著者
若林 慶彦 岡本 敏明 斉藤 浩一 工藤 寛之 三林 浩二
出版者
自動制御連合講演会
雑誌
自動制御連合講演会講演論文集 第50回自動制御連合講演会
巻号頁・発行日
pp.21, 2007 (Released:2008-12-11)

本研究では細胞膜での能動輸送のように、化学物質を認識しその化学エネルギーを力学エネルギーに、常温・常圧で直接変換する新規な駆動機構「有機エンジン」を生体材料と有機材料を用いて作製し、この有機エンジンを利用することで、液体成分やその濃度で駆動・制御可能な生化学式アクチュエータを開発した。
著者
工藤 恵理子
出版者
日本グループ・ダイナミックス学会
雑誌
実験社会心理学研究 (ISSN:03877973)
巻号頁・発行日
vol.46, no.1, pp.63-77, 2007 (Released:2007-09-05)
参考文献数
26
被引用文献数
2 3

本研究は人々が自分の好みや判断が他者に見透かされる程度を過大視する傾向(透明性の錯覚)が未知の他者が相手の場合よりも,友人が相手の時により顕著になることを示した。研究1では,被験者間デザインを用いて友人間と未知者間の透明性の錯覚の程度を比較した。友人間での方が錯覚量が大きいことが示された。研究2では,社会的規範により友人間での透明性の錯覚が増大しているという代替説明を検討した。友人間の透明性の錯覚は,実験参加者が正確な推測に動機づけられている場合でも低減せず,社会的規範の代替説明は棄却された。他者の選好や判断を見透かすことのできる程度に関する錯覚についても検討がされ,友人間での方がこの錯覚も大きくなることが示されたが,未知の他者の選好や判断を見透かすことのできる程度についての錯覚は正確な予測が動機づけられた場合増大した。これらの錯覚をもたらすメカニズムについて考察がなされた。
著者
小倉 英里 工藤 真代 柳 英夫
雑誌
研究報告デジタルドキュメント(DD)
巻号頁・発行日
vol.2010-DD-78, no.5, pp.1-8, 2010-11-19

グローバル経済が加速する中で,英語版ドキュメントは海外市場進出の要となる.しかし,多くのメーカー企業では,英語版ドキュメントの言語品質の低さに悩まされている.英語のネイティブライターが関与していないことも原因のひとつだが,それ以上に,英訳を視野に入れて日本語版ドキュメントが作られていないことが,その最大の原因である.この研究では,英訳しづらい日本語の表現パターンを洗い出し,そのような日本語表現を規制できるかを検証し,規制された日本語は,その英訳の品質が改善することを明らかにした.
著者
奥川 裕 工藤 恵理子
出版者
日本社会心理学会
雑誌
社会心理学研究 (ISSN:09161503)
巻号頁・発行日
vol.26, no.3, pp.202-210, 2011

In this study, we investigated the effect of experiencing a delay while viewing a webpage on the viewers' attitudes toward the information provided on the webpage. In the world of the Internet, not all viewers of a webpage are highly motivated to seek information. Many are less motivated and are thus susceptible to peripheral cues such as experienced delays while they view a webpage. Participants were requested to view a fictitious webpage about oral contraceptives (OC) and to rate their attitudes regarding the use of OC. Half the participants experienced a time lag while viewing the webpage, whereas the other half viewed the webpage without the time lag. Results indicated that although the delay did not influence the participants' attitudes toward the use of OC, participants' perception of the delay negatively affected the participants'attitudes toward the use of OC. Moreover, a mediation analysis revealed that the effect of the perception of the fluency on participants' attitudes was mediated by the perceived benefits of OC. A possible underlying mechanism, experienced fluency of information processing, was discussed.
著者
佐藤 智子 水内 英充 工藤 隆一 橋本 正淑 赤間 正義 石山 好人
出版者
公益社団法人 日本臨床細胞学会
雑誌
日本臨床細胞学会雑誌 (ISSN:03871193)
巻号頁・発行日
vol.24, no.2, pp.124-131, 1985 (Released:2011-11-08)
参考文献数
16

