著者
小林 潤平
出版者
一般社団法人 日本画像学会
雑誌
日本画像学会誌 (ISSN:13444425)
巻号頁・発行日
vol.59, no.2, pp.219-227, 2020-04-10 (Released:2020-04-10)
参考文献数
61

本稿では,日本語文を読むときの速度や理解の向上を促す表示方式を紹介する.速く読むことを狙いとした表示方式では,文節の区切りを視認しやすいように文字を並べていく.この表示方式によって,読書中の視点移動がスムーズになり,読み心地や理解度を低下させることなく,自然と速く読めるようになることがわかった.よりよく理解することを狙いとした表示方式では,段落やセンテンスの区切りに配慮し,段落先頭から順にセンテンス単位で文字を退色させていく.この表示方式では,文章の要旨を把握しやすくなる効果が確認されており,退色によって段落先頭センテンスへの注意を促し,より正確な要旨把握をもたらした可能性が推察されている.
著者
小林 和幸
出版者
青山学院大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2012-04-01

本研究は、貴族院議員の政治活動を、その活動の背景となった出身や経歴などの「政治的基盤」と関連づけて検討するものである。本研究で以下の諸点で成果を得た。まず、華族議員の政治基盤を華族令改正問題から検討した。また、勅選議員の活動に関連して「幸倶楽部」関係史料を刊行した。さらに大正期の貴族院改革と関連付けて貴族院の議席変更論議を検討し、昭和期の貴族院については美濃部達吉の「天皇機関説」排撃での貴族院内会派の動向を検討した。また、明治期の「国民主義」の思想的基盤を持つ政治勢力を論じたほか、貴族院の会派研究会の初期会則を発見紹介、多額納税者議員「鎌田勝太郎関係文書」を整理し、目録刊行の準備を進めた。
著者
佐藤 陽子 小林 悦子 千葉 剛 梅垣 敬三
出版者
特定非営利活動法人 日本栄養改善学会
雑誌
栄養学雑誌 (ISSN:00215147)
巻号頁・発行日
vol.77, no.5, pp.113-122, 2019-10-01 (Released:2019-11-01)
参考文献数
26

【目的】サプリメントの不適切な利用や健康被害が懸念されている。そこで,若年女性にサプリメントに関する正しい知識を普及するため,実態調査結果を踏まえた啓発リーフレットを作成し,その有用性を検討する。【方法】2015年10月~11月に女子大学・短期大学生230名を対象にサプリメントに対するイメージ,サプリメント利用状況,性格特性,食物摂取頻度について調査した。サプリメントに対するイメージをクラスタ分析にて分類し,得られたクラスタと有意な関連が認められた項目を主として用い,サプリメントに対するイメージを推測するYes/Noチャートを作成後,Yes/Noチャートを活用した啓発リーフレットを開発した。さらに2017年11月に女子短期大学生190名を対象に,啓発リーフレットのユーザビリティ調査を実施した。【結果】サプリメントに対するイメージは3つのクラスタに分類でき,作成したYes/Noチャートにて,この分類のおおよその推測が可能であった。また,啓発リーフレットによる情報提供は,女子短期大学生のサプリメントについての基本事項の認識を変化させることができた。【結論】本研究にて開発したリーフレットは,対象の女性に興味を持って見てもらえ,認識の変化にも寄与できたことから,サプリメントに対する正しい知識の普及に活用できる可能性が示唆された。
著者
李 三洙 小林 重敬
出版者
公益社団法人 日本都市計画学会
雑誌
都市計画論文集 (ISSN:09160647)
巻号頁・発行日
vol.39.3, pp.745-750, 2004-10-25 (Released:2017-08-02)
参考文献数
8

本論文は最もエリアマネジメント活動の歴史が長く、また特に近年、様々な開発と地域管理を一体として意識して都市づくりを進めている地区である大丸有地区に焦点を絞って、エリアマネジメント活動の詳細な分析を行う。長期間にわたるエリアマネジメント活動の展開を明らかにするため、活動をいくつかの時期に分けて、それらの活動内容や活動を進めている主体や関連組織の展開に関する特徴を示す。さらに、エリアマネジメントの活動展開の評価とそれらの活動が抱えている現在の課題を具体的に分析することで、今後エリアマネジメントの活発な活動を通じて地域の魅力と競争力を高めるための基礎的知見を得ることを目的とする。1950年代から現在までの開発から地域管理までの幅広い範囲を対象に、文献や資料やヒアリング等を通じて分析した。本研究の内容は、開発の側面から都心関連政策の変遷と街並みに関わる地区の自主対応、エリアマネジメントの全般的な活動(開発と地域管理)の展開、地域管理の側面から活動内容と主体及び組織と組織間の関係の展開、そして、そのような活動に必要な組織の活動財源等の特徴と課題等である。
著者
平野 康次郎 洲崎 勲夫 徳留 卓俊 新井 佐和 藤居 直和 嶋根 俊和 小林 一女
出版者
日本鼻科学会
雑誌
日本鼻科学会会誌 (ISSN:09109153)
巻号頁・発行日
vol.58, no.4, pp.666-672, 2019 (Released:2019-12-20)
参考文献数
26

