著者
森部 豊 山本 明代 小沼 孝博 宮野 裕 舩田 善之
出版者
関西大学
雑誌
挑戦的萌芽研究
巻号頁・発行日
2012-04-01

本研究は,東ユーラシア世界で見られる草原世界と農耕世界との境界域,すなわち「農業・牧畜境界地帯」の歴史的性格・特質が,ユーラシア全域で普遍的に見られるかを検証し,将来的に,ユーラシア史の歴史像を書き換えるための準備作業を行った。その結果,「農業・牧畜境界地帯」という概念は,ユーラシア史を叙述する上では再定義する必要があるという結論に達した。
著者
山本 明彦
出版者
日本測地学会
雑誌
測地学会誌 (ISSN:00380830)
巻号頁・発行日
vol.35, no.2, pp.215-225, 1989-06-25 (Released:2011-03-01)
参考文献数
22

最近の深発地震の研究から,西南日本において南海・駿河トラフに沿って沈み込むリフィリピン海プレートは,東海地方と紀伊半島で南に凸の等深発地震面を持ち,これらの境界ではcuspを形成していることが明らかになってきた.一方,濃尾平野から琵琶湖にかけての広い地域でブーゲ異常が負になり,特に強い負の領域が濃尾平野と琵琶湖周辺にあることは以前より注目されてきた.本論文では稠密重力データを最新の地震学的成果と結びつけ,東海~近畿地方におけるプレートの沈み込み帯での重力異常を調べた.地下深部構造とそこから期待されるブーゲ異常について細かく考察するために堆積物や海水の影響を取り去った.濃尾平野および近江盆地では,深層ボーリングデータにより基底までの深さと堆積層の密度を推定した.琵琶湖の湖水の影響についても湖底地形をコンタで与え,三次元タルワニ法で計算した.伊勢湾から太平洋にかけての海上・海底の重力データに対しては海底地形を与えて海水の補正を行なった.得られた修正ブーゲ異常図では琵琶湖付近に依然として負の領域が残り,その値は-40mGalに達することがわかった.この量をモホ面の起伏で説明すると中部山岳と同程度となる.この残差ブーゲ異常をフィリピン海プレートの沈み込みに関連づけて説明してみた.フィリピン海プレートの海洋地殻は玄武岩質のまま沈み込み,伊勢湾から若狭湾にかけて大陸地殻に接している.この海洋性地殻を含めたプレートの三次元モデルから計算したプレートの重力効果により,琵琶湖を中心とした負のブーゲ異常をうまく説明することができた.琵琶湖付近での残差ブーゲ異常はフィリピン海プレートの上部にある比較的軽い海洋地殻の浅いもぐりこみのために,見掛け上,地殻が厚くなることによって生ずると考えられる.これにより,(見掛け上)モホ面が深くなっていることも地殻底地震の震源面がせりあっていることもうまく説明できた.
著者
山本 明夫
出版者
公益社団法人 高分子学会
雑誌
高分子 (ISSN:04541138)
巻号頁・発行日
vol.51, no.6, pp.459-461, 2002-06-01 (Released:2011-10-14)
参考文献数
9
著者
飛澤 慎一 堀 仁子 高橋 英俊 山本 明美 橋本 喜夫 水元 俊裕 飯塚 一
雑誌
皮膚科の臨床 (ISSN:00181404)
巻号頁・発行日
vol.46, no.2, pp.285-288, 2004-02

