著者
小田切 拓也 山内 敏宏 白土 明美 今井 堅吾 鄭 陽 森田 達也 井上 聡
出版者
日本緩和医療学会
雑誌
Palliative Care Research (ISSN:18805302)
巻号頁・発行日
vol.9, no.4, pp.121-124, 2014 (Released:2014-11-01)
参考文献数
10

セフトリアキソンは, 1日1回の点滴でよく, 腎不全でも使用可能なため, 皮下点滴が可能ならば終末期がん患者に用いやすい. 2013年1月から2014年1月に聖隷三方原病院ホスピス病棟を退院し, セフトリアキソン皮下点滴を使用した患者を, 後ろ向きに抽出した. 主要評価項目は抗菌薬の奏功率(3日以内の症候の改善)で, 二次的評価項目は刺入部の炎症反応と, 他の抗菌薬の奏功率との比較である. 患者から包括的同意を得た. セフトリアキソン皮下点滴を用いたのは10人(尿路4人, 肺4人, 軟部組織2人), 奏功率は0.70 (95%信頼区間0.39~0.89)だった. 全員, 刺入部位に炎症反応を認めなかった. 他の抗菌薬使用者は16人19回, 奏功率は0.74 (同0.51~0.88)で, 両群の効果はおおむね等しかった. セフトリアキソンの皮下点滴は, 血管確保が困難な終末期がん患者の感染症治療において有用である.
著者
小田桐 弘子
出版者
大手前大学・大手前短期大学
雑誌
大手前大学人文科学部論集 (ISSN:13462105)
巻号頁・発行日
vol.6, pp.1-16, 2005

もし、「ミニヨンの歌」が「レモンの木は花咲き…」ではなく原詩の通りKennst du das Landの直訳ではじまっていたらどうであったろうか。「レモン」の訳語によって日本近代詩史が始まったことは既に先学により、実証されているところである。小論は、このレモンからの連想である梶井基次郎の「檸檬」をつないで、私観を述べたものである。
著者
福田 将一 高橋 一広 金子 修三 臼井 丈一 小関 美華 小田 竜也 山縣 邦弘
出版者
一般社団法人 日本移植学会
雑誌
移植 (ISSN:05787947)
巻号頁・発行日
vol.55, no.Supplement, pp.375_3, 2020 (Released:2021-09-18)

【目的】夫婦間生体腎移植の実施数は全国的に増加傾向にあり、当院でも生体腎移植の約4割を占める。手術に伴う生活環境などの変化が予測される症例も経験することが多くなっており、当人以外の治療参加も求められる。今回、ドナー・レシピエント夫婦がほかの家族に相談なく移植を受けようとし、家族と医療者間の調整を必要とした症例を経験したので報告する。学会発表にあたり、患者本人から同意を得た。【症例】A氏、60歳代、男性、糖尿病性腎症により生体腎移植を希望した。ドナーは妻であり、通院はドナー・レシピエント夫婦のみであった。術前検査を進め手術入院を控えていたが、同居する30代長女からの連絡で妻以外の家族には相談せず話を進めていたことがわかった。家族は患者の病気や自己管理能力に不安を抱いていたが、患者から説明を受けていないということで、移植に対して反対の意見を持たれていた。反対の理由や疑問点・患者への思いを確認し、主治医との面談を調整した。主治医より患者夫婦に家族を加えて説明が行われ、移植手術を行うことに同意された。【考察】家族は患者を心配する気持ちを抱いていたが、家族へ相談なく進めていたため治療方針の確認やその後のフォローアップなど、理解する機会を得たかったのではないかと考える。【まとめ】患者・家族の関係性を理解し、コンフリクトが生じていないか評価する必要がある。
著者
清水 謙二 小田 浩伸
出版者
一般社団法人 日本特殊教育学会
雑誌
特殊教育学研究 (ISSN:03873374)
巻号頁・発行日
vol.38, no.5, pp.1-6, 2001-03-31 (Released:2017-07-28)
被引用文献数
1 1

