著者
山岸 宏 中村 譲 和田 芳武 沖野 外輝夫 中本 信忠
出版者
日本衛生動物学会
雑誌
衛生動物 (ISSN:04247086)
巻号頁・発行日
vol.17, no.1, pp.48-58, 1966-03-31 (Released:2016-09-05)
被引用文献数
3 2

わが国の4つの温泉地(蓮台寺, 浅間, 戸倉・上山田, 内郷)において, 温泉廃水を含む水体中に南米原産の胎生魚, グッピーが野生化し, 自然繁殖を続けていることを確認し, 主に戸倉・上山田および蓮台寺でグッピー個体群とその環境についての調査を行つた.グッピーは冬季には温泉廃水の混入する場所のみに生息する.これらの場所の水温は20℃前後に維持されている.戸倉・上山田温泉のこのような場所の一つで, グッピーは冬の終りには非常な高密度に達していた.しかし夏になるとグッピーは温泉の影響の少い農業用水, 水田, 川の岸辺の浅水部などへ広く分散する.この時期には越冬場所の個体数は著るしく減少した.これらのグッピーは下水の混入する汚濁のかなり強いところにも生息しうる.しかし耐寒性はない.グッピーの生長は非常に早く, 産子間隔も短いので, 急速に個体数が増加する.このような性質と強い雑食性によつて, 水田その他の水たまりの蚊幼虫の駆除にグッピーを利用することができる.調査した2つの温泉地の水田にはシナハマダラカとコガタアカイエカの幼虫が極めて少なかつた.
著者
菊地 雅子 渡邊 席子 山岸 俊男
出版者
The Japanese Group Dynamics Association
雑誌
実験社会心理学研究 (ISSN:03877973)
巻号頁・発行日
vol.37, no.1, pp.23-36, 1997-06-30 (Released:2010-06-04)
参考文献数
46
被引用文献数
20 20

他者一般の信頼性についての信念である一般的信頼の高さが必ずしもその人の騙されやすさを意味しないというRotter (1980) の議論, および高信頼者は低信頼者よりも他者の信頼性 (ないしその欠如) を示唆する情報により敏感であるという小杉・山岸 (1995) の知見を, 情報判断の正確さにまで拡張することによって導き出された「高信頼者は低信頼者に比べ, 他者の一般的な信頼性についての判断がより正確である」とする仮説が実験により検討され, 支持された。この結果は, 他者一般の信頼性の「デフォルト推定値」としてはたらく一般的信頼の高低と, 特定の他者の信頼性を示唆する情報が与えられた場合のその相手の信頼性の判断とは独立であることを示している。すなわち, 高信頼者は騙されやすい「お人好し」なのではなく, むしろ他者の信頼性 (ないしその欠如) を示唆する情報を適切に処理して, 他者の信頼性 (ないしその欠如) を正確に判断する人間であることを示唆している。最後に, 社会環境と認知資源の配分の観点からこの知見を説明するための一つのモデルが紹介される。
著者
能勢 隆 山岸 順一 小林 隆夫
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. SP, 音声 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.105, no.572, pp.61-66, 2006-01-20
参考文献数
8

本論文では, 隠れマルコフモデル(HMM)に基づく音声合成システムにおいて, 複数の発話様式または感情表現の表出や強調の度合を制御することを目的に, 重回帰モデルを用いた音声のスタイル制御法を提案する. 従来の重回帰HMMを用いた手法では, 音声の重要な特徴の一つである音韻継続長を担う明示的なパラメータが存在しないため, 各発話様式・感情表現を個別にモデル化した場合に比べ, 再現性が低下するという問題があった. そこで提案法では, HMMに状態継続長分布を組み込んだ隠れマルコフモデル(HSMM)を用いることで音韻継続長を明示的な制御の対象としている. 主観評価試験により, 提案法は各発話様式・感情表現の再現性だけでなく, これらの表出・強調度合の制御においても, 従来の重回帰HMMを用いた手法より優れていることを示す. また, 発話様式・感情表現の制御法の一つである補間手法との比較や, 重回帰HSMMで用いるスタイル空間の違いが合成音声に与える影響についても検討を行っている.

