための運行頻度増のネックとなっている.これを極めてシンプルな着想で解決する.それは,現在の信号システムに比べ,列車間隔をより短く制御できる移動閉そくシステムで運行頻度を増やして,列車毎の乗降者数を減じ,停車時間を縮減して,大幅に混雑率を低減させるというものである. このため,2つのアプローチをおこなった.まず,運転理論に基づく分析で,最小運転間隔90秒の可能性を示す.次に,停車時間を規定する乗降行動と列車挙動のエージェントシミュレーションモデルを構築する.これを用いて停車時間と運行間隔の縮減を分析し,検討路線では移動閉そくと主要駅の改良により95秒間隔で運転でき,大規模な線増投資を行わずに,混雑率150%まで緩和できることを示した.
著者
鈴木 万幾子 内山 剛 高橋 均 伊藤 充子 清水 貴子 小林 寛 大橋 寿彦
出版者
日本神経学会
雑誌
臨床神経学 (ISSN:0009918X)
巻号頁・発行日
vol.49, no.9, pp.586-589, 2009 (Released:2009-11-13)
参考文献数
7
被引用文献数
3 1

症例は57歳男性.全般性痙攣で発症し,左前頭葉に病変をみとめ,脳生検では反応性astrocyteの増生と血管周囲性のT細胞優位のリンパ球浸潤がめだった.病変は自然消退し,18カ月後に左小脳脚の病変を再発したが,ふたたび自然消退した.初発から2年後に脳梁に再発し,当初は多発性硬化症をうたがったが,ぶどう膜炎を合併,ステロイド抵抗性であり,再生検でびまん性大細胞型B細胞性リンパ腫と診断した.自然軽快する症候性病変をくりかえした中枢神経系悪性リンパ腫の1例について,2回の脳生検病理と臨床経過を報告した.
著者
鳥潟 博高 小林 喜男 菅沼 広美
出版者
園藝學會
雑誌
園芸学会雑誌 (ISSN:00137626)
巻号頁・発行日
vol.57, no.2, pp.145-151, 1988
被引用文献数
3 1

愛知県郷東町名古屋大学附属農場 (北緯35°, 年平均気温14.7°) で, ペカン5品種サクセスネ (Succes), ネリス (Nelies), シュライ (Schley), スチュアート(Stuart), カーチス (Curtis) を栽培し, 開花, 結実を調査し下の結果を得た.<br>1) 1ペカンの雄花は2年生枝に直接腋生し, 雌花は, 今年生新梢に頂生することを示した.上記5品種の毎年の開花期は5月下旬~6月上旬であり, 成熟期は11月であって, 雌果の成熟には154~182日を要し, 同地の無霜期間中に成熟することを明らかにした.<br>2) 開花調査の結果, サクセスは毎年開花が早く雌雄同熟か雄花先熟であった. ネリス, シュライ, スチュアート, カーチスの4品種は開花がやや遅く, 雌雄同熟か雌花先熟であった. 受粉, 結実調査の結果サクセス, スチュアート及びネリスは自家結実性のあることを示したが自然状態で充分な受粉が行なわれるか疑問であった.<br>また, 日本の山野には <i>Carya</i> 属植物がないので, 主要品種の雌花の recipient stage に花粉の shedding が行なわれる様な受粉樹の植栽がなければ結実が望めないことを指摘した.<br>3) 3ペカン5品種の100粒重はネリスが最も重く約600g, 次いでサクセス, シュライ, スチュアートで580~595g, ヵーチスは290gで最も軽量であった. 可食部率はネリス39%で最も小さく, シュライ55%で最も大きかった.
著者
荻 和弘 小林 淳一 竹田 康佑 井手 隆 宮崎 晃亘 平塚 博義
出版者
社団法人 日本口腔外科学会
雑誌
日本口腔外科学会雑誌 (ISSN:00215163)
巻号頁・発行日
vol.61, no.3, pp.173-176, 2015
被引用文献数
2

Carcinoma ex pleomorphic adenoma mainly occurs in the major salivary gland, and a tissue type of myoepithelial carcinoma is extremely rare in the minor salivary gland.<br>We report a case of myoepithelial carcinoma ex pleomorphic adenoma of the hard palate in a 65-year-old man. At presentation, a tumor measuring 23 × 16 mm, which had a painless elastic hard, smooth surface and clear border, was found in the right side of the hard palate. Computed tomographic scanning and magnetic resonance imaging indicated the suspicion of malignancy. Histological examination suggested a myoepithelial carcinoma. A partial maxillectomy combined with a supraomohyoid neck dissection was performed. The histological diagnosis of the resected specimen was a myoepithelial carcinoma ex pleomorphic adenoma. There has been no sign of recurrence as of 2 years postoperatively.
著者
和田 由紀子 小林 祐子
出版者
新潟青陵大学
雑誌
新潟青陵大学紀要 (ISSN:13461737)
巻号頁・発行日
no.5, pp.67-75, 2005
被引用文献数
1

