著者
高岡 宏行 鈴木 博
出版者
日本衛生動物学会
雑誌
衛生動物 (ISSN:04247086)
巻号頁・発行日
vol.35, no.1, pp.7-45, 1984
被引用文献数
19 58

著者の一人鈴木が1978・1979年にタイ北部で採集したブユの標本を分類学的に検討した。その結果, 従来の既知3種のほかに, 7新種, 5新記録種を含む19種のブユが分布していることがわかった。これらはすべてブユ属(Simulium)に属し, さらに, 亜属段階では, ツノマュブユ亜属(Eusimulium)に3種, ナンヨウブユ亜属(Gomphostilbia)に3種, ヒマラヤブユ(新和名)亜属(Himalayum)に1種, さらにアシマダラブユ亜属(Simulium)に12種が分類された。既知3種のうちマレー半島を模式産地とするS. hackeri Edwardsは, タイ国での分布の根拠となっていた副模式標本(雌成虫, 英国国立自然博物館所蔵)が模式産地の標本と異なることから, 分布種から除かれた。同時に当該のタイ国産副模式標本に基づいて, 新種(S. barnesi)を記載した。また, インドのアッサム州より記載されたS. indicum Becherの同物異名とされていたS. nigrogilvum Summersは, 雌雄成虫, 蛹, および幼虫の各発育期で形態的差異が見出されたので, 有効種として復活した。
著者
地代 康政 出岡 宏二郎 塩谷 亮太 安藤 秀樹
雑誌
研究報告システム・アーキテクチャ(ARC) (ISSN:21888574)
巻号頁・発行日
vol.2016-ARC-219, no.14, pp.1-6, 2016-03-17

特性の異なる複数の実行系を単一コア内にそなえ,それらを使い分けることによってエネルギー効率を向上させる Tightly-Coupled Heterogeneous Cores(TCHCs) が提案されている.TCHCs の一つであるコンポジット・コアでは,インオーダとアウト・オブ・オーダのバックエンドを備えており,両者を切り替えて使用する.しかしコンポジット・コアはバックエンド切り替えペナルティや切り替えアルゴリズムの問題により,十分に消費エネルギーを削減できていない.この問題を解決するため,本研究では我々が提案してきた TCHC である Front-end Execution Architecture(FXA) をベースとして,低消費電力な実行モードを追加した Dual-Mode Front-end Execution Architecture(DM-FXA) と,そのためのモード切り替えアルゴリズムを提案する.提案手法を評価した結果,通常のアウト・オブ・オーダ・スーパスカラ・プロセッサと比較して 96.8%の性能を維持しつつ,平均 38.8%のエネルギー削減を達成した.
著者
飛岡 宏 千田 敏之
出版者
日経BP社
雑誌
日経ヘルスケア21 (ISSN:13463799)
巻号頁・発行日
no.140, pp.40-42, 2001-06

岡山市医師会は今年、市内の複数の病院とともに診療所開業医の情報化を推進するための事業をスタートさせた。 「電子メール・メーリングリスト」「かかりつけ医紹介システム」「1医療機関、1ホームページ」「電子認証システム」の四つの柱からなる同事業の概要やその目的について、市医師会理事の飛岡宏氏に聞いた。
著者
津田 敏秀 三野 善央 山本 英二 松岡 宏明 馬場園 明 茂見 潤 宮井 正彌
出版者
日本衛生学会
雑誌
日本衞生學雜誌 (ISSN:00215082)
巻号頁・発行日
vol.52, no.2, pp.511-526, 1997-07-15
被引用文献数
2 1

Kondo's "Incidence of Minamata Disease in Communities along the Agano River, Niigata, Japan (Jap. J. Hyg. 51: 599-611; 1996)" is critically reviewed. The data of the article were obtained from most of the residents living in the Agano river villages where Minamata disease was discovered in June, 1965. However, sampling proportions were much different between in the population base and in the cases. The method of identification of cases from the data and the reason for the difference were not clearly demonstrated. The citations of reference articles are insufficient despite the fact that other epidemiologic studies on methyl-mercury poisoning have been reported not only in Japan, but also around the world. His"analysis of the recognized patients" is erroneous. Both the sampling scheme of information of hair mercury and the modeling of the analysis are based on Kondo's arbitrary interpretation, not on epidemiologic theory. His "analysis of the rejected applicants" is also erroneous. His calculations of the attributable proportion are incorrect and self-induced in both the assignments of data and analysis of data. Kondo has failed to study the epidemiologic theories in light of changes in the field. Therefore, his article is lacking in epidemiologic theory, a logical base and scientific inference.<BR>In Japan, epidemiologic methodology has rarely been used in studies on Minamata Disease in either Kumamoto and Niigata. The government has used neurologically specific diagnosis besed on combinations of symptoms to judge the causality between each of symptoms and methyl-mercury poisoning. Epidemiologic data obtained in Minamata, Kumamoto in 1971 indicate that the criteria set by the government in 1977 have produced much more false-negative patients than false-positive patients. As a result, a huge number of symptomatic patients, including those with peripheral neuropathy or with constriction of the visual field, did not receive any help or compensation until 1995. The authors emphasize that the causal relationship between each symptom and methyl-mercury exposure should be reevaluated epidemiologically in Japan.
著者
津田 敏秀 馬場園 明 三野 善央 松岡 宏明 山本 英二
出版者
日本衛生学会
雑誌
日本衞生學雜誌 (ISSN:00215082)
巻号頁・発行日
vol.51, no.2, pp.558-568, 1996-07-15
被引用文献数
3 2 3

