著者
立原 怜 原 祥子 小野 光美
出版者
一般社団法人 日本老年看護学会
雑誌
老年看護学 (ISSN:13469665)
巻号頁・発行日
vol.23, no.2, pp.75-83, 2019 (Released:2020-02-01)
参考文献数
14

本研究の目的は,認知症高齢者の血液透析導入後の生活を支える家族がどのような体験をしているかを明らかにすることである.血液透析に通う認知症高齢者の家族7人を対象に半構成的面接を実施し,質的記述的に分析した.その結果,【忘れてしまう注意点に配慮する】【透析を受けることの難しさにつきあう】【透析導入前からの楽しむ力を維持する】【言葉で表せない透析による身体の不調を察し対応する】【葛藤した透析の導入を前向きにとらえられる】の5つのカテゴリーが抽出された.家族は,認知症高齢者の言動に苦心しながらも,その人に合わせた日常生活や体調の管理,透析を受ける手助けをしていることが明らかになった.看護者は,できる限り早期に,家族が認知症高齢者との生活を整えられるよう支援することが必要と考える.また,認知症高齢者のもつ力を尊重している家族を認め,透析の導入を肯定的に受け止められるように関わることが大切と考える.
著者
小野 田鶴
出版者
日経BP社
雑誌
日経ベンチャ- (ISSN:02896516)
巻号頁・発行日
no.243, pp.68-71, 2004-12

派遣会社が「派遣の人数を減らしましょう!」と提案。「損して得取れ」の営業で市場を開拓している。親友二人で始めたビジネス。熱血漢の憤りに、理論派の相棒が事業化の道筋を付けた。営業の壁に資金ショートの危機——ベンチャー企業には、次々ハードルが立ちはだかったが……。 34歳の社長と33歳の専務、元同級生のコンビが、自転車で新宿の高層ビル街へ営業に乗り込む。
著者
遠藤 勝久 清田 浩 小野寺 昭一
出版者
一般社団法人 日本感染症学会
雑誌
感染症学雑誌 (ISSN:03875911)
巻号頁・発行日
vol.66, no.4, pp.522-528, 1992-04-20 (Released:2011-09-07)
参考文献数
16

本研究は尿を培地とした場合の抗菌剤の抗菌力測定が, 日本化学療法学会の定めたMueller-Hinton brothを用いた標準法とどのように異なるかを比較し, 標準法における問題点を検討したものである.さらに尿培地の物理化学的条件として, pH, マグネシウム濃度およびカルシウム濃度が尿中抗菌力測定に及ぼす影響についても検討した.尿培地は腎機能正常な健康成人男子より採取した尿を使用し, chelatingresinにより2価陽イオンを除去した.この尿をもとに, 尿のpH, マグネシウム濃度およびカルシウム濃度を変化させ抗菌力の変化を観察した.被験菌株は大腸菌を使用し, 抗菌剤はニューキノロン剤を採用した.試験管内抗菌力は日本化学療法学会の定めた標準法を用いさらに尿中での抗菌力測定も行った.その結果, Mueller-Hintonbrothを用いた試験管内抗菌力と異なる成績が得られ, 尿培地がアルカリ性に傾く程, また尿中マグネシウム濃度が低い程, 抗菌力は優れていた.尿培地中カルシウム濃度は影響を示さなかった.以上より, 尿路感染症における菌の感受性試験において, 尿中での抗菌力を正当に評価するためにはMueller-Hintonbrothでの抗菌力測定の代わりに, 尿または尿類似の培地で測定し抗菌化学療法を進めることが理想的であり, 培地のpHおよびマグネシウム濃度の影響を考慮し培地の一定化を図ることが重要であると考えられた.
著者
八里 大介 小野 健太 渡邉 誠
出版者
Japanese Society for the Science of Design
雑誌
日本デザイン学会研究発表大会概要集
巻号頁・発行日
pp.246, 2015 (Released:2015-06-11)

