著者
小野 千佐子
出版者
同志社大学大学院総合政策科学会
雑誌
同志社政策科学研究 (ISSN:18808336)
巻号頁・発行日
vol.11, no.2, pp.149-162, 2009-12

本稿は、布製で洗って繰り返し使用できる月経処置用品である布ナプキンを通じて、月経が社会の中でどの様に考えられ、受け止められるかという月経観がいかに変容するかについて論じた研究ノートである。月経をめぐる問題の根底には、月経痛などの身体的症状によるもののほか、月経に対して隠したい、あるいは厄介で、なければいいのにと思うようなネガティブな価値観がある。そのような価値観の背景には、社会通念や国家の政策等があり、また月経処置の方法にも左右される。つまり、月経をめぐる問題は個人的問題ではなく、社会全体の問題として取り組んでいく必要がある。とりわけ、月経観は月経をめぐる問題を検討していく際に重要なことである。そこで、月経と社会のかかわりについて歴史をひもときながら整理をし、加えて、今日一般的に使用されている月経処置用品が普及した背景について述べた。そして、その月経処置用品が内包する問題点を明らかにし、新たな選択肢としての布ナプキンの可能性について、先行研究と筆者がおこなっている社会実験のひとつを事例として報告した。さらに、使用する月経処置用品の違いによって変化する事象について考察を加えた。研究ノート(Note)

1 0 0 0 OA 国憲汎論

著者
小野梓 著
出版者
東洋館書店
巻号頁・発行日
vol.上, 1885
著者
小野 展克 オノ ノブカツ Nobukatsu Ono
雑誌
嘉悦大学研究論集
巻号頁・発行日
vol.55, no.2, pp.1-13, 2013-03-20

" 日本航空(JAL)は2010年1月に会社更生法を申請、経営破綻した。しかし、政府系の企業再生支援機構が3500億円を出資、政府系の金融機関である日本政策投資銀行などが6,000億円の融資を実行する体制を整えることで、収益力が急回復、破綻から2年8か月後の2012年9月には再上場を果たした。破綻からの復活劇の背景には、会社更生法の活用で、債務の大幅なカットや人員整理などを実現したことがある。会社更生法という武器がなければ一気に大型機材を償却することは難しかったし、地元自治体などとのしがらみの多い不採算路線の整理、これまで労使交渉の難題だったパイロットの給与カットにも乗り出せなかったであろう。一方で、政府系の企業再生支援機構からの手厚い資本支援で、新型の機材の購入なども可能になった。政府支援が鮮明だったこともあり、大きな顧客離れも起きず、業績は順調に回復した。 筆者は今回のJALの再生は二つの課題を残したことを指摘したい。 一つ目は、健全な競争環境を歪めた点である。日本国内の競争はJALと全日本空輸(ANA)という大手2社を中心に繰り広げられている。一方のJALだけが、会社更生法で債務をカット、政府による公的資金が注入され業績が急回復したのでは、公正な競争環境が維持されているとは言い難い。二つ目は、国際競争力の問題である。羽田空港や成田空港の発着枠の拡大で、日本発着の国際線の競争環境は激変している。絞り込んだサービスで格安運賃を提供するLCCの市場への参入が本格化する上、欧米、アジアの大手航空会社の参入も拡大する。政府支援によって敗者を復活させ、これまでの国内業界秩序を維持したことが、国際競争力の劣化を招く可能性が高い点も問題だと考える。"
著者
龍居 竹之介 小野 一成
出版者
社団法人日本造園学会
雑誌
造園雑誌 (ISSN:03877248)
巻号頁・発行日
vol.22, no.1, pp.5-8, 1958-08-10