子宮内膜細胞採取器のオネストブラシと増淵式吸引チューブを用いて2,756例について比較検討を行い以下の成績を得た.1) ブラシ法では吸引法より圧倒的に大量の内膜細胞採取が可能だった.2) 標本上の赤血球の混入はブラシ法に多かったが, 読影が困難となるものはごくわずかだった.3) 頸部由来細胞の混入はブラシ法の方が少なかった.4) 標本の粘液による汚染や組織球の混入は, 両者の問でほとんど差が認められなかった.5) パパニコロークラス分類において吸引法の方がブラシ法より低いクラスに診断されるものが一部の症例に認められた.6) 内膜細胞診実施可能率は, 吸引法で91.8%, ブラシ法で95.5%と大きな差は認められず, 高齢層ではブラシ法の方が可能率が高かった.7) ブラシ法施行に伴う痛みや出血はごく軽度のものが大部分を占め, 従来考えられていたほど大きな欠点とは考えがたい.以上, オネストブラシはスクリーニングに用いる器具として非常に有用であると考えられる.
著者
工藤 慎太郎 中村 翔
出版者
公益社団法人 日本理学療法士協会
雑誌
理学療法学Supplement Vol.43 Suppl. No.2 (第51回日本理学療法学術大会 抄録集)
巻号頁・発行日
pp.0733, 2016 (Released:2016-04-28)

【はじめに,目的】外側広筋(VL)の滑走性の低下は,膝屈曲可動域制限や,VLの伸張性の低下を惹起するため,臨床上問題となるが,その計測手法は確立されていない。一方,超音波画像診断装置(US)は,運動器の形態や動態を高い再現性のもと計測できる(佐藤,2015)。我々は膝自動屈曲に伴い,VLが後内側に滑走することを示している(中村,2015)が,この動態が筋の硬度や張力,疲労など,どのような要素を反映しているかは不明である。我々はVLの動態に合わせた徒手的操作により,VLの伸張性や圧痛と共に,筋の動態が改善することを明らかにしている(中村,2015)。そこでVLの動態には筋硬度や圧痛が関係していると仮説を立てた。本研究の目的はVLの膝屈曲運動時の動態が筋の柔軟性や圧痛を反映しているか検討することである。【方法】健常成人男性20名40肢(平均年齢20.0±2.3歳,身長167.4±5.8cm,体重59.9±6.9kg)とした。USにはMy-Lab25を用い,自動屈曲運動時のVLの後内側への変位量(VL変位量)を計測した。測定モードはBモード,リニアプローブを用い,腹臥位にて大腿中央外側にてVLと大腿二頭筋を短軸走査で確認し,プローブを固定した。膝関節完全伸展位から90度屈曲位までの自動運動中のエコー動画から,完全伸展位と90度屈曲位の画像を抽出しVL外側端が移動した距離をVL変位量としてImage-Jを用いて計測した。また筋硬度,圧痛を大腿中央外側にてそれぞれ筋硬度計,圧痛計を用いて計測した。さらに,自作した装置に徒手筋力測定器を設置し,膝他動屈曲時の抵抗力(以下,抗力)を測定した。VL変位量と筋硬度,圧痛,抗力の関係性を検討した。統計学的処理にはR2.8.1を使用し,Spearmanの順位相関係数(有意水準5%未満)を用いた。【結果】VL変位量と抗力はr=0.51と有意な相関関係を認めた。またVL変位量と筋硬度はr=0.71と有意な相関関係を認めた。一方,VLの動態と圧痛は有意な相関関係を認めなかった。【結論】本研究の結果,VL変位量はVLの筋硬度を反映するが,圧痛の程度は反映しないものと考えられた。抗力は筋の長軸上に発生する弾性力を示すのに対して,筋硬度計による計測は,筋以外の皮下組織や皮膚の硬度も反映する(Ichikawa, 2015)。我々の先行研究では,大腿外側の筋硬度計を用いた計測は,VLの硬度と相関を認めず,周囲の結合組織の硬度と相関を認めた(洞庭,2015)。つまり,大腿外側部の筋硬度計による硬度は皮下組織や外側筋間中隔などのVL周囲の結合組織の硬度を反映していると考えられる。筋周囲の結合組織は隣接する筋間との滑走性を保証する。すなわち,VL変位量はVLの硬度とともに,周囲組織との滑走性を反映するものと考えられた。蒲田らは筋間の滑走性の重要性を指摘しているが,定量的測定は困難であった。USによるVLの動態評価はVL周囲の滑走性を定量的に測定でき,今後の外傷予防や疼痛発生機序の解明に有効になる可能性がある。
著者
持丸 博 川並 汪一 工藤 翔二 仁井谷 久暢
出版者
The Japanese Respiratory Society
雑誌
日本胸部疾患学会雑誌 (ISSN:03011542)
巻号頁・発行日
vol.33, no.3, pp.268-274, 1995-03-25 (Released:2010-02-23)
参考文献数
25