Changes of causal inference concepts in medicine, especially those having to do with chronic diseases, were reviewed. The review is divided into five sections. First, several articles on the increased academic acceptance of observational research are cited. Second, the definitions of confounder and effect modifier concepts are explained. Third, the debate over the so-called "criteria for causal inference" was discussed. Many articles have pointed out various problems related to the lack of logical bases for standard criteria, however, such criteria continue to be misapplied in Japan. Fourth, the Popperian and verificationist concepts of causal inference are summarized. Lastly, a recent controversy on meta-analysis is explained. Causal inference plays an important role in epidemiologic theory and medicine. However, because this concept has not been well-introduced in Japan, there has been much misuse of the concept, especially when used for conventional criteria.
著者
大坪 研一 中村 澄子 諸岡 宏 藤井 剛 布施 隆 川崎 信二
出版者
Japanese Society for Food Science and Technology
雑誌
日本食品科学工学会誌 : Nippon shokuhin kagaku kogaku kaishi = Journal of the Japanese Society for Food Science and Technology (ISSN:1341027X)
巻号頁・発行日
vol.46, no.4, pp.262-267, 1999-04-15
被引用文献数
10 12

最近需要が増加しつつある市販のおにぎりや弁当,調理済み米飯類の原料米の品種表示と内容の確認をするための客観的技術の開発を行った.<BR>国内作付け上位10品種の精米を簡易炊飯し,それぞれの米飯1粒を試料とし,α-アミラーゼおよびプロテイナーゼKによって処理した後に,DNAをフェノール抽出し,10量体5種類および12量体1種類のプライマーを用いたPCRによって増幅した後,電気泳動に供し,パターンの比較を行った.その結果,米飯1粒を試料として,国内産上位10品種の品種を識別することが可能となった.
著者
大家 寛 森岡 昭 小林 香 飯島 雅英 小野 高幸 宮岡 宏 岡田 敏美 小原 隆博
出版者
宇宙航空研究開発機構
雑誌
宇宙科学研究所報告. 特集 (ISSN:02859920)
巻号頁・発行日
vol.25, pp.19-49, 1990-01

科学衛星あけぼの(EXOS-D)衛星に塔載されたプラズマ波動及び波動励起観測実験(PWS)装置は, アンテナ伸展が行なわれた1989年3月以来, 順調に観測を開始した。自然プラズマ波動の観測では, 全軌道領域において20kHzから5MHzの周波数帯域のダイナミックスペクトラム観測を行っている。その主要な結果は以下のとおりである。i)高域混成共鳴放射(UHR放射)があけぼの衛星の全軌道域において観測され, この放射の空間分布からプラズマ圏の構造が明らかにされた。ii)オーロラ粒子加速域領域に関連してオーロラキロメータ放射(AKR)が観測されている。このAKRの偏波とポィンティングフラックスの計測も同時に行なわれている。これ等の観測データからAKRの放射メカニズム及びオーロラ粒子加速域の構造を研究することが可能となる。観測データは加速域においてAKR波動の成分として静電的プラズマ波動とZ-モード波動が共存していることを示している。iii)プラズマ圏の赤道域において, 高域混成共鳴(UHR)放射が強い強度をもって出現することが発見された。この放射の強度増大は2つの種類の擾乱を示唆している。即ち, 第1は, EPWAT (Equatorial Enhancement of the Plasma Wave Turbulence)と名付けられた現象に対応し, 高域混成共鳴放射の強度を増大させるミクロナなプラズマ不安定であり, 第2は, EPDET (Equatorial Plasma Density Turbulence)と名付けられた現象に対応し, プラズマ密度の乱れに起因する高域混成共鳴放射時の不規則変化である。EPWAT現象は高度1,000kmから9,000kmの磁気赤道域をdisc状にとりかこむものであり, 一方EPDETは高度1,000kmから9,000kmの領域の地理的赤道をもう1つ別のdiscを形成して存在する。iv) PWSのサウンダー実験も順調に成果を出しており, 基本的なプラズマ共鳴である周波数f_<UHR>における高域混成共鳴, 周波数nf_C (n=1,2,3,…)における電子サイクロトロン高調波共鳴, 及びプラズマ共鳴(f=f_P)が観測されている。拡散型プラズマ共鳴系列であるf_<Dn>もまた静電的プラズマ共鳴であるf_<Qn>と伴に観測されている。この現象が観測される高度は3,000km以上にも及んでいる。非常に長い継続時間をもつダクトエコーが, 6,000kmの高度においても観測された。これらすべての結果は, PWSデータが, オーロラ粒子加速域に加えて, プラズマ圏, 電離圏のすべての領域におけるプラズマ及びプラズマ波動の研究に極めて重要な貢献をするであろうことを約束している。
著者
長岡 宏明 永峰 正幸 嶽間澤 博 松田 稔 鈴木 義久
出版者
公益社団法人日本放射線技術学会
雑誌
日本放射線技術學會雜誌 (ISSN:03694305)
巻号頁・発行日
vol.50, no.8, 1994-08-01