雑誌掲載版80歳男.約5ヵ月前に出現した痒みを伴う皮疹が全身に拡大し,掻痒も増強したため受診した.体幹及び四肢に角化性局面が多発し,病理組織学的に皮疹辺縁部に不全角化細胞の柱状堆積と角質増殖を認め,その直下の顆粒層消失,表皮細胞の空胞化,基底細胞の配列の乱れ等もみられた.抗アレルギー剤,抗ヒスタミン剤の内服とステロイド外用剤の塗布で効果が得られず,シロスタゾールとエトレチナートの内服にプレドニゾロンを追加したところ掻痒の軽減,局面の軽度縮小,皮疹辺縁隆起部の紅斑消退を認め,皮疹も改善した
著者
脇坂 真美 宋 一大 田ヶ谷 浩邦 藤田 朋恵 前田 実花 野村 今日子 小林 真美 山本 明子 坂本 泰理 田中 理英子 熊谷 雄治
出版者
一般社団法人 日本臨床薬理学会
雑誌
臨床薬理 (ISSN:03881601)
巻号頁・発行日
vol.46, no.5, pp.243-248, 2015-09-30 (Released:2016-01-15)
参考文献数
15

The aim of the present trial was to compare the sedative effects of second generation antihistamines in healthy adult male volunteers. This randomized, double-blind, cross-over clinical trial compared the effects of single doses of olopatadine 5 mg, ketotifen fumarate 1.38 mg, fexofenadine 60 mg, and placebo on psychomotor function in 15 healthy male subjects who gave written informed consent for participation in the study. For each sedative, sleep latency time was measured using the multiple sleep latency test (MSLT); and psychomotor function was measured by thresholds of critical flicker fusion (CFF), the digit symbol substitution test (DSST), and a Straight line Analog Rating Scale (LARS). Measurements were performed before and 2, 5, and 8h after drug administration. The differences between the drugs and placebo were analyzed by repeated analysis of variance (ANOVA) and paired t-tests as appropriate. Intergroup differences in baseline values of all parameters were not significant. Ketotifen induced the shortest sleep latency at 2h (p=0.03 vs. fexofenadine, p=0.03 vs. olopatadine) and 5h (p=0.04 vs. fexofenadine) after administration. Ketotifen also showed the most prolonged recognition (CFF down) at 2h (p<0.001 vs. fexofenadine, p=0.03 vs. olopatadine) and 8h (p=0.01 vs. fexofenadine). Olopatadine showed a more prolonged recognition than fexofenadine at 2h (p=0.03). Ketotifen induced the greatest decline in concentration and cognitive function at 8h (p=0.03) according to DSST. The drugs affected objective psychomotor function without causing subjective symptoms as shown by no significant differences in LARS score. The study indicates that the extent of impaired performance, an important adverse drug reaction, may differ even among second generation antihistamines.
著者
磯田 好弘 西沢 幸雄 山口 茂彦 平野 二郎 山本 明彦 沼田 光弘
出版者
Japan Oil Chemists' Society
雑誌
油化学 (ISSN:18842003)
巻号頁・発行日
vol.42, no.11, pp.923-928, 1993-11-20 (Released:2009-10-16)
参考文献数
16
被引用文献数
1 1

Various kinds of free fatty acid were examined on their antitumor activity against ascites tumor cells, Survival days of mice after administrations of free fatty acid were observed. From these data I.L.S. (Increase of life-span) was culcurated and used as a parameter of Antitumor activity. Effective fatty acids against Sarcoma-180 were as follows : Pentadecanoic acid in saturated fatty acid series of carbon number 6 to 24, oleic acid in mono-unsaturated fatty acid series, and α-linolenic and docosahexaenoic acids in poly-unsaturated fatty acid series.The most effective fatty acid in our antitumor activity research is (hydroxy phenyl) stearic acid.The mechanism on antitumor activity of free fatty acid is not made clear sufficiently but it was suggested that disorder of membrane caused by fatty acids is responsible for their antitumor effect.
著者
山本 明
出版者
一般社団法人 日本物理学会
雑誌
日本物理学会誌 (ISSN:00290181)
巻号頁・発行日
vol.72, no.3, pp.167-177, 2017