歯性副鼻腔炎は歯性感染が上顎洞および副鼻腔に波及した疾患である。不十分な根管治療後の根尖病巣や歯根嚢胞が原因となることが多い。歯根嚢胞による歯性副鼻腔炎では原因歯の治療が必要であり根管治療や歯根端切除術などが試みられるが,開口状態で行う根管治療の限界や,歯根形態や根管形態により完全な根管治療を行うことは困難であり抜歯となるケースが多い。今回我々は,歯根嚢胞による歯性副鼻腔炎の患者に対しEndoscopic Modified Medial Maxillectomy(EMMM)によって経上顎洞的に歯根嚢胞を切除し,歯根端切除術を行うことにより歯牙を温存し良好な経過を得た症例を経験したので報告する。EMMMで上顎洞にアプローチし,ナビゲーションで歯根嚢胞の位置を同定し歯根嚢胞を切除した。その後に経上顎洞的にダイヤモンドバーで歯根端切除術を行った。術後経過は良好であり術後1年6か月の時点で歯牙は温存され歯根嚢胞の再発は認めていない。EMMMは鼻腔形態を保ちつつ上顎洞への広い視野と操作性が確保できる手術方法であり,上顎洞底部の病変である歯根嚢胞に対して有用であった。また,経上顎洞的にアプローチすることにより歯根尖切除も可能であった。今後長期の経過観察とさらなる症例の蓄積が必要であるが,歯牙温存希望の歯性副鼻腔炎の患者において選択肢の一つとなり得る術式と考えられる。
著者
中村 裕子 橋本 研 小此木 雄 牛込 瑛子 橋島 弓子 高橋 哲哉 小林 健二 小谷 依子 鈴木 玲爾 坂上 宏 申 基哲
出版者
特定非営利活動法人 日本歯科保存学会
雑誌
日本歯科保存学雑誌 (ISSN:03872343)
巻号頁・発行日
vol.54, no.5, pp.331-340, 2011-10-31 (Released:2018-03-23)
参考文献数
27

本研究の目的は,次亜塩素酸電解機能水(Hypochlorous-acid Electrolyzed Water: HEW)による宿主細胞への傷害性と,アルカリホスファターゼ(ALP)活性に与える影響を検討することである.HEWは,炭酸と塩化ナトリウム(NaCl)溶液を電気分解することによって生成される中性(pH7.2)で有効塩素濃度650ppmを有する電解水である.その殺菌効果は,陰イオンの活性酸素とHClOによるものと考えられている.HEWとNaOCl溶液のヒト歯髄線維芽細胞(HPC),ヒト歯根膜線維芽細胞(HPDL),ヒト末梢血好中球(PMN)およびヒト皮膚線維芽細胞三次元培養モデルに対する傷害性について,MTT assayを用いて検討した.HPC, HPDLおよびPMNを細胞培養用シャーレにて培養し,各濃度に調整したHEW, NaOCl溶液で処理した.HEWとNaOCl溶液は,濃度と作用時間に依存して細胞傷害性を示した.HEWの細胞傷害性はNaOCl溶液よりも低かった.次にHEWおよびNaOCl溶液のHPCのALP活性へ与える影響を,ALP assay kitを用いて検討した.HEWおよびNaOCl処理は,いずれも,HPC細胞のALP活性を低下したが,HEWのほうがはるかに軽微であった.三次元培養モデルにおいては,HEWの細胞傷害性はほとんど観察されず,NaOCl溶液のみが傷害性を示した.本研究は,HEWによる細胞傷害性は,NaOClよりも低く,根管洗浄剤として使用できる可能性を示唆する.
著者
赤池 祐次 影山 優 川勝 望 小林 正和
出版者
公益社団法人 日本工学教育協会
雑誌
工学教育 (ISSN:13412167)
巻号頁・発行日
vol.67, no.2, pp.2_44-2_50, 2019 (Released:2019-03-27)
参考文献数
10