Mr. Kinsaku Nakane published a thesis titled "The Ruins of the Pond-Garden that once existed in the Ryoanji Temple and the Age when its Rock-Garden was built" on the Journal of the Japanese Institute of Lanpscape Architects (March, 1958, Vol.21, No.4), and wherein he presumed, based on an on-the-spot survey of the ruins and study of the literatures concerned, that the Rock-Garden was built during the Kan-ei Era (1624-1644) and named Kotaro and Seijiro as the builders thereof. However, in the said thesis, many defects have been found in the dealing of the historical materials and remarkable leap in the logic as well has been noticed on the determination of the age in which the Rock-Garden was built and the names of the builders thereof. Therefore, desiring that the future study by Mr. Nakane on the subject matter may be continued on the basis of justifiable historical materials as well as reasonable logic, we have hereinbefore pointed out the faults in the method of study noticed in his thesis.
著者
小野田 亮介
出版者
一般社団法人 日本教育心理学会
雑誌
教育心理学年報 (ISSN:04529650)
巻号頁・発行日
vol.58, pp.185-200, 2019

<p> 自分の意見を分かりやすく説得的に文章化する能力は,学校教育での活動(e.g., 作文,学級新聞,小論文,レポート,論文などの執筆)のみならず,社会生活(e.g., 意見書や要望書の執筆,企画の提案から書面での交渉)を営む上でも重要になる。したがって,学校教育を通した意見文産出能力の育成は,学校教育以降を見据えた長期的な視点のもとで計画され,実行されるべきだといえる。本論文では,学校教育における意見文産出指導について「誰に,何を,どう書くか」という3つの観点から検討した。具体的には,それぞれの観点を「誰に:読み手意識」,「何を:理由想定」,「どう:意見文スキーマと産出方略」といったキーワードで捉え,(1)観点ごとに関連する先行研究を概観し,(2)学校教育での指導で課題となりうる点を指摘するとともに,(3)それらの課題に対応する指導方法について提案した。最後に,全体の議論をふまえて今後の意見文産出研究,および意見文産出指導の展開について考察した。</p>
著者
山口 修平 小野田 慶一
出版者
一般社団法人 日本高次脳機能障害学会
雑誌
高次脳機能研究 (旧 失語症研究) (ISSN:13484818)
巻号頁・発行日
vol.34, no.1, pp.9-16, 2014-03-31 (Released:2015-04-01)
参考文献数
37
被引用文献数
2 2

安静時機能的MRI (rs-fMRI) は脳全体の機能的結合性を簡便かつ鋭敏に解析できる方法として注目されている。被験者の負担が低く,短時間で測定が可能であり,認知症を始めとする精神神経障害を有する患者での測定に適している。安静時に最も強い機能的結合を示す神経ネットワークにデフォルトモードネットワーク(DMN) がある。DMN に含まれる部位はアルツハイマー型認知症でアミロイド沈着が出現する部位に一致し,認知機能障害の出現する前の段階からその結合性が低下することが明らかとなっており,早期診断に利用が可能である。また前頭側頭型認知症など他の認知症疾患の鑑別にも有用である。最近,グラフ理論を用いたネットワーク解析も有用性が明らかとなっている。今後,解析法の標準化,簡便化を行うことで rs-fMRI の臨床応用が進展し,認知症の早期診断に貢献することが期待される。
著者
三辻 利一 小野 裕子 天野 哲也
出版者
北海道大学総合博物館
雑誌
北海道大学総合博物館研究報告 (ISSN:1348169X)
巻号頁・発行日
vol.4, pp.139-152, 2008-03-31