本研究では,バーンアウト(燃え尽き症候群)と対人関係の感情的側面がどのように関連するのか明らかにするために,全国の緩和ケア病棟に勤務する看護師を対象に質問紙による調査を行った.使用した尺度は日本語版バーンアウト尺度、情動的共感性尺度、他者意識尺度である.この3尺度の全尺度得点・下位尺度得点の相関関係、及びバーンアウト全尺度得点の高低15%の対象について分析・検討したところ、全体としてバーンアウト尺度の「情緒的消耗感」と他の2つの尺度間に関連がみられないこと、高バーンアウト群は低バーンアウト群に比べ感情的な影響の受けやすさがあり、他者の外面やイメージを意識しやすいということが示唆された.
著者
錦見 俊徳 小林 弘明 山田 浩史 石田 亮 山内 裕士 服部 恭介 浅野 彰之
出版者
日本泌尿器内視鏡学会
雑誌
Japanese Journal of Endourology (ISSN:21861889)
巻号頁・発行日
vol.32, no.1, pp.120-124, 2019 (Released:2019-07-27)
参考文献数
7

【目的】ロボット支援下前立腺全摘術 (RARP) は本邦でも広く行われている. 近年では泌尿器科専門医取得前であっても一定の条件下であればRARPを施行することが可能となり, RARPで初めて前立腺全摘術を経験する術者も増えている. 初心者の場合, 膀胱頸部離断の際に前立腺に切り込んだり, 膀胱を大きく開放することがあり, また精嚢剥離の際には精嚢の同定が困難で間違った方向へ剥離を進めると直腸損傷のリスクもある. 初心者にとって比較的難しいとされる膀胱頸部離断および精嚢剥離時に術中ロボット用エコーが有用であったので報告する. 【方法】膀胱頸部離断, 精嚢剥離の操作前に術中エコー (術中用リニア探触子) を使用して部位確認を行う. 【結果】膀胱頸部離断ではエコーで尿道カテーテルや前立腺を確認し, 離断部位の同定が可能であった. 精嚢剥離の場面でもエコーで精嚢の位置を確認することで安全に剥離が可能であった. 【結論】RARP初心者にとってしばしば難関とされる膀胱頸部離断, 精嚢剥離の場面で術中ロボット用エコーの使用は有用であると考えられた. 初心者はもちろんのこと, 比較的慣れた術者であっても前立腺が膀胱に突出した症例や精嚢および精管膨大部が見つかりにくい症例において効果的であると考えられる.

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著者
小林一郎 著
出版者
平凡社
巻号頁・発行日
vol.第13巻 荀子上, 1940
著者
有田 和徳 魚住 徹 大庭 信二 中原 章徳 大谷 美奈子 三上 貴司 小林 益樹
出版者
一般社団法人 日本救急医学会
雑誌
日本救急医学会雑誌 (ISSN:0915924X)
巻号頁・発行日
vol.5, no.2, pp.192-196, 1994

Case 1: A 46-year-old female was admitted with sudden onset of coma. CT scan revealed brain stem and bilateral thalamic infarction. On day 3, all brain stem function was absent, while an EEG showed slow-wave activity in the frontal area. Transcranial Doppler sonography demonstrated antegrade flow in the bilateral middle cerebral arteries. Cardiac arrest occurred on day 5. Case 2: A 59-year-old male was admitted in a comatose state. A CT scan revealed a large cerebellar hematoma. Removal of the hematoma and drainage of lateral ventricle were performed, but the patient never regained brain stem function. On days 13 and 14, his condition satisfied the criteria for brain death proposed by the Japanese Ministry of Health and Welfare, except for the persistent EEG activity. Cerebral blood flow studies showed adequate blood flow in both supra and infra-tentorial regions. EEG activity was also observed on day 19. The patient experienced cardiac arrest on day 30. A state of isolated brain stem death, cessation of brain stem function accompanied by persistent EEG activity, may result from a severe cerebrovascular accident in the posterior cranial fossa. This state is usually transient, leading to total brain death, but it may continue for several days when lateral ventricular drainage is performed.
著者
宇留間 悠香 小林 頼太 西嶋 翔太 宮下 直
出版者
一般社団法人 日本生態学会
雑誌
保全生態学研究 (ISSN:13424327)
巻号頁・発行日
vol.17, no.2, pp.155-164, 2012-11-30 (Released:2017-10-01)
参考文献数
19
被引用文献数
8