In this paper, we compare Attainment Test for Mathematics and Engineering Mathematics Test (EMaT) carried out by National Institute of Technology, Kure College from 2015 to 2017. We found significant positive correlations between them, implying that academic development of mathematics in Kure College successfully connects to engineering mathematics in university. However, we also found that approximately half of the students do not reach sufficiently high learning level for the engineering mathematics in university. Moreover, differences of scores among four departments are found to be significant. Considering these results, we suggest some educational plans to improve the learning level for the engineering mathematics in university.
著者
小松﨑 敏光 江川 峻哉 池田 賢一郎 櫛橋 幸民 池谷 洋一 浜崎 泰佑 古川 傑 水吉 朋美 浅野 雅世 小林 一女 嶋根 俊和
出版者
特定非営利活動法人 日本頭頸部外科学会
雑誌
頭頸部外科 (ISSN:1349581X)
巻号頁・発行日
vol.26, no.2, pp.247-251, 2016-10-30 (Released:2016-11-17)
参考文献数
21
被引用文献数
1 1

今回われわれは,原発性肺癌疑いの精査でCT検査を行ったところ甲状腺に腫瘍を認め,穿刺吸引細胞診の結果悪性腫瘍と診断し,摘出術を行った。病理組織学的結果は,肺癌からの転移性甲状腺癌と診断した症例を経験した。転移性甲状腺癌は進行すると,呼吸や摂食に関係し,その後患者のQOLを著しく低下させるため,原発腫瘍の治療状況,全身状態,PS,腫瘍を摘出してその症例のQOLが向上するかどうかを総合的に判断して治療にあたるべきと考えられた。本症例のように急激な増大を認める症例もあり摘出時期を逸しないことも重要と考えられた。
著者
西川 武志 小林 菜津美 岡安 多香子 山田 玲子 磯貝 恵美子 磯貝 浩 山下 利春
出版者
公益財団法人 日本ビフィズス菌センター
雑誌
腸内細菌学雑誌 (ISSN:13430882)
巻号頁・発行日
vol.20, no.4, pp.321-327, 2006 (Released:2006-11-28)
参考文献数
9
被引用文献数
2

カテキンの抗菌活性については多くの報告がみられている.一方,最近ペットボトル等のお茶を飲む人が多くなっている.そこで,市販のカテキン含有飲料の病原性大腸菌感染症に対する予防効果を検討することを目的として,腸管出血性大腸菌O157(EDL931およびHK)および非病原性大腸菌MV1184に対するカテキン含有飲料の増殖抑制作用について検討した.また,併せて毒素産生抑制作用についても検討した.紅茶,緑茶1,緑茶2および番茶は大腸菌に対して強い増殖抑制作用を示した.この中でもカテキン含有量の最も多い緑茶2が,すべての大腸菌に対し極めて強い増殖抑制作用を示した.また,供試したE. coli O157はベロ毒素1型(VT1)産生株であり,紅茶,緑茶1,緑茶2,および番茶によって毒素の産生は抑制あるいは阻止された.これらの結果から,茶を飲用することは,O157をはじめとする病原性大腸菌感染症を予防するのに有効であると考えられた.
著者
小林 茂雄 津田 智史
出版者
一般社団法人日本建築学会
雑誌
日本建築学会計画系論文集 (ISSN:13404210)
巻号頁・発行日
vol.73, no.623, pp.93-99, 2008-01-30
被引用文献数
2

The purpose of this research is to identify environmental factors related to the ease of borrowing a cigarette lighter from a stranger in a smoking area. An experiment was carried out in which subjects actually talked to ordinary smokers and borrowed lighters at smoking areas in Yokohama city. As a result, it was found that the ease of talking to a stranger corresponds almost exactly to the ease of entering the smoking area. The distance between the smoking area and the surrounding traffic, and the numbers of surrounding pedestrians were connected with the ease of borrowing behavior. The width of the entrance to the smoking area and the arrangement of benches, etc. were also related to the evaluation. The characteristics of suitable smoking areas for borrowing behavior were summarized into three main factors, that is, people can approach the place without feeling too conspicuous, smokers in the place seem not to have monopolized spaces, and the smoking area has a casual atmosphere which promotes interaction between people.