著者
小林 良樹
出版者
日本犯罪社会学会
雑誌
犯罪社会学研究 (ISSN:0386460X)
巻号頁・発行日
vol.37, pp.119-133, 2012-10-31 (Released:2017-03-31)

本稿は,都道府県公安委員会に対する苦情申出制度に関して,「警察に対する国民の信頼の改善方策」の観点から考察を加えることを目的とする.具体的には,「警察に対する国民の信頼を改善するための有効な方策の一つとして都道府県公安委員会に対する苦情申出制度の活性化が考えられる」,「そのためには同制度に対する国民の認知を向上させることが肝要である」との仮説の検証を試みる.分析・検証の結果,「苦情申出制度の利用は極めて低調である」,「同制度に対する国民の認知が極めて低いことがその原因の一つと考えられる」旨がある程度検証された.したがって,苦情申出制度に対する国民の認知を高めることは同制度の利用率の向上につながり,ひいては警察に対する国民の信頼の向上に資するものと推察される.警察に対する国民の信頼の現状は必ずしも盤石ではない.今後とも警察が私企業,NPO/NGO,地域社会等の多様なアクターとの連携を一層強化するとともに,新たな犯罪情勢に対応するべく捜査権限の強化を目指すのであれば,信頼の一層の向上に努める必要がある.こうした信頼改善の努力の中で,苦情申出制度の改善は避けては通れない問題と考えられる.
著者
大塚 邦子 野村 靖幸 内田 直樹 安原 一 小林 真一
出版者
日本社会薬学会
雑誌
社会薬学 (ISSN:09110585)
巻号頁・発行日
vol.33, no.1, pp.21-29, 2014-06-10 (Released:2015-08-11)
参考文献数
47

Classification of food and pharmaceutical products are different. In the proper use of pharmaceutical products, it is essential for a medical consumer to receive the drug information about effectiveness, safety and quality of it. On the other hand, since legal classification between medicines and dietary supplements was based their cultures, the classification of each drug is different in each country. Melatonin is a hormone produced by the pineal gland and used for improvement of the jet lag. We searched melatonin product information of Japan and the United States by using Internet search mainly and investigated the relationship between amount of product information and product classification. Melatonin is classified as a dietary supplement in the United States, the product information of efficacy and safety is displayed as “Supplement Facts” and the use of melatonin in children is not recommended. On the other hand, melatonin is classified as a pharmaceutical product in Japan, but is not produced in Japan. Therefore, it is difficult to have it for Japanese customers, and then they personally import using the Internet with their self-responsibility. However it is difficult to obtain its appropriate information for consumers, because of the regulation of the Pharmaceutical Affairs Law. It has been reported that the poisoning accident by the excessive intake of melatonin already. It will increase the risk of the health problem to purchase melatonin through the Internet more. Therefore, we concluded that Internet purchase of Medicines had a high risk for Japanese customers since there was not sufficient drug information.
著者
小林 盾
出版者
数理社会学会
雑誌
理論と方法 (ISSN:09131442)
巻号頁・発行日
vol.13, no.2, pp.250-252, 1999-01
著者
小宮山 謙一郎 増本 愛 西原 冬実 小林 威仁 杣 知行 萩原 弘一 金澤 實 永田 真
出版者
一般社団法人 日本アレルギー学会
雑誌
アレルギー (ISSN:00214884)
巻号頁・発行日
vol.62, no.12, pp.1631-1641, 2013-12-30 (Released:2017-02-10)

