著者
山本 勲 大谷 広伸 後藤 晋太朗 齊藤 啓太 都築 健太郎
出版者
特定非営利活動法人 日本禁煙学会
雑誌
日本禁煙学会雑誌 (ISSN:18826806)
巻号頁・発行日
vol.14, no.2, pp.44-50, 2019-07-10 (Released:2019-10-25)
参考文献数
12

【目 的】 経済学のアプローチから、居酒屋で禁煙を実施した際に、口コミサイトの評価が悪化するかどうかを定量的に明らかにする。【方 法】 飲食店のレビューサイトの口コミ評価や店舗の特性に関する2012年から2016年までのパネルデータ(追跡データ)を構築し、計量経済学の分析手法を用いて、禁煙の実施が居酒屋の人気度に与える影響を統計的に推定した。【結 果】 禁煙や分煙の実施は口コミ評価の得点でみた居酒屋の人気度に対して、統計的に有意な影響を与えていなかった。【考 察】 居酒屋の禁煙実施が顧客からの口コミ評価に影響を与えないという推定結果からは、喫煙環境が顧客の店舗選択の要因になっていない可能性や、たとえ喫煙者の需要が減少したとしても非喫煙者の需要が増加するためにネットでみた需要の変化は生じない可能性が示唆される。【結 論】 居酒屋で禁煙を実施したとしても、顧客からの評価が下がり、喫煙可能な競合店に顧客がシフトし、売上高が減少するとは考えにくい。よって、健康被害を防止することを目的に、政府や自治体、顧客が居酒屋に禁煙や分煙の実施を要請することは、経済学的な観点からみても正当化することができる。
著者
山田 博仁 山本 昭夫 笠原 悦男
出版者
松本歯科大学学会
雑誌
松本歯学 (ISSN:03851613)
巻号頁・発行日
vol.30, no.2, pp.129-142, 2004-08-31

It is a universal hope to retain clean teeth and dentition as long as possible. The number of patients with chief complaints of tooth discoloration and staining, and inquiries about esthetics and whitening of the teeth, are increasing. Dental treatment is shifting from the previous age of tooth pain relief and removal to the age of emphasis on esthetic recovery of natural tooth color and morphology in addition to the recovery of functionality. Therefore, it is necessary for clinicians to try to meet these various requests by patients. Although bleaching, veneer restoration, and prosthetic treatment are used for tooth discoloration and staining, we reported the following items focusing on a bleaching method, and describe clinical cases in this paper: I. Causes of tooth discoloration and staining II. Indications and contraindications for bleaching III. Technical procedures for intra-oral examination IV. Bleaching of the vital teeth 1. Office bleaching method 2. Home bleaching method V. Bleaching of the pulpless tooth 1. Walking bleach technique 2. Bleaching of the pulpless tooth using Highlight^[○!R]
著者
向井 貴彦 Padhi Abinash 臼杵 崇広 山本 大輔 加納 光樹 萩原 富司 榎本 昌宏 松崎 慎一郎
出版者
一般社団法人 日本魚類学会
雑誌
魚類学雑誌 (ISSN:00215090)
巻号頁・発行日
vol.63, no.2, pp.81-87, 2016-11-05 (Released:2018-06-01)
参考文献数
20

The North American channel catfish Ictalurus punctatus, an invasive freshwater fish introduced to Japan for aquaculture in the 1970s, has become established in several rivers and lakes, with subsequent detrimental effects on local fisheries and other freshwater fauna. The origin and invasive distribution of channel catfish in Japan was assessed from the geographical distribution of mtDNA haplotypes of channel catfish populations, utilizing partial (412 bp) nucleotide sequences of the mtDNA control region from 174 individuals collected from 7 localities. A total of 12 haplotypes (J01–J12) were found in Japanese freshwater systems. Populations in eastern Japan (Fukushima and Ibaraki Prefectures) and a fishing pond in Aichi Prefecture were characterized by many haplotypes, shared among those localities. However, the haplotype compositions of populations in western Japan (Yahagi River, Aichi Prefecture and Lake Biwa water system, Shiga Prefecture) differed from the former and also from each other. A phylogenetic analysis using Japanese (nonindigenous), Chinese (non-indigenous) and United States (indigenous) haplotypes indicated that all of the Asian haplotypes were included in "Lineage VI," distributed over a wide area of the United States, confirming that lineage as the primary source of introduced Asian populations. However, the introduction of channel catfish into Japan occurred on at least three occasions (in eastern Japan, Yahagi River and Lake Biwa water system).
著者
浅沼 靖 宮本 武美 秋山 順 中川 宏 堀 覚 北岡 正見 大久保 薫 熊田 信夫 鈴木 誠 柄沢 敏夫 久郷 準 山本 久 川村 明義
出版者
日本衛生動物学会
雑誌
衛生動物 (ISSN:04247086)
巻号頁・発行日
vol.10, no.4, pp.232-244, 1959
被引用文献数
1 4

Among the cases of scrub typhus newly recognized in Japan after the World War II, those prevalent in the Izu Shichito Islands of Tokyo Prefecture, in Awa-gun, Chiba Prefecture, and in Mt. Fuji area, Shizuoka Prefecture, are called as the "Shichito type scrub typhus" or as the "scutellaris type scrub typhus, " and Trombicula scutellaris has been presumably incriminated as a potential vector of this type of scrub typhus. The study on scrub typhus in Chiba Prefecture was commenced in 1952, when the so called "twentydays fever, " an endemic disease in this Prefecture, was assumed to belong to a scrub typhus by Kasahara et al. (1952) and Kitaoka et al. (1952).