近年、草地性や湿地性の生物の代替生息地である農地の生物多様性が著しく減少しており、農地生態系の再生を目的とした環境保全型農業が普及し始めている。本研究では、新潟県佐渡市で行われているトキの個体群の復元を目的とした環境保全型農業のうち、冬期湛水および「江」の設置が、繁殖のため水田を利用することのある両生類3種(ヤマアカガエル、クロサンショウウオ、ツチガエルの一種)の個体数や出現確率に与える影響を探った。佐渡市東部の20箇所の水田群(計159枚の水田)において各種両生類の個体数を調べ、一般化線形モデル(または一般化線形混合モデル)と赤池情報量基準(AIC)を用いて、水田と水田群の2階層における個体数を説明する統計モデルを探索した。その結果、ヤマアカガエルとツチガエルの一種において、冬期湛水もしくは江の設置が強い正の影響を与えることが明らかになった。ヤマアカガエルでは、水田と水田群レベルで異なる農法が正の効果を示した。これは、個体群レベルの応答を評価するためには適切な空間スケールを定める必要があることを示唆している。景観要因としては、ヤマアカガエルとクロサンショウウオで水田周辺に適度な森林率が必要であるが、その空間スケールは大きく異なること、またツチガエルの一種では景観の影響を受けないことが明らかになった。この結果は、日本の里山のように景観の異質性が高い環境では、環境保全型農業の影響評価の際に、一律の指標種を用いるのではなく、局所的な生息地ポテンシャルにもとづいて評価対象種を選定する必要があることを示唆している。
著者
小林 哲則 関根 英敏
出版者
一般社団法人 日本音響学会
雑誌
日本音響学会誌 (ISSN:03694232)
巻号頁・発行日
vol.47, no.8, pp.539-544, 1991-08-01 (Released:2017-06-02)
被引用文献数
1

実音声における基本周期の揺らぎの統計的性質について調べると共に、規則合成のための揺らぎを考慮した基本周期生成モデルについて検討した。実音声の分析の結果、基本周期の揺らぎの系列相関は、35〜70次を周期とする減衰波状の概形を示すことが明らかになった。次にこの性質を考慮しながら種々の揺らぎを有する基本周期生成モデルを構成し、揺らぎの性質と合成音声の自然性との関係について検討した。聴取実験の結果、ARフィルタを用いて実音声における揺らぎの系列相関を合成音に与えるよう構成したモデルの性能が良いことが分かった。この揺らぎを有する基本周期生成モデルによる合成音声の自然性は実音声の揺らぎを用いた合成音声と同程度であることが示された。
著者
宮澤 佳之 林 優美 小林 尚貴 七五三木 史拓 藤井 一弥 笠原 詩織 榊原 清
出版者
公益社団法人 日本理学療法士協会
雑誌
理学療法学Supplement
巻号頁・発行日
vol.46, pp.C-121_1-C-121_1, 2019