【背景・目的】迅速IgE測定システムとして開発されたImmunoCAP^[○!R] Rapidを用いてアレルギー疾患患者の特異的IgE抗体を測定し,プリックテスト(SPT)と比較することでその有用性を検討した.【方法】2010年9月から2012年2月までにアレルギー疾患が疑われた患者83名を対象とした.患者背景は年齢中央値43歳で,喘息53例,アレルギー性鼻炎が42例であった.【結果】全アレルゲンの陽性率はImmunoCAP^[○!R] Rapidに比べSPTが高い陽性率(22.5% vs 26.5%, p<0.05)となったが,スギ抗原ではImmunoCAP^[○!R] Rapidが陽性率は同等であり(68.7% vs 55.4%, p=0.07), 鼻炎患者においては有意に高い陽性率(90.4% vs 71.4%, p<0.05)を示した. SPT陽性をベースにしたImmunoCAP^[○!R] Rapidの感度66.9%, 特異度93.4%, 陽性・陰性一致率86.4%であった.アレルゲン別に検討すると,スギとダニの各々の感度は93.5%, 73.8%, 特異度は62.2%, 92.7%と高値を示し,診断効率は86.4%, 83.1%と良好であった.また,IgEの判定結果と皮膚反応(紅斑,膨疹)の相関性もみられた(r=0.645, 0.657).【結語】SPTに比べImmunoCAP^[○!R] Rapidのアレルゲン同定率はやや劣るが,主要アレルゲンであるスギやダニ患者のアレルゲン同定には有用と考えられた.
著者
小林 光恵
出版者
医学書院
雑誌
訪問看護と介護 (ISSN:13417045)
巻号頁・発行日
vol.24, no.9, pp.688-692, 2019-09-15

「え? 患者の性格? あなた、それを伝えるためだけに来たんですか?」 救命救急センターの主任看護師・三木蓮司は目を丸くして、目の前に立つ男に言った。このヤサオトコ、何考えてるんだ、あほか、と思いながら。
著者
小林 和央 風間 一洋 吉田 光男 大向 一輝 佐藤 翔
雑誌
WebDB Forum 2019論文集
巻号頁・発行日
vol.2019, pp.29-32, 2019-09-01

インターネットの普及と文献の電子化に伴い,CiNii Articles などの学術論文検索が日常的な学習や研究で重要な役割を果たすようになった.ただし,研究者以外の多彩なユーザに,文献がどのように利用されているかは明らかではない.本稿では,学術情報検索サービスのユーザの閲覧行動を,何人が閲覧したかで重要度を示す閲覧人数と,ある論文を閲覧したユーザが他にどのくらい論文を閲覧したかで内容の普遍性を示す閲覧普遍度の2つの指標と,学術および一般出版物の種別を用いて分析する.まず,CiNii Articles のサービスの利用履歴から,ユーザが閲覧した各文献の閲覧人数と閲覧普遍度を求める.次に,計算機科学分野のクエリの検索結果を閲覧人数と閲覧普遍度で順位付けした後に,該当分野における主要3学会が発行・開催する論文誌,研究会,大会・シンポジウム,そして一般的な出版社の雑誌などの異なる特性を表す種別を付与することで,各指標の順位に伴う文献種別の傾向や特性の変化を分析する.
著者
小林 哲也
出版者
日本ペット栄養学会
雑誌
ペット栄養学会誌 (ISSN:13443763)
巻号頁・発行日
vol.14, no.2, pp.84-88, 2011-10-11 (Released:2011-12-16)
参考文献数
5
著者
藤山 千紘 小林 一郎 西本 伸志 西田 知史 麻生 英樹
雑誌
第79回全国大会講演論文集
巻号頁・発行日
vol.2017, no.1, pp.169-170, 2017-03-16

我々は、常に次の状態を予測しながら日常生活を送っている。これは、我々がもつ脳の大脳皮質における予測符号化の機能が行っていることであり、近い将来を予測することによって生物としての個体を守っている。本研究では、この機能を模倣した深層学習により動画像から次の時刻の画像を予測することを目的とする。
著者
小林 謙一 坂本 稔
出版者
国立歴史民俗博物館
雑誌
国立歴史民俗博物館研究報告 = Bulletin of the National Museum of Japanese History (ISSN:02867400)
巻号頁・発行日
vol.196, pp.23-52, 2015-12-25