1 0 0 0 OA 虚鐸伝記

著者
山本守秀 解註
出版者
楽文堂
巻号頁・発行日
1925
著者
山本 真也 中村 高志 内山 高
出版者
日本水文科学会
雑誌
日本水文科学会誌 (ISSN:13429612)
巻号頁・発行日
vol.47, no.2, pp.49-59, 2017-08-28 (Released:2017-09-20)
参考文献数
26
被引用文献数
3

河口湖では従来,冬季の不凍箇所の分布から湖底湧水の存在が示唆されてきたが,その詳細な分布や起源についてはいずれも推定の域を出ないのが現状であった。本研究ではこうした河口湖の湖底湧水の実態を探るため,電気伝導度水温水深計(CTD計)による水文調査並びに水中カメラ及びソナーを使った湖底探査を行った。その結果,鵜の島の東約100 mの観測点で,周囲より水温が高く,電気伝導度の低い水塊が分布している様子が観測され,湖底からの水の湧出が推察された。また湖底探査の結果,上記観測点を含む半径約25 mの領域で,湖底に被泥が見られないなど,湖底湧水地によく見られる特徴を呈していた。更に,この場所で湖底直上水を採取し水の安定同位体比を測定したところ,その値は周辺の地下水に近く,この場所が湖周辺の山間部で涵養された地下水が湧出する湖底湧水であることが示唆された。
著者
平野 博文 山本 澄子
出版者
理学療法科学学会
雑誌
理学療法科学 (ISSN:13411667)
巻号頁・発行日
vol.35, no.3, pp.335-339, 2020 (Released:2020-06-20)
参考文献数
10
被引用文献数
1

〔目的〕座位上肢リーチ動作の際の重心移動・殿部~下肢の床反力や胸郭~骨盤角度を運動学・運動力学的に分析し,その特性を明確にすることである.〔対象と方法〕若年健常者20名とした.座位姿勢で前方方向へ右手を伸ばす課題を行った.開始姿勢から目的物把持姿勢までの重心位置・床反力上下成分・体幹角度や骨盤角度の変化量を計測した.〔結果〕目的物の方向へ重心移動を行っていたが,床反力は非リーチ側の殿部へ留めて動作を行うことがわかった.角度の変化量では胸郭角度は,前傾・右側方傾斜・左回旋,骨盤角度は,前屈・右側方傾斜・左回旋,骨盤胸郭相対角度は前傾・右側方傾斜・左回旋とほとんどが共通した結果となった.〔結語〕健常者の前方リーチ動作は,非リーチ側殿部の床反力変化量を残存させながらそれらを基盤とし,動作戦略が図られることが示唆された.
著者
日谷光 一郎 山本 禎子 竹内 忍 宮下 洋 白井 厚治
出版者
一般社団法人 日本糖尿病学会
雑誌
糖尿病 (ISSN:0021437X)
巻号頁・発行日
vol.47, no.6, pp.447-451, 2004-06-30 (Released:2011-03-02)
参考文献数
13

症例は28歳, 女性. 2002年4月に高血糖を指摘されたが, 眼底写真では網膜症は認めず, 精査後通常インスリン療法が開始された. 4月に15.596であったHbA1c値は, 8月には7.996に減少した. 眼科所見は6月の時点で軽症非増殖網膜症であったが, 9月には中等度増殖網膜症に進行したため汎網膜光凝固を開始し, 強化インスリン療法を開始した. その後のHbA1c値は6~796で経過し, 網膜症は鎮静化した. 血糖是正に際しては, 今回のように急激に網膜症が進行する症例があるので, 血糖是正を開始する時には, 内科と眼科の密接な連携が必要であると思われた. また, 一時的に網膜症が増悪しても, 良好な血糖コントロールを継続し, 適切な時期および方法の眼科的治療を行うことによって網膜症の進行が阻止できると思われる.
著者
片倉 直子 山本 則子 石垣 和子
出版者
公益社団法人 日本看護科学学会
雑誌
日本看護科学会誌 (ISSN:02875330)
巻号頁・発行日
vol.27, no.2, pp.2_80-2_91, 2007-06-20 (Released:2011-09-09)
被引用文献数
5 1

本研究は,統合失調症をもつ者への効果的な訪問看護を,その目的と技術に着目して明らかにした.対象は,統合失調症をもつ利用者を2年以上継続して看護し,その間利用者に入院のなかった経験をもつ7名の訪問看護師,およびこの7名の訪問看護を受けた9名の利用者である.訪問看護師へのインタビューと訪問場面の参加観察を,質的に分析した.効果的な訪問看護では,利用者の地域生活に対する意志を看護師が了解する前後で目的が変化していた.意志を了解する前の段階では,「利用者の意志表出に道を付ける」が目的となり,「利用者の状況を五感でみる」「精神障害者として生きてきた体験の把握」「その人らしい特性の把握」「意図的に日常(ふだん着)の自分を使う」等の看護技術を用いていた.利用者の意志を了解した後は,「利用者に必要な生活能力を育成する」が目的となり,一部上記の技術を継続しながら「生活上の対処能力の把握」「意図的な日常の自分と専門家としての自分を使い分ける」等の技術を用いていた.