The pottery from the Kafukai 1 site on Rebun Island is a grey semi-hard ceramic which was manufactured on turn wheel and fired in a closed kiln at high temperatures. Based on typological analyses, two assumptions have been presented for the origin of the pottery: Sue pottery manufactured in Japan, and ceramic-like pottery made in the far eastern area of the Eurasian continent. In order to confirm these possibilities, the analytical data of the Kafukai-1 pottery were compared to both the Sue and ancient Pohai ceramics. The pottery from Kafukai-1 and the Pohai ceramics had high contents of K and Rb. Although the analytical data were not identical to those of the Pohai ceramics, they were found to be analogous. This, therefore, proves that the pottery could be a Pohai product. At the same time, the possibility of the Kafukai pottery being ancient Japanese Sue-ware was also surveyed. Generally the contents of Ca and Sr in hard ceramics are lower than in Haji ceramics, because in high temperatures above 1000oC, high contents of Ca obstruct the baking of hard ceramics. The date of the Kafukai pottery is inferred to be between the 6th and 7th centuries, and most of the Sue-ware kiln sites in the 6th and 7th centuries were concentrated in the Kinki and Toukai districts. Since the contents of the Kafukai pottery did not correspond to those from the Sue kilnsites, the date of the corresponding kiln was extended to the 9th and 10th centuries. The Mannendani kiln site located in Toyama Prefecture and the Ebisawa kiln site in Akita Prefecture along the Sea of Japan were selected as the corresponding kilns. Discriminatory analyses were carried out between the Mannendani and the Ebisawa kiln sites using the indices of K, Ca, Rb and Sr. Although the Kafukai pottery did not belong to either of these mother groups, the results were analogous to the Mannendani Sue-ware. Whether the pottery is a Mannendani product still remains to be proven. Further analyses of Sue materials produced in the middle and northern areas along the coast of the Sea of Japan indicated that these coastal regions were the most possible areas.
著者
岡本 牧子 新垣 学 小野寺 清光 飯塚 悟 宮里 大八
出版者
一般社団法人 日本科学教育学会
雑誌
日本科学教育学会研究会研究報告
巻号頁・発行日
vol.35, no.5, pp.19-22, 2021

<p>琉球大学地域協働プロジェクト推進事業「ITワークショップを通じた産学連携教育モデルの構築」の活動の一つとして,コロナ禍における県内でのプログラミング教育の実施に向け,オンライン環境でのプログラミング教育ができる教員養成,大学生メンター養成を目的とし,教員志望学生によるzoomとmicro:bitを用いたプログラミングワークショップを実施した.オンライン学習では,過渡期においてはzoomなどオンラインツールの操作方法の習得も重要であるが,授業の流れと参加者の現在地を俯瞰させることができる紙テキストの活用能力,参加者の回路や作業が確認できる教材開発能力,参加者のレベルを把握し,レベルに応じたブレイクアウトルームの活用能力が指導者の能力として重要であり,これらの能力は,教員志望学生のチームによる数回のワークショップ運営を通して身につけさせることができる.</p>
著者
入戸野 宏 小野田 慶一
出版者
日本生理心理学会
雑誌
生理心理学と精神生理学 (ISSN:02892405)
巻号頁・発行日
vol.26, no.3, pp.237-246, 2008-12-31 (Released:2012-11-27)
参考文献数
13
被引用文献数
3

アナログフィルタやディジタルフィルタは, 事象関連電位 (event-related potential : ERP) の測定・分析によく使われる。しかし, 不用意にフィルタをかけるとERP波形が大きく歪んでしまうこともある。本稿では, フィルタがどのように作用し, 時間領域に表現された信号にどう影響するかについての基礎知識を提供する。アナログフィルタとディジタルフィルタの簡単な紹介に続き, フィルタについての3つのよくある誤解について述べる。 (1) フィルタを適用した波形には遮断した周波数の信号は含まれない。 (2) ハイパスフィルタはいつも時定数として表現できる。 (3) ゼロフェーズフィルタは波形を歪めない。これら3つの命題はどれも正しくない。最後に, ERP研究におけるフィルタの使用についていくつか提案する
著者
鳥山 直樹 小野 景子
出版者
進化計算学会
雑誌
進化計算学会論文誌 (ISSN:21857385)
巻号頁・発行日
vol.9, no.2, pp.32-40, 2018 (Released:2018-06-01)
参考文献数
18