本稿は,縄紋後期の生業活動において,海洋資源がどの程度利用されていたのかを見積るため,炭素の安定同位体比(δ¹³C値)と炭素14年代をもとに,時期別・地域別の検討をおこなったものである。旧稿[小林2014]において,陸稲や水田稲作が出現する弥生移行期である縄紋晩期~弥生前期の土器付着物を検討した方法を継承して分析した。そのことによって,旧稿での縄紋晩期と弥生前期との違いの比較検討という目的にも資することができると考える。土器内面の焦げや外面の吹きこぼれなど,煮炊きに用いられた痕跡と考えられる土器付着物については,δ¹³C値が-24‰より大きなものに炭素14年代が古くなる試料が多く,海洋リザーバー効果の影響とみなされてきた。一方,-20‰より大きな土器付着物については,雑穀類を含むC₄植物の煮炊きの可能性が指摘されてきた。しかし,これらの結果について,考古学的な評価が十分になされてきたとはいえない。国立歴史民俗博物館年代研究グループが集成した,AMSによる縄紋時代後期(一部に中期末葉を含む)の炭素14年代の測定値を得ている256試料(汚染試料及び型式に問題ある試料を除く)を検討した。その結果,土器付着物のδ¹³C値が-24~-20‰の試料には炭素14年代で100 ¹⁴C yr以上古い試料が多く見られることが確認され,海産物に由来する焦げである可能性が,旧稿での縄紋晩期~弥生前期の土器付着物の場合と同様に指摘できた。北海道の縄紋時代後期には海産物に由来する土器付着物が多く,その調理が多く行われていた可能性が高いことがわかった。東日本では縄紋時代後期には一定の割合で海産物の影響が認められるが,西日本では近畿・中四国地方の一部の遺跡を除いてほとんど認められない。これらは川を遡上するサケ・マスの調理の結果である可能性がある。また,C₄植物の痕跡は各地域を通じて認められなかった。以上の分析の成果として,土器付着物のδ¹³C値は,縄紋時代後期の生業形態の一端を明らかにし得る指標となることが確認できた。
著者
長野 留美子 小林 洋子 大杉 豊
出版者
筑波技術大学学術・社会貢献推進委員会
雑誌
筑波技術大学テクノレポート (ISSN:13417142)
巻号頁・発行日
vol.26, no.2, pp.31-35, 2019-03

耳のきこえない女性(以下「ろう女性」とする。)は,「障害者」と「女性」という二重差別の中で言語化の機会も乏しく,1950 年代まで抱える課題が可視化されてこなかった存在である。本報告では,「ろう女性」に焦点をあて,聴覚障害当事者団体の機関紙である日本聴力障害新聞の戦後の創刊当初から2014 年までを対象に「ろう女性」に関する記事を抽出し,データベースを作成した経緯について述べる。
著者
小林 智之 及川 昌典
出版者
公益社団法人 日本心理学会
雑誌
心理学研究 (ISSN:00215236)
巻号頁・発行日
vol.86, no.5, pp.467-473, 2015 (Released:2015-12-25)
参考文献数
19
被引用文献数
3 2

The current research examined the moderating role of beliefs in group interdependence on effects of negative meta-stereotypes. The effects of meta-stereotypes among Japanese participants were explored by examining responses toward a fictitious Korean defendant (Study 1), or a real political agenda between Korea and Japan (Study 2), after being exposed to negative views that Koreans might have of Japanese. In addition, the extent to which participants believed in group interdependence between the nations was measured. The results of the two experiments revealed that effects of negative meta-stereotypes were moderated by beliefs in group interdependence. The individuals with higher beliefs in group interdependence responded more favorably toward the outgroup when faced with negative meta-stereotypes, perhaps in an attempt to disconfirm the negative meta-stereotypes. On the other hand, the individuals with lower beliefs in group interdependence reciprocated with unfavorable responses when faced with negative meta-stereotypes.
著者
宮寺 貴之 渡邉 和美 久原 恵理子 小林 寿一
出版者
公益社団法人 日本心理学会
雑誌
心理学研究 (ISSN:00215236)
巻号頁・発行日
pp.89.17048, (Released:2018-09-20)
参考文献数
30
被引用文献数
1

This study explores the factors associated with the quantity and quality of children’s testimony in police interviews, focusing on the characteristics of the crime, child victims, interviewers, and interview surroundings. We collected 137 cases of children interviewed as victims of a crime by administering a questionnaire to police officers in charge of the cases across Japan. Categorical principal component analysis, applied to the officers’impressions of the child’s accounts, yielded two aspects of the testimony: the quantity/quality of testimony, and the level of usability in the investigation. Regression analyses with variable selection revealed variables associated with these two aspects. The quantity/quality of testimony was associated with the characteristics of the crime, and the interviewer’s investigation experience, empathy, and history of participation in training, while information usability was related to the children’s characteristics, and the interviewer’s opportunities to talk with children other than their own, outside of work. The timing of the interview was also suggested to be involved in the two aspects of the children’s testimony. Limitations of this study are discussed for future studies.
著者
小林 信一 稲永 由紀 大来 雄二 玖野 峰也 齋藤 芳子
出版者
Japanese Society for Engineering Education
雑誌
工学教育 (ISSN:13412167)
巻号頁・発行日
vol.60, no.5, pp.5_18-5_23, 2012 (Released:2012-09-29)
参考文献数
12
被引用文献数
1