<p>【はじめに、目的】</p><p>群馬県理学療法士協会(以下,県協会)広報部では、平成26年度より毎年7月の理学療法週間に合わせて、介護予防や理学療法の啓発を目的として理学療法フェスタを開催している。今回、平成29年度の"第4回理学療法フェスタinぐんま"の実施内容と来場者へ実施したアンケートの結果について報告する。</p><p>【方法】</p><p>平成29年7月16日(日)前橋市の前橋プラザ元気21にて、テーマを「理学療法×健康×栄養」として開催し、来場者へ無記名式のアンケートを配布した。理学療法フェスタについての県内への事前告知として、高校、市町村保健師、マスコミ、県協会会員非所属施設、県協会会員へ告知チラシと広報資料の送付を行った。またマスコミの協力にて新聞に告知を掲載、さらに会場へのポスター掲示を行った。内容は、ご当地体操である「ピンシャン!元気体操」・「ひらめきタオル体操」、「シルバーリハビリ体操」の講座と実演、「栄養補給で筋肉痛と熱中症を予防しよう!」と題した栄養に関する講座、重心動揺・体組成測定、栄養ブースでの栄養補助食品の紹介・配布、日本理学療法士協会の動画放映を実施した。来場者へはオリジナルグッズと広報資料の配布を行った。運営スタッフは広報部員7名とボランティア12名であった。</p><p>【結果】</p><p>来場者は70名でアンケート回答者数は39名(男性15名、女性24名)であった。来場者の年代は50代が最も多く(23.1%)、次いで60代(20.5%)、20代(17.9%)、10代(12.8%)、40代と70代以上(10.3%)となった。来場者の職種は医療・介護職が最も多く28.9%、次いで主婦(15.8%)であった。「理学療法にとても興味を持った」または「興味を持った」と回答した来場者は97.4%であった。印象に残った企画は、身体測定で51.3%であり、体操や栄養講座でいずれも30%以上の方が印象に残ったと回答したが、栄養ブースは12.8%となり低値となった。その他意見として「日常生活でできる簡単な運動を教えてほしい」、「また参加したいといった」といった回答が得られた。</p><p>【結論】</p><p>来場者数は過去最高の人数となった。アンケートの結果から、幅広い年代の来場が得られ、理学療法に関心を持った方が多数であったことがわかった。企画内容として、体操などの講座や身体測定などの体験企画に興味を持つ方が多く、今後も体験型企画を多く実施することで、運動に対する意欲が向上し健康増進や理学療法に関心をもってもらうことができると考える。職種としては医療専門職の来場が多く、一般の方の参加が少なかったことから、さらに広くの事前告知を検討する必要があると考えられる。今回、来場者は70名と少なく、今後、同時期に同じ場所で企画を継続して実施し毎年のイベントとして定着することで、さらに来場者の増加が図ることができ、健康増進への意欲や関心の向上につながると考える。</p><p>【倫理的配慮,説明と同意】</p><p>本アンケート調査の実施にあたり、アンケート調査用紙内へ集計結果を学会発表に使用する旨を記載した。</p>
著者
小林 麻子 清水 豊弘 冨田 桂 林 猛 田野井 真 町田 芳恵 中岡 史裕 酒井 究 渡辺 和夫 両角 悠作
出版者
日本育種学会
雑誌
育種学研究 (ISSN:13447629)
巻号頁・発行日
vol.20, no.2, pp.138-143, 2018
被引用文献数
4

福井県内の生産者や流通業者から高く売れる米への要望が高まっていた。さらに,地球規模での気候変動の影響で,福井県でも高温登熟による玄米外観品質の低下が懸念されていた。寒冷地南部における「コシヒカリ」の高湿登熟耐性は"やや弱"とされており,高温登熟下でも玄米外観品質が安定して良好な品種が求められていた。以上のような状況を背景として,育成地では,福井県の新たなブランド米となりうる良食味で高温登熟耐性に優れる「ポストこしひかり」品種の開発を行ってきた。
著者
小西 一之 堂地 修 岡田 真人 宮沢 彰 橋谷田 豊 後藤 裕司 小林 修司 今井 敬
出版者
公益社団法人 日本畜産学会
雑誌
日本畜産學會報 = The Japanese journal of zootechnical science (ISSN:1346907X)
巻号頁・発行日
vol.68, no.11, pp.1075-1084, 1997-11-25
参考文献数
26
被引用文献数
4