シリカを経気管的にSDラットに投与し, 肺胞壁の線維化と肺胞毛細血管内皮細胞の化生の発現機序について免疫組織化学的電顕的に観察した. 投与直後より肺胞毛細血管は虚脱し, 内皮細胞は広い範囲にわたり壊死を示した. 腔内にはシリカによる肉芽腫が形成され, 同部へ肺胞壁の線維芽細胞が侵入増生し膠原物質を産生した. 同病変は再生上皮細胞で被覆され間質線維化が誘導された. 投与4日目に細気管支周囲の小血管の内皮細胞がPCNA (増殖細胞核抗原) 陽性を示した. 同胞体は肺胞毛細血管に沿って遊走し壊死に陥った内皮細胞を置換した. 1ヵ月目以降, 正常では陰性の肺胞毛細血管は, Factor-VIII related antigen (F-VIII) 陽性となり, 電顕的には Weibel-Palade 小体が出現した. 一部の毛細血管には, 気管支動脈系毛細血管内皮細胞の特徴を示す有窓構造の出現を認めた. この化生は新生内皮細胞の起源が気道系血管であることを示唆すると思われた.
著者
工藤 龍太
出版者
日本武道学会
雑誌
武道学研究 (ISSN:02879700)
巻号頁・発行日
vol.52, no.2, pp.39-55, 2020-03-31 (Released:2020-08-26)
参考文献数
100

The purpose of this study is to examine the researches on atemi-waza by Kano Jigoro, the founder of judo, and his pupils to clarify the development of the theory of judo as a martial art during the prewar Showa era. The main points are summarized as follows:According to Kano, atemi-waza should be practiced in the shobuho (the martial arts system of judo) kata as part of the judo system. It was a dangerous technique which had the potential to kill or wound an opponent, but as judo is a martial art, it was also an essential technique. Kano created the “Seiryoku-Zenyo-Kokumin-Taiiku” (Maximum- Efficiency National Physical Education) in which there is solo practice that, starting from shizentai (natural posture), teaches atemi-waza that use the hands and feet. Through this kata, Kano’s aim was for practitioners to achieve all of the shobuho, taiikuho (the physical education system of judo) and shushinho (the intellectual and moral system of judo).Seiryoku-Zenyo-Kokumin-Taiiku became a model method for practitioners to learn atemi-waza, and it was a kata method adopted in judo which had become a compulsory subject in school physical education in 1931. Based on this kata, other new atemi-waza kata were devised into which research was carried out regarding their physical education aspects. Concerning its martial art aspects, research was more developed in times of war. Nango Jiro , the second Kodokan president, also studied and trained in atemi-waza and established an in-house atemi-waza research committee at the Kodokan in 1942, and conducted systematic research into it.Tomiki Kenji, who trained in judo and aikijujutsu, conceived judo as a comprehensive combat art that integrated both kendo and judo principles. In the thesis “The systematic study of techniques while maintaining distance in judo” (1942), Tomiki regarded atemi-waza as the opening technique of an attack which could change into a throwing technique or joint-locking technique. Tomiki thought that atemi-waza using the hand blade from hanmi (oblique stance) was important. He transformed Kano’s dangerous atemi-waza into another which was based on the principle of throwing techniques in judo. The purpose of that atemi-waza was to touch and topple the opponent by using the hand blade.Regarding the development of the theory of judo as a martial art, on the assumption that atemi-waza was an essential technique, there were two research directions: the pursuit of killing techniques and the technical uniqueness of judo.
著者
関 巴瑠花 三浦 哲都 向井 香瑛 工藤 和俊
出版者
一般社団法人 日本体育学会
雑誌
日本体育学会大会予稿集 第69回(2018) (ISSN:24241946)
巻号頁・発行日
pp.111_2, 2018 (Released:2019-01-18)