In 2002, the Franklin W. Olin College of Engineering was established as a small institution in a Boston suburb specified by undergraduate engineering education. The college set up its targets to motivate students to cultivate a lifelong learning, and illuminates them with engineering design, interdisciplinarity and teamworking. These were not brand-new concepts in reforming engineering education, but somewhat difficult to realize because of the interferences such as the traditions and customs. The notable features of its curriculum are summarized as follows ; the project-based learning (PBL) are introduced to a half of courses, the engineering design education is placed across the curriculum, and the Senior Capstone Program in Engineering (SCOPE, a year-long PBL program where students collaborate with industrial partners) was set as the culmination of learning.
著者
小林 伸行 都築 隆 萬造時 知子 渡部 洋行 竹澤 三代子 土屋 敦 土屋 章
出版者
公益社団法人 日本人間ドック学会
雑誌
人間ドック (Ningen Dock) (ISSN:18801021)
巻号頁・発行日
vol.29, no.1, pp.34-41, 2014 (Released:2014-09-30)
参考文献数
20
被引用文献数
1

目的:脂肪肝の線維化の指標としてのFIB4 Indexの有効性を検討する.方法:複数回受診の脂肪肝症例について,初回と最終回受診時のFIB4 Indexを算出した.線維化のcut off値を2.67とし,初回受診時2.67未満の12,059例を対象とした.初回から最終回受診までの期間,FIB4 Indexの変化を求めた.最終回受診時にFIB4 Indexが2.67以上へ上昇した症例について,性別,アルコール性/非アルコール性の脂肪肝種類別に比較した.FIB4 Index算定式の各因子(年齢,AST,ALT,血小板数)および超音波画像の変化を検討した.結果:最終回にFIB4 Indexが2.67以上に上昇したものは161例(1.3%)であった.この上昇群では初回からFIB4 Indexが有意に高値であった.観察期間5年未満のFIB4 Index上昇群の頻度1.1%に対し,5年以上では1.6%と有意に多かった.男女間やアルコール性,非アルコール性によるFIB4 Index上昇群の頻度には差を認めなかった.算定式の4因子のうち,ASTの変動が最も大きくAST/ALT比も初回0.86から最終回1.18と上昇した.初回から最終回の超音波画像上の変化は,161例中3例に肝辺縁の鈍化を認めたのみであった.結論:FIB4 Indexの変化に要する期間や,AST優位への変化から,線維化の予測指標としての可能性が示唆された.
著者
長谷川 雄太 青木 尊之 小林 宏充 白﨑 啓太
出版者
一般社団法人 日本機械学会
雑誌
日本機械学会論文集 (ISSN:21879761)
巻号頁・発行日
pp.18-00441, (Released:2019-02-07)
参考文献数
18

We implement and perform large-scale LES analysis for running groups of cyclists. The mesh-refined lattice Boltzmann method (LBM) and coherent-structure Smagorinsky model (CSM) are adopted for the simulations to achieve a high performance computing on the recent GPU supercomputer. In the simulation with 16 cyclists, the mesh spacing around cyclists is 4 mm, and the total number of the mesh is up to 8.1×108 and the number of GPUs utilized is up to 64. Each calculation took 4 or 5 days for the 8~11 seconds of physical duration. The flow around 16 cyclists in various arrangement is calculated, and the results show that the in-line arrangement is more effective than the rhomboid arrangement in the viewpoint of the total aerodynamic drag of the group; however, a specific person in rhomboid arrangement can obtain larger drag reduction and save the endurance. Results on two groups also suggest that the frontal group in rhomboid arrangement will be exploited as the wind protection of the backward groups.