本研究では、頻繁にパニックを起こす自閉症生徒に対し動作法を適用し、動作法の変化と学校および家庭場面でのパニックの変化とを対比させ、パニックの軽減に及ぼす動作法の効果について検討した。その結果、動作法によるリラクセーション課題の進展に伴って、家庭および学校場面でのパニックの頻度が顕著に減少してきた。これは、動作法において意図的に力を抜く努力ができるようになってきたこと、心身の十分なリラックス体験ができたこと、指導者との密接なかかわりが快い共有・共感体験となったことが、緊張や興奮に対する自己制御力を高める要因になったことによるものと考えられた。これらのことから、動作法は、緊張や興奮が常態となってパニックを頻発している事例に対する、自己制御力を高めるための有効な援助法になりうることが示唆された。
著者
壬生 真人 小田嶋 博 柴田 瑠美子 西間 三馨
出版者
THE JAPANESE SOCIETY OF PEDIATRIC ALLERGY AND CLINICAL IMMUNOLOGY
雑誌
日本小児アレルギー学会誌 (ISSN:09142649)
巻号頁・発行日
vol.14, no.4, pp.459-465, 2000-12-01 (Released:2010-08-05)
参考文献数
12
被引用文献数
1

誕生月とアレルギー疾患 (気管支喘息・アトピー性皮膚炎) 発症との関係について検討した. 対象は, 平成7年5月から平成10年4月に当院外来を受診, アレルギー疾患 (気管支喘息・アトピー性皮膚炎) と診断された5歳以下の児で, 最終外来受診が平成10年4月以降の児771名. 外来カルテに基づいて, 誕生月, 外来初診月, 血清 Total IgE値, IgE RAST score (ヤケヒョウヒダニ・卵白), IgG値, 鼻汁中好酸球数について検討した. 結果は, アレルギー疾患 (気管支喘息・アトピー性皮膚炎) は, 春に生まれた児に少なく秋に生まれた児に多かった. また, その傾向はアトピー性皮膚炎に強くみられた. 乳児の平均初診月齢は5.4ヶ月で, 外来初診総数は春に多かった. Total IgE, IgE RAST score (ヤケヒョウヒダニ・卵白), IgG, 鼻汁中好酸球の各値と誕生月に有意な関係は認められなかった. 具体的機序は不明であるが, アレルギー疾患 (気管支喘息・アトピー性皮膚炎) の発症と誕生月には関係があり, 生後数ヶ月間 (あるいは出生前から) の季節に関係する環境因子の関与が示唆された.
著者
中沢 啓 吉永 繁高 関根 茂樹 岡村 卓真 奥田 奈央子 小山 洋平 福士 剛蔵 山崎 嵩之 春日 健吾 川島 一公 水口 康彦 張 萌琳 江郷 茉衣 阿部 清一郎 野中 哲 鈴木 晴久 小田 一郎 斎藤 豊
出版者
医学書院
巻号頁・発行日
pp.1036-1042, 2020-07-25

要旨●当院で胃型腺腫(幽門腺腺腫)と診断された25例25病変を検討した.H. pylori未感染胃に発生した症例(癌化例含む)は2例(8.0%)のみであり,23例(92.0%)はH. pylori現感染胃,もしくは既感染胃に発生した症例であった.全症例U領域もしくはM領域に位置しており,L領域の症例は認めなかった.色調は白色調,褪色調,発赤調,同色調までさまざまであり,特徴的な所見は認めなかった.肉眼型は隆起型,もしくは表面隆起型に鑑別できるものが大部分であった.全25例中12例(48.0%)に癌合併を認めており,胃型腺腫に対して内視鏡治療を行うことを検討すべきと考えられた.
著者
鈴木 哲 平田 淳也 栗木 鮎美 富山 農 稙田 一輝 小田 佳奈枝 高橋 正弘 渡邉 進
出版者
理学療法科学学会
雑誌
理学療法科学 (ISSN:13411667)
巻号頁・発行日
vol.24, no.1, pp.103-107, 2009 (Released:2009-04-01)
参考文献数
14
被引用文献数
15 4