持続性黄体ホルモン製剤であるCIDR-B(以下CIDR)を用いて発情周期を制御したウシのFSHによる過剰排卵処理について,Estradiol-17&beta; Valerate (EV)を投与したときの効果を黒毛和種未経産牛を用いて調べるとともに,短期間に実施した連続過剰排卵処理の影響を調べた.黒毛秘種未経産牛16頭を試験牛とし,無作為にEV投与区とEV非投与区(対照区)に分けた.試験牛には発情周期にかかわらずCIDRを膣内に装着し,その翌日にEV投与区にはゴマ油2mlに溶解したEV 5mgを,対照区にはゴマ油2mlを頸部筋肉内に注射した.これらの投与後5日目から過剰排卵処理を開始した.FSH計20AUを3日間の漸減法により筋肉内注射し,FSH投与開始後3日目にCIDRを除去するとともにクロプロステノール750&mu;gを筋肉内注射することにより発情を誘起した.人工授精を約12時間間隔で20行い,発情開始後7日目に非外科的に胚の回収を行った.以上の処理を1クールとし,EV投与区と対照区を交互に反転しながら4クール行った.採胚間隔は28日とした.なお,第3および第4クールは16頭のうち12頭で行った.第1および第2クールでは超音波断層装置によりCIDRの装着から除去まで1日おきに卵巣の動態を観察した.第4クールまでの12頭の過剰排卵処理成績について,EV投与と処理回数の2元配置により分散分析を待った.EV投与により回収卵数は有意に増加した(P<0.05).処理回数の影響はま黄体数でのみ有意であった(P<0.05).また,第1と第2クール分,第2と第3クール分,第3と第4クール分の連続する2クール分の成績をまとめた結果,いずれの場合も対照区の回収卵数が10あるいは8個未満のウシでは,反転させたEV投与区では採胚成績は有意に改善された.しかし,対照区の回収卵数が10あるいは8個以上のウシでは反転させたEV投与区での成績は対照区と差は認められなかった.第1および第2クールの卵巣の追跡では,過剰排卵処理開始時において,対照区に比べ,反転させたEV投与区の大卵胞(径82nm以上)数は有意に少なかった.以上より,CIDRを用いた過剰排卵処理ではEVを併用投与することにより,卵巣中の大卵胞数が抑制されるとともに,過剰排卵処理成績が改善されることが示唆された.
著者
志村 智隆 小宅 功一郎 粟倉 秀幸 池谷 洋一 野垣 岳稔 小林 斉 小林 一女 大氣 采女 大谷 友里恵 工藤 健人 郡司 寛之 甘利 泰伸 泉本 彩 井上 由樹子 今泉 直美
出版者
日本耳鼻咽喉科免疫アレルギー感染症学会
雑誌
日本耳鼻咽喉科免疫アレルギー感染症学会誌
巻号頁・発行日
vol.1, no.1, pp.77-81, 2021

<p>今回,溶連菌感染後反応性関節炎(post-streptococcal reactive arthritis:PSReA)の1症例を経験したのでここに報告する。症例は39歳女性。X月Y–17日,発熱・咽頭痛を主訴に当院救急外来を受診した。口蓋扁桃への膿栓付着を認め細菌性扁桃炎の診断でアモキシシリン内服処方にて帰宅指示となっていた。X月Y日,1週間前からの発熱・咽頭痛の持続と全身的な関節痛を主訴に当科を受診した。口蓋扁桃への膿栓付着は消退し,一般採血所見はWBCの軽度上昇のみでCRP値・ASO値の上昇は認めず溶連菌迅速検査も陰性であった。咽頭痛や関節痛の症状が強く,急性リウマチ熱(acute rheumatic fever:ARF)を視野に補体価を含めた採血を提出し鎮痛薬の処方としていたが,X月Y+5日,耐え難い咽頭痛・頸部痛の出現あり当科を再診した。採血ではWBCの軽度上昇のみで赤沈値は陰性であったがASO値の上昇を認め,溶連菌感染後約10日後の関節症状出現という経過からPSReAの診断となった。PSReAはARFに類似した検査所見や症状を示すとされるが,血液検査における炎症反応の上昇や赤沈値の亢進は目立たない場合が多いとされる。ARFとは異なった疾患として分類され心合併症は起こらないものとされるが,溶連菌性扁桃炎・咽頭炎を日常診療で頻回に扱う我々耳鼻咽喉科医としては留意しておくべき病態と考えられる。</p>
著者
加藤 英治 小林 正義 古賀 久嗣 橋本 一慶 神作 拓也
出版者
日本再生歯科医学会
雑誌
日本再生歯科医学会誌 (ISSN:13489615)
巻号頁・発行日
vol.2, no.1, pp.41-61, 2004 (Released:2005-06-03)
参考文献数
7

顎顔面領域では, 環境造り (スペースメーキングやバリヤーメンブレン等) と自己細胞活性(コルティフィケーションや移植), 誘導・成長因子(PRP, BMP, エムドゲイン®など)が単独や, 組み合わせで応用されている. これらを支持する骨造成の臨床は, 安全でより簡便な方法が望まれ, バイオマテリアルも生体適合性, 形状、機能, エピデンスが求められている. 今回, PRP 作成操作を手術前に行い手術日の負担軽減を計るための凍結保存PRP, 血小板の活性化やデリバリーのためのコラーゲン応用, 下顎骨からの骨原性間葉系幹細胞の採取や培養細胞移植材の可能性を探り, それらを組織再生まで支持する担体やバリヤーとしてHA・コラーゲンの複合体を作成し, 組織再生のピラミッド(図 1)を完成させるべく, 実験および臨床応用を行った. 凍結 PRP・コラーゲン・HA・培養細胞を組み合わせ, 今後の臨床化への可能性をお示ししたい.