近年、経済状況の悪化や住民の価値観の多様化によって、行政主導でなく住民による地域活動が求められている。しかし、同じような経済状況・自然環境の2つの地域でも活動の成否が分かれることがある。その要因の一つは人的資源の差である。地域活動の先導役となる人材と、それに続く住民の有無が重要であり、彼らがうまく役割を分担できるような仕組みが求められている。本研究では、具体的な状況を把握するため京成稲毛駅近くで毎年11月に行われている灯篭祭り「夜灯祭」を事例に調査を行った。夜灯祭の運営では、リーダーが作業を細分化できなかったために、後手後手の運営に陥ったケースが見られた。不足が出ればその都度対応していくような現場調整的な運営の特徴があり、調整は立ち話の中で行われていた。そこで立ち話というスタッフ間のチェック機能を用いて、スタッフ会議中に作業の優先順位を決定できるツールを提案することで、リーダーの資質によらない運営を築く一助になると考えた。作業の優先順位をつけるにあたり、予想されるタスク同士のつながりを分類し、これを元に立ち話で抽出したタスクをスタッフ会議中に構造化できるツールを制作した。
著者
小野 忠義 足立 明巳
出版者
Japan Oil Chemists' Society
雑誌
油化学 (ISSN:18842003)
巻号頁・発行日
vol.8, no.2, pp.72-76, 1959-02-20 (Released:2009-10-09)
参考文献数
4
被引用文献数
1
著者
小野寺 淳
出版者
公益社団法人 日本地理学会
雑誌
日本地理学会発表要旨集 2008年度日本地理学会春季学術大会
巻号頁・発行日
pp.74, 2008 (Released:2008-07-19)

1.生態移民による新しい農村空間 生態移民とは、生態系を保全するために行われる移住行為やその行為に参加した人々(移民)のことを指す。寧夏回族自治区においては、“吊庄”と呼ばれる移民がよく知られており、人口圧が高く自然環境が悪化しつつある南部山間地帯から、黄河揚水灌漑事業が進展する北部平原地帯への移民を指している。南部の転出地の貧困や環境の問題についてはこれまでよく研究されてきたが、本研究では北部の転入地に焦点を当てて新しい農村空間の形成について考察したい。 2.自治区内の地域性と移民の歴史 南部が自然環境に恵まれず、大量の余剰労働力を抱えているのに対して、北部は土壌が肥沃で地勢が平坦で日照が十分であり、水利が整備されれば土地資源が豊富であると言えよう。図は南部と北部の経済水準の違いを端的に表している。こうした地域性の中で、1983年以来40万人を越える南部の貧困農民が北部へ移住した。 図 寧夏各市県の農民一人当たり純収入(2004年) (寧夏統計年鑑2006より作成). それ以前も、寧夏は中国の辺境かつ少数民族集住地区であり戦略的に重要な位置にあると認識されて、国営農場による開墾が行われていた。生態移民においても、まず政府が投資・建設をして水利施設や居住条件を整備した。そして、転出県が移民村の建設と管理を行い、それが軌道に乗ってからはじめて行政全般を転入地の地元政府に移行するという手順を踏んだ。 3.移民村の事例 永寧県閩寧鎮は銀川市の南に位置し、東は黄河の西部幹線用水路に面する。南部の西吉県や海原県からの移民4,300戸、2.2万人が相前後して定住し、うち回族は70%を占める。元は西吉県玉泉営経済開発区として始まり、1997年に先進地域である福建省の支援を得て閩寧村が成立し、2000年に閩寧村は永寧県に引き渡され、翌年に閩寧鎮となった。小麦やトウモロコシの他、菌類、果物、薬材などの生産が近年増加しつつある。隣接する国営農場の土地が請負契約に開放されたことも含めて、土地使用権の流動化が見られ、農業の大規模経営が始められている。 銀川市興泾鎮は銀川市南郊に位置し、1983年に泾源県政府が興した芦草洼移民開発区として建設が始まった。無人の荒地が今では総人口2.5万人となり、回族は99%を占める。2000年には泾源県から銀川市郊外区へ引き渡され、翌年に興泾鎮が成立した。鎮中心市街地の開発が、イスラム圏のサウジアラビアやクウェートなどからも資金が流入して進められている。羊や牛などの交易が活発であり、小麦やトウモロコシの他、施設園芸などの積極的な取り組みが見られる。 4.農村空間の形成と変容のメカニズム 本研究では、上記2つの移民村における特に土地の所有・使用関係を中心とした農家経済の分析から、農村空間の形成と変容のメカニズムを検討する。 政府の灌漑開墾事業から始まるため、土地の所有権は国にある。その上で土地の使用権がどのように移民たちに請け負われ新しい農村空間が形成されていったかを明らかにする。他方、南部の転出地の土地の所有権・使用権も移民たちの手に残されている。 また、人の流動性が高く、同時に土地の権利の流動性も高い。土地が集団所有され実際の権利関係がしばしば曖昧な中国の一般的な農村に比較して、農業経営の大規模化や多角化、さらには非農業への産業構造の転換もダイナミックに進行する可能性がある。
著者
小野 信文
出版者
公益社団法人 日本薬理学会
雑誌
日本薬理学雑誌 (ISSN:00155691)
巻号頁・発行日
vol.113, no.4, pp.203-210, 1999 (Released:2007-01-30)
参考文献数
50
被引用文献数
1 1