緊張や不安を感じながらも大観衆の前で美しく踊るバレリーナには、どのような心理生理学的な反応が生じているのだろうか。これまでパフォーマンス不安による心理生理学的な反応は、主に実験室での模擬的な環境内で測定されてきており、実環境におけるパフォーマンス本番での測定は極めて少ない。また、パフォーマンス不安に関する研究は楽器演奏をする音楽家や低強度運動時のスポーツ選手を対象にしたものが多く、同様の結果が中から高強度で運動をする人にも当てはまるかどうかは不明である。そこで本研究ではパフォーマンス不安が、中から高強度運動時の心拍数にどのような影響を与えるのか検討した。実際の観衆(400名以上)の前で踊るプロのバレリーナ1名が、中から高強度の運動強度で踊っている最中のR-R間隔を心拍計により計測した。心拍数はR-R間隔より算出した。舞台上でのリハーサルと本番での心拍数を比較した。その結果、本番での最大心拍数は180拍/分を超えており、リハーサル時よりも本番中の方がおよそ10拍/分心拍数が高かった。これらの結果から、中から高強度運動時においても、パフォーマンス不安により心拍数が増加することが明らかになった。
著者
香川 靖雄 西村 薫子 佐東 準子 所沢 和代 村上 郁子 岩田 弘 太田 抜徳 工藤 快訓 武藤 信治 手塚 統夫
出版者
The Japanese Society of Nutrition and Dietetics
雑誌
栄養学雑誌 (ISSN:00215147)
巻号頁・発行日
vol.38, no.6, pp.283-294, 1980-11-25 (Released:2010-10-29)
参考文献数
36
被引用文献数
9 6

朝食の欠食は日周リズムを変え, これによって肥満, 高コレステロール血を増加させ, 各種の知的機能テストの成績を低下させると報告されている。そこで寮内学生 (19~21歳) につき分析を行い下記の成績を得た。1978 (人数=102) 1979 (人数=106)朝食 欠食者(85名) 摂取者(17名) P 欠食者(64名) 摂取者(42名) P〔摂取量/日〕エネルギー (kcal) 1,916 2,180 <0.1 2,105 2,459 <0.01たん白質 (g) 63.1 66.4 <n.s. 67.0 80.8 <0.01炭水化物 (g) 283.6 345.1 <0.01 295.4 352.2 <0.001カルシウム (mg) 296.4 408.8 <0.02 409.4 499.0 <0.02〔24時間尿中成分〕尿素 (g) 7.05 6.58 <0.5 7.49 8.43 <0.5カルシウム (mg) - - - 410.8 497.3 <0.05〔血清〕コレステロール (mg/dl) 190.8 186.4 n.s. 188.5 191.4 n.s.〔学業〕全学科成績 71.51 75.74 <0.01 72.97 75.29 <0.02平均得点順位 58.1 35.9 <0.01 59.4 44.1 <0.02年間欠席時限数 87.3 53.7 <0.05 89.2 63.4 <0.05コレステロール値は米国青年の値よりわずかに高い。身長 (169.9対170.7cm), 体重 (61.6対63.0kg), HDL-コレステロール (52.5対53.5mg/dl), トリグリセリド (116.8対123.7mg/dl), カウプ指数 (2.147対2.181), 出身地南北差等には上記両群の差はなかった。朝食の欠食は上記の表の栄養素摂取量を低下させたが, 食事の欧風化にも拘らず, 肥満やコレステロールを増加させなかった。また欠食者に学業成績, 出席率の不良なものが多く見出された。
著者
工藤 龍太
出版者
一般社団法人 日本体育学会
雑誌
日本体育学会大会予稿集 第69回(2018) (ISSN:24241946)
巻号頁・発行日
pp.71_2, 2018 (Released:2019-01-18)

講道館柔道創始者の嘉納治五郎は様々な武術を研究し、「武術としての柔道」を生涯にわたり探求し続けた。柔道が競技スポーツとして普及していく一方で、柔道の武術性が失われていくことを危惧した嘉納は、修行者に形と乱取稽古の併修を説いた。昭和2(1927)年までに嘉納が完成させた精力善用国民体育の形(以下「精力善用の形」)は、2人で行う相対動作に加えて1人で行う単独動作が含まれている点で、柔道の形としては画期的なものであり、集団体操としても採用されるなどの展開があった。先行研究では、この形が国民体育の実施と当身技の習得といった体育的・武術的観点から、柔道をより優れたものにするために嘉納が創案したものであり、嘉納にとって理想の柔道の形であったことが指摘されてきた。本発表では、嘉納の理想的な柔道を具現化した精力善用の形が戦前の体育や武道の世界に与えた影響や、様々なレベルの実践者たちの反応がどのようなものであったかを資料に基づき調査しながら、戦前の精力善用体育の形の展開過程を明らかにしたい。