〔目的〕本研究の目的は,片脚立位時の体幹筋活動の特徴を明らかにした上で,片脚立位時の体幹筋活動と重心動揺の関係を検討することである。〔方法〕健常者10名(25.1±4.4歳)を対象に,両脚立位,片脚立位時の体幹筋活動と重心動揺を測定した。〔結果〕片脚立位では,両脚立位と比べて,挙上側胸腰部脊柱起立と外腹斜筋活動増加率が有意に高かった。立脚側腰部多裂筋と内腹斜筋の筋活動増加率が高い傾向にあった。また挙上側体幹筋活動と重心動揺との間に有意な相関がみられた。〔結語〕片脚立位バランスには体幹筋活動が関与する可能性が示唆された。
著者
神田 聖子 仲田 瑛子 小田島 祐美子 中野 都 佐藤 清香 江木 伸子
出版者
特定非営利活動法人 日本栄養改善学会
雑誌
栄養学雑誌 (ISSN:00215147)
巻号頁・発行日
vol.78, no.2, pp.78-87, 2020-04-01 (Released:2020-05-27)
参考文献数
36

【目的】日本食品標準成分表2015年版において,調理前(原材料)と調理後食品を用いた献立の栄養価の差を明らかにし,栄養価計算を行う際の留意事項を検討する。【方法】学内の給食管理実習における30日分の昼食献立を対象に,調理を考慮しない「作成時」と考慮した「提供時」について対応のあるt検定またはWilcoxon符号順位検定を用いて1食あたりの栄養価を比較した。食品群別による比較も行なった。【結果】エネルギーの平均値±標準偏差は作成時で 719±70 kcal,提供時で 699±65 kcalであり,提供時で有意に低かった(p<0.001)。提供時で有意に低値となった栄養素は脂質,飽和脂肪酸,カリウム,カルシウム,鉄,ビタミンA,ビタミンB1,ビタミンB2,ビタミンCであり,食物繊維のみ提供時で有意に高かった。食品群別にみると,肉類と野菜類で提供時の栄養価の減少が目立った。【結論】作成時と提供時の栄養価には統計的な差があり,栄養価計算は調理後食品で行うことが望ましいとわかった。両者の差は肉類及び野菜類で調理後食品を用いることにより解消できると考える。やむを得ず原材料で栄養価計算を行う際は,カリウム,鉄,水溶性ビタミンの給与栄養目標量を食事摂取基準の110~140%に設定すること,または,肉類の使用量を予定原材料の115%,野菜類を132%にすることで提供時の値に近似することが示唆された。
著者
太田 陽子 小田切 聡子
出版者
Tokyo Geographical Society
雑誌
地学雑誌 (ISSN:0022135X)
巻号頁・発行日
vol.103, no.3, pp.243-267, 1994-06-25 (Released:2009-11-12)
参考文献数
40
被引用文献数
4 8

1) 土佐佐賀から千尋岬東方にいたる地域の海成段丘を高位から H1, H2, H3, M, Lに分類した。M面およびそれより高位の段丘の形成は氷河性の海面変化に伴っており, M面は最終問氷期最盛期 (約125ka, 酸素同位体ステージ5e) の海進期に形成された。 H2, H1はそれぞれステージ7, および9の間氷期に対応する海進期を示す可能性があるが年代を確定できない。L面はさらに細分され, L1が完新世海進高頂期を, L2以下の面はその後の間欠的隆起を示している。2) 本地域は北西に低下する二つの傾動域 (伊の岬変動区と足摺変動区) に分かれ, それぞれの地域内ではH1面形成期以降の約3°万年間同様式の傾動が続いていた。M面形成期以降の最大平均隆起速度は 0.55m/ka (足摺岬) である。3) 二つの変動区の形成はプレート境界から分岐した断層の活動に由来すると思われる。伊の岬変動区はおそらく伊の岬断層を震源断層として形成されたと推定できるが, 足摺変動区の傾動を説明する震源断層を特定することはできなかった。細分される完新世段丘群はこれらの分岐断層の最近の活動史を記録しており, 上記両変動区で隆起時期を異にしている。