脳血流(CBF)は自動調節(autoregulation)能によってほぼ一定に保持されている.その調節には種々の因子が関与するが,神経性調節を中心にその特徴を述べる.CBFは圧の減少に依存する減少,血圧に依存しない一定量の保持状態,高圧時に圧に依存する増加(breakthrough)を特徴とし,自動調節は保持状態の部分である.これは全身血圧低下による酸素欠乏と全身血圧の異常上昇・CBF増加による脳浮腫から脳組織を保護するための調節機構である.脳血管の緊張低下に関係する脳内機構は,コリン神経,興奮性アミノ酸あるいはGABAなどが神経性にあるいは非ニューロン的に働いている.AChについては,前脳基底部のマイネルト核から大脳皮質へ投射する系と前脳基底部の中隔から海馬へ投射する系があり,コリン系神経興奮によって大脳皮質ではムスカリン性ならびにニコチン性受容体のいずれもCBF増加を起こし,海馬では主にニコチン性受容体を介している.血管緊張に与る系は,交感神経系支配によるノルエピネフリン,セロトニン神経などがある.セロトニンの収縮性受容体は5-HT1Dβならびに5-HT2Bであるが,一部5-HT7受容体性の拡張性も持つ.神経走行が明確でないが,NO,アンジオテンシン,ブラジキニン,PG類も自動調節に影響する.NOS阻害薬は自動調節の上限を強く抑制し,breakthrough発現を抑え,breakthrough時にはNO産生の亢進が推察される.また洞大動脈神経切除によってもbreakthrough発現が見られない.アンジオテンシンの産生を抑制すると自動調節を血圧の低い方ヘシフトする.ブラジキニンは脳血管に対しB2受容体と関連する血管拡張,血管透過性亢進ならびに血液脳関門透過性亢進作用がある.PGF2αもbreakthrough発現を抑える.また,自動調節の下限域では血中TX B2が増加し,上限域ではPG Eタイプや6-keto-PGF1αが増加し,血圧の状態によって異なるPGが産生される.
著者
岩間 絹世 小野寺 淳
出版者
公益社団法人 日本地理学会
雑誌
日本地理学会発表要旨集 2017年度日本地理学会春季学術大会
巻号頁・発行日
pp.100354, 2017 (Released:2017-05-03)