<p>超伝導技術は高エネルギー粒子加速器・素粒子物理実験フロンティアを支える基盤技術の役割を担っている.高性能・高精度な電磁場を,限りあるエネルギー資源・環境のもとで提供し,エネルギーフロンティア粒子加速器,物理実験の実現に本質的な役割を果たしている.粒子加速器における磁場利用では,超伝導技術によってコイルの電流密度を高め,高磁場磁石を実現する.高周波電場による加速では,電力効率を高めつつ高輝度化を実現する.物理実験における磁場利用では,超伝導化によりコイルの電流密度を高め,少ない物質量(壁)で大規模・磁場空間を実現する.</p><p>質量の起源を紐解くヒッグス粒子の発見をもたらした欧州原子核機構(CERN)・ラージハドロンコライダー(LHC)では,超伝導磁石技術が陽子・陽子衝突型加速器でのビーム軌道の制御,超伝導加速空洞がビーム加速の基盤技術となり,粒子検出器での二次粒子運動量分析の基盤技術となっている.</p><p>宇宙における物質 /反物質非対称性を検証したKEKB電子・陽電子コライダーにおいては,ビーム加速および高輝度化に超伝導技術が本質的な役割を果たしている.</p><p>国際協力計画として実現が期待されているエネルギーフロンティア電子・陽電子コライダー「国際リニアコライダー(ILC)」計画では,超伝導加速空洞技術が直線連続ビーム加速を支える基盤技術となる.</p><p>ニュートリノ振動の発見・検証をもたらしたSuper-Kamiokande実験は,粒子加速器と連携したT2K実験へと発展し,J-PARC加速器・陽子ビームによって生成されたニュートリノによって,ニュートリノ振動のさらなる精密観測・探索を推進している.超伝導磁石技術は,J-PARC加速器から取り出された陽子ビームを90度偏向し,神岡方向に照準を合わせニュートリノを打ち出すためのビームライン基盤技術となっている.J-PARCでは,さらにミューオンをプローブとし,「標準理論」を超える物理を探る実験が進行中であり,ミューオン生成,ビームトランスポート,崩壊過程観測用精密磁場空間のいずれにおいても,超伝導磁石が不可欠な基盤技術となっている.</p><p>衝突型加速器実験・粒子検出器における磁場利用では,超伝導コイルの外側に配置される測定器で観測される粒子は,超伝導コイルの壁を通り抜けなければならず,その際の相互作用によりエネルギー損失,散乱等を引き起こす.超伝導技術は物質を低減(薄肉化)し,コイル物質と通過粒子の相互作用を最小化することに大きく貢献する.このように,薄肉超伝導磁石技術は,「透明な磁場空間」という物理実験からの究極的な目標・要請に応える基盤技術となる.この技術は,飛翔体を用いた宇宙線観測にも新たな磁場利用の道を拓いた.さらに,これらの過程で必然的に培われた,少ない物質での効率的な伝導冷却技術は,必須な基盤技術として重力波探索・低温重力波望遠鏡(KAGRA)計画を支えている.</p><p>これら超伝導技術の発展を支える超伝導材料は,加速器超伝導磁石応用においては,NbTi合金による8 Tレベルでの実用実績を踏まえ,Nb<sub>3</sub>Sn化合物による12~16 T領域を実用視野に入れた技術開発へと発展している.超伝導加速空洞応用では,高周波応用に適した純Nb材料およびその表面技術が成熟し,30 MV/mレベルでの高電場応用が飛躍的に発展している.物理実験・粒子検出器用超伝導磁石応用においては,NbTi超伝導線を高強度・軽金属(アルミニウム)によって安定化する技術が発展し,物質的に透明な大規模磁場空間生成技術の進展を支えている.</p>
著者
山本 明史 藤原 孝幸 橋本 学 舟橋 琢磨 輿水 大和
出版者
一般社団法人映像情報メディア学会
雑誌
映像情報メディア学会技術報告 (ISSN:13426893)
巻号頁・発行日
vol.33, no.34, pp.73-76, 2009-08-27