In this paper, we present an efficient sampling method for a multimodal and high-dimensional distribution. For sampling from a high-dimensional distribution, DE-MC, which is based on the Markov chain Monte Carlo(MCMC) methods, has been proposed. It showed good performance in sampling from any probability distribution based on constructing a Markov chain that has the desired distribution. However, DE-MC has inherent difficulties in sampling from a multimodal distribution. To overcome this problem, we incorporate a replica exchange method into DE-MC and propose a replica exchange resampling DE-MC method (reRDE-MC) based on sampling importance resampling to improve its performance. The proposed method is evaluated by using three types of distributions with multimodal and high dimensions as artificial data. We verified that the proposed method can sample from a multimodal and highdimensional distribution more effectively than by a conventional method. We then evaluated the proposed method by using financial data as actual data, and confirmed that the proposed method can capture the behavior of financial data.
著者
小野寺 翔汰
出版者
一般社団法人 日本科学教育学会
雑誌
日本科学教育学会年会論文集 (ISSN:21863628)
巻号頁・発行日
vol.44, pp.403-406, 2020

<p>近年,動物園ならびに水族館は生物多様性保全や環境問題などに関する科学教育へ有用な施設として,研究者の間で注目されつつある.しかし一方で動物園・水族館への社会的な関心の高まりには欠けるものがあり,生涯教育的な啓蒙には至っていないのが現状である.本研究では,一般市民への動物園・水族館に対する関心惹起の手段としてサブカルチャー作品を用いることを提案し,その一例としてメディアミックス作品「けものフレンズ」を取り上げ,アンケート調査により本作品が動物園・水族館ならびに科学教育へ与える効果を評価した.その結果,「けものフレンズ」が動物園・水族館への来園館頻度・リピーター率・園館の役割に対する理解度に寄与していることが分かり,サブカルチャー作品による動物園・水族館への関心惹起が十分可能であることが示された.</p>
著者
小野信夫
出版者
日本弁理士会
雑誌
パテント
巻号頁・発行日
vol.68, no.1, 2015-01-10
著者
小野 章
出版者
広島大学外国語教育研究センター
雑誌
広島外国語教育研究 (ISSN:13470892)
巻号頁・発行日
no.17, pp.39-55, 2014-03-01

This paper owes the definition of" focus on form" to Long and Robinson (1998):" [D]uring an otherwise meaning-focused classroom lesson, focus on form often consists of an occasional shift of attention to linguistic code features . . . ." The aim of this paper is to design teacher questions which will help implement Focus on Form (F on F hereafter) in the reading class. The text to be read is" The Selfish Giant" by Oscar Wilde, which is in Polestar: English Communication I, a MEXT-authorized senior high school English textbook. The research procedure is as follows:(1) Analysis of" The Selfish Giant" as it appears in Polestar: English Communication I(2) Reading of" The Selfish Giant"(3) Designing teacher questions for the implementation of F on FThe results are as follows: (1) Polestar: English Communication I does not include "The Selfish Giant" in its ten "Lessons" but has it as a" Further Reading." The whole of the original" The Selfish Giant" is put with a word list and some explanation on such expressions as" to-morrow" and" Who art thou?" Attached to the text is "COMPREHENSION." It consists of "Summary," "Check for understanding," and" Let's try," which have 5, 4, and 1 question(s), respectively. The point is that all the questions in" COMPREHENSION" direct our attention just to the meaning of the text, not to" linguistic code features" in Long and Robinson's term.(2) Questions asked by a teacher should be based on his/her reading of a text. So it would be necessary for us to have read" The Selfish Giant" in our own way. At the beginning of the story there is a kind of harmony in the Giant's garden with children, flowers and birds affecting one another. The harmony is destroyed when the Giant comes home, his castle. He has a" very gruff" voice which stands in stark contrast to" lovely" elements in the garden. He builds a high wall around the garden so that children cannot play in it. Harmony being destroyed, we start to detect dichotomous elements: inside and outside; mine and yours; the past and the present; winter and the other three seasons; life and death. The turning point in the story is when children creep into the garden through a little hole. As the Giant sees a tree bending its branches so that" a little boy" can reach up to them, his heart eventually" melts" and he feels really sorry for his selfish behavior. Not only his heart but also the boundaries between dichotomous elements" melt." Harmony comes back to the Giant's garden.(3) The 17 questions proposed are based on the reading in (2). All the questions should be answered with" linguistic code features" in the text as a clue. Questions 3, 4, 6, 8, 9, 10, 15 and 16 are particularly intended to direct our attention to form.