享保2(1717)年,長久保赤水は常陸国多賀郡赤浜村(現,高萩市)の農家に生まれた。本年は赤水生誕300年を迎える。赤水は「改正日本輿地路程全図」をはじめ,「大清廣輿図」などの中国図,本研究で扱う世界図「地球萬国山海輿地全図説」を刊行し,江戸時代中後期を代表する地図製作者として広く知られる。長久保赤水作製の地図については,すでに数多くの優れた研究がある。この中で,赤水作製の世界図は赤水のオリジナルではあるものの,参照した世界図が古典的であるとの評価がある。さらに,世界図の刊行は赤水主導か否か,むしろ板元の浅野弥兵衛から持ちかけられて出版したのではないかとの見解もある(金田・上杉2012),本研究では,これらの評価に対する検討を意図するものではなく,科研によって見出された長久保赤水の子孫宅や長久保赤水顕彰会収集の資料群から得た「地球萬国山海輿地全図説」に関する知見を報告する。 「地球萬国山海輿地全図説」は,寛政7(1795)年ころに刊行されたとされる(金田・上杉,2012)。当初は無刊記で発行され,板元の記載も無く,現在この初板の無刊記板は神戸市立博物館,国立歴史民俗博物館,長久保和良家(子孫の一家)所蔵(写真参照)の3鋪の現存が確認されている。その後,大坂の浅野弥兵衛より刊行され(一軒板)や,浅野弥兵衛を含む5つの書肆より刊行された五軒板があり,これらはいずれも大型版である(表1)。すでに蘭学系世界図が刊行される一方で,赤水没後には,長久保赤水閲とされる天保15(1844)年の中型版や小型版が嘉永3(1850)年まで刊行された。 ところで,享保5(1720)年,原目貞清「輿地図」が江戸の書肆出雲寺より刊行された。本図は最初のマテオ・リッチ系世界図の刊行とされ,赤水の「地球萬国山海輿地全図説」は本図を参照し,実際赤水の書き込みが残る「輿地図」(明治大学図書館蘆田文庫)が残されている。本報告では,長久保和良本と蘆田文庫本の比較,長久保赤水の子孫宅や長久保赤水顕彰会収集の資料群の検討を行った結果を報告する。 なお,本研究は科学研究費基盤研究(C)「長久保赤水地図作製過程に関する研究」(代表者:小野寺淳)の成果の一部である。
著者
宇佐美 真弓 橋本 由貴 小野 桂輔 甲佐 清輝
出版者
一般社団法人 照明学会
雑誌
照明学会 全国大会講演論文集
巻号頁・発行日
vol.38, pp.73, 2005

小田急電鉄特急ロマンスカー7代目となる「VSE」は,2005年3月より新宿_-_箱根湯本間で運行を開始した.「VSE」は「Vault Super Express(ヴォールト・スーパー・エクスプレス)」の略で,「Vault(ドーム型の天井)」をイメージした天井形状を特徴とすることにより名付けられている.車体デザインを総合プロデュースした建築デザイナー岡部憲明氏(神戸芸術工科大教授)により,従来と比較し45センチ高い天井や,景観を十分に堪能できる境目のない約4メートルの連続窓,窓側に向かって5度傾けた座席,天然石やガラスクロスの内装など,随所に様々な工夫が盛り込まれ,"最高水準の居住性とホテルのロビーのような快適な空間"を創るというコンセプトに対応している.その中で "快適な空間"の共通コンセプトに合う車内照明として照明器具を納入したので報告する
著者
関 和俊 石田 恭生 小野寺 昇 田淵 昭雄
雑誌
川崎医療福祉学会誌 (ISSN:09174605)
巻号頁・発行日
vol.17, no.1, pp.113-119, 2007

高所において生体は,いわゆる急性高山病(Acute Mountain Sickness ; AMS)症状に悩まされることが少なくない.動脈血酸素飽和度(SpO_2)を簡易に測定ができるパルスオキシメータは,酸素不足と高所順応の状態を的確に把握し,ヘモグロビンの透過率を測定できる機器であり,最近の登山には必要不可欠な装備とされている.富士山は,海抜3,776mの日本最高峰であり,低圧低酸素環境下にある.本研究では,心拍数,SpO_2およびAMSスコアを用い,富士登山における生体変化を明らかにすることを目的とした.被験者は健康な成人男女26名(男性15名,女性11名)であった.登山中の心拍数およびSpO_2の測定にはパルスオキシメータを用いた.AMSスコアの事後アンケート調査を実施した.心拍数は五合目登山前(88.8±11.8bpm;beats per minute)と比較して,富士山頂(101.2±19.3bpm)において有意に上昇した(p<0.05).SpO_2は,五合目登山前(91.4±2.0%)と比較して,富士山頂(82.1±6.5%)において有意に低下した(p<0.05).AMSスコアは「頭痛」および「めまい及び/またはふらつき」に関して山頂時に有意に高値を示した(p<0.05).このことから,富士登山においても心拍数やSpO_2は高所順化の指標となることを示唆する結果となった.また,SpO_2の測定は富士登山における高所順応が順調に獲得されているかどうかを知るための適切な指標であることが示唆された.心拍数,SpO_2およびAMSスコアを用いることによって,富士登山における急性高山病を事前に防ぐことが可能であると考えられた.
著者
小野 泰央
出版者
無窮会
雑誌
東洋文化 (ISSN:04959876)
巻号頁・発行日
no.87, pp.23-32, 2001-09