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著者
山岸荷葉 著
出版者
春陽堂
巻号頁・発行日
1902
著者
山岸 明浩 奥原 由真
出版者
人間-生活環境系学会
雑誌
人間と生活環境 (ISSN:13407694)
巻号頁・発行日
vol.23, no.2, pp.49-57, 2016 (Released:2018-01-10)
参考文献数
8
被引用文献数
3

本研究では,松本市内の小学校を対象に,教室内の掲示物の実態と掲示物に対する児童の意識について検討した。調査の結果,1教室当たりの平均で38件の掲示がなされており,掲示の種類については生活面の掲示物が71%と多くなっていた。掲示位置と掲示内容の関係については,生活面の掲示では教室の前側には「目標」や「決まり事」の掲示が多く,教室の後側には,「取り組み」や「メッセージ」の掲示が多くなっていた。学習面の掲示では,教室の前側には「学習の心がけ」,後側には「学習の作品」,窓側・廊下側には「学習の振り返り」が多く掲示されていた。学年による違いについては,掲示物の件数は低学年で多い傾向となり,内容は高学年になると生活面の掲示物の割合が多くなった。掲示物と児童の意識の関係については,掲示物の種類が児童の意識に強く影響しており,「予定」や「取り組み」,「学習の作品」の認知の度合いが高い結果となった。
著者
井上 政則 中塚 誠之 曽我 茂義 吉川 裕紀 長谷 学 鳥飼 秀幸 田村 全 塚田 実郎 屋代 英樹 小柳 喬幸 山岸 敬幸 陣崎 雅弘
出版者
日本小児放射線学会
雑誌
日本小児放射線学会雑誌 (ISSN:09188487)
巻号頁・発行日
vol.37, no.2, pp.134-146, 2021 (Released:2021-10-29)
参考文献数
19

リンパ系システムは水分バランスの調整に於いて重要な役割を担っている.従来リンパ系システムの重要性は認識されてきたが,臨床的にリンパ系システムの画像化が困難であり,インターベンションによる治療介入も他の脈管系と比較して遅れをとってきた.しかし近年発達してきた鼠径部リンパ節からのリンパ管造影やMR lymphangiographyは新たな画像診断とインターベンションへのへの門戸を開いた.リンパ系システムの異常はリンパ浮腫とリンパ漏に大別される.この中で,リンパ漏れまれであるが重篤になり得る状態である.術後リンパ漏はリンパ漏の原因では頻度が高く,乳び胸水や腹部リンパ漏に代表される.適切な画像診断を行い,漏れを描出することでインターベンションにて治療可能となる.本稿では,総括的に臨床に重要なリンパ管解剖,リンパ管造影,適切なリンパ管造影の選択や様々なリンパ漏に対するインターベンションによる治療戦略を概説する.
著者
鈴木 直人 山岸 俊男
出版者
日本社会心理学会
雑誌
社会心理学研究 (ISSN:09161503)
巻号頁・発行日
vol.20, no.1, pp.17-25, 2004-07-22 (Released:2017-01-14)
被引用文献数
2

This study investigated the cognitive basis of self-effacing behavior among the Japanese. Based on the premises that self-effacement among the Japanese is a form of "default self-presentation," we predicted that Japanese self-effacement will dissipate when actual self-evaluation is required. The experiment (n = 110) consisted of two phases. In Phase 1, participants took a "cognitive ability test" that consisted of 20 questions. In Phase 2, they were asked to judge if their performance on the test was above or below the average performance level in their school. In the bonus condition, participants were rewarded for making a correct judgment in their performance. In the fixed-reward condition, no reward was provided for making a correct judgment. The results from experiments 1 and 2, taken together, indicate that self-effacement observed in the fixed-reward condition was not confirmed in the bonus condition. These results suggest that self-effacement among the Japanese is a strategy for self-presentation, which they switch on and off depending on the situation.
著者
大久保 英哲 山岸 孝吏
出版者
金沢大学教育学部
雑誌
金沢大学教育学部紀要 教育科学編 (ISSN:02882523)
巻号頁・発行日
no.53, pp.89-100, 2004-02

金沢大学教育学研究科修了(福井県敦賀市立敦賀中学校)