センサー自体に厚みがあるため、被写体に密着しての撮像が不可能となった。検知感度については光センサータイプが優れ、空気圧センサータイプは特に感度が鈍かった。しかし、感度が良すぎても、髪の毛や衣服などで検知する等、取扱上で不便な点もあった。外周センサータイプでは危険なほど圧迫してもセンサーが感知しないこともあった。
著者
高岡 宏行 HADI UPIK KESUMAWATI
出版者
Japanese Society of Tropical Medicine
雑誌
Japanese Journal of Tropical Medicine and Hygiene (ISSN:03042146)
巻号頁・発行日
vol.19, no.4, pp.357-370, 1991
被引用文献数
2 4

1990年12月から1991年1月にかけて, ジャワ島において吸血性昆虫ブユの採集調査を行い, 得られた標本を検討した結果, 数種の新種が含まれていることが分かった。本論文では, ブユ属アシマダラブユ亜属に属する2新種の記載を行った。1種は, <I>tuberosum</I>グループに属し, 蛹の呼吸管基部近くの外皮に小孔を有し, 呼吸管糸が6本とも極めて短いなど, 他の近似種に見られない特徴を有する。本グループに属するブユ種は, これまでにインドネシアからは報告がなく, 本種が初めての記録である。他の1種は, これまで<I>Simulium iridescens</I>の変種とされていたブユであるが, 蛹の呼吸管糸が袋状に大きくなっているなど, 幾つかの形態的な違いがあることから, <I>S.iridescens</I>から独立させ, 新種名を与えて記載を行った。
著者
松岡 宏明 泉谷 淑夫 赤木 里香子 大橋 功 萱 のり子 新関 伸也 藤田 雅也 大嶋 彰
出版者
大阪総合保育大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2014-04-01

図画工作科・美術科における鑑賞学習指導には、その目標設定と評価の在り方に課題があることを全国調査により突き止めた。そこで、鑑賞学習ルーブリック(コモンルーブリックと題材ルーブリック)を作成し、現場教員に実践をしてもらいながら共同研究を重ね、全国3箇所で活用実践報告会を開催した。また、同時に『鑑賞学習ルーブリック&ガイド』5000部を完成させ、学会や研究会などを通して全国の実践者に届けた。さらにその成果と課題を学会誌に研究論文として発表するとともに、学会の口頭発表を4回に渡って行った。
著者
平林 邦昭 内田 学 山口 拓也 吉川 健治 西岡 宏彰 谷口 雅輝 木村 太栄 木野 茂生 中林 洋
出版者
一般社団法人日本消化器外科学会
雑誌
日本消化器外科学会雑誌 (ISSN:03869768)
巻号頁・発行日
vol.34, no.11, pp.1645-1649, 2001-11-01
被引用文献数
8

患者は70歳の女性で, 6か月前に下血と意識消失発作で入院歴がある.そのときは胃・大腸内視鏡, 出血シンチグラフィーで異常を認めず軽快退院している.今回同様の症状で再入院し, 出血シンチングラフィーと腹部アンギオグラフィーで空腸動静脈奇形(arteriovenous malformation;以下, AVMと略記)と診断した.術中の病変部位の同定に難渋すると考え, 術直前に腹部アンギオグラフィーを施行し病変近傍にマイクロカテーテルを留置し開腹手術を行った.予想どおり術中の触診, 視診では病変は全く不明であり, 留置しておいたカテーテルの触診を頼りに病変のおよその部位を判断しサブライトを透光することで病変を肉眼でとらえることができた.切除標本の血管造影と特徴的な病理所見よりAVMと確定診断をくだした.