本稿では、画像をブロック分割し、それぞれのブロックの画像中における独自性の高さを画素値とするレア度画像を提案する。レア度の計算は局所特徴量の発生頻度分布を基として行い、算出に用いる特徴はディジタル画像におけるもっとも原始的なものとして輝度値、勾配強度、最大勾配方向とした。また、レア度情報を用いることによるパターン情報等の教師を必要としない領域分割手法を提案し、3種のレア度画像それぞれにおける領域分割結果について考察する。
著者
山本 明保 Jeremy WEISS Mark AINSLIE Anatolii POLYANSKII David LARBALESTIER Eric HELLSTROM
出版者
公益社団法人 低温工学・超電導学会 (旧 社団法人 低温工学協会)
雑誌
低温工学 (ISSN:03892441)
巻号頁・発行日
vol.52, no.6, pp.397-404, 2017-11-20 (Released:2017-12-08)
参考文献数
47

This article reviews the recent development of bulk trapped field magnet made with iron-based superconductor (IBSC). A trapped field of over 1 T at 5 K and 0.5 T at 20 K has been measured between a stack of magnetized cylinders of bulk polycrystalline Ba0.6K0.4Fe2As2 superconductors 10 mm in diameter. Magneto-optical imaging revealed a trapped field distribution corresponding to uniform macroscopic current loops circulating through the sample. A standard numerical modelling technique using the measured Jc(B, T) characteristics of a small specimen reproduced the experimentally measured trapped fields well, again indicating the homogeneous current loops in the polycrystalline bulk. Given the untextured polycrystalline nature of the cylinders and their large irreversibility field, it is expected that larger IBSC bulks could trap much higher field.
著者
土久 菜穂 山本 明
出版者
公益社団法人 日本都市計画学会
雑誌
都市計画論文集 (ISSN:09160647)
巻号頁・発行日
vol.48, no.3, pp.321-326, 2013

本稿は、中世都市における山稜景観をケーススタディとして、フラクタル次元を援用した山稜景観の形態的特性の定量的な記述手法を提案し、その有用性を検証するものである。その結果、各都市の主要施設の立地特性に関する既知の諸事実について、山稜景観の形態的な側面から検証できた。さらに、主要施設を視点場とする山稜景観の形態的特性を、次の通り定量的に記述することができた。・平安京では、多くの稜線による複雑な遠景が一様にもたらされていたが、平坦な市街地中心部に立地する御所邸宅と、市街地縁辺部に立地する宗教施設からの山稜景観には差異があった。・中世平泉では、平安京的な遠景の山稜景観の土地に京文化が輸入されたことから、山を借景とする浄土空間が形成されていった。・谷戸地形を活かした中世鎌倉では、山稜を遠景として望むことが稀であり景観的な複雑さは乏しいが、幕府に庇護され山裾や谷戸周辺に立地する禅宗・新義律宗の寺院と、迫害され平地や海岸線周辺に立地する日蓮宗の寺院からの山稜景観には差異があった。
著者
三輪田 吾郎 高井 伸雄 清水 学 笹谷 努 前田 宜浩 山本 明夫
出版者
北海道大学大学院理学研究院自然史科学部門(地球物理学)
雑誌
北海道大学地球物理学研究報告 (ISSN:04393503)
巻号頁・発行日
no.73, pp.195-205, 2010-03

Nonlinear site response was observed at TKCH 07 in Toyokoro and HKD 109 in Urakawa during the mainshock(Mj 8.0)and the largest aftershock(Mj 7.1)of the 2003 Tokachi-oki Earthqua ke. At TKCH 07, peak ground acceleration(PGA)was smaller than PGA at the other strong motion station in Toyokoro. At HKD 109, the accelerogram shows a characteristic spiky waveform. Due to this spiky wave, large PGA was observed compared to the other stations in Urakawa, although PGA at HKD 109 was smaller than PGA at JMA Urakawa station during the main shock and